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防水工事と塗装工事の違いを解説|それぞれの目的は?必要性は?

建物の外壁や屋根は、常に厳しい環境にさらされているため、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に重要なのが「防水工事」と「塗装工事」です。これらは建物の寿命を延ばし、美観を維持するためのリフォームの要となります。

しかし、「防水工事とは?」「塗装工事とは?」と聞かれると、違いを明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。実は、これらの工事は目的や必要性が大きく異なります。

この記事では、外壁塗装や屋根・屋上の防水工事の違いを詳しく解説します。防水業者と塗装業者の役割の違い、外壁の防水と塗装の関係についても触れていきます。

建物のメンテナンスを検討中の方、適切な工事方法を選びたい方に、ぜひ参考にしていただきたい情報です。大切な建物を長く美しく保つために、ぜひ最後までお読みください。

防水工事と塗装工事の違いを解説|防水目的の工事

防水工事とは、建物の屋根や外壁、ベランダ、バルコニーなど、雨水や地下水の浸入を防ぐための工事です。

ここでは、防水工事の目的や防水工事が必要になるケース、防水工事の種類について解説していきます。

防水工事の目的

防水工事を行う目的は、以下のとおりです。

  • 雨漏りを防ぐ
  • 建物の耐久性を向上させる
  • 建物の美観を維持する

建物の屋根や外壁は、雨や風、紫外線などの影響を受けやすいため、経年劣化により傷みやひび割れが生じます。

これらの傷みやひび割れから雨水が侵入すると、雨漏りの原因となります。

雨漏りは、建物の内部に水が侵入し、腐食やシロアリなどの被害を引き起こす恐れが高いです。

室内まで雨漏りの被害が及ぶと、家電や家具にまで影響を与えかねません。

防水工事を行うことで、雨漏りを防ぎ、建物の耐久性が向上します。

また、防水工事は、建物の美観を維持する効果もあり、家の外観を長持ちさせてくれるでしょう。

防水工事が必要になるケース

防水工事が必要になるケースは、大きく分けて以下の3つです。

雨漏りが発生している場合

雨漏りは、防水工事の最も典型的なケースです。建物の内部に水が侵入し、腐食やシロアリなどの被害を引き起こす恐れがあります。

雨漏りが発生した場合は、早急な防水工事が必要です。

建物の外壁や屋根にひび割れや剥がれがある場合

建物の外壁や屋根は、雨や風、紫外線などの影響を受けやすいため、経年劣化によりひび割れや剥がれが生じます。

これらのひび割れや剥がれから雨水が侵入すると、雨漏りの原因となる可能性が高いです。

また、ひび割れや剥がれは、建物の耐久性を低下させる原因にもなります。

ひび割れや剥がれがある場合は、早急な防水工事が必要です。

建物の築年数が古い場合

建物の築年数が古い場合、防水工事の必要性が高くなります。

建物の防水層は、一般的に10〜15年程度で劣化し始めます。

築年数が古い建物では、防水層の劣化が進んでいる可能性が高く、防水工事が必要になる場合が多いです。

防水工事の種類

防水工事には、以下の種類があります。

  • ウレタン防水
  • シート防水
  • FRP防水
  • シーリング工事

それぞれの工事内容について解説していきます。

ウレタン防水

ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を塗り重ねることで防水層を形成する防水工法です。

ウレタン樹脂は、ゴムのような弾力性と耐久性があり、雨水や地下水の浸入を防ぐことができます。

ウレタン防水のメリットは、以下のとおりです。

  • 耐久性が高い
  • 施工が容易
  • 複雑な形状にも対応できる
  • 塗り重ねが容易

また、ウレタン防水の工法には、密着工法、通気緩衝工法があり、通気緩衝工法は、防水層と下地の間に防水シートを敷き詰め、その上からウレタン樹脂を塗る工法です。

防水層と下地の間に隙間を設けることで、防水層の膨張や収縮を吸収し、防水性を向上させることができます。

密着工法は、下地を塗装で下地調整し、その上からウレタン樹脂を塗る工法です。

下地と防水層が密着することで、防水性を向上させることができます。

シート防水

シート防水とは、塩化ビニルやゴムなどのシートを貼り付けることで、防水層を形成する工法です。

シートは、雨水や地下水の浸入を防ぐ性質があり、シートをしっかりと貼り付けることで、高い防水性を実現することができます。

シート防水のメリットは、以下のとおりです。

  • 下地の影響を受けにくい
  • 一度に広範囲の施工が可能

また、シート防水の工法は、接着工法と機械的固定工法があり、機械的固定工法はシートを専用の機械で固定する工法です。

下地とシートの間に隙間ができにくいため、防水性が向上します。

接着工法は、下地調整を行い、その上からシートを貼り付ける工法です。

下地とシートが密着することで、防水性を向上させることができます。

FRP防水

FRP防水とは、繊維強化プラスチック(FRP)を用いた防水工法です

FRPは、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維に、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂などの樹脂を浸透させて作られた材料です。

FRP防水は、軽量で耐久性や強度に優れています。

屋上や外壁など高い耐久性が求められる場所に採用されています。

ただし、ほかの防水工事に比べて施工費用が高いのがデメリットです。

シーリング工事

シーリング工事とは、建物の外壁や屋根、窓やドアなどの目地にシーリング材を充填する工事です。

シーリング材は、ゴムや樹脂などの柔軟性のある材料で、雨水や風の侵入を防ぐ役割があります。

シーリング工事は、建物の寿命を延ばし、美観を維持するために重要な工事です。

定期的にメンテナンスを実施し、建物の状態を良好に保つようにしましょう。

防水工事と塗装工事の違いを解説|塗装によって美観を保つ

塗装工事とは、建物の外壁や屋根、内装などに塗料を塗り、美観を保ち、耐久性を向上させる工事です。

塗装工事の目的、塗装工事が必要になるケース、塗料の種類、塗装工事の種類について解説していきます。

塗装工事の目的

塗装工事には、以下のような目的があります。

  • 美観の向上:塗装工事は、建物の外壁や屋根、内装を美しく仕上げることができます。
  • 耐久性の向上:塗装工事は、建物の外壁や屋根、内装を風雨や紫外線などから保護し、耐久性を向上させることができます。
  • 機能性の向上:塗装工事は、防水性や防カビ性、断熱性などの機能性を向上させることができます。

上記以外にも、建物の資産価値を維持するために塗装工事は重要です。

塗装工事が必要になるケース

塗装工事が必要になるケースをいくつか紹介します。

  • 色あせや塗膜の剥がれ、ひび割れ、チョーキング現象などの外壁や屋根の劣化
  • 屋根や外壁の塗装やシーリング材の劣化による雨漏り
  • カビや藻の発生による美観の喪失、建物の耐久性低下
  • 建物の築年数の経過

上記以外にも、建物の売却・賃貸のタイミングや、デザインの変更、機能性を向上する際に塗装工事が必要です。

塗装工事は建物の美観と耐久性を維持するために必要不可欠です。

必要に応じて、早めに専門業者に相談しましょう。

塗料の種類

塗装工事には、さまざまな種類の塗料が使われます。

外壁塗装に使用する塗料は、大きく分けて「水性塗料」と「油性塗料」の2種類です。

近年は、水性塗料の技術革新により、耐用年数や機能性において油性塗料に匹敵する性能を持つものも登場しています。

塗料のグレードは、アクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料の順で高くなっています。

各塗料の特徴は、以下のとおりです。

アクリル塗料

アクリル塗料は、アクリル樹脂を主成分とする水性塗料です。

アクリル塗料は汎用性の高い塗料で、木、金属、コンクリート、プラスチック、ビニールなど、さまざまな素材に使用できます。

また、速乾性があり、通常、数時間以内に乾燥するため、時間をかけたくない外壁塗装などに最適です。

さらに、石鹸と水で簡単に掃除でき、お手入れが簡単です。

耐久性に優れ、色あせやひび割れに強く、さまざまな色や仕上げの種類があります。

価格は比較的安価ですが、耐用年数は5〜7年と短いです。

ウレタン塗料

ウレタン塗料は、ポリウレタン樹脂を主成分とする塗料です。

2液型で、主剤と硬化剤を混合して使用します。

ウレタン塗料は、紫外線や雨水による劣化に非常に強い耐候性を持ち、長期間美しい外観を維持してくれるでしょう。

また、高い硬度と耐摩耗性を持ち、傷や擦れに強いため、床や壁など、高い耐久性が求められる場所にも適しています。

さらに、高い防水性を持ち、雨水や湿気から建物を守ってくれるため、外壁塗装や屋内水回りの塗装にも最適です。

ウレタン塗料は、様々な素材にしっかりと密着するため、剥がれにくく、長持ちします。

耐用年数は、7〜10年とアクリル塗料よりは長くなっています。

シリコン塗料

シリコン塗料は、シリコン樹脂を主成分とする塗料です。

アクリル塗料とウレタン塗料の中間の性能を持ち、コストパフォーマンスに優れた塗料として人気があります。

耐久性と耐候性が高いため紫外線や雨水による劣化に強く、長期間美観を維持できます。

また、高い防水性を持ち、雨水や湿気から建物を守ります。

シリコン塗料の耐用年数は、10〜14年とアクリル塗料、ウレタン塗料よりも長いです。

フッ素塗料

フッ素塗料は、フッ素樹脂を主成分とする塗料です。

塗料の中で最も高い耐久性と耐候性を持ち、長期間美観を維持することができます。


アクリル塗料やウレタン塗料よりも耐久性が高く、長期間美観を維持できます。

また、耐候性や防水性にも優れ、汚れが付きにくいため、メンテナンスが容易です。


ただし、費用が高価であるため、予算と相談して使用することをおすすめします。

耐用年数は、12〜17年と最も長く、ライフサイクルコスト的には重宝される塗料です。

塗装工事の種類

塗装工事の種類は、ローラー塗装と吹き付け塗装の2種類です。

それぞれの塗装方法について解説します。

ローラー塗装

ローラー塗装とは、ローラーを使って塗料を塗る塗装方法です。

広い面積を素早く塗装できるため、外壁塗装や屋根塗装などによく用いられます。

また、仕上がりが均一になり、塗料の飛散が少ないのもメリットの1つです。

ローラー塗装の施工方法は、以下のとおりです。

  1. 下地処理:塗装前に、塗る表面の汚れや油分をしっかりと取り除きます。
  2. 養生:塗料が付着してはいけない部分をマスキングテープなどで養生します。
  3. 塗料の準備:塗料の説明書に従って、塗料を準備します。
  4. 塗装:ローラーに塗料を含ませ、塗る表面に均一に塗っていきます。
  5. 乾燥:塗料が完全に乾燥するまで待ちます。

ローラー塗装を行う際の注意点ですが、塗料に合ったローラーを選びましょう。

また、塗装後には、乾燥時間を十分に取るのも重要です。

吹き付け塗装

吹き付け塗装とは、スプレーガンを使って塗料を霧状にして吹き付ける塗装方法です。

ローラー塗装と比べて広い面積を素早く塗装できるため、外壁塗装や屋根塗装に用いられます。

また、複雑な形状の物も塗装できる点もメリットの1つです。

ただし、ローラー塗装と比べてコストが高く、専用設備が必要になります。

吹き付け塗装の施工方法は、以下のとおりです。

  1. 下地処理:塗装前に、塗る表面の汚れや油分をしっかりと取り除きます。
  2. 養生:塗料が付着してはいけない部分をマスキングテープなどで養生します。
  3. 塗料の準備:塗料の説明書に従って、塗料を準備します。
  4. 塗装:スプレーガンに塗料を入れ、塗る表面に均一に吹き付けます。
  5. 乾燥:塗料が完全に乾燥するまで待ちます。

吹き付け塗装を行う際には、安全装備を着用し、周囲への塗料の飛散に注意することが必要です。

また、塗料に合ったスプレーガンを選び、塗料の調合をしっかりと行いましょう

塗装後は、乾燥時間を十分に取ることも重要です。

防水工事と塗装工事の違い|水の侵入を防ぐのはどっち?

防水工事と塗装工事は、そもそも工事内容が違います。

それぞれの目的、費用、業者から見た違いについて解説します。

目的の違い

防水工事と塗装工事は、どちらも建物の保護を目的とした工事ですが、目的には明確な違いがあります。

防水工事の目的は、建物の内部に水が侵入することを防ぐことです。

雨水の浸入を防ぎ、建物の構造体や内装材を保護します。

塗装工事の目的は、建物の美観を維持することと、外壁材を保護することです。

紫外線や風雨による劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばします。

防水工事と塗装工事は、専門的な知識と技術が必要な工事です。

そのため、業者を選ぶ際には、実績や経験豊富な専門業者に相談することをおすすめします。

費用の違い

防水工事の費用は、使用する材料や工法、施工面積によって異なりますが、一般的には㎡あたり4,000~8,500円程度です。

塗装工事の費用は、使用する塗料の種類やグレード、施工面積によって異なりますが、一般的には㎡あたり2,000~8,000円程度です。

防水工事は、水を通さない防水材を使用するため、塗装工事よりも高価な材料を使用します。

また、防水工事は、塗装工事よりも複雑な工法が必要となる場合が多いため、施工費用が高くなります。

業者の違い

防水工事と塗装工事は、建物の保護を目的とした工事ですが、それぞれ専門とする業者が異なります。

防水工事を行う業者には、以下のような種類があります。

  • 防水工事業者
  • 屋根工事業者
  • 外壁工事業者

塗装工事を行う業者の種類は、以下のとおりです。

  • 塗装業者
  • 外壁工事業者
  • リフォーム業者

業者の選び方としては、実績や資格、保証内容、見積もりなどを比較することが重要です。

防水工事と塗装工事の違い|費用

防水工事と塗装工事は、建物の維持管理において重要な役割を果たす工事です。

それぞれの費用相場は、工事内容や使用する材料、建物の形状や規模などによっても変動します。

ここでは、防水工事、塗装工事の費用について紹介します。

防水工事の費用相場

防水工事の材料別費用相場は、以下のとおりです。

防水材料費用相場
ウレタン防水約4,000〜7,000円/㎡
シート防水約4,000〜7,500円/㎡
アスファルト防水約5,500〜8,500円/㎡
FRP防水約6,000〜8,000円/㎡

防水工事の施工箇所によっては足場の設置が必要になり、1㎡あたり800円ほど施工費用が高くなる場合があります。

塗装工事の費用相場

塗装工事の塗料別費用相場は、以下のとおりです。

塗料の種類費用相場
アクリル系塗料約1,500〜2,000円/㎡
ウレタン系塗料約1,800〜2,500円/㎡
シリコン系塗料約2,500〜3,500円/㎡
フッ素系塗料約3,500〜4,500円/㎡

塗装工事においても、施工箇所によっては足場の設置が必要になります。

また、近隣の建物に影響を与えないように、塗料の飛散防止などの養生も必要です。

防水工事と塗装工事の違い|業者選びのポイント

防水工事・塗装工事の業者選びのポイントは、以下のとおりです。

複数の業者から見積もりを取る

複数の業者から見積もりを取り、比較しましょう。

見積もり内容だけでなく、説明内容や対応なども比較して、信頼できる業者を選びましょう。

また、費用が安すぎる見積もりには注意が必要です。

必要な材料や工法を省いて安くしている可能性があります。

優良業者の見極め方

防水工事・塗装工事において、優良業者を見極めるには、以下の事項が重要です。

  • 施工実績
  • 専門資格の保有
  • 保証内容

これらの内容は、複数の業者から見積もりを取り、比較することで分かるでしょう。

また、国土交通省の「住宅リフォーム業者登録制度」に登録されている業者を選ぶのも一つの方法です。

悪質業者の特徴

防水工事や塗装工事は、高額な費用がかかるため、悪徳業者による被害も少なくありません。

悪徳業者に騙されないためには、以下の特徴を知っておくことが重要です。

  • 突然訪問してくる
  • 不当に安い見積もりを提示する
  • 工事費用全額前払いを要求する
  • モニター募集を呼びかける
  • 契約を急がせる
  • 不安をあおる
  • ホームページや会社情報が不自然
  • 見積書や契約書の内容が不十分

また、複数の業者から見積もりを取り、契約前に内容をしっかり確認することが重要です。

不安な点があれば、すぐに質問し、場合によってはクーリングオフ制度も利用しましょう。

防水工事でよくある質問

Q

防水工事の種類にはどんなものがありますか?

A

主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。

Q

防水工事の費用はどのくらいかかりますか?

A

工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。

Q

工事の期間はどのくらいかかりますか?

A

工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。

Q

工事中の生活にどんな影響がありますか?

A

騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。

Q

防水工事のタイミングはいつが良いですか?

A

一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。

防水工事と塗装工事の違いまとめ

ここまで、防水工事と塗装工事の違いについて解説してきました。

この記事の要点は、以下のとおりです。

  • 目的の違い
    防水工事: 雨水の侵入を防ぎ、建物の躯体を保護する
    塗装工事: 建物の美観を維持し、劣化を防ぐ
  • 必要性の違い
    防水工事: 雨漏りなどの被害を防ぐために必須
    塗装工事: 美観維持が主な目的だが、防水効果も期待できる
  • 工事内容の違い
    防水工事: 防水シートやウレタン塗料などを用いて防水層を形成
    塗装工事: 塗料を塗布して建物の表面を保護
  • 業者選びのポイント
    実績、資格、保証、見積もり、コミュニケーションが重要

防水工事と塗装工事は、目的、必要性、工事内容、費用相場などが異なります。

それぞれの特徴を理解した上で、適切な業者を選びましょう。

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