「外壁の防水塗装はいつ行えばいい?」「そもそも外壁に防水塗装は必要なの?」など、外壁の防水塗装について悩んでいませんか?
実は、外壁塗装を行うメリットはたくさんあります。
今回はそんな外壁塗装について、メリットや費用、塗料の種類などさまざまな情報を徹底解説していきます。
外壁の塗り替えが必要なサインについても紹介していくので、外壁の塗装工事についてお悩みの方はぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
外壁の防水塗装とは?
外壁の防水塗装といっても、実は外壁に防水材料を塗るような防水工事は存在しません。
一般的な防水工事は、屋上などにウレタン防水などの防水材料を施工する工事のことを指します。
外壁に塗料を塗布する工事は、正確には塗装工事と呼ばれるものです。
その中で、塗料の中でも防水性能の高いものを使用して行う外壁の塗装工事のことを、「外壁の防水塗装」と呼ぶことがあります。
外壁は、劣化によって発生するひび割れが雨水の侵入経路となりやすいです。
そのため、外壁の防水塗装で使用する防水性能の高い塗料には、伸縮性が高く外壁のひび割れに追従してくれる弾性塗料が使用されます。
一般的な外壁の防水塗装とは、このように防水性能の高い塗料を使用した塗装工事のことを指し、屋上などの防水工事とは使用する材料が異なるため注意しましょう。
外壁に防水塗装が必要な理由
外壁の防水塗装と聞くと、必要ないのでは?と感じる方もいるのではないでしょうか。
外壁には元々塗料が塗られていて、その塗料で形成された塗膜が雨水の侵入を防いでくれています。
しかし、振動や経年劣化などが原因で、外壁にはどうしてもひび割れが発生してしまいます。
そのため塗膜の防水性能が低下していなかったとしても、ひび割れが発生した部分が雨水侵入経路となってしまうのです。
また、外壁の塗膜自体も10年程度で徐々に劣化していってしまうものです。
このように、だんだんと外壁の防水性能が低下したり雨水の侵入経路ができたりしてしまうため、定期的な外壁のメンテナンスは欠かせません。
外壁に防水塗装を行うメリット
外壁に防水塗装を行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、外壁に防水塗装を行うメリットを3つ紹介します。
外壁の防水塗装を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
外壁材の劣化を防ぐ
外壁に防水塗装を行うと、雨水などの水分から外壁材自体を守ることができます。
外壁材が水分を吸うと、湿潤膨張と乾燥収縮を繰り返します。
このような膨張と収縮の動きを繰り返すことによって、徐々に外壁材の劣化が進んでいってしまうでしょう。
防水塗装を行い膨張と収縮の動きを減少させることで、この動きに伴う外壁材の劣化を予防することにつながります。
雨水の侵入を防ぐ
防水性能の高い塗料を使用して外壁を塗装することで、雨水の侵入を防ぐ効果が期待できます。
防水塗装に使用される弾性塗料は弾力がある伸縮性に優れた塗料で、外壁材に発生する軽度のひび割れであれば、塗膜が動きに追従して伸びてくれます。
この塗料が持つ特徴によりひび割れが表面化しにくいため、外壁からの雨水の侵入を防ぐ効果が期待できることが大きなメリットのひとつです。
雨漏りによる建物の腐朽・腐食や耐久性低下を防ぐ
一般的な外壁の塗料では、幅わずか0.2mmほどの外壁のひび割れでも、塗膜もひび割れを起こしてしまいます。
0.2mmほどのひび割れはとても小さく感じますが、このようなひび割れであっても雨水が侵入するリスクがあります。
外壁と塗膜にひび割れが発生して雨水の侵入経路ができると、建物内への雨漏りや建物自体の腐食につながるため、建物の耐久性を下げてしまうリスクが高いです。
外壁に防水塗装を施すことで、このような雨水侵入のリスクが軽減されるため、結果的に建物の腐朽・腐食や耐久性低下を防ぐことができます。
外壁に防水塗装を行うデメリット
外壁に防水塗装を行うデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 大きなひび割れには対応できず、塗膜もひび割れを起こす
- 一般的な塗料に比べて弾性塗料は耐用年数が短い
- 膨れが起こりやすく、目立ちやすい
防水塗装では小さなひび割れは表面化せずに防ぐことができますが、すべてのひび割れを防げるわけではありません。
大きなひび割れには対応できず、塗膜もひび割れを起こす可能性があります。
また、一般的なシリコン塗料の耐用年数が10〜12年程度であるのに対し、防水塗装に使用される弾性シリコン塗料の耐用年数は8〜10年程度と少し短いです。
そのため、一般的な塗料よりも短い間隔で再塗装が必要となることがデメリットだといえるでしょう。
外壁側からの湿気や熱気がある場合、塗膜には膨れが発生することがあります。
防水塗装ではこの膨れが発生しやすく、発生した膨れが目立ちやすいこともデメリットのひとつです。
外壁の塗り替えが必要なサイン
外壁の防水機能は、経年劣化とともに徐々に低下していきます。
劣化症状が現れてきたら、外壁の塗り替えを検討するタイミングのサインです。
ここでは、外壁の塗り替えが必要となるサインを7つ紹介します。
外壁の防水機能の低下や劣化を表す症状でもあるため、ぜひ確認しておきましょう。
チョーキング現象
チョーキング現象は、外壁を触ったときにチョークのような白い粉がつく状態のことです。
手で触ると白い粉が付着するため、素人でも簡単に判断することができます。
チョーキング現象は、紫外線などのダメージにより塗膜が劣化し、塗料に含まれる合成樹脂が分解されて粉状になってしまった状態です。
塗膜の持つ防水性能や耐久性の低下のサインであるため、放置せずに塗り替えを検討しましょう。
ひび割れ
外壁のひび割れは、地震の揺れや温度変化による建物の動きなどの影響を受けて発生します。
ひび割れの部分は雨水の侵入経路となるため、ひび割れを発見したら塗り替え工事を検討しましょう。
とくに0.3mm以上の大きなひび割れは、建物の構造部分に起きている可能性も考えられます。
大きなひび割れを発生した場合は、できるだけ早く専門家に点検してもらい、適切な補修を行うことをおすすめします。
小さなひび割れであっても、雨水の侵入経路となって外壁材を傷めてしまう可能性があるので、放置せずに早めに対応してくださいね。
シーリングの縮み・割れ
シーリングとは、外壁の隙間に充填してある目地材で、建物の機密性を高めたり防水性能を上げるために使用されています。
シーリング材も経年劣化が避けられず、徐々に縮みや割れなどの症状が現れてきます。
このような症状が現れると、シーリングの劣化した部分が雨水の侵入経路となるため補修が必要です。
また、シーリング材は壁の間でクッションの役割を果たしているため、シーリング材の劣化は建物の耐久性の低下にもつながります。
シーリングの劣化は放置してしまいがちですが、雨漏りだけではなく建物全体にも悪影響を及ぼすため、劣化を発見したら早めに補修するようにしましょう。
塗装の剥がれ
塗装のひび割れを放置していると、どんどん広がっていって剥がれ始めます。
塗装が剥がれた部分は外壁材が露出していることになるため、塗装の剥がれを放置していると外壁材を傷める原因となってしまいます。
そのため、塗装が剥がれる前や剥がれた部分が広範囲に広がってしまう前に、できるだけ早く塗り替え工事を行うようにしましょう。
色褪せ
色褪せは、初期段階で発生する外壁の劣化症状です。
施工当初と比べて、外壁の色合いが変わったなと感じたら、劣化が始まってきているサインだといえます。
色褪せ自体は機能面に大きな問題はありませんが、塗膜の劣化が始まってきているサインなので、この段階で塗り替えを行えば、ほとんどの場合で重大な劣化症状が発生する前に対応できることになるでしょう。
また、外壁が色褪せると建物の美観を損なってしまうため、塗り替えを行うことは建物の美観を保つことにもつながります。
塗膜の膨れ
外壁の塗膜は、建物内部から発生した湿気の影響を受けて膨れが発生することがあります。
塗膜の膨れが発生すると、ぼこぼこと空気が入ったように膨れて見た目にも悪影響を与えます。
塗膜が膨れている部分はやぶれやすくなっていて、放置しているとさらなる劣化を早めてしまう原因となるため、早めに塗り替え工事を検討することがおすすめです。
かび・藻・コケの発生
外壁の防水機能が低下してくると外壁材に雨水が染み込みやすくなり、かび・藻・コケが発生しやすい環境になります。
とくに日当たりの悪い場所や風通しが悪く湿気がこもりやすい場所、結露が多く発生する建物などは、かび・藻・コケにとって好条件です。
一度発生したかび・藻・コケを放置していると、どんどん広がっていってしまうでしょう。
外壁に発生したかび・藻・コケは、建物の美観を大きく損ないます。
影響は見た目だけではなく、外壁材の腐食につながるなど外壁の劣化スピードも早めてしまうでしょう。
また、かびはアレルギーを引き起こすなど人体に悪影響があるものもあるため、早めに取り除くことをおすすめします。
外壁防水塗装の費用
弾性塗料を使用した外壁防水塗装の費用は、5,000〜6,000円/㎡ほどが相場です。
一般的な塗料を使用する外壁塗装の相場は2,500~3,500円/㎡程度であるため、防水塗装のほうが費用は高額となるでしょう。
実際に外壁防水塗装を行う場合は、この塗装にかかる料金に加えて、足場代や人件費なども必要となります。
一般的な一軒家であれば、外壁防水塗装にかかる費用総額は120〜130万円程度が目安です。
塗装の面積や足場が必要かどうかなど、さまざまな要因によって料金は変わってきますので、正確な費用が知りたい場合は専門業者に見積もりを依頼しましょう。
外壁に使う防水塗料とは
外壁に使用する防水塗料は、塗料の中でも防水性能の高い「弾性塗料」と呼ばれる塗料です。
弾性塗料は伸縮性に優れているため、外壁材にひび割れが発生した際には塗膜が伸びて対応し、塗膜までひび割れしてしまうリスクを軽減することができます。
弾性塗料のメリットには、以下のようなものがあります。
- 塗膜がひび割れするリスクを軽減できる
- 防水性能が高い
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 大きなひび割れには対応できないことがある
- 経年劣化すると伸縮性が失われるので、定期的なメンテナンスが必要
- 費用が一般的な塗料よりも高額になる
外壁にひび割れが発生すると、その部分が水の侵入経路となって雨漏りの原因となったり、建物の構造材に浸水して劣化の原因となったりします。
このようなリスクから建物を守るためにも効果的な外壁防水塗装ですが、防水性能が高い分塗料にコストがかかります。
定期的なメンテナンスは、防水塗装に限らず一般的な塗料を使用した外壁塗装であっても必要です。
外壁防水塗装の塗料には、以下のような商品が使われることが多いです。
- 水性アクリル樹脂系単層弾性塗材
- 低汚染型水性セラミックシリコン単層弾性塗材
- フッ素樹脂系複層弾性塗材
防水性能が高い塗料の種類
防水性能が高い塗料は、主に水性系塗料と油性系塗料の2種類にわけられます。
ここでは、それぞれの塗料の特徴を紹介していきます。
水性系塗料
水性系塗料とは、溶剤として水を使用した塗料のことです。
- においが少ない
- 乾燥が早い
- 価格が安い
以上のような特徴を持っています。
性能は油性系塗料のほうが優れているとされていましたが、最近では水性系塗料の性能も高まってきています。
油性系塗料
油性系塗料とは、溶剤としてペイント薄め液などを使用した塗料のことです。
- 2液タイプが主流(施工時に主剤と硬化剤を混ぜる)
- 耐久性に優れている
- 密着性に優れている
メリットも多い油性系塗料ですが、水性系塗料と比べてにおいが強く乾燥時間が長いとされています。
水性系と油性系のどちらの塗料が適しているかは、外壁材や下地、環境などによっても異なるため、施工業者と相談しながら決めるようにしましょう。
防水塗装が適した外壁材
外壁材には、さまざまな種類があります。
その中で、防水塗料が適した外壁材には以下のようなものがあります。
- モルタル壁
- コンクリート壁
モルタル壁は、水分を含んだ後乾燥する際に収縮し、ひび割れが起きやすい外壁材です。
防水塗装を施すことで、防水性能が低くひび割れが起きやすいというモルタル壁のデメリットをカバーすることができます。
コンクリート壁は主にマンションで使用される外壁材ですが、一般的な戸建てに使用されることもあります。
コンクリート壁も防水性能が低い外壁材で、雨水が侵入すると内部の鉄骨がサビてしまうこともあるため、防水性能の高い塗料で保護することがおすすめです。
防水塗装が適さない外壁材
防水塗装が適さない外壁材は、サイディングです。
サイディングは防火性や断熱性に優れた外壁材で、熱がこもりやすい構造となっているため、防水塗装を施すと塗膜の膨れや剥がれが発生するリスクが高いからです。
また、防水塗装はサイディングの劣化を防ぐという面ではあまり効果がありません。
どの外壁材にも防水塗装が必要というわけではないため、それぞれの外壁材に最適な塗料を正しく判断することが重要です。
専門的な知識が必要なので、信頼できる施工業者に依頼するようにしましょう。
まとめ
外壁の防水塗装とは、防水性能の高い塗料を使用した塗装工事のことです。
- 外壁のひび割れが水の侵入経路となることが多いが、防水塗装をすると軽いひび割れには対応してくれるため防水性能を高められる
- 防水塗装を施しても、大きなひび割れには対応できないことがある
- 防水塗装によって外壁材を守るだけではなく、建物の腐朽・腐食や耐久性低下も防ぐことができる
- サイディングには防水塗装が適さない
外壁の防水塗装には、たくさんのメリットがあります。
外壁材だけではなく建物全体の劣化を防ぐことにもつながるため、ぜひ定期的な塗り替えを行いながら外壁の防水性能を維持していきましょう。
ただし防水塗装が適さない外壁材もあるので、専門家と相談しながら施工内容を決めてくださいね。