マンション大規模修繕の実施時期を知りたい人
マンションの大規模修繕は何年ごとに行う?
マンションの大規模修繕はいつ行う?
マンションの大規模修繕の工事期間はどれくらい?
マンションの大規模修繕を行うタイミングは築年数で決まる?
マンションの大規模改修工事や大規模修繕工事の実施時期はいつ?
大規模修繕の周期を知りたい!大規模修繕の実施は法律で決まってる?
マンション大規模修繕のスケジュールを知りたい!長期修繕計画はどれくらいの周期で立てる?
建物を長持ちさせるには、定期的な点検や修繕が不可欠です。
特に、マンションのように大勢の人が住む建物は修繕もしっかりと行わないと、安全性を保つことができなくなってしまいます。
大きなマンションはもちろん、小・中規模のマンションも大規模な修繕工事が行われますよね。
この大規模修繕について実施周期などを解説していきます。
目次
マンションの大規模修繕工事の周期は何年ごと?12年が一般的
大規模修繕の目安は、一般的に12年と言われています。
なぜこの12年が一般的だとされているのか?について解説していきます。
長期修繕計画作成ガイドラインを参照している
大規模修繕の目安としては、長期修繕計画作成ガイドラインを参照にしています。
このガイドラインは、国土交通省が作成しているものですが2021年9月28日改正が行われましたのでそちらも加えて見ていきましょう。
長期修繕計画作成ガイドラインとは?
長期修繕計画作成ガイドラインとは、国土交通省がマンションの安全性を維持し、円滑に修繕が行われるために作成されたガイドラインです。
大型・小・中と規模に関わらずマンションの大規模修繕工事は、ほとんどこのガイドラインに従って進められます。
上記でも触れましたが、このガイドラインは2021年9月に一部が改正されています。
見直された項目 | 変更箇所 |
---|---|
計画期間 | 長期修繕計画期間25年以上 ↓ 2回の大規模修繕工事を含む30年以上 ※要は12年周期〜15年周期へと変更 |
大規模修繕周期の目安 | 一定の幅のある修繕周期に変更 |
修繕工事の有効性などを追記 | マンションの省エネ性能を向上させる改修工事の有効性 定期的にエレベーター点検を実施することの重要性 |
最も大きい変更は、12年周期だった大規模修繕工事が15年周期へと見直された点です。
ただ、ガイドラインでは15年とされていますが建物の状況によって、もっと早く修繕することは問題ありません。
塗料や防水材の劣化タイミングにあわせている
なぜ、12年周期での見直しが採用されていたかというと、塗料や防水材の劣化のタイミングに合わせていたからだと考えられます。
外壁に使用する塗料やタイル、シーリング材は毎日風雨や日光にさらされるため高い耐久性を持っていても、10年を超えると劣化が見られることが多くなってきます。
こういった劣化のタイミングに合わせ、12年周期でガイドラインが作成されていたようです。
特定建築物定期検査の時期にあわせている
建築基準法で定められている調査の中に、『特定建築物定期調査』というものがあります。
特定建築物は、国や地方公共団体で定められていますが対象になるのは映画館やホテルをはじめとした人が多く利用される建物です。
人が多く利用し、特に安全性を確認する必要のある建物ですので調査や報告などが義務付けられているわけです。
この『特定建築物定期調査』の時期に合わせ大規模修繕工事を行うマンションが多いため、12年周期が多い理由の一つとなっているようですね。
マンション大規模修繕を15年・18年の周期の延長が増加した背景
大規模修繕工事を行う際、大きなネックとなるのはコストです。
そのコスト面から、大規模修繕工事の周期を15年や18年に伸ばすマンションが増えているようです。
ただ、コスト面だけでなく、きちんとした調査を行ったうえでの周期の延長となります。
2000年以前の長期修繕計画は、10年サイクルで作成されることが多かったといわれています。
しかし、2000年以後は管理費や修繕積立金だけではなく、家賃もできるだけ安く設定しないと入居率が上がらない状況になりました。
そのため修繕積立金の不足を懸念する管理組合は増加し、さらに老朽化や資材の高騰に伴う修繕費の負担増加に対応できないマンションが増加しました。
このような背景から、2021年9月に長期修繕計画作成ガイドラインは改訂され、「大規模修繕工事の周期は材料や施工仕様によって異なるものの、概ね12年から15年程度」とされました。
大規模修繕の実施周期はマンションの状態で決まる
大規模修繕工事の頻度や回数については、実は法律で定められているわけではありません。
一般的には各管理組合が主体となり、マンションの劣化状況に応じて実施するか否かを決定します。
実際、築年数と戸数が同じマンションであっても、建物によって劣化状態や故障の発生状況は異なるのです。
例えば、建物の形状や構造的な要因、潮風が当たる、湿度が高いなどの環境的な要因が挙げられます。
さらに、マンションの使われ方などの管理状況など、様々な要因が絡み合い、経年劣化に影響しています。
対象部位のマンション大規模修繕の周期の目安|11~15年目が全面改修
大規模修繕工事を行う際に、点検や検査にもよりますが部位によって劣化タイミングに差があるため修繕の目安も違いがあります。
大規模修繕工事の対象となる部位ごとの、修繕周期の目安を見ていきましょう。
目安となる築年数 | 修繕箇所 | メンテナンスポイント |
---|---|---|
4~6年目 | 鉄部 | 鉄部塗装 |
7~10年目 | 屋根、屋上 給水ポンプ、雨水排水ポンプ | 小修繕 建物診断 |
11~15年目 | 鉄部、外壁、屋根、屋上、電灯設備、廊下・階段 バルコニー、インターホン、TVアンテナ 消火栓、エントランス、集会室、 機械式駐車場、付属施設、車道・歩道・植栽 | 全面 第1回大規模修繕工事 |
16~20年目 | 鉄部、屋根、屋上、火災感知器等 機械式駐車場、給水ポンプ 雨水排水ポンプ | 鉄部塗装・屋上防水、 自火報関連、機械式駐車場、 給排水ポンプ等 |
21~25年目 | 鉄部、外壁、屋根、屋上、電灯設備、廊下・階段 バルコニー、インターホン、TVアンテナ 消火栓、エレベーター、エントランス、集会室 機械式駐車場、付属施設、車道・歩道・植栽 給水管、雑排水管、給水ポンプ、雨水排水ポンプ | 全面 第2回大規模修繕工事 |
26~30年目 | エレベーター、インターホンなど | エレベーター交換 |
31~40年目 | 鉄部、外壁、屋根、屋上、電灯設備、廊下・階段、 バルコニー、TVアンテナ、消火栓、エントランス、 集会室、機械式駐車場、付属施設、車道・歩道・植栽 玄関ドア、サッシ、手摺、雑排水管 | 全面 第3回大規模修繕工事 |
年数が経過するごとに改修工事の規模や、対象箇所は増えていきます。
こまめな検査や、日頃のメンテナンスで建物は長持ちさせることができます。
多くの人が安心・安全に暮らせるように、建物を大切に利用することが重要ですね。
マンションの大規模修繕の周期を延長するメリット・デメリット
マンションの大規模修繕の周期を延ばせるなら、延ばしたいですよね。
マンションの大規模修繕の周期を延ばすメリット・デメリットを把握した上で、判断しましょう。
マンションの大規模修繕周期延長のメリット
マンションの大規模修繕実施時期を延長すると、居住者のストレスを軽減できること、コスト削減などのメリットがあります。
周期延長により得られるメリットを確認しておきましょう。
居住者のストレス軽減
マンションの大規模修繕工事は、居住者の生活に様々な影響を及ぼします。
工事期間中は騒音や悪臭が発生し、作業員の出入りも頻繁で落ち着きません。
ベランダに出られない、洗濯物が干せない、物を出したままにできないなどの制限もあります。
車を所有している場合は、一時的に他の場所の駐車場を利用しなければならず、外出時に手間と時間がかかるでしょう。
建物が防塵シートで覆われていると外が見えず、日当たりも悪くなります。
例えば、新築住宅に25年住む場合、12年周期にすると大規模修繕を2回受けなければなりません。
しかし、15年周期にすれば大規模修繕は1回で済みます。
大規模修繕の回数を減らすことで、居住者のストレスも軽減できることがメリットです。
工事回数を減らすことで長期的なコスト削減が可能
一般的に、マンションの寿命は約60年といわれています。
マンションの大規模修繕にかかる費用は、1戸あたり約100万~125万円、単純計算で50世帯のマンションなら5,000万円~7,500万円です。
工事件数を減らせば、結果的にコストが下がることがメリットです。
マンションの大規模修繕周期延長のデメリット
大規模修繕工事の回数を減らせば工事費は抑えられますが、周期が長くなればなるほど補修箇所は増えます。
また、耐久性の高い材料を使う必要があるため、1回あたりの補修コストは高くなる可能性があります。
大規模修繕費用が高くなる理由|マンション工事の注意点
大規模修繕費用が高額になる理由はいくつかあります。まず、仮設工事が挙げられます。例えば足場の設置や養生シートの張りなど、安全かつ効率的に作業を進めるための準備が必要で、これらの工程は費用の一部を大きく占めます。また、外壁の補修、防水処理、鉄部の塗装など、それぞれの施工箇所で専門技術が求められるため、専門職が必要となり人件費が高くなります。
さらに、工事期間が長引くとその分費用もかさみやすく、周辺環境や居住者の安全管理にも配慮する必要があるため、追加コストが発生しやすくなります。特に、防水や外壁補修といった工事は、使用する材料や工法によっても費用が大きく異なります。
マンション工事を行う際の注意点としては、まずしっかりとした計画を立て、複数の業者から見積もりを取り比較することが重要です。見積もりだけでなく、業者の施工実績やアフターフォロー体制も確認し、信頼性の高い業者を選ぶことがポイントです。また、工事内容を区分所有者と共有し、十分な合意形成を図ることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
マンションの大規模修繕周期を延長するためのコツ
マンションの大規模修繕周期を延長するためには、材料の特性を見極め、適切に選択することが重要です。
また、慎重に業者選びを行わなければなりません。
安全性や快適性を確保したうえで、大規模修繕周期を延長するコツを押さえておきましょう。
耐久性の高い材料を使う
マンションの修繕周期を長くするための必須条件は、耐久性の高い材料を使うことです。
12年で耐用年数を迎える塗料を使用し、18年目に大規模修繕を行った場合、6年の空白期間が生じます。
劣化が進行し、雨漏りや建物の腐食のリスクが生じるため注意が必要です。
特に、外装を構成する主要部品である塗装材、シーリング材、防水材は、大規模修繕サイクルに合わせた選択をしましょう。
最近では技術も向上し、部品の寿命も延びています。
例えば、屋上防水は15年保証の商品もあり、塗料も15~18年持つものが増えています。
給排水管に耐食性・耐薬品性が高い材料を使用することで、マンションの大規模修繕周期を延ばすことも可能です。
また、タイルや外壁材の剥離を抑える有機系接着材張工法など、新しい工法も確立されています。
耐久性の高い材料や工法を用いれば、施工単価は必然的に高くなりますが、長い目で見ればコスト削減につながるでしょう。
12年以上のサイクルに対応できる業者を選ぶ
大規模修繕サイクルを長くするためには、業者選びも非常に重要です。
技術面や安全性の観点から、12年以上のサイクルに対応できる業者は多くはありません。
また、大規模修繕の件数が少なければ少ないほど、業者の利益は少なくなるため、修繕周期の延長を勧めない業者も多いです。
大規模修繕を行う際には、業者の技術力を確認し、修繕サイクルの延長が可能かどうかを確認しましょう。
マンション大規模修繕の実施時期を見極めるには建物診断がおすすめ
マンションの大規模修繕を行う前に、建物診断(建物検査・診断)を受けることをおすすめします。
建物診断とは、専門知識を持った作業員が、目視・触診・機械検査など様々な方法で建物の状態を徹底的にチェックする方法です。
建物診断により、建物の劣化状況や不具合を把握し、工事を行う組織や必要な修繕内容を明確にできます。
最近では、作業員が立ち入れない場所や目視が困難な場所の点検にもドローンが活用され、精度が向上しています。
経年劣化診断、配管劣化診断、耐震診断に加え、マンションの資産価値を維持するための修繕計画決定の根拠となる収益性(資産価値)診断も行うことが可能です。
50~100戸程度の中規模マンションであれば、検査自体は1~2日程度で終了します。
ただし、建物診断報告書の作成に1ヶ月程度かかるため、早めに依頼しましょう。
マンション大規模修繕の業者の選び方
大規模修繕の業者の選び方1.実績と技術力を確認
業者の過去の施工実績を確認することが大切です。同規模・同タイプのマンションでの修繕経験が豊富な業者は、技術力や対応力が高い傾向にあります。特に、外壁補修や防水工事など、具体的な工事内容に対する専門的な知識やスキルを持つ業者を選ぶと安心です。
大規模修繕の業者の選び方2.複数の見積もりを比較
見積もりは、必ず複数の業者から取得し、価格だけでなく作業内容や使用材料、工期などの項目を詳細に比較することが重要です。安さだけで決めるのではなく、適正価格と高品質な施工を兼ね備えた業者を選ぶことが成功の鍵です。
安全対策とコミュニケーション能力を重視
工事中の安全対策や周囲への配慮は、業者選びの重要なポイントです。住民との円滑なコミュニケーション体制を持つ業者であれば、工事の進行がスムーズになり、トラブルを未然に防ぐことができます。管理組合や住民の意見を丁寧に聞き入れ、柔軟に対応してくれる業者を選ぶと安心です。
大規模修繕工事でよくある質問
Q
大規模修繕工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
大規模修繕工事の規模や建物の状態によりますが、およそ3ヶ月〜4ヶ月程度かかることが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
足場の設置やメッシュシートで覆うため、室内が少し暗くなることがあります。また、塗装や防水作業時には洗濯物が干せないなどの制限があります。
Q
バルコニーやベランダの利用はどうなりますか?
A
バルコニーやベランダの壁面塗装や床面の防水作業時には、使用が制限されることがあります。
Q
工事期間中、エアコンは使えますか?
A
基本的には通常通り使用できますが、場合によっては一時的に使用が制限されることもあります。
Q
大規模修繕での工事の騒音や臭気はどうなりますか?
A
塗装の臭気やドリルの騒音、粉塵などが発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。
Q
大規模修繕工事に対する費用が不足する場合はどうすればよいでしょうか?
A
できるだけ早い時期に長期修繕計画に基づき積立金を見直し、資金不足にならないようにするのが最善です。実際に資金が足りないことが判明した場合には、時期をずらしたり、工事の範囲を見直したり、一時金の徴収や借入の可能性を探ったりと、様々な方法で計画を調整できます。ご予算に応じて資産価値を損なわないベストなプランをご提案いたします。
Q
修繕工事の前に現地調査が必要なのはなぜですか。どういうことを行うのですか?
A
築年数、周囲の環境や場所によって劣化の度合いは異なりますので、各部の劣化状況を把握し、適切な修繕方法を見極めるためには現地調査が欠かせません。外壁タイルの浮きやコンクリートの中性化、鉄部の錆など、部位ごとに幅広くチェックします。
Q
大規模修繕工事の費用相場は一般的にいくらですか?
A
大規模修繕工事の費用について一般的な相場としては、1戸あたり約100万円前後が目安です。マンション全体の規模が大きい場合には、修繕費用が1億円を超えることもあります。また、マンションの劣化が激しい場合や、質の高い塗装を希望する場合には、さらに費用が高くなることがあります。
マンション大規模修繕の周期は劣化状況に合わせて決めよう
大規模修繕は12年周期に実施するケースが多いものの、あくまで目安です。
マンションの大規模修繕は、資産価値を維持し、居住者の安全・安心を確保するために、定期的に実施する必要があります。
耐久性の高い素材を選び、技術力の高い業者を選べば、大規模修繕周期を延ばすことは可能です。
大規模修繕の回数を減らすことができれば、居住者のストレス軽減や長期的なコスト削減といったメリットも期待できます。
まずは、マンションの状況を把握し、綿密な修繕計画を立てることが大切です。
まずはマンションの状態をチェックし、適切な大規模修繕の周期を考えていきましょう。