アパート経営で成功を収めるには、賃貸物件の入居率を高め、資産価値を維持することが不可欠です。この両方を実現する上で重要な役割を果たすのが、大規模修繕です。賃貸マンションやアパートの大規模修繕は建物の寿命を延ばし、入居者の満足度を向上させる重要な投資といえます。
しかしアパート経営時の大規模修繕費用はアパートオーナーにとって大きな経営課題であり、適切な実施時期や周期・費用の目安に悩んでいるのが現状です。大規模修繕の相場や修繕費の目安は物件によって異なりますが、適切な時期に計画的に実施することで、長期的には経営を安定させることができます。
この記事ではアパート経営に重要な大規模修繕について詳しく解説していますので、賃貸経営のオーナーはぜひ参考にしてみてください。
目次
大規模だけじゃない!アパート修繕の種類
アパート修繕の種類は、大きく分けて以下の3つに分けられます。
- 大規模修繕
- 小規模修繕
- 原状回復
アパート経営においては、これらの修繕を適切に行うことが重要です。
アパート修繕の種類|建物全体を行う大規模修繕
大規模修繕とは、建物の構造や設備など、建物全体にわたる修繕のことを指します。
屋根や外壁の塗装、給排水管の交換、エレベーターや駐車場の改修など、建物の老朽化を防ぐための修繕です。
大規模修繕の費用は、建物の築年数や構造、規模などによって異なりますが、一般的に、木造アパートの費用相場は、1戸あたり数十万円から数百万円程度の費用がかかるとされています。
アパート修繕の種類|大規模修繕と違い一部を行う小規模修繕
小規模修繕とは、建物の一部にわたる修繕のことを指します。
壁や天井のクロスの張り替え、給排水管の修理、設備の交換など、建物の劣化や故障を補修するための修繕です。
小規模修繕の費用は、修繕箇所や程度によって異なりますが、一般的に、数万円から数十万円程度の費用がかかるとされています。
アパート修繕の種類|大規模修繕と違い入居スペースを行う原状回復
原状回復とは、入居者が退去した際に、入居前の状態に戻すための修繕のことを指します。
壁や天井のクロスの張り替え、畳やカーペット・フローリングの張り替え、ふすまや障子の張り替え、クリーニングなど、入居者が使用したことによって傷んだ箇所を修繕するものです。
原状回復の費用は、入居者が使用した箇所や程度によって異なりますが、一般的に、数万円から数十万円程度の費用がかかるとされています。
アパートの大規模修繕に適した時期とは?
大規模修繕に適した時期は、建物の築年数や構造、規模などによって異なりますが、一般的に木造アパートの場合は、築10年から15年ごろをめどに行うことが推奨されています。
これは、木造アパートが鉄筋コンクリート造のアパートに比べて劣化が早いためです。
また、10年から15年頃は、建物の構造や設備に大きな負荷がかかる時期でもあります。
そのため、この時期に大規模修繕を行うことで、建物の老朽化を防ぎ、安全性を維持することが可能です。
もちろん、建物の劣化状況によって、大規模修繕の時期を早めたり、遅らせたりすることもあります。
定期的に建物の点検を行い、必要に応じて大規模修繕を実施するようにしましょう。
大規模修繕を行うタイミングをアパートの部位ごとに紹介
アパートの部位について、一般的に大規模修繕を行う目安は以下の通りです。
住宅部位 | 修繕時期の目安 |
屋根 | 塗装・補修→11年〜15年目 防水・葺替→21年〜25年目 |
外壁 | 塗装→11年〜18年目 タイル張り補修→12年〜18年目 |
階段・廊下 | 鉄部塗装→4年〜10年目 塗装・防水→11年〜18年目 |
給排水管 | 高圧洗浄→5年目 取り替え→30年目 |
給湯器・エアコン | 交換→11年〜15年目 |
アパートの建て方や使用している資材、立地条件によって目安となる年数は変動します。
アパート大規模修繕を適切な時期に行わないリスク
大規模修繕を適切な時期に行わないと、以下のリスクが発生する可能性があります。
アパート大規模修繕を適切な時期に行わないリスク|建物の老朽化
大規模修繕は、建物の老朽化を防ぐためのものです。
大規模修繕を適切な時期に行わないと、建物の構造や設備が老朽化し、安全性が低下する可能性があります。
アパート大規模修繕を適切な時期に行わないリスク|資産価値の下落
建物の老朽化は、資産価値の下落につながります。
大規模修繕を適切な時期に行わないと、建物の資産価値が下落し、売却や賃貸時の価格が下がってしまいます。
アパート大規模修繕を適切な時期に行わないリスク|入居率の低下
建物の老朽化は、入居率の低下につながります。
建物が古いと、入居者が敬遠する可能性が高くなります。
アパート大規模修繕を適切な時期に行わないリスク|事故の発生
建物の老朽化は、事故の発生につながる可能性があります。
屋根や外壁の劣化による雨漏り、給排水管の漏水による浸水、設備の故障による火災など、さまざまな事故が発生する可能性があります。
大規模修繕は、建物の価値を維持し、入居率を向上させるために欠かせないものです。
適切な時期に実施することで、これらのリスクを回避することができます。
アパート大規模修繕を適切な時期に行わないリスク|健康被害
雨漏りは建物内に水分を与え、カビやダニを発生させる原因となります。
カビやダニは、アレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす可能性があります。
具体的には、カビの胞子は空気中に舞い上がり、呼吸器や皮膚から体内に入り込み、ぜん息やアレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎などの症状を引き起こす可能性が高いです。
また、ダニの死骸やフンもアレルギーの原因となり、ぜん息やかゆみを引き起こす可能性があります。
そのため、雨漏りや漏水などのトラブルが発生している場合は、早急に修繕を行うことが大切です。
また、雨漏りの予防のために、屋上の防水工事や外壁の塗装工事などの大規模修繕を適切な時期に行うことも重要です。
アパート大規模修繕を適切な時期に行わないリスク|シロアリの発生
シロアリの発生も重大な問題です。
シロアリは木材を食べる害虫で、木材が腐食すると建物の強度が低下し、倒壊などの重大な事故が発生する可能性があります。
シロアリは湿度の高い環境を好むため、雨漏りが発生している建物は、シロアリが発生しやすい環境にあります。
大規模修繕では、屋上の防水工事や外壁の塗装工事などを行い、建物の劣化を防ぐことが大切です。
資産価値を下げるだけでなく、最悪の場合、地震など外部から強い力が加わったとき住宅の倒壊にもつながります。
大規模修繕は、建物の安全性や資産価値を維持するために重要な工事です。
シロアリの発生を防ぐためにも、適切な時期に行うようにしましょう。
アパート大規模修繕を行う箇所と費用目安
大規模修繕を行う箇所と費用の目安は以下の通りです。
総戸数10戸の木造アパートの費用目安となります。
修繕箇所 | 費用目安 |
屋根 | 塗装・補修:約40,000〜50,000円/戸 防水・葺き替え:約30万〜32万円/戸 |
外壁 | 塗装:約10万〜12万円/戸 |
階段・廊下 | 鉄部塗装:約20,000〜35,000円/戸 塗装・防水:約45,000〜55,000円/戸 |
給排水管 | 高圧洗浄:約5,000〜6,000円/戸 取り替え:約13万〜15万円/戸 |
給湯器・エアコン | 修理:約5,000〜10,000円/基 交換:約10万〜11万円/基 |
表の費用目安は1戸あたりの金額です。
アパート一棟あたりの費用目安は総戸数の分がかかります。
アパート大規模修繕費用を抑える方法
大規模修繕費用を抑えるための方法は、以下の通りです。
また、大規模修繕費用を抑えるためには、定期的な建物の点検と劣化状況の把握が重要です。
劣化を早期に発見し、適切な修繕を行うことで、費用を抑えることができます。
アパート大規模修繕費用を抑える方法|長期修繕計画を立て、修繕積立金を積み立てる
大規模修繕は、数百万円から数千万円の費用がかかります。
無理のない資金計画を立てるために、長期修繕計画を立て、修繕積立金を積み立てるようにしましょう。
アパート大規模修繕費用を抑える方法|複数の業者から見積もりを取る
同じ工事内容でも、業者によって費用が大きく異なります。
複数の業者から見積もりを取り、費用を比較するようにしましょう。
アパート大規模修繕費用を抑える方法|簡素化や省略する工事内容を検討する
必要のない工事内容を簡素化や省略することで、費用を抑えることができます。
アパート大規模修繕費用を抑える方法|耐久性の高い材料や設備を選ぶ
耐久性の高い材料や設備を選ぶことで、修繕の頻度を減らし、費用を抑えることができます。
アパート大規模修繕費用を抑える方法|国や自治体の補助金や助成金を利用する
国や自治体によっては、大規模修繕に対して補助金や助成金を出している場合があります。
補助金や助成金を活用することで、費用を抑えることが可能です。
アパート大規模修繕を業者に依頼するポイント
大規模修繕を業者に依頼する際のポイントは、以下の通りです。
アパート大規模修繕を業者に依頼するポイント|業者の信頼性を確認する
大規模修繕は、専門的な知識や技術が必要です。
業者の信頼性を確認するために、以下の点に注意しましょう。
- 許可や資格を取得しているか
- 過去の実績や評判
- 保証やアフターフォローの内容
アパート大規模修繕を業者に依頼するポイント|見積書や契約書の内容をよく確認する
見積書や契約書には、工事内容や費用、工期、保証内容などが記載されています。
記載されている内容をよく確認し、不明な点は質問するようにしましょう。
アパート大規模修繕を業者に依頼するポイント|業者とのコミュニケーションの取りやすさ
大規模修繕は、工事期間が長くなるため、業者とのコミュニケーションが重要です。
業者とのコミュニケーションの取りやすさも考慮するようにしましょう。
アパート大規模修繕を業者に依頼するポイント|アフターフォローの充実度
大規模修繕後のアフターフォローが充実しているかどうかも重要です。
アフターフォローの充実度も考慮するようにしましょう。
アパート大規模修繕のまとめ
ここまで木造アパートの大規模修繕について解説してきました。
アパートの老朽化を防ぐために、大規模修繕を行うことは必要です。
大規模修繕は、建物の築年数や構造、規模などによって異なりますが、一般的に木造アパートの場合は、築10年から15年ごろをめどに行うことが推奨されています。
大規模修繕費用は、数百万円から数千万円と高額になるため、アパートオーナーにとっては大きな負担となります。
しかし、大規模修繕を適切な時期に実施することで、以下のリスクを回避することが可能です。
- 建物の老朽化
- 資産価値の下落
- 入居率の低下
- 事故の発生
大規模修繕費用を抑えるための方法としては、以下のようなものがあります。
- 長期修繕計画を立て、修繕積立金を積み立てる
- 複数の業者から見積もりを取る
- 簡素化や省略する工事内容を検討する
- 耐久性の高い材料や設備を選ぶ
- 国や自治体の補助金や助成金を利用する
大規模修繕を業者に依頼する際のポイントとしては、以下のようなものがあります。
- 業者の信頼性を確認する
- 見積書や契約書の内容をよく確認する
- 業者とのコミュニケーションの取りやすさ
- アフターフォローの充実度
アパート経営で成功するためには、大規模修繕を適切な時期に実施し、費用を抑えながら、信頼できる業者に依頼することが重要です。
適切な時期に信頼できる業者に依頼して大規模修繕を行い、アパートの資産価値を維持しましょう。