アスファルト防水工事とは?工法・工程や種類ごとのメリットデメリットも解説

2023/10/16

屋上・屋根をコンクリートの防水層にしたい人

屋上・屋根をコンクリートの防水層にしたい人

アスファルト防水とは?
アスファルト防水は屋上を防水舗装する工事?
アスファルト防水の防水層の特徴は?
アスファルト防水で屋根をコーティングするデメリットは?
アスファルト防水ではルーフィングシートは使う?
アスファルト防水の工程は?3層構造?
アスファルト防水の熱工法のデメリットは?
コンクリート屋根の防水層に改修工事は必要?補修工事は?
コンクリートの防水層を工事する金額は?

アスファルト防水工事とは、建物の屋上や屋根の防水性能を高める重要な施工方法です。改質アスファルトやアスファルトシートなどを使用し、強固な防水層を形成する特徴があります。

そこで本記事では、アスファルト防水の基礎知識から、熱工法・冷工法・トーチ工法といった主要な工法の詳細などを幅広く解説します。各工法の施工手順や工程、そしてメリット・デメリットを比較することで、建物のニーズに合った最適な防水方法を選択できるようになります。

また、アスファルト防水シートの種類や特徴、防水アスファルトの性質についても触れることで、アスファルト防水工事に関する理解を深められる内容を掲載しています。

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アスファルト防水とは?

アスファルト防水とは、溶かした液体状のアスファルトを浸透させた「アスファルトルーフィング」と呼ばれるシートを使用する防水工法です。

防水工事は外壁やベランダ・バルコニーなどさまざまな場所に対して施工されますが、アスファルト防水は主に屋上防水として使用されます。

日本で最も古くから施工されている防水工法であるアスファルト防水は、その分実績も豊富で信頼度の高い防水工法だといえるでしょう。

アスファルト防水のメリット

アスファルト防水のメリットには、以下のようなものがあります。

  • 歴史が古く実績が豊富で、信頼度が高い
  • 耐久性に優れている
  • 防水性能が高い
  • 安定した防水層が形成できる

アスファルト防水は古くから施工されている防水工法なので、施工実績やデータが豊富です。

防水効果のデータが多く蓄積されているため信頼度が高く、安心して採用できる工法だといえるでしょう。

アスファルト防水は、塗膜防水やシート防水といったその他の防水工法に比べて、耐久性に優れています。

耐用年数は20年ほどで、一般的な防水層に比べて約2倍も長持ちする防水層を形成することができます。

とくにアスファルト防水がよく施工される屋上は、紫外線や雨水の影響を強く受ける場所です。

このような影響を受けても長く防水性能を発揮できることは、アスファルト防水の大きなメリットです。

また、アスファルト防水は水密性が高く、高い防水性能を持っています。

耐久性の高さと相まって、屋上という雨水や紫外線の影響が大きい厳しい環境であっても、長期にわたって防水性能が維持できるでしょう。

アスファルト防水で使用するシート状のアスファルトルーフィングは、工場で生産されているため品質が安定しています。

例えば塗膜防水では職人の手で塗料を均等な厚さに塗布する必要がありますが、アスファルトルーフィングシートは工場から一定の厚さで作られたシートが届くため、均等な厚さの防水層が形成できます。

アスファルト防水のデメリット

メリットの多いアスファルト防水ですが、一方で以下のようなデメリットもあります。

  • 工法によって強い臭いが出る場合や火災発生のリスクがある
  • 工法によっては職人の高い技術力が必要
  • 建物によっては施工できない

それぞれの特徴については次の見出しで詳しく紹介しますが、アスファルト防水の中にもいくつかの種類があります。

その中でも熱を使ってアスファルトを溶かす「トーチ工法」や「熱工法」を採用する場合、強い臭いが発生する場合や周りのものに火が移って火災が発生するリスクがあります。

アスファルトが発する強い臭いは近隣住民にも迷惑がかかる場合もあるため、事前の説明や周辺環境への配慮が必要となるでしょう。

同じく熱工法やトーチ工法では、アスファルトの温度管理や均一な接着など、高い技術力が必要となります。

作業難易度が高いため、経験豊富な業者や職人に依頼することがおすすめです。

アスファルト防水はアスファルトを使用するため、防水層に重さがあります。

ルーフィングシート単体でも重さがあり、その上にさらにアスファルトを重ねるため、施工後はかなり建物に負担がかかる防水工事です。

そのため、耐荷重が十分ではない建物や土台が弱い木造住宅などには、施工できない場合があります。

また、ルーフィングシートが重ねにくい複雑な形状の場所に対しても、施工できないことが多いです。

複雑な形状の場所には、凹凸が多い場所や室外機などの設置物が多い場所などが該当します。

アスファルト防水の種類や施工手順と注意点

先ほど少し触れましたが、アスファルト防水の中でもいくつかの種類があり、異なる工程や特徴を持っています。

ここでは、アスファルト防水の3つの工法について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく紹介していきます。

最適な工法を見つけるためにも、ぜひ確認してくださいね。

アスファルト防水の種類1.常温工法(冷工法)

アスファルト防水の常温工法は、3種類の工法の中で唯一熱を使わないことが特徴です。

熱を使わないため安全に施工でき、他の工法に比べて強い臭いも発生しないため、近年最も主流となっている工法です。

常温工法のメリット
  • 熱を使わないので、火災リスクがなく安全
  • 強い臭いが発生しない
  • 狭い場所や周囲に配慮が必要な密集した地域でも施工可能

常温工法最大の特徴は熱を使わないことで、安全性が高いために人気が集まっている工法です。

熱を加えることで発生するアスファルト特有の臭いも発生しないので、他の工法では施工できない狭い場所や密集した地域でも施工することができます。

常温工法のデメリット
  • 熱を使用する工法に比べて、密着度が劣る
  • シートを何枚も重ねるので重量がある

常温工法では熱を使用しないことが大きなメリットなのですが、一方で熱を使用しない分他の工法に比べて密着度が劣ります。

防水層の密着度が劣ることで、防水効果も少し低くなってしまうことが考えられます。

また、常温工法で十分な防水効果を発揮するためには、ルーフィングシートを何枚も重ねなければいけません。

ルーフィングシートは単体で重さのある材料なので、重ねることでかなりの重量になるでしょう。

屋上の耐久性や建物の耐荷重をしっかりと確認してから施工することが重要です。

常温工法の流れや手順

  1. STEP

    下地処理

    下地処理では、施工する部分の下地の汚れを落とし清掃します。

    下地処理は完成度にも影響する重要な工程です。

  2. STEP

    ドレンの設置

    ドレンとは、雨水を排出するための排水溝のことです。

    防水層を形成する前のこの段階で、ドレンの設置を行います。

  3. STEP

    プライマーの塗布

    プライマーとは接着剤のことで、下地とシートを接着するために専用のプライマーを塗布します。

  4. STEP

    パラペットにルーフィングシートを貼り付ける

    パラペットとは、屋上などの外周部に設置された、外壁と屋根の境界にある立ち上がった壁のことです。

    まずはそのパラペットの立ち上がり部分に、続いて屋上の全体部分の下地にルーフィングシートを貼り付けていきます。

  5. STEP

    ルーフィングシートを下地に貼り付ける

    片面が自着層と呼ばれる粘着面になっているルーフィングシートを、複数枚交互に張り合わせていくことで防水層を形成します。

  6. STEP

    ルーフィングシートの継ぎ目をシール材で充填する

    シートの継ぎ目部分は雨水が侵入しやすかったり劣化しやすかったりと弱点になってしまうため、継ぎ目にシール材を充填して補強することが大切です。

  7. STEP

    トップコートの塗布

    最後に、防水層を紫外線や雨風などの刺激から保護する役割のあるトップコートを塗布して完了です。

    アスファルト防水の常温工法は、5〜7日ほどかけて以上のような工程で施工されます。

アスファルト防水の常温工法は、5〜7日ほどかけて以上のような工程で施工されます。

アスファルト防水の種類2.トーチ工法

アスファルト防水のトーチ工法は、トーチバーナーと呼ばれる機械を使用して施工する工法です。

トーチバーナーの熱でルーフィングシートのアスファルトを炙り溶かしながら、下地とシートを貼り重ねていくことが特徴です。

トーチ工法のメリット
  • シートを隙間なく接着でき、常温工法に比べて高い防水性を発揮する
  • 熱工法よりも煙と臭いの発生を抑えられる
  • 大型機械や装置の用意や設置をしなくてもいい

トーチ工法では、トーチバーナーの熱を使って隙間なく下地とルーフィングシートを接着することができるため、高い防水性をはっきします。

また、トーチ工法も熱を使う工法ではありますが、熱工法に比べると煙や臭いの発生を抑えられることも、大きなメリットのひとつです。

そしてトーチ工法で使用するのはごく一般的なバーナーであるトーチバーナーで、そのほかに大きな機械や装置を用意・設置する必要がありません。

トーチ工法のデメリット
  • 燃えやすいものがある場所や狭い場所では施工できない
  • 工事の施工難易度が高く、高い技術力を必要とする

トーチ工法では、トーチバーナーを使用して炙りながら工事を行うため、火災のリスクを減らすためにも近くに燃えやすいものがある場合や狭い場所では施工することができません。

また、トーチ工法は非常に施工難易度の高い工事で、職人の高い技術を必要とします。

局所的にバーナーを当てながらアスファルトを溶かしていくため、均一に溶かすための繊細な作業が求められます。

トーチ工法の流れや手順

  1. STEP

    下地処理

    施工面の汚れや凹凸を取り除き、ルーフィングシートの密着性を高めるための準備を行います。

  2. STEP

    ドレンの設置

    排水のためのドレンを適切に設置し、雨水の排出を確保します。

  3. STEP

    プライマーの塗布

    下地にプライマーを均一に塗布し、ルーフィングシートの接着性を向上させます。

  4. STEP

    パラペットにルーフィングシートを貼り付ける

    建物のパラペット部分にルーフィングシートをしっかりと貼り付け、防水性を強化します。

  5. STEP

    トーチバーナーを使用して下地にルーフィングシートを貼り付ける

    トーチ工法では、トーチバーナーを使用してルーフィングシート裏面と下地を炙り、アスファルトを溶かしながら貼り付けていきます。

    難しい作業で、接着不良が起こりやすい工程です。

    均一にルーフィングシートを炙りながら張り合わせていく、繊細な作業と高い技術力が求められます。

  6. STEP

    トップコートの塗布

    最後にトップコートを塗布し、仕上げとしてさらに防水性能を高め、耐久性を持たせます。

アスファルト防水のトーチ工法は、8〜12日ほどかけて以上のような工程で施工されます。

アスファルト防水の種類3.熱工法

アスファルト防水の熱工法は、熱を加えて溶かしたアスファルトとルーフィングシートを使用する工法です。

溶かしたアスファルトとルーフィングシートを重ねて防水層を形成することが特徴です。

このアスファルト防水の熱工法は日本で100年以上の歴史があり、たくさんの施工実績がある信頼度の高い工事だといえます。

熱工法のメリット
  • 施工実績やノウハウが豊富で信頼できる
  • 水密性や耐久性に優れている
  • トーチ工法よりも技術的には難しくない

熱工法は、アスファルト防水の中でも最も古くから採用されてきた工法で、実績やノウハウが豊富です。

100年以上も親しまれてきた防水工事で、信頼して施工することができるでしょう。

熱で溶かしたアスファルトを接着剤としても使用する工法で、水密性や耐久性に優れていることは大きなメリットだといえます。

水密性と耐久性に優れていることにより、長期にわたって高い防水性能を発揮してくれます。

トーチ工法は、局所的にバーナーで炙りながらアスファルトを溶かしていくため、均一な作業が難しいと紹介しました。

一方で熱工法は、溶融釜のなかで溶かしたアスファルトを全面に流し込みます。

不足している部分がすぐにわかるため、トーチ工法に比べると技術的には難しくなく、施工に慣れている職人も多いことから安心して任せることができるでしょう。

熱工法のデメリット
  • 煙やアスファルト独特の臭いが発生する
  • 火災のリスクがある
  • 溶融釜を設置する場所を確保する必要がある

熱工法では、溶融釜の中でアスファルトを溶かします。

220〜270度の熱でアスファルトを溶かすため、どうしても煙や独特の臭いが発生してしまいます。

また、熱を使用することで火災のリスクが避けられないことも、デメリットのひとつです。

火災のリスクがあることや周辺環境への配慮が必要となることから、最近では熱工法が採用されることが減ってきています。

工事にあたっては、大きな溶融釜の設置場所を確保する必要もあります。

熱工法の流れや手順

  1. STEP

    下地処理

    施工面を清掃し、平滑に整えて、次の工程の準備を行います。

  2. STEP

    ドレンの設置

    排水口となるドレンを適切に配置し、雨水の排出を確保します。

  3. STEP

    プライマーの塗布

    下地にプライマーを塗布して、アスファルトと下地の接着性を高めます。

  4. STEP

    パラペットにルーフィングシートを貼り付ける

    建物のパラペット部分にルーフィングシートをしっかりと固定し、防水性能を強化します。

  5. STEP

    ルーフィングシートに溶かしたアスファルトを流しながら、下地全体に貼り付ける

    熱工法では、溶融釜の中であらかじめアスファルトを溶かしておきます。

    ルーフィングシートの上に溶かしたアスファルトを流して貼り付け、溶かしたアスファルトは接着剤としても使用されることが特徴です。

  6. STEP

    溶かしたアスファルトをルーフィングシートに塗る

    さらに溶かしたアスファルトの上にはルーフィングシートを貼り付け、何度か積み重ねて防水層を形成するのが熱工法の基本です。

    溶かしたアスファルトをルーフィングシートに塗る作業は、アスファルト塗りとも呼ばれます。

アスファルト防水の熱工法は、8〜12日ほどかけて以上のような工程で施工されます。

アスファルト防水の施工時の注意点

  • 下地の状態を確認する
    • 下地に水分が多いと、施工後に膨れや剥がれが発生する可能性があるため、事前の調査が重要。
  • 温度管理を徹底する
    • アスファルトは高温で加熱する必要があり、適切な温度管理がされていないと防水効果が低下する。
  • 換気と作業員の安全確保
    • 高温での作業となるため、熱中症対策や火傷防止のための防護服や手袋の着用が必須。
    • 揮発性の高いアスファルト成分を吸い込まないよう、適切な換気を確保する。
  • ジョイント部分の密着を徹底
    • シートの重ね代が不足していると、そこから水が侵入しやすくなるため、しっかりと密着させる。

アスファルト防水の耐用年数

アスファルト防水に限らず防水層は経年劣化によって防水機能が低下していってしまいます。

防水工事の種類によって耐久性が異なるため、それぞれ耐用年数が決まっています。

アスファルト防水の耐用年数は、10〜20年程度が目安です。

アスファルト防水は耐久性に優れているため、他の防水工事に比べて耐用年数が長めです。

耐用年数が経過すると、防水層にひび割れなどの劣化症状が現れ、防水機能が低下して雨漏りが発生するリスクが高まります。

アスファルト防水を施工したら、耐用年数を目安にした次の工事時期を確認しておき、定期的に防水工事を行うようにしましょう。

アスファルト防水を用いる場所

アスファルト防水は、主に屋上防水に用いられる工法です。

屋上は一般住宅からビルまでさまざまな建物で見かけますが、アスファルト防水はその中でもマンション・アパート・ビルなどの大きな建物の屋上で採用されることが多いです。

マンションやビルの屋上を管理している方の中には、屋上緑化に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。

アスファルト防水は、仕上げ方法の変更により屋上緑化にも対応することができます。

耐久性に優れた防水層の上から植物の設置ができるため、屋上緑化を検討している場合にもアスファルト防水はおすすめです。

重量のあるアスファルト防水にも耐えられるマンション・アパート・ビルなどの防水工事として、アスファルト防水はよく用いられます。

アスファルト防水の価格相場とは?費用を抑えるポイントと注意点

アスファルト防水は、耐久性や防水性能が高いことから、屋上やバルコニーなどの防水工事で広く採用されています。ただし、その施工には一定のコストがかかるため、価格相場や費用を抑える方法を知っておくことが重要です。この記事では、アスファルト防水の価格相場や、施工時に注意すべきポイントについて解説します。

アスファルト防水の価格相場

アスファルト防水の施工費用は、施工面積や工法、建物の条件などによって異なりますが、一般的な価格帯は以下の通りです。

  • アスファルト防水(トーチ工法)
    1㎡あたり 5,000~7,500円
    比較的施工が簡単で、短時間で作業が可能なため、コストパフォーマンスに優れています。
  • アスファルト防水(熱工法)
    1㎡あたり 6,000~10,000円
    熱工法は耐久性が高い一方で、施工に手間がかかるため、やや高額になる傾向があります。
  • 塗膜アスファルト防水
    1㎡あたり 4,000~6,500円
    アスファルトを液状にして塗布する方法で、小規模な工事に向いています。

施工面積による費用の例:

  • 50㎡:30万円~50万円程度
  • 100㎡:50万円~100万円程度

費用を抑えるためのポイント

アスファルト防水の施工費用を抑えるには、いくつかの工夫やポイントがあります。

  1. 複数の業者から見積もりを取る
    • 業者ごとに価格や施工方法が異なるため、複数の見積もりを比較することで、コストを抑えつつ信頼できる業者を選ぶことが可能です。
  2. 防水工事の適切なタイミングを選ぶ
    • 劣化が進みすぎる前に施工を行うことで、余計な補修費用を抑えられます。特に、ひび割れや雨漏りが発生する前の施工が理想的です。
  3. 工法を適切に選択する
    • アスファルト防水にはトーチ工法や熱工法など複数の方法があるため、建物の用途や条件に合った工法を選ぶことで、コストと性能のバランスを取れます。
  4. まとめて修繕を行う
    • 防水工事だけでなく、外壁や屋根の修繕を同時に行うことで、足場代などのコストを削減できます。
  5. 長期的な視点で考える
    • 初期費用を抑えるために安価な工法を選ぶよりも、耐久性の高い工法を選択することで、長期的には修繕回数を減らし、トータルコストを抑えられる場合があります。

アスファルト防水を行う際の注意点

アスファルト防水の施工では、以下の点に注意することで、トラブルを防ぎ、満足度の高い仕上がりを実現できます。

  1. 信頼できる業者を選ぶ
    • 適切な資格を持つ業者や実績のある会社を選びましょう。不適切な施工は、劣化を早める原因となります。
  2. 施工範囲や詳細を明確にする
    • 見積もり段階で、施工範囲や使用する材料、工法を具体的に確認し、不明点を解消しておくことが大切です。
  3. 定期的なメンテナンスを計画する
    • 防水工事は完成後のメンテナンスも重要です。5~10年ごとに点検を行い、劣化箇所を早めに補修することで、大規模な修繕を防ぐことができます。
  4. 保証期間を確認する
    • 防水工事には保証がつく場合があります。契約前に保証内容を確認し、施工後のアフターケアについても相談しておきましょう。

アスファルト防水の価格相場は、工法や施工面積によって異なりますが、費用を抑えるためには、業者選びや施工タイミングが重要です。また、初期費用だけでなく、耐久性やメンテナンス性を考慮した計画を立てることで、長期的なコスト削減が可能になります。

アスファルト防水の部分補修

アスファルト防水では、劣化した一部分のみを補修する「部分補修」を行うことができます。

部分補修が可能な劣化症状には、以下のようなものがあります。

  • 押さえコンクリートのひび割れ
  • 押さえコンクリートの剥離
  • 伸縮目地の劣化
  • ルーフィングシートの膨れ
  • ルーフィングシートの継ぎ目の剥がれ

アスファルト防水の押さえコンクリートをはじめ、上記のような劣化症状は部分補修が可能ですが、その他の部分に劣化がなく正常に機能していることが前提です。

全体的に劣化が進んでいる場合は、部分補修では対応できず防水工事が必要となります。

また、劣化症状が一部分であっても、すでに雨漏りが発生している場合は部分補修では対応できません。

部分補修では全体に防水工事を施すよりも費用を抑えられることがメリットですが、何度も部分補修を繰り返すと防水層がつぎはぎ状になってしまうため、防水機能が低下してしまうでしょう。

そのため、部分補修がした箇所が増えてきた場合や耐用年数が近づいている場合などは、部分補修ではなく全体の防水改修工事を検討してくださいね。

アスファルト防水のメンテナンス方法と劣化症状

アスファルト防水は耐久性に優れるものの、経年劣化によって防水性能が低下するため、定期的なメンテナンスが必要です。適切な管理を行うことで、防水層の寿命を延ばし、大規模な修繕を未然に防ぐことが可能です。

詳しく見行きましょう。

メンテナンス方法

  1. 定期点検(年1〜2回)
    • 防水層の表面にひび割れや剥がれがないか確認する。
    • ジョイント部分や端部の浮き上がりがないかチェックする。
    • 雨水が溜まりやすい箇所がないか確認し、排水口の詰まりを解消する。
  2. 補修作業(軽微な劣化の場合)
    • 小さなひび割れは、防水補修材や専用シーリング材で補修する。
    • 防水層の剥がれが見られる場合は、その部分を削り取り、新たにアスファルト防水材を施工する。
  3. トップコートの再塗装(5〜7年ごと)
    • トップコートが劣化すると防水層が直接紫外線にさらされるため、定期的に再塗装を行う。
    • 適切なトップコートを選定し、防水層を保護する。
  4. 全面改修(耐用年数を超えた場合)
    • アスファルト防水の耐用年数(約15〜20年)を超えた場合、全面的な改修が必要。
    • 既存の防水層を撤去し、新しい防水層を施工する。

劣化症状と対策

劣化症状特徴対策
ひび割れ表面に小さなひびが入る防水補修材やシーリング材で補修
膨れ防水層が部分的に浮き上がる空気や水分の影響を確認し、再施工
剥がれ防水シートやアスファルト層が剥がれる劣化部分を削り取り、新たに防水処理
色褪せ・トップコートの摩耗紫外線や風雨の影響で表面が劣化トップコートを再塗装し、保護機能を強化
排水不良排水口やドレンにゴミが詰まり、水たまりができる定期的に清掃し、水の流れを確保

早期発見が重要

  • 防水層の劣化を放置すると、建物の内部に水が浸入し、構造体の腐食やカビの発生を引き起こす可能性があります。
  • 定期的な点検を行い、小さな劣化を早めに補修することで、長期間にわたって防水効果を維持できます。

アスファルト防水は高い防水性能を誇る一方で、適切な施工と維持管理が不可欠です。施工時には下地処理やジョイントの密着に注意し、定期的な点検と補修を行うことで耐用年数を延ばすことができます。
特に、劣化の初期症状を見逃さず、適切なメンテナンスを施すことが、建物全体の長寿命化につながります。

アスファルト防水に関するアスベストの問題

「防水工事にもアスベストが使用されているの?」と、防水工事とアスベストの関係について疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

アスベストは発がん性が問題となった人体に有害な物質で、かつては建築材料をはじめとするさまざまな用途で使用されていたため、その健康被害が問題となりました。

日本では昭和50年(1975年)に吹き付けアスベストの使用が禁止され、平成18年(2006年)にはアスベストを0.1%以上含む製品の出荷が禁止されています。

そのため、現在施工されている防水工事には、アスベストは使用されていません。

ただし、アスベストに対する規制が強化された平成18年より前の工事では、防水工事においてもアスベストが含まれている可能性があります。

防水工事会社の中には、過去の施工におけるアスベスト使用歴について情報公開している場合もあるので、気になる方は確認してみてください。

アスファルト防水においても、過去の工事ではルーフィングシートや接着剤などにアスベストが使用されていたケースもありますが、現在ではアスベストが使用されることはありません。

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アスファルト防水のまとめ

アスファルト防水は、日本で古くから使用されている信頼度の高い防水工事です。

  • アスファルト防水は、主に屋上に施工される
  • 耐久性と水密性に優れているため、長期にわたって高い防水性能を発揮する
  • 工法によっては熱を使用するため、火災のリスクがある
  • アスファルト防水では屋上緑化も可能
  • 現在のアスファルト防水工事にはアスベストは使用されていない

今回は、屋上に施工する防水工事として人気のアスファルト防水について、工事内容や費用、メリット・デメリットなどを徹底解説しました。

今回の記事が、アスファルト防水を検討している方やアスファルト防水について知りたい方の参考となれば幸いです。

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