マンションの大規模修繕はどこに頼むべき? 施工会社の種類や優良業者の見分け方も解説
2025/07/24
マンションの大規模修繕は、住民の安全性や建物の資産価値を維持するために欠かせない工事です。
しかし、修繕に関する知識が十分でない管理組合やオーナーにとって「どこに頼むべきか」は大きな悩みの種となります。
施工業者の選定を誤れば、施工不良やトラブルに発展するリスクもあるため、慎重な判断が必要です。
この記事では、マンションの大規模修繕を依頼できる代表的な業者の種類や、それぞれのメリット・注意点について詳しく解説します。
さらに、失敗しないための選定ポイントや手順も紹介し、読者が自信を持って業者選びができるようサポートします。
大規模修繕を成功に導くための第一歩として、ぜひ参考としてお役立てください。
大規模修繕・防水工事・外壁塗装のご依頼・メール・お電話でお受け致しております
目次
マンションの大規模修繕はどこに頼むべきか?
大規模修繕を実施する際、管理会社に任せきりにするのではなく、複数の依頼先の特徴を理解したうえで最適な選択をすることが重要です。
ここでは、主な依頼先の種類とその特徴について紹介します。
マンション管理会社
管理会社は日常のマンション管理を行っているため、建物の状況や過去の修繕履歴を把握しており、スムーズに業者紹介や手配をしてくれる点が魅力です。
ただし、紹介される施工業者が管理会社のグループ会社である場合、中間マージンが発生するケースや、競争性が働きにくくなるリスクもあります。
費用や品質の面で最適な選択となるかどうか、第三者目線での検証が欠かせません。
設計監理方式の設計事務所
設計監理方式を採用している設計事務所は、第三者の立場から施工内容や費用の妥当性をチェックする役割を果たします。
施工業者とは独立しているため、公平性の高い提案や監理が可能です。
設計図の作成から工事監理までを一括して依頼でき、住民との説明会や報告体制も充実しています。
品質を重視し、透明性の高い工事を求める場合には非常に有効な選択肢です。
ゼネコン・大手建設会社
大手のゼネコンや建設会社は、豊富な実績と高い技術力を持っており、設計から施工・アフターフォローまで一貫して対応できるのが特長です。
品質や安全面では信頼感があるものの、施工費が高くなる傾向があります。
また、案件の規模によっては優先順位が下がる可能性もあり、中小規模マンションでは対応力に差が出ることもあります。
専門の修繕工事会社(防水・外壁等)
特定分野に特化した修繕工事会社は、防水や外壁・給排水管などの分野で高品質な施工を提供することに長けています。
専門性の高さは魅力ですが、設計監理がない場合は発注者側が適切な知識と判断力を持つ必要があります。
相見積もりや第三者監理者の導入とセットで依頼することで、質の高い施工をより確実に実現できます。
マンション大規模修繕の依頼先を選ぶポイント
業者の種類を理解したうえで、どのような基準で選定すればよいかを整理しておくことが大切です。
ここでは、信頼できる施工パートナーを見極めるための判断基準やチェックポイントを紹介します。
建設業許可・ISO・実績などの資格と実績
業者の信頼性を測るうえで、国土交通大臣や都道府県知事による建設業許可やISO認証、過去の施工実績などは重要な指標となります。
とくに「マンション大規模修繕」の実績が豊富であれば、住民対応や工程管理のノウハウを持っているため安心です。
また、外部からの表彰歴や施工事例の公開も、品質の高さを測る手がかりとなります。
見積もり内容の透明性と比較検討
複数社から相見積もりを取ることで、費用面だけでなく提案内容や対応姿勢も比較できます。
とくに「一式工事」と記載されている見積もりには注意が必要で、内訳の明示を求めることがトラブルの防止につながります。
項目ごとに単価が明確に記されているか、数量や工法に根拠があるかなどを詳細にチェックすることが肝心です。
第三者機関や監理者の関与の有無
設計監理方式を採用しているかどうかは、工事の透明性と品質に直結します。
第三者の監理者が定期的に現場確認を行い、報告書を提出する体制があれば、住民も安心して任せることができます。
また住民説明会の実施状況や、修繕委員会との連携体制も事前に確認しておきましょう。
担当者の対応力と説明のわかりやすさ
業者を選ぶ際には、担当者の対応力や説明の丁寧さも重要な判断材料になります。
現地調査や見積もりの段階で、専門用語ばかりでなく住民にもわかる言葉で説明してくれるか、質問に対して誠実かつ明確な返答があるかを確認しましょう。
担当者の姿勢は、工事中のトラブル対応や進行管理にも大きく影響するため、初期対応の印象は軽視できません。
地域性を加味した対応をしてくれるか
地域性を理解し対応する業者は、対応も迅速で丁寧な傾向があります。
特に緊急対応が求められる場面や、施工後の点検・補修時に迅速な対応が期待できる点で安心感があります。
また、地域特有の建物事情や気候を理解していることで、適切な工法提案にもつながります。
施工実績が地域内にあるかどうかも、選定の参考にしましょう。
談合の疑いがないか
さらに注意すべきは、業者選定時に起こり得る「談合」のリスクです。
特定の業者同士が価格や受注を調整し合うことで、公正な競争が阻害され、結果的に適正価格や品質が確保できなくなる恐れがあります。
設計監理方式の導入により、入札の透明性が確保されやすくなり、談合リスクを回避する一助となります。
入札過程や選定理由の記録・開示など、情報公開の姿勢もあわせて確認しましょう。
新東亜工業の施工事例|13階建てマンションの大規模修繕工事
東京都内にある13階建てワンオーナーマンションにて、新東亜工業が実施した大規模修繕工事の事例をご紹介します。外壁タイルやシーリング、屋上防水など複数の劣化箇所を総合的に改修し、建物の資産価値を回復しました。
工事概要【工事金額・期間】

工事金額:6,098万円/工期:約5か月間(足場設置〜引き渡しまで)
屋上防水・外壁タイル補修・シーリング打ち替えを中心に、建物全体をバランスよく修繕。
建物全体にわたる一貫した施工により、見た目と性能の両立を実現しました。
建物の劣化とオーナー様のご相談内容
長年手を入れていなかったマンションの修繕を検討し始めたオーナー様から、初回のご相談をいただいたのがスタートでした。
相談のきっかけ
築20年以上が経過し、目視でも劣化が感じられるように。最初は「少し気になる」という段階でしたが、調査を通じて複数の問題が明らかになっていきます。
オーナー様「タイルの剥がれや屋上の汚れが気になっていて…」
担当者「まずは図面を拝見して、現地調査で状態を見ていきましょう」
調査で明らかになった劣化状況
現地での打診調査や目視検査によって、建物の各所に進行した劣化が確認されました。オーナー様も驚かれるほどの症状が浮き彫りに。
屋上防水の劣化
既存の通気緩衝工法によるウレタン防水は、広範囲に劣化や膨れが生じていました。
オーナー様「花火の時期には屋上に上るんです。きれいになると嬉しいな」
現地調査員「眺望も大事ですね。美観にも配慮して施工いたします」
外壁タイルの浮き・剥離
浮きタイルが多数見つかり、剥離の危険性も。劣化の進行度に応じて、張替えと樹脂注入を使い分けました。
担当者「打診調査で見えない内部の浮きも確認しました。対応が必要です」
シーリングの硬化不良
シーリング材は硬化しきって弾性を失い、手作業での撤去が必要なほどでした。
現場職人「カッターが入らないくらい硬くなってます。全部打ち替えですね」
オーナー様「そこまで傷んでたとは…早めにお願いしてよかったです」
工事の流れと透明な対応
調査結果をもとに明確な見積書と診断書を作成。オーナー様に工程を丁寧に説明し、工事中も報告を徹底しました。
診断報告と見積提示
写真付きの診断報告書と、内訳を明記した見積書を提出。工事内容をわかりやすく共有しました。
オーナー様「写真があると素人でもわかりやすいですね」
担当者「透明性を重視していますので、何でもご質問ください」
工事の実施(足場~防水まで)
工程は足場設置から高圧洗浄、下地補修、シーリング、塗装、屋上防水まで。報告写真とともに進捗共有を行いました。
担当者「毎週の報告で進捗をご確認いただけます」
オーナー様「離れてても工事の様子がわかって安心できました」
工事完了後のオーナー様の声
見た目だけでなく機能性も向上した建物に、オーナー様からは満足の声が寄せられました。
オーナー様「すっかりきれいになりましたね。やってよかったです」
担当者「大切な資産を守るお手伝いができて光栄です」
お問い合わせや工事のお見積もり無料!まずはメール・お電話からご相談ください!
マンション大規模修繕の業者選びでよくある失敗と注意点
大規模修繕は工事規模が大きく、失敗した際のリスクも甚大です。
選定ミスによって施工不良や費用の膨張、住民とのトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
ここでは、過去によく見られる失敗事例と、それを回避するための注意点を紹介します。
マンションの大規模修繕でよくある失敗:安さだけで選んでしまう
「他社よりも数百万円安かった」という理由だけで業者を選ぶのは、非常に危険です。
安価な見積もりの裏には、材料グレードの低下や人件費の削減・工程の省略など、品質に直結する問題が隠れていることがあります。
結果的に早期劣化や補修の再発を招く恐れもあるため、価格の根拠や施工内容を慎重に確認し、コストと品質のバランスを見極めたうえで選択することが重要です。
マンションの大規模修繕でよくある失敗:見積もりを比較せずに1社に絞る
比較対象がないまま1社の提案だけを鵜呑みにすると、適正価格や適正工法を判断できなくなります。
必ず複数社から見積もりを取り、施工範囲や工法・保証内容の違いなどを精査しましょう。
また、比較の際には同一条件での見積もりを依頼することが基本です。
条件がバラバラだと、費用差の正当性を判断できません。
マンションの大規模修繕でよくある失敗:住民への説明不足でトラブルが発生する
大規模修繕は、住民全体に関わる工事であるため、合意形成が欠かせません。
ところが、業者選定や工事内容の説明が不十分だと、「知らなかった」「聞いていない」といった不満が生じ、トラブルの原因になります。
住民説明会を定期的に開催し、議事録の配布や質問対応など、透明性の高い情報共有が必要です。
特に工期中の騒音や共用設備の使用制限などについては、事前の周知徹底が重要です。
マンションの大規模修繕でよくある失敗:管理会社任せにしすぎる
管理会社にすべてを一任してしまうと、発注者としての主体性が失われ、住民のニーズや建物の実態に即した対応が行われにくくなるリスクがあります。
また、管理会社の紹介先がグループ企業である場合、中立性にも懸念が残ります。
信頼関係を保ちつつも、住民側の主体的な情報収集と判断が欠かせません。
マンションの大規模修繕でよくある失敗:保証内容やアフターサービスを確認していない
工事完了後の不具合に対する対応が不十分だと、再修繕やトラブルの原因になります。
保証期間の長さだけでなく、保証対象となる範囲や条件・連絡先の明記・実際に過去に対応した事例なども確認しておくべきです。
また、定期点検や補修対応などのアフターサービスの有無も、業者を選ぶ際の重要な判断材料となります。
契約前に書面で明確に取り交わしておくことが安心につながります。
大規模修繕の業者選定に失敗しない進め方
業者選びを成功させるには、計画的な準備と情報収集が不可欠です。
ここでは、トラブルを回避しつつ信頼できる業者を選定するための基本的なステップを紹介します。
ステップ1:修繕委員会の設置
大規模修繕では、管理組合内に「修繕委員会」を設置することが推奨されます。
理事会とは別に、工事に関心の高い住民を中心に構成し、業者選定・見積もり精査・説明会対応などを担当します。
専門性の高い分野であるため、建築士や施工管理経験者などがいれば積極的に関与してもらうのが望ましいでしょう。
ステップ2:現地調査と劣化診断の実施
業者選びに先立ち、建物全体の劣化状況を正確に把握するための調査・診断を行うことが重要です。
屋上防水の劣化・外壁のひび割れ・鉄部の腐食など、目に見えない部分も含めて調査を行うことで、必要な工事項目が明確になります。
診断報告書はその後の設計や見積もりのベースとなるため、精度の高い診断を実施できる業者を選ぶことがポイントです。
ステップ3:設計監理方式の導入検討
設計と施工を分離する「設計監理方式」は、工事の透明性と品質確保に有効な手法です。
設計図をもとに複数業者から見積もりを取り、選定後は設計者が第三者として施工のチェックを行うため、手抜き工事や過剰請求のリスクを減らせます。
特に大規模な工事や住民の関心が高い場合には、この方式の採用を検討すべきです。
マンションの大規模修繕をどこに頼むかについてのよくある質問
【Q1】マンションの大規模修繕はいつから準備を始めるべき?
A.大規模修繕は一般的に12年~15年ごとに行われるため、前回工事から10年を過ぎた頃には準備を始めるのが理想です。業者選定や住民合意、設計・見積もりなどに1年以上かかることもあるため、早めの計画立案が成功のカギとなります。
【Q2】設計監理方式と一括発注方式、どちらが良い?
A.設計監理方式は第三者の視点でチェックが入り、品質確保や不正防止に優れています。一方、一括発注方式は手間がかからずコストが抑えやすいというメリットもあります。マンションの規模や予算、管理組合の体制に応じて選択するのがベストです。
【Q3】見積もりは何社から取るのが適切?
A.最低でも3社からの相見積もりを取ることが推奨されます。価格だけでなく、提案内容や対応の丁寧さ、説明力などを比較検討し、総合的な判断を下すことが重要です。
【Q4】工事の前に住民が準備しておくべきことはありますか?
A.はい。大規模修繕中はベランダの使用制限や騒音・工事関係者の出入りなど、日常生活に影響が出る場合があります。そのため、洗濯物の干し方の変更や私物の移動、工事期間中のスケジュールなどを事前に確認し、準備しておくと安心です。また、ペットがいる家庭は、騒音対策も検討しておく必要があります。
対策についてのアドバイスをしてくれる業者であれば、各戸の事情に合わせた準備も提案してくれるでしょう。
【Q5】修繕工事中に発生しがちなトラブルにはどんなものがありますか?
A.工事中のトラブルとして多いのは、工事音や足場設置に伴う騒音・振動によるクレーム、塗料のにおいによる不快感、ベランダへの立ち入りに関するプライバシーの懸念などです。これらは事前の丁寧な説明や掲示物の設置、定期的な住民への報告によって予防・軽減が可能です。修繕委員会が窓口となり、迅速に対応する体制を整えておくと安心です。
これらのトラブルを回避できる提案をしてくれる業者であれば、管理組合や修繕委員会の負担が軽減され、よりスムーズに工事を進められるでしょう。
マンション大規模修繕をどこに頼むか判断するには情報収集が大事 |
まとめ
マンションの大規模修繕は、建物の寿命を延ばし、住民の安心・安全な暮らしを守るために欠かせない重要な工事です。
その成功のカギを握るのが「どこに頼むか」という業者選定です。
管理会社・設計事務所・ゼネコン・専門工事業者など、依頼先にはそれぞれ特長がありますが、すべてを任せきりにするのではなく、管理組合側が主体的に情報収集を行い、比較・検討を重ねる姿勢が求められます。
失敗を防ぐためには、複数社からの相見積もり・設計監理方式の導入・修繕委員会の設置など、事前の準備と体制構築が不可欠です。
安さや手軽さだけに惑わされず、品質・信頼性・アフター体制まで含めて総合的に判断することが、長期的に見てマンションの資産価値や安心できる住環境を守る最良の選択となります。
本記事を参考に、ぜひ後悔のない大規模修繕工事を実現してください。