大規模修繕の周期は10年ごとが適切?マンション修繕は 12年?15年?それとも18年?
2025/07/24
マンションの大規模修繕は「10年に一度」が常識のように語られてきましたが、果たしてすべての物件に当てはまるのでしょうか?本記事では、10年周期という目安がどこから来たのかを紐解きつつ、修繕時期を見直すべきケースや判断基準についてわかりやすく解説します。管理組合や住民の皆さんが納得のいく修繕計画を立てるための参考にしてください。
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目次
そもそも大規模修繕とは?|目的と基本サイクルを整理
まずは「大規模修繕とは何か?」を正しく理解することが大切です。ここでは、マンションにおける大規模修繕の基本的な定義や目的、そして一般的な実施サイクルについて整理しておきましょう。
大規模修繕の「10年周期」は本当に適切?|見直しが必要な理由と実情
「10年に一度」が定着している大規模修繕ですが、近年ではその前提を見直す動きが増えています。このセクションでは、10年周期が必ずしもベストとは言えない理由や、見直しが必要になる具体的な背景について解説します。
築年数・悪化具合・設備更新などによって変動する
建築からの築年数や大きな地震・風雨などの影響、なおしくはいままでの保守レベルにより、悪化の進行度は異なります。それゆえ、10年では早すぎる場合も、さらに遅くても問題ない場合もあります。
修繕積立金とのバランス問題
積立金の貯えが不足している場合、10年に固執することで「金がないのに工事をする」状態になり、借入れや増額が必要になることも。
法令修正や技術革新で周期見直しが必要に
最近は新しい材料や工法が発達しているため、過去の工法を前提にした周期は現実に合わない場合も。このような技術の進化も、周期を見直すべき要因となります。
見直すべきタイミングとその判断材料
「10年に一度」が定着している大規模修繕ですが、近年ではその前提を見直す動きが増えています。このセクションでは、10年周期が必ずしもベストとは言えない理由や、見直しが必要になる具体的な背景について解説します。
建物診断結果から見極める
大規模修繕の実施は、感覚ではなく「建物診断」の結果をもとに考えることが必要です。要補修ポイントの有無や劣化度を客観的に判断することで、必要な工事の時期を決めましょう。
修繕履歴と過去の実施内容
過去に実施した工事の内容や時期を整理することで、次回の修繕につながる要素を探り出すことができます。
住民の意見・合意形成の重要性
マンションの大規模修繕は住民の理解と協力が不可欠です。企画を確定する前に、理事会や総会などでの説明会はとても重要です。
実際には何年ごとがベスト?管理会社や専門家の見解
「大規模修繕=10年ごと」という定説はありますが、実務に携わる専門家たちの見解はやや異なります。近年では建物や設備の性能向上、維持管理の質の差、地域環境によって、適正な周期は大きく分かれつつあります。
築年数別の傾向と考え方
- 築15年未満: 設備や外装の状態は比較的良好なことが多く、大規模な修繕は不要なケースが多い。
- 築15〜30年: 最初の大規模修繕後に本格的な劣化が進む時期。診断結果に基づく柔軟な判断が重要。
- 築30年以上: 防水層・配管・鉄部などの更新が必要になることが多く、10年未満での小規模修繕の積み重ねが重要に。
管理会社・設計事務所の視点
大手管理会社や外部の建築士事務所では「15年ごとでも十分」という声も多く聞かれます。ただしこれは「定期診断をきちんと行っていること」が前提です。修繕の質や材料の耐久性次第では、15年周期でも支障のないケースは増えています。
新東亜工業の施工事例|13階建てマンションの大規模修繕工事
東京都内にある13階建てワンオーナーマンションにて、新東亜工業が実施した大規模修繕工事の事例をご紹介します。外壁タイルやシーリング、屋上防水など複数の劣化箇所を総合的に改修し、建物の資産価値を回復しました。
工事概要【工事金額・期間】

工事金額:6,098万円/工期:約5か月間(足場設置〜引き渡しまで)
屋上防水・外壁タイル補修・シーリング打ち替えを中心に、建物全体をバランスよく修繕。
建物全体にわたる一貫した施工により、見た目と性能の両立を実現しました。
建物の劣化とオーナー様のご相談内容
長年手を入れていなかったマンションの修繕を検討し始めたオーナー様から、初回のご相談をいただいたのがスタートでした。
相談のきっかけ
築20年以上が経過し、目視でも劣化が感じられるように。最初は「少し気になる」という段階でしたが、調査を通じて複数の問題が明らかになっていきます。
オーナー様「タイルの剥がれや屋上の汚れが気になっていて…」
担当者「まずは図面を拝見して、現地調査で状態を見ていきましょう」
調査で明らかになった劣化状況
現地での打診調査や目視検査によって、建物の各所に進行した劣化が確認されました。オーナー様も驚かれるほどの症状が浮き彫りに。
屋上防水の劣化
既存の通気緩衝工法によるウレタン防水は、広範囲に劣化や膨れが生じていました。
オーナー様「花火の時期には屋上に上るんです。きれいになると嬉しいな」
現地調査員「眺望も大事ですね。美観にも配慮して施工いたします」
外壁タイルの浮き・剥離
浮きタイルが多数見つかり、剥離の危険性も。劣化の進行度に応じて、張替えと樹脂注入を使い分けました。
担当者「打診調査で見えない内部の浮きも確認しました。対応が必要です」
シーリングの硬化不良
シーリング材は硬化しきって弾性を失い、手作業での撤去が必要なほどでした。
現場職人「カッターが入らないくらい硬くなってます。全部打ち替えですね」
オーナー様「そこまで傷んでたとは…早めにお願いしてよかったです」
工事の流れと透明な対応
調査結果をもとに明確な見積書と診断書を作成。オーナー様に工程を丁寧に説明し、工事中も報告を徹底しました。
診断報告と見積提示
写真付きの診断報告書と、内訳を明記した見積書を提出。工事内容をわかりやすく共有しました。
オーナー様「写真があると素人でもわかりやすいですね」
担当者「透明性を重視していますので、何でもご質問ください」
工事の実施(足場~防水まで)
工程は足場設置から高圧洗浄、下地補修、シーリング、塗装、屋上防水まで。報告写真とともに進捗共有を行いました。
担当者「毎週の報告で進捗をご確認いただけます」
オーナー様「離れてても工事の様子がわかって安心できました」
工事完了後のオーナー様の声
見た目だけでなく機能性も向上した建物に、オーナー様からは満足の声が寄せられました。
オーナー様「すっかりきれいになりましたね。やってよかったです」
担当者「大切な資産を守るお手伝いができて光栄です」
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10年にこだわらない柔軟な修繕計画の立て方
修繕は10年単位で一括実施するもの──という従来の考え方から脱却し、近年ではより柔軟で段階的な修繕方法が注目されています。ここでは、現実的な予算や劣化状況に応じて調整可能な修繕計画の立て方を解説します。
段階的な修繕の導入|長寿命化改修の考え方
一度にすべてを改修するのではなく、「劣化の早い箇所から段階的に改修」していくスタイルが近年注目されています。これにより費用の平準化や、資金計画の負担軽減が可能になります。
修繕積立金の見直しと資金計画
周期見直しには、資金計画の再設計も不可欠です。国交省のガイドラインなどを参考に、ライフプランや建物診断結果をもとに「必要な工事に対して、どこまで積み立てるか」を再確認することが重要です。
計画の見直しと住民との合意形成
周期を変える際には、長期修繕計画書を更新し、その内容を住民に丁寧に説明することが不可欠です。合意形成を怠ると、スムーズな工事実施が難航する恐れもあるため、専門家のサポートを得ながら進めましょう。
参考文献:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン
こんなケースでは見直し必須!よくある失敗とトラブル例
修繕は10年単位で一括実施するもの──という従来の考え方から脱却し、近年ではより柔軟で段階的な修繕方法が注目されています。このセクションでは、現実的な予算や劣化状況に応じて調整可能な修繕計画の立て方を解説します。
早すぎた修繕で無駄なコスト発生
実際には劣化が進行していない状態で大規模修繕を実施してしまい、本来なら10年以上もつ防水層を張り替えてしまった……という事例もあります。結果的に、無駄な支出となり、次の修繕周期にも悪影響を与えることに。
遅すぎた対応で重大な劣化に
逆に、周期を延ばしすぎたことで、外壁のタイルが落下したり、屋上からの雨漏りが発生し、緊急対応に追われるケースもあります。これにより余計な修繕費や、近隣住民とのトラブルが発生するリスクも高まります。
住民との認識ズレで合意形成が困難に
修繕の必要性を住民にうまく伝えられず、「まだ必要ないのでは?」といった声が多発し、総会での決議が難航したという声も。早めの説明・共有と信頼構築が重要です。
修繕周期を柔軟に見直すために相談すべき専門家
修繕周期の見直しや工事の実施にあたっては、適切な専門家の力を借りることが不可欠です。ここでは、信頼できる相談先や専門家の役割について解説します。
修繕周期を柔軟に見直すための専門家|設計事務所・一級建築士・建物診断専門業者
建物の構造や劣化状況を正しく評価するには、専門資格を有する建築士や診断士による精密な調査が重要です。第三者性を担保したアドバイスを得られるため、修繕時期や優先順位の判断にも説得力が生まれます。
修繕周期を柔軟に見直すための専門家|マンション管理会社や修繕コンサルタント
日常管理を行っている管理会社には、建物の状況や過去の履歴が蓄積されています。さらに、外部の修繕コンサルタントを起用することで、中立的な立場からのアドバイスや、コストの最適化を図る提案を受けられるのも大きなメリットです。
修繕周期を柔軟に見直すための専門家|自社施工の専門業者(総合リフォーム会社)
設計・施工・アフターフォローまで一貫して対応できる自社施工業者は、コスト管理や施工責任の明確化に強みがあります。見積相談の段階から周期の見直しについて相談することも可能です。
外壁塗装・防水など工事項目別の目安年数
大規模修繕に含まれる主な工事項目ごとに、推奨される修繕周期を以下の表にまとめました。
工事項目 | 推奨周期(目安) | 備考 |
---|---|---|
外壁塗装 | 10〜15年 | 塗料の種類により耐用年数が異なる |
屋上防水 | 12〜20年 | ウレタン・塩ビシートなど工法で差あり |
鉄部塗装 | 5〜7年 | サビが発生しやすく短めの周期が理想 |
シーリング(コーキング) | 10〜13年 | 紫外線や雨風により劣化しやすい |
給排水管更新 | 25〜30年 | 共用部の更新は管理組合の判断が必要 |
マンションの大規模修繕でよくある質問(FAQ)
ここでは、マンションの大規模修繕でよくある質問について、詳しくまとめましたので、ぜひ、参考にしてみてください。
Q1. なぜ「10年ごと」が基本とされているのですか?
A. 以前の建材や工法では10年程度で劣化が進みやすく、また国交省のガイドラインでも12年周期がモデルとして提示されていたため、通説として広まった背景があります。
Q2. 修繕周期を延ばすと何か問題がありますか?
A. 劣化が進行しすぎると修繕費用がかえって高くなる恐れがあります。適切な時期を見極めるには、建物診断などの客観的データに基づいた判断が重要です。
Q3. 修繕の延期や見直しを理事会で提案するには?
A. 診断結果や専門家の意見、資金計画などの根拠資料を用意したうえで、理事会・総会で丁寧に説明を行うことが大切です。
マンション大規模修繕は柔軟な計画がカギ|まとめ
大規模修繕における「10年ごと」という目安はあくまで参考であり、すべてのマンションに当てはまるものではありません。建物の劣化状況、修繕履歴、住民の合意形成、そして資金状況などを総合的に考慮しながら、柔軟で無理のない修繕計画を立てることが、長く安心して暮らせるマンション管理につながります。
「年数」だけに縛られず、「今この建物に何が必要か」を見極めて行動することが、将来の資産価値と快適性を守るカギとなるのです。