マンションの大規模修繕は何年ごとが最適?12年・15年・18年と言われている理由を解説
2025/07/24
マンションを所有されている方や管理組合の理事として活動されている方にとって、「大規模修繕は何年ごとに実施すべきか」は大きな悩みの一つではないでしょうか。
一般的には12年周期と言われることが多いものの、最近では15年や18年といった長い周期を提案する管理会社も増えてきました。
また、国土交通省の大規模修繕に関するガイドラインでも「12~15年程度」と幅を持たせた表現に変わっており、明確な答えが見つけにくい状況です。
大規模修繕は1回あたり数千万円から億単位の費用がかかる大きなプロジェクトです。
実施時期を誤れば建物の劣化が進行してしまう一方、必要以上に頻繁に行えば修繕積立金が不足する可能性もあります。
本記事では、マンション大規模修繕の一般的な周期から、12年周期が多い理由、周期延長のメリット・デメリット、そして最適な周期を判断するためのポイントまで、実態調査データに基づいて詳しく解説します。
また、大規模修繕の目的や必要性・基本的な工事内容や流れ・費用などを理解しておくと、本記事の理解がより深まります。
こちらの記事では「大規模修繕とは」をテーマに、基本的な知識をわかりやすく解説していますので、あわせてご覧ください。
目次
マンション大規模修繕は何年ごとに実施?一般的な周期の目安
マンションの大規模修繕を何年ごとに実施すべきかは、多くの管理組合が最初に直面する疑問です。
実は、この問いに対する絶対的な答えは存在しません。しかし、一般的な目安や実態調査に基づくデータは存在します。
ここでは、大規模修繕の周期について、法的な位置づけから実際のデータまで詳しく見ていきましょう。
大規模修繕の周期に明確なルールはない
マンションの大規模修繕について、何年ごとに実施しなければならないという法律上の明確なルールは存在しません。
建築基準法をはじめとする関連法規を確認しても、修繕周期を義務づける規定はなく、実施時期の判断は基本的に各管理組合に委ねられています。
そのため、同じ築年数・規模のマンションであっても、修繕時期が異なるケースは珍しくありません。
劣化の進行度は、建物の立地や構造、日常管理の状況によって大きく左右されます。
劣化速度に影響する主な要因
- 海沿い・幹線道路沿いなどの立地環境
- 建物形状や外壁仕様
- 日当たり・風通し
- 清掃や点検など日常管理の質
このような要因を踏まえ、実際の劣化状況を見極めたうえで個別に判断することが基本となります。
大規模修繕と建築基準法の関係についてはこちらの記事で更に詳しく解説しています。
マンション大規模修繕は何年ごとが一般的?実態調査データ
では、実際に多くのマンションでは何年ごとに大規模修繕が行われているのでしょうか。
国土交通省が令和3年度に実施した調査によると、大規模修繕の実施周期は12~15年に集中していることが分かっています。
大規模修繕の平均的な周期
- 13年:23.1%
- 12年:20.5%
- 15年:13.4%
これらの結果から、全体の約7割が12~15年で実施していることが紐解けます。
回数別の実施時期の目安
| 回数 | 実施されやすい築年数 |
|---|---|
| 1回目 | 築12~16年(平均15.6年) |
| 2回目 | 築26~30年前後 |
| 3回目以降 | 築41年以上 |
この結果から、「12~15年程度」という目安は実態と大きく乖離していないことが分かります。
ただし、あくまで平均値であり、すべてのマンションに当てはまる基準ではない点には注意が必要です。
長期修繕計画で確認できるマンション大規模修繕の周期
各マンションで予定されている大規模修繕の時期は、長期修繕計画に記載されています。
長期修繕計画とは、今後30年以上にわたり、どの時期にどの修繕工事を行い、どれくらいの費用が必要かを示した重要な資料です。
修繕積立金の算出根拠にもなるため、管理組合にとって欠かせない判断材料となります。
長期修繕計画で確認できる主な内容
- 大規模修繕の実施予定時期(築何年目か)
- 各回の工事内容(外壁塗装・防水工事など)
- 工事費用の概算額
- 修繕積立金の徴収計画
計画書は管理会社や理事会を通じて確認できます。
新築時に作成された計画も、築年数の経過や劣化状況に応じて5年ごとに見直すことが推奨されており、定期的な確認が重要です。
「大規模修繕 周期」については、こちらの記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
マンション大規模修繕が何年ごとか「12年周期」が多い理由
実態調査では13年が最多となっていますが、長年にわたって「12年周期」という数字がマンション業界では一般的な目安とされてきました。
では、なぜ12年という周期が定着したのでしょうか。その背景には3つの明確な理由があります。
国土交通省の長期修繕計画ガイドラインの影響
マンション大規模修繕で12年周期が広く採用されてきた最大の理由は、国土交通省が示した長期修繕計画作成ガイドラインの影響です。
平成20年(2008年)版では、外壁塗装や屋上防水などを含む大規模修繕の周期として「12年程度」という具体的な数値が例示されました。
この記載を根拠に、管理会社や設計事務所が12年周期を標準的な考え方として説明するようになり、業界全体に定着していきました。
その後、令和3年の改訂では表現が見直され、「一般的に12~15年程度」と幅を持たせた記載に変更されています。
重要なのは、このガイドラインはあくまで目安であり、法的義務ではないという点です。建物の仕様や立地条件に応じて柔軟に判断することが前提とされています。
特定建築物定期調査(10年ごとの全面打診調査)との関係
12年周期が多い背景には、建築基準法に基づく特定建築物定期調査との関係もあります。
一定規模以上の建物では、竣工または外壁改修後10年を超えた最初の調査時に、全面打診調査の実施が義務付けられています。
全面打診調査とは、外壁タイルやモルタルの浮きを打診で確認し、落下事故を防止するための重要な検査です。
この調査を行うには、多くの場合で足場の設置が必要となります。一方、大規模修繕工事でも外壁塗装や防水工事のために足場を組む必要があります。
そのため、足場を共用して調査と工事を同時に行う方がコスト効率が良いと考えられ、10年調査に近い12年前後で修繕を行うケースが増えました。
なお、3年以内に外壁改修が確実な場合は調査が猶予される制度もあります。
塗料や防水材の耐用年数(8~12年)に合わせている
外壁塗装や防水材の耐用年数が8~12年程度であることも、12年周期が採用されてきた大きな理由です。
マンションに使用される塗料や防水材、シーリング材は高い耐久性を持っていますが、紫外線や雨風の影響を受け続けることで10年前後から劣化が顕在化します。
これらの仕上げ材は、コンクリート躯体を雨水や劣化因子から守る重要な役割を担っています。
保護機能が低下すると、雨水が侵入し、鉄筋の腐食やコンクリート劣化につながるリスクが高まります。
劣化を放置すれば補修範囲が拡大し、工事費用も増加します。
そのため、深刻なダメージが生じる前の8~12年のタイミングで大規模修繕を行う考え方が一般的となりました。
マンション大規模修繕を何年ごとに?15年・18年周期延長の動き
近年、従来の12年周期を見直し、15年や18年といった長い周期での大規模修繕を提案する動きが広がっています。
この周期延長にはどのような背景があり、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
大規模修繕周期延長が注目される背景
近年、マンション大規模修繕では15年・18年といった周期延長が現実的な選択肢として注目されています。
その背景には、単なるコスト削減目的だけでなく、建物を長期的に維持する考え方の変化があります。
特に、建材や施工技術の進化によって、従来よりも長期間性能を維持できる仕様が増えたことは大きな要因です。
また、修繕積立金が計画どおりに積み立てられていないマンションが増えている現状も、周期延長を検討する動きを後押ししています。
周期延長が注目される主な理由
- 高耐久塗料・防水材の実用化
- 修繕積立金不足への現実的対応
- 大手管理会社による長周期提案の普及
これらの要素が重なり、「12年周期ありき」ではなく、建物条件に応じて柔軟に周期を考える流れが広がっています。
マンション大規模修繕の周期を延長するメリット
周期延長の最大のメリットは、長期視点で見たときの大規模修繕の回数を減らせる点です。
大規模修繕は1回あたりの工事費が高額になりやすく、足場設置や仮設工事など、回数に比例して発生する費用も少なくありません。
周期を延ばすことで、こうした固定費を抑えながら建物を維持できる可能性があります。
また、工事のたびに発生する居住者への影響を減らせる点も見逃せません。
| 修繕周期 | 築60年間の修繕回数 |
|---|---|
| 12年周期 | 5回 |
| 15年周期 | 4回 |
このように、修繕回数を1回減らすだけでも、長期的には数千万円規模の差が生じる可能性があります。
マンション大規模修繕の周期を延長するデメリット
一方で、周期延長には明確なデメリットも存在します。
最大の注意点は、1回あたりの工事費用が高くなる傾向です。高耐久材料や長寿命仕様を採用することで、一般的な12年周期の工事と比べて初期費用が増加するケースが多く見られます。
また、修繕間隔が長くなる分、劣化の進行を見逃すリスクも高まります。
周期延長で注意すべき点
- 高耐久仕様による工事費増加
- 劣化進行が顕在化しにくい
- 中間補修を怠った場合の影響拡大
特に環境条件が厳しい立地では、延ばすこと自体がリスクになる可能性もあるため慎重な判断が必要です。
「大規模修繕工事 費用」に関しては、こちらの記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
周期延長を実現するための条件
大規模修繕の周期延長を成功させるには、単なる先送りではなく、計画的な維持管理が前提となります。
まず、12年周期向けの標準仕様ではなく、15年以上の耐久性を想定した材料・工法を初回から選定することが重要です。
さらに、修繕と修繕の間に発生する軽微な劣化を放置しない体制づくりも欠かせません。
周期延長に必要な主な条件
- 高耐久塗料・防水材・シーリング材の採用
- 定期的な軽微補修の実施
- 専門家による建物診断と経過観察
これらを継続できて初めて、周期延長は現実的で合理的な選択となります。
マンション大規模修繕の周期を何年ごとにするか?判断ポイント
最適な修繕周期は、マンションごとの状況によって異なります。
ここでは、適切な判断を行うための重要なポイントを解説します。
建物診断で劣化状況を正確に把握する
マンション大規模修繕の周期を判断するうえで、最も重要な判断材料となるのが建物診断による劣化状況の把握です。
一般的には、初回の大規模修繕を見据えて築10年目頃から専門家による建物診断を実施することが推奨されています。
目視だけでなく、打診や測定を含めた診断を行うことで、現在の不具合だけでなく、将来的に問題となりやすい箇所も把握できます。
診断結果を踏まえることで、早期修繕が必要か、あるいは周期延長が可能かといった判断を、感覚ではなく根拠をもって行うことができます。
主な建物診断の確認項目
- 外壁のひび割れ・タイルの浮き
- 屋上・バルコニーの防水層劣化
- シーリング材の硬化・破断
- 鉄部の錆・塗装劣化
- コンクリートの中性化進行状況
マンションの立地環境や構造的要因を考慮する
大規模修繕の適切な周期は、築年数だけでなく立地環境や建物の構造条件によっても大きく左右されます。
例えば、海に近いマンションでは塩害の影響を受けやすく、外壁や鉄部の劣化が想定より早く進行することがあります。
また、湿度が高い地域や日当たり・風通しが悪い立地では、防水層の劣化やカビ・コケの発生が起こりやすくなります。
さらに、建物形状が複雑な場合は雨水の影響を受けやすく、部分的に劣化が集中する傾向もあります。
| 劣化に影響する要因 | 主な影響内容 |
|---|---|
| 海沿い立地 | 塩害による金属部・外壁劣化 |
| 湿気の多い環境 | 防水層劣化、カビ・コケ発生 |
| 複雑な建物形状 | 雨水滞留による局所劣化 |
これらの条件を踏まえ、画一的な周期ではなく建物ごとに最適な周期を検討することが重要です。
修繕積立金の状況と長期修繕計画の見直し
大規模修繕の周期を決める際には、修繕積立金の状況と長期修繕計画の整合性を必ず確認する必要があります。
国のガイドラインでは、長期修繕計画は5年ごとに見直すことが推奨されており、物価上昇や実際の劣化状況を反映させることで、より現実的な計画となります。
積立金が不足した状態で周期延長や前倒し修繕を行うと、将来的に資金面で行き詰まるリスクがあります。
早い段階で資金状況を把握し、対策を検討することが重要です。
修繕積立金が不足する場合の主な対応策
- 修繕積立金の段階的な値上げ
- 一時金の徴収
- 工事内容の優先順位付け・分割実施
- 金融機関からの借入
資金計画を無視した周期設定は、長期的なマンション管理に悪影響を及ぼすため注意が必要です。
マンションの大規模修繕を何年ごとにするのかに関するよくある質問【FAQ】
マンション大規模修繕の周期について、管理組合の理事や区分所有者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- マンションの大規模修繕2回目はいつするべきですか?
- 2回目の大規模修繕は、一般的に築25~30年前後で実施されるケースが多いとされています。
国土交通省の実態調査でも、2回目を築26~30年で行っている割合が最も高い結果となっています。
1回目を築12~15年で実施した場合、その約12~15年後が目安となります。
ただし2回目は、外壁や防水だけでなく設備や鉄部など修繕範囲が広がりやすいため、築20年を過ぎた段階で建物診断を行い、劣化状況に応じて実施時期を判断することが重要です。
- 大規模修繕を15年や18年に延ばすと総額でいくら安くなりますか?
- 周期延長によるコスト削減額は、マンションの規模や仕様によって異なりますが、一定の目安はあります。
例えば100戸規模で1回の工事費が8,000万円の場合、60年間で12年周期なら5回実施で総額約4億円、15年周期なら4回で約3億2,000万円となり、約8,000万円の削減効果が見込めます。
ただし、周期延長では高耐久材料を採用する必要があり、1回あたりの工事費が1.2~1.5倍になる可能性もあるため、単純な比較ではなく総額で判断することが大切です。
- 修繕周期を延ばすと、法的な問題が発生することはありますか?
- 大規模修繕の実施時期を延ばしても、直ちに違法となるわけではありません。
ただし、劣化が進んだ状態を放置すると、外壁落下などの事故リスクが高まり、管理責任が問われる可能性があります。
特に大規模修繕 法律の観点では、安全配慮義務が重視されるため注意が必要です。
また、工事内容によっては大規模修繕 確認申請が必要になる場合もあり、結果として計画の自由度が下がることもあります。
- 新築マンションの最初の大規模修繕は何年目が適切ですか?
- 新築マンションの1回目の大規模修繕は、築12~15年が一般的な目安とされています。
実態調査でも、平均的な実施時期は築15年前後となっています。
ただし、新築時の施工品質や使用材料、立地条件によって劣化の進行度は異なります。
そのため、築10年目頃に建物診断を実施し、劣化状況を確認したうえで12年目に行うか、15年目まで延ばせるかを判断することが望ましいです。
築年数だけで決めず、実際の状態を基準に検討することが重要です。
- 長期修繕計画で12年周期と書かれていますが変更できますか?
- はい、長期修繕計画は変更可能です。
むしろガイドラインでは、5年ごとに計画を見直すことが推奨されています。
建物の劣化状況や修繕積立金の残高、物価上昇、新しい材料や工法の登場などを反映させることで、より現実的な計画になります。
変更する際は、専門家による建物診断を行い、その結果をもとに修繕内容や周期を再検討し、管理組合の総会で決議を得ることが必要です。
計画は固定ではなく、状況に応じて更新していくものです。
- 修繕時期の判断を誤ると、どのようなトラブルが起こりやすいですか?
- 修繕の先送りや準備不足は、費用増大や住民間の対立といったマンション 大規模修繕 トラブルにつながりやすくなります。
劣化が進行した状態で工事を行うと、想定外の補修が増え、工期延長や追加費用が発生することもあります。
結果として、建物全体の維持管理が後手に回り、マンション 寿命を縮めてしまう原因になる点にも注意が必要です。
- 大規模修繕の周期を延ばすデメリットは何ですか?
- 大規模修繕の周期延長には、いくつかのデメリットがあります。
まず、高耐久材料を使用するため1回あたりの工事費用が1.2~1.5倍程度に増える可能性があります。
また、次回修繕までの期間が長くなることで、想定以上に劣化が進行するリスクも高まります。
さらに、周期を延ばす場合でも、修繕の合間に中間メンテナンスや軽微な補修を定期的に行う必要があり、その分の費用や手間も発生します。
メリットとあわせて総合的に判断することが重要です。
- 適切な修繕周期を前提にした業者選びのポイントは何ですか?
- 修繕周期を踏まえた工事計画では、長期的な視点で提案できる業者選びが重要です。
大規模修繕工事 業者ランキングを見る際も、価格や実績数だけでなく、修繕周期に応じた段階的な工事提案や診断力を確認しましょう。
周期を無視した過剰工事は費用負担を増やすだけでなく、結果的にマンション 寿命の観点でもマイナスになる場合があります。
まとめ
マンション大規模修繕の周期について、一般的な目安から判断基準まで詳しく解説してきました。
最適な修繕周期はマンションごとに異なり、画一的な答えはありませんが、適切な判断をするための知識を持つことが重要です。
マンションの大規模修繕における周期を理解するためのポイント
- 大規模修繕の周期に法的な決まりはなく、建物の状況に応じた判断が基本である
- 実態調査では12~15年周期が一般的で、平均13年が最も多い実施時期となっている
- 12年周期が多い理由は、国交省ガイドライン・定期調査義務・建材耐用年数の3つである
- 15年・18年への周期延長はコスト削減効果があるが高耐久工事と中間メンテナンスが必要
- 最適な周期判断には築10年目からの建物診断と立地環境の考慮が不可欠である
マンションの大規模修繕は、建物の資産価値を維持し、居住者の安全と快適性を守るために欠かせない重要な取り組みです。
12年周期という従来の目安にとらわれすぎず、建物診断の結果や修繕積立金の状況、立地環境などを総合的に考慮して、あなたのマンションに最適な周期を見つけましょう。
特に築10年を迎えるマンションでは、早めに専門家による建物診断を実施し、管理組合内で修繕計画について議論を始めることをおすすめします。
適切なタイミングで適切な修繕を行うことで、長期的なコスト削減と建物の長寿命化を実現できます。