【個人オーナー様】神奈川県横浜市ビル 長尺シート工事 費用公開
2025/08/29
工事の全体像とポイント
神奈川県横浜市にあるビルにて、共用廊下と階段の長尺シート張替え工事を行いました。施工期間は約20日間。経年劣化による剥がれや浮き、汚れの蓄積が目立っていたため、安全性と美観を両立させるための改修を実施しました。
まず最初に、既存の長尺シートを丁寧に撤去しました。長年使用されたシートの下には、接着剤の残りや汚れ、細かな凹凸が残っているため、ケレン清掃(下地の研磨・除去作業)を徹底的に行いました。この工程は新しいシートの密着性を確保するうえで非常に重要で、仕上がりの品質を左右します。
清掃後は、下地の状態を確認しながら下地調整を行いました。凹凸やクラックを補修し、平滑で安定した下地をつくることで、施工後の浮きや剥がれを防ぎます。その後、専用の接着剤を均一に塗布。接着剤の塗布量や乾燥時間を正確に管理し、温度や湿度など環境条件にも配慮しながら作業を進めました。
接着剤が適度に乾いたタイミングで、新しい長尺シートを張り込みます。シートは厚みがあり弾力性に優れているため、耐久性が高く、歩行時の防音性や防滑性にも優れています。特に共用廊下や階段など、人の往来が多い箇所では、滑りにくく安全性の高いシート材を採用することがポイントです。
シート張り後は、転圧(ローラー圧着)を行い、下地とシートの間に空気が残らないよう丁寧に圧着。さらに、溶接処理によってシートの継ぎ目を一体化させることで、水の浸入や剥がれを防ぎ、長期的な耐久性を確保しました。端部は端末シールを施工し、仕上げとしてヘラ押さえを行い、美しく密着した防水性の高い仕上がりに整えました。
今回の施工により、共用部全体が明るく清潔感のある印象に生まれ変わり、防滑性・防水性・耐久性のすべてが向上しました。見た目の改善だけでなく、入居者様が安心して利用できる安全な環境を整えることができました。
長尺シートとは?共用廊下や階段に最適な高機能床材のメリット・デメリットを解説
マンションやビルの共用廊下、階段などに使用される「長尺シート」は、見た目の美しさだけでなく、安全性と耐久性を兼ね備えた高機能な床材です。
建物の維持管理においては、単なる“床の仕上げ材”ではなく、建物全体の快適性と防水性を支える重要な要素としての役割を担っています。
まず、長尺シートの最大の特徴はその防滑性と防水性にあります。表面に微細な凹凸加工が施されているため、雨の日や湿気の多い環境でも滑りにくく、転倒事故を防止します。また、シート自体が塩ビ(PVC)素材で構成されており、水を通さない構造のため、防水性にも非常に優れています。これにより、コンクリート下地への雨水の浸透や劣化を防ぎ、長期的に建物を守る効果が期待できます。
さらに、長尺シートは耐久性・メンテナンス性にも優れているのが大きなメリットです。一般的な塗床仕上げと比較して、摩耗や変色に強く、長期間にわたって美観を維持できます。日常の清掃も容易で、水拭きや中性洗剤での洗浄が可能なため、管理の手間も軽減されます。
また、遮音性や防音性にも優れており、歩行時の足音や振動を軽減できることから、マンションの共用廊下などでの静音効果も発揮します。
一方で、長尺シートにはいくつかのデメリットも存在します。まず、下地処理の精度が求められる点です。下地が不陸(凹凸)や劣化した状態のまま施工すると、シートの浮き・剥がれ・シワが発生しやすくなります。そのため、施工前には必ず丁寧なケレン・下地調整が必要です。
また、強い直射日光や高温多湿の環境下では、長期間の経年変化によって収縮や接着剤の劣化が起こる場合があります。そのため、施工環境や使用条件に応じた材料選定と定期的な点検が欠かせません。
さらに、シートの継ぎ目部分は溶接処理を行う必要があり、職人の技術力によって仕上がりの品質が左右されます。溶接不良や端末の処理不足は、防水性能の低下や水の侵入につながるため、施工業者の選定が非常に重要です。
このように、長尺シートは正しい施工を行えば、防滑性・防水性・耐久性のすべてを高水準で備えた理想的な床仕上げ材です。しかし、適切な下地処理や施工管理を怠ると、逆に不具合を生じやすい素材でもあります。
したがって、専門知識を持つ職人と信頼できる施工業者のもとで施工を行うことが、長尺シートを最大限に活かすためのポイントです。
工事金額:204万円
長尺シート工事
階段




廊下




■参考リンク:タキロンマテックス株式会社
監修:一級建築士・一級建築施工管理技士 石川繁雄