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折板屋根の防水工事の種類|フッ素・ウレタン・シリコンなどの特徴や費用を解説

折板屋根は、工場や物置、カーポートなどに使われています。

折板屋根は裏から見るときれいに見えても、普段は見えない表側は意外と劣化しているケースが多いです。

メンテナンスを怠ると劣化が進み、雨漏りの原因となり、場合によっては葺き替えが必要になります。

トラブルを防ぐためにも、定期的に折板屋根の防水工事を検討しなければなりません。

そこで今回は、折板屋根の防水工事について、施工のタイミングやおすすめの塗料、費用相場などを詳しく解説します。

折板屋根の寿命や工事の必要性

折板屋根の防水工事を検討していても、依頼するタイミングや、費用がかかるため先延ばしにしている方も多いのではないでしょうか。

最初に、折板屋根の寿命や寿命に影響する要素、防水工事の必要性などを解説します。

折板屋根の寿命

劣化状況にもよりますが、補修などで対応できるのは約10~15年といわれています。

あくまで目安であり、日本鉄鋼連盟では「塗装亜鉛メッキ鋼板の点検周期は、通常時は当初5年後、以後3年毎。

厳しい環境下で過酷な環境下で初回3年、以後2年毎」としています。

物件によって状況は異なるため、専門業者に依頼して現地調査を実施する方法が有効です。

なお、塗膜の劣化やチョーキング、サビなどの兆候が見られたら、早めに対応しましょう。

水漏れがなく、塗膜のチョーキングや膨れ程度の劣化であれば、塗装のメンテナンスで対処できます。

しかし、水漏れを長期間放置すると、建物自体の寿命が短くなってしまうため、早急な現地調査と防水工事の検討が必要です。

雨漏りの原因と対処法

折板屋根からの雨漏りの原因は、ボルトのサビび ・強風などによる屋根の変形、サビによる破損、穴が空くなどです。

塗装以外の方法としては、既存の屋根を新しい材料で覆うカバー工法や、屋根材を全て葺き替える葺き替え工法があります。

ただし、葺き替え工事は費用が高く、工事期間中は建物を使用できないため、選択できないこともあるでしょう。

定期的な塗装メンテナンスで屋根の状態を良好に保つことは、費用を抑えることにつながります。

折板屋根の防水工事の必要性

折板屋根は波型の形状をしており、一般的にガルバリウム鋼板で作られています。

ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛の合金を鋼板にメッキしたもので、サビが発生しにくいことが特徴です。

しかし、防サビ効果はありますが、時間の経過とともにサビによる劣化は進行します。

そのため、屋根の劣化を防ぐために定期的に防水工事を行う必要があります。

折板屋根の種類と特徴

折板屋根の種類は大きく分けてはぜ締めタイプ、重ね葺きタイプ、嵌合(かんごう)タイプです。

(一般財団法人日本金属屋根協会では5つに分類)

それぞれ側面(横側)の接合方法が異なり、その点からタイプ分けされています。

どのタイプの折板屋根かによって、防水工事、費用が変わります。

折板屋根の種類ごとの特徴を確認しておきましょう。

はぜ締めタイプ

鋼板のつなぎ目を折り曲げて接合する工法です。

重ね型と違ってボルトが露出していないため、雨漏りのリスクは低いといえます。

ただし、積層型よりも風の影響を受けやすいタイプです。

重ね葺きタイプ

鋼板の接合部を、ボルトで固定するタイプです。

ボルトは屋根の外側に露出するため、経年劣化でサビが発生することが多いため、定期的にボルト部分のメンテナンスが必要です。

嵌合(かんごう)タイプ

鋼板の接合部をキャップで覆うタイプです。

施工実績数が少ないため工法が限られ、工事費用が割高になります。

折板屋根の防水工事で期待できる効果

折板屋根の防水工事では、主に防水効果と遮熱効果を得られます。

折板屋根の欠点は、断熱性が低いことです。

夏場は日射による最上階の温度上昇が懸念されるため、塗装には遮熱塗料を使用することをおすすめします。

遮熱塗料は、室内の冷房負荷を軽減する効果が期待できるでしょう。

ただし、あまり光沢のある塗料を選ぶと、近所から「眩しすぎる」と苦情が来ることもあるため注意が必要です。

また、塗料自体に防水効果はありませんが、折板屋根の防水工事には雨漏りを防ぐ効果があります。

折板は薄い鉄板なので、劣化してサビが発生すると穴が開くなどのトラブルが発生します。

穴は雨漏りの原因になるため、穴が開く前に防水工事をすると、雨漏りを防ぐことにつながるでしょう。

折板屋根の防水工事の費用相場

折板屋根の防止工事の種類ごとの費用相場は次のとおりです。

工事費用相場
塗装工事1,800~5,000円/平方メートル
カバー工法8,000〜13,000円/平方メートル
葺き替え2,000~58,000円/平方メートル

塗装は、色あせやサビなど比較的軽度の劣化兆候が見られた場合に行います。

カバー工法は、半割れ屋根に穴や雨漏りなどの症状がある場合に有効です。

屋根の一部だけを新しい屋根材で覆います。

葺き替えは、経年劣化が激しい場合や、穴が開いている場合に行います。

デメリットは、既存の折折板屋根を1度撤去する必要があるため、一時的に屋根がなくなってしまうことです。

また、折板屋根を改修する場合、足場代などの追加費用が必要になります。

足場代は総工事費の1~2割程度を占めるので、同じく足場を組む必要がある外壁塗装も同時に検討するとよいでしょう。

折板屋根の防水材の種類

折板屋根の防水工事で使用される防水材は、主に3種類あります。

それぞれの特徴、メリットとデメリットを確認していきましょう。

ウレタン防水

液体状のウレタン防水材を重ね塗りして厚みを作る方法です。

折板屋根以外にも様々な場所の防水工事に採用されている、ウレタン塗料のメリットとデメリットを紹介します。

ウレタン塗料のメリット

ウレタンで塗装した外壁は美しい光沢があり、高級感のある見た目になります。

ツヤのある仕上がりが苦手な方は、つや消し剤も併用してマットに仕上げることも可能です。

ウレタン塗膜は柔らかく弾力性があるので、乾燥してもひび割れしにくいことがメリットです。

また、液体状の防水材であり、防水工事をする場所の形状を選びません。

ウレタン塗料のデメリット

ウレタンの耐用年数は8~12年であり、シリコンやフッ素と比べると短いです。

地域の気候によっては、耐用年数が更に短くなることもあります。

また、紫外線の影響による変色や退色が起こりやすい点もデメリットだといえるでしょう。

シリコン防水

現在主流といえる防水材であり、価格や耐用年数のバランスが良いことが特徴です。

シリコン塗料のメリットとデメリットもチェックしておきましょう。

シリコン塗料のメリット

シリコン塗料は、非常に耐久性の高い塗料です。

耐熱性:600度程度まで耐えることができる

耐水性:塗膜が硬く撥水性がある

耐候性:酸性雨や強風、紫外線に強い

塗料の種類によっては、600度前後の環境に耐える塗料もあり、湿気や雨による建材の劣化を抑える効果も期待できます。

また、多くのシリコン塗料は、光沢のある艶やかな仕上がりになるため、見た目にこだわる方におすすめです。

さらに、シリコン塗料は耐久性の高い塗料であり、メンテナンス費用を抑えられます。

色の種類が多いため、デザイン性にこだわる方にも人気です。

シリコン塗料のデメリット

シリコン塗料は他の塗料に比べて乾燥後の塗膜が硬く、ひび割れしやすい塗料といえます。

温度や湿度で伸縮する素材の塗装や、振動の多い場所での使用には向いていません。

また、撥水性が高く、重ね塗りをしにくい点もデメリットです。

フッ素防水

蛍石と呼ばれる石を原材料にしたフッ素樹脂塗料は、酸性雨や紫外線の影響を受けにくく、汚れにも強いことが特徴です。

フッ素防水のメリットとデメリットを紹介します。

フッ素塗料のメリット

硬い膜ができるため、塗り替え工事の頻度を減らせることがメリットです。

価格は高いものの、長期的には塗り替えやリフォームの回数を減らせるため、トータルコストは安くなる場合が多いです。

さらに、フッ素塗料は、親水性を高めるために光沢仕上げが施されていることが特徴です。

また、光沢のある外観は長期間持続する点はメリットだといえるでしょう。

フッ素塗料のデメリット

フッ素塗料は親水性が高いため、塗ったときにツヤが出て光沢が出るというメリットがあります。

反面、光沢のある塗料しか選べないため、マットな仕上がりを求める方にはデメリットになるでしょう。

さらにフッ素塗料は耐久性の高い塗料ですが、塗膜が他の塗料に比べて硬く伸びにくく、ひび割れが発生すると塗膜も割れてしまうことがあります。

折板屋根の防水工事の材料別費用と耐用年数

折板屋根の防水工事に使用される材料は、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料が一般的です。

材料別の費用相場・耐用年数は次の通りです。

防水塗料費用相場耐用年数
ウレタン系塗料1,700~2,200円/平方メートル6~10年
シリコン系塗料2,300~3,500円/平方メートル8~15年
フッ素系塗料3,800~4,800円/平方メートル15~20年

塗料によって耐用年数が異なり、耐用年数が短いほど安く、耐用年数が長いほど高くなります。

そのため、塗料を選ぶ際には、予算を考慮することが大切です。

また、塗料の種類によって、メリット・デメリットがあります。

熱を吸収しやすい折板屋根の場合は、断熱性を高める塗料が最適です。

断熱性の高い断熱中塗り材と併用することで、夏の日射熱や冬の冷気の影響をさらに抑えることができます。

さらに、金属屋根は雨風による騒音の影響を受けやすいという特徴があるため、防音効果も期待できる塗料を選ぶ方法も有効です。

塗装には、下塗り、中塗り、上塗りの2種類の塗料が使われます。

特に、下塗りは防サビ効果のあるものを選びましょう。

折板屋根の防水塗装工事でおすすめの塗料とは|フッ素塗料

折板屋根の防水塗装工事では、フッ素塗料がおすすめです。

フッ素塗料は、耐候性が非常に高いことが特徴です。

屋根は外壁の3倍の紫外線を浴びるといわれており、外壁にシリコン樹脂を使用し、屋根だけフッ素を選択するケースもあります。

また、折板屋根が大きければ大きいほど、改修費用は高くなります。

一定期間に行う施工の回数を減らし、費用を節約するためには、できるだけ長持ちするフッ素塗料が適しているでしょう。

折板屋根をDIYで防水工事できる?

屋根は紫外線の影響を最も受ける部分であり、建物のなかで最も劣化しやすい部分です。

そのため、外壁と同じように塗装すると下地処理が適切に行えず、塗膜が剥がれてしまうことがあります。

屋根の塗膜の剥がれは気づきにくく、目詰まりや雨漏りの原因にもなります。

トラブルを避けるためにも、折板屋根の塗装は業者に依頼しましょう。

折板屋根の防水工事の流れ

折板屋根の防水工事を初めて依頼する場合、どのような流れで行われるのかを確認しておきたい方も多いでしょう。

ここでは、折板屋根の防水工事の主な流れを紹介します。

仮設足場・メッシュシート設置

折板屋根は3寸勾配から施工できるため、屋根の上を歩ける現場も多いです。

しかし、凹凸があるため足元が不安定で、高圧洗浄や吹き付け塗装の際に飛散を防ぐために仮設足場やメッシュシートが必要になります。

また、足場の仮設と同時に外壁や雨どいのメンテナンスを行うことをおすすめします。

折板屋根の高圧洗浄

折板屋根は凹部(谷部)に汚れが溜まりやすいため、塗膜の密着性を高めるためにも丁寧な高圧洗浄が欠かせません。

チョーキングや塗膜の剥がれを十分に洗い流し、高圧洗浄を行います。

サビの再発・拡大を防ぐ下地処理

サビの再発・拡大を防止するために、サビを削り取る「ケレン作業」を行います。

サビをしっかり落とさないと、サビと一緒に塗膜が剥がれたり、腐食して穴が開いたりするため、重要な作業工程です。

また、ボルト周辺にサビが進行している場合は、隙間を塞ぐシーリング補修も行います。

錆止め材を塗装する

金属屋根の場合は、下塗りに防サビ効果の高い塗料を使用し、サビの再発を予防します。

屋根を塗装する

屋根を保護する塗膜は、下塗り・中塗り・上塗りの3工程で形成されます。

中塗り、上塗りには耐久性の高いシリコングレード以上の素材を選択し、塗装周期を延ばすことが大切です。

屋根の表面は太陽光にさらされると非常に熱くなり、下地のない折板屋根はさらに熱が室内に伝わりやすくなるため、断熱や遮熱効果が期待できる塗料を選択する方法も良いでしょう。

ボルトキャップの取り付け

ボトルの劣化やサビが雨漏りの原因となるため、ボトルキャップを取り付けます。

また、折板屋根はボルトがむき出しであり、ボルトの劣化で雨漏りをするケースも多いです。

通常はボルトの劣化を防ぐためにキャップを取り付けますが、経年劣化でキャップが割れてしまったり、施工時にキャップが取り付けられていないケースもあります。

ボルトの劣化やサビは雨漏りの原因になるため、塗装後にボルトキャップを取り付けて劣化を防ぎましょう。

完成

塗料が乾き、ボルトキャップの取り付けたら折板屋根の防水工事は完了です。

折板屋根の寿命を延ばすために点検と防水工事をしよう

以下はこの記事のまとめです。

  • 折板屋根の寿命は約10〜15年
  • 折板屋根からの雨漏りの原因は、ボルトのサビび ・強風などによる屋根の変形、サビによる破損、穴
  • 一般的にガルバリウム鋼板で作られている折板屋根は時間の経過とともにサビによる劣化は進行していくので塗装による防水工事が必要
  • 折板屋根ははぜ締めタイプ、重ね葺きタイプ、嵌合(かんごう)タイプがある
  • 折板屋根の防水工事では主に防水効果と遮熱効果が得られる
  • 折板屋根への塗装にはフッ素塗料がおすすめ
  • 折板屋根をDIYで防水工事はおすすめできず、塗装は業者に依頼するのが良い

定期的な防水工事やメンテナンスで、屋根の寿命を延ばすことができます。

特に、折板屋根などの金属屋根はサビが発生しやすいため、点検と適切な工事が必要です。

ただし、折板屋根をDIYで防水工事や塗装することは危険で難しいため、専門業者に依頼する必要があります。

予算や希望に合う防水材、工事の内容など業者のアドバイスを参考に、防止工事を検討しましょう。

折板屋根の防水工事|施工実績

【個人様】東京都中野区Fコーポ

【企業様】東京都足立区I会社自社ビル

防水工事でよくある質問

Q

防水工事の種類にはどんなものがありますか?

A

主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。

Q

防水工事の費用はどのくらいかかりますか?

A

工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。

Q

工事の期間はどのくらいかかりますか?

A

工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。

Q

工事中の生活にどんな影響がありますか?

A

騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。

Q

防水工事のタイミングはいつが良いですか?

A

一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。

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