屋上・ベランダ防水の補修方法を知りたい人
屋上防水の補修方法とは?部分補修は可能?
屋上防水の補修でかかる費用はどれくらい?
防水シートの補修方法は?
屋上のひび割れは補修できる?
外壁や屋上防水の適切な補修は、建物の耐久性と快適性を維持するうえで重要です。特に陸屋根やベランダなどの平らな屋根面では、ウレタン防水やシート防水などの様々な防水工法がありますが、経年劣化や外的要因で防水層に破れ・劣化が生じることもあります。
そこで本記事では、屋上防水の補修が必要となる原因から、各種防水工法(ウレタン防水、シート防水など)における劣化のサイン、そして効果的な補修方法まで詳しく解説します。
特に部分補修の手順や、塗装によるメンテナンス方法にも焦点を当て、建物所有者や管理者が知っておくべき重要な情報を提供します。さらに、防水工事の種類別の費用相場についても触れ、屋上防水の補修に関する知識をお伝えします。
目次
ビルの屋上防水工事について
ビルの屋上防水工事は、建物内部への水漏れを防ぎ、建物の耐久性を保つために重要な施工です。防水層が劣化すると、雨水が建物内部に浸入し、鉄筋の腐食や内装のダメージを引き起こす可能性があります。
これを防ぐために、定期的な点検と適切なタイミングでの防水工事が求められます。使用する防水材には、シート防水、塗膜防水、アスファルト防水などがあり、それぞれのビルの特性に合わせた施工が行われます。
ビル屋上防水改修工事で行う内容
ビル屋上の防水改修工事は、建物の耐久性を保ち、雨漏りや水害を防ぐために行われる重要な工事です。主な工事内容は以下の通りです。
1. 下地調整
まず、既存の防水層や表面の汚れ・不具合を取り除きます。屋上の下地を平滑に整えることで、新たな防水層がしっかりと密着し、耐久性が高まります。
2. プライマー塗布
次に、下地の接着性を高めるためにプライマーを塗布します。これにより、防水層が均一に密着しやすくなり、施工後のトラブルを防ぎます。
3. 防水材の施工
ウレタン防水やアスファルト防水、シート防水などの適切な防水材を使用して防水層を形成します。施工方法や材料は、屋上の構造や用途に応じて選択され、層状に塗布または貼り付けていきます。
4. トップコート塗布
最後に、紫外線や雨水から防水層を保護するため、トップコートを塗布します。トップコートは防水層の劣化を防ぎ、長期間の防水性能を維持する役割があります。
ビル屋上防水工事業者の選び方
ビルの屋上防水工事を成功させるためには、適切な業者選びが不可欠です。まず、施工実績を確認することが重要です。多くの実績がある業者は技術や経験が豊富で、さまざまな状況に対応できる可能性が高いです。
このような選定ポイントについて解説します。
屋上防水工事の施工実績を確認する
ビル屋上の防水工事は技術力が求められるため、施工実績が豊富な業者を選ぶことが大切です。過去の施工事例や対応したビルの規模などをチェックすることで、業者の技術力や対応力を把握できます。特に複雑な構造の屋上に対応した実績がある業者は安心です。
屋上防水工事の保証内容を重視する
防水工事は、施工後のアフターメンテナンスが重要です。業者が提供する保証期間や対応範囲を確認し、長期間の保証がある業者を選ぶと良いでしょう。施工後のトラブルにも迅速に対応してくれる業者を選ぶことで、安心感が得られます。
明確な見積もりかどうか確認する
防水工事の見積もりは、工事内容や使用する材料が明確に記載されているかがポイントです。詳細な内訳が記載されている業者は信頼性が高く、適正な価格設定である可能性が高いです。複数の業者から見積もりを取り、価格と内容の両面で比較・検討しましょう。
ビル屋上防水工事の金額はいくら?費用相場は?
ビル屋上防水工事の費用相場は、使用する防水材や施工面積によって異なりますが、一般的には1㎡あたり約5,000~15,000円が目安です。
シート防水は比較的安価で、ウレタン塗膜防水は中間価格帯、アスファルト防水は高めの費用がかかります。また、下地補修や排水設備の改修が必要な場合、追加費用が発生することがあります。工事費用はビルの規模や工法に応じて変動するため、詳細な見積もりをもとに予算を検討することが大切です。
ビル屋上防水工事の見積もりはしっかり確認|相見積もりをとろう
ビル屋上防水工事の見積もりは、工事の内容や範囲を正確に反映したものであるかを確認することが重要です。見積もりの項目ごとに金額や工事期間が明記されているかをチェックし、不明点は事前に業者に質問しましょう。
また、複数の業者から相見積もりをとることで、適正な価格やサービス内容を把握しやすくなります。1社のみの見積もりでは、どのような工事・費用が必要であるかを確認するのは難しいです。相見積もりは、より良い条件での契約や予算の調整を可能にするため、必ず実施しましょう。
ベランダ・屋上防水で補修が必要になる理由
屋上・ベランダ防水で補修が必要になる理由は、以下のようなものが考えられます。
- 経年劣化
- 施工不良
- 台風や地震などの天災
これらの理由によって、屋上・ベランダ防水で補修が必要になる場合があります。
定期的な点検やメンテナンスを行うことで、早期発見・対応が可能となり、大きな被害を防ぐことが可能です。
屋上防水の経年劣化
屋上・ベランダ防水材料は、太陽光や風雨などの自然環境の影響を受けるため、時間の経過とともに劣化していきます。
劣化した防水材料は、雨水や湿気が浸入しやすくなり、補修が必要になります。
屋上防水の施工不良
屋上やベランダに防水工事が不適切に行われた場合、防水材料が劣化する前に漏水が発生することがあります。
施工不良による漏水は、早期の補修が必要です。
台風や地震など天災による屋上防水の被害
台風や地震などの天災によって、屋上やベランダの防水材が破損することがあります。
天災による破損は、迅速な補修が必要です。
屋上防水工法別の劣化サインと補修方法
屋上・ベランダ防水工法の種類は、次に挙げる3つです。
- ウレタン防水
- シート防水
- アスファルト防水
- FRP防水
それぞれの劣化サインと補修方法についてまとめていきます。
防水工法の種類 | 劣化サイン | 補修方法 |
ウレタン防水 | ・防水層の剥がれ ・チョーキング現象 ・防水層の膨れ ・防水層のひび割れ | ・トップコートの再塗装 ・防水層の塗り替え |
シート防水 | ・シートの破れ ・シートの硬化や伸縮 ・つなぎ目の劣化 ・シートの膨れ ・水たまり | ・熱融着 ・脱気筒の設置 ・パッチ補修 ・密着工法 ・機械的固定工法 |
アスファルト防水 | ・防水層の砂落ち ・重ね部の口開き | ・撤去法 ・非撤去法 ・全面改修工事 |
FRP防水 | ・防水層のひび割れ ・防水層の色あせ ・防水層の浮きや剥がれ | ・トップコートの再塗装 ・部分補修 ・防水層の張り替え(全体補修) |
屋上防水トップコートの再塗装
ウレタン防水やFRP防水など、屋上・ベランダ防水の補修方法は、劣化の度合いによって違います。
軽微なものであれば、トップコートの再塗装や部分的な補修で対応が可能です。
トップコートとは、防水層の表面に塗装し、防水効果を持続させる役割があります。
劣化が重度なものである場合は、トップコートの再塗装では対応できず、防水の塗り替えまたは貼り替えが必要になります。
また、雨漏りが発生した場合は、被害の拡大を防ぐために全面改修工事が必要です。
それでは、補修方法について手順をふまえて解説していきます。
屋上防水トップコート補修方法1.洗浄
塗装する前に、塗りたい部分を洗浄し、汚れや油分を取り除きます。
汚れがひどい場合は、高圧洗浄機などを用いる場合もあります。
屋上防水トップコート補修方法2.養生
塗装する場所にマスキングテープなどを貼り、塗りたくない部分を保護します。
屋上防水トップコート補修方法3.塗装
塗料を適量を取り、ハケやローラーで2回から3回に分けて塗っていきます。
塗料の乾燥時間や塗り重ねる回数は、塗料の種類によって異なるので塗料のラベルや取扱説明書を参考にしてください。
塗り重ねる場合は、前の層が完全に乾燥してから次の層を塗るのがポイントです。
屋上防水トップコート補修方法4.完了
塗装が完了したら、マスキングテープを剥がします。
塗料の乾燥時間が経過したら、再度使用が可能です。
屋上防水トップコート補修方法に関する注意点
塗料の種類や塗る場所によって手順が異なる場合があります。
そのため、取扱説明書をよく読んでから作業を行うようにしてください。
また、安全に作業を行うためには、適切な保護具を着用することが重要です。
シート防水の部分補修方法
シート防水は、塩化ビニール製またはゴム製のシートを被せて防水層を形成する工法です。
このシート部分が劣化または破損している場合、部分的に補修することができます。
部分補修の方法は劣化や破損の状態によって異なります。
部分補修の方法は以下の通りです。
屋上防水シートの剥がれや浮きは熱溶着で補修
シートの剥がれや浮きが見られた場合は、熱溶着で補修します。
熱溶着とは、シートを溶かして冷え固まるまでに接着させる方法です。
塩化ビニールやゴムは熱によって溶けるため、接着するには熱溶着が有効なのです。
ゴムシートには、接着剤を用いる場合もあります。
屋上防水シートの膨れは脱気筒を設置
シートが膨れている場合は、脱気筒を設置して対処します。
脱気筒とは、防水層内部に溜まった水蒸気を外へ逃すための筒状の設備です。
屋上でシート防水が施されていると、シート内部に水蒸気が溜まることがあります。
水蒸気が溜まるとシートが膨れてしまうため、脱気筒で外に逃してあげるのです。
屋上防水シートのひび割れにはパッチ処理で補修
シートのひび割れには、軽微なものであればパッチ処理が有効です。
パッチ処理とは、塩ビシートやゴムシートの小さなかけらを使用して、ひび割れた箇所を塞ぎます。
アスファルト防水の補修方法
アスファルト防水の補修方法は、既存の防水層を撤去して新たに防水工事をやり直す撤去法と、既存の防水層を撤去せずに、上から新しい防水層を被せる非撤去法の2種類があります。
撤去法で屋上防水をリセット
撤去法は、アスファルト防水に限らず、すべての防水工法に対応可能です。
既存の防水層の撤去は労力を必要とし、廃材の処理に経費と工期が必要となります。
また、工事中は周囲への騒音、粉塵対策も考えなければなりません。
さらに、撤去後には下地処理材で仮防水が必要です。
非撤去法で既存屋上防水を流用
非撤去法には、次の4種類があります。
非撤去工法は、別名「かぶせ工法」とも呼ばれており、既存の防水層を撤去せずに上から被せることからその名が付いています。
非撤去法の種類 | 特徴 |
BANKS工法 | ・工事用アスファルトをバーナーで溶融させ改質アスファルトを貼り付けて積層していく工法・溶融釜を使用しない環境対応型の次世代型アスファルト防水工法 |
ストライプ工法 | ストライブ状の粘着層で安定した膨れ防止機能を発揮する |
エコフィット工法 | 専用シール材を用いて改質アスファルトの粘着層を貼り付ける都市型防水工法 |
アスポット工法 | 専用のディスクを使用し、アンカで止めて下地に固定する機械的固定工法 |
どちらの工法も、現在の主流になりつつある高性能な工法として数多くの建物で採用されています。
屋上防水の補修方法ごとにかかる費用相場は?
屋上防水の補修にかかる費用は、補修箇所の規模や状態によって費用が変わるため、一概には言えませんが、目安となる費用相場を補修方法ごとに表にまとめました。
補修方法 | 費用相場 |
トップコート再塗装 | 約1,000円〜2,500円/㎡ |
シート防水の部分補修 | 約3,000円〜4,000円/㎡ |
アスファルト防水撤去法 | 約4,000円〜6,000円/㎡ |
アスファルト防水非撤去法 | 約3,000円〜5,000円/㎡ |
屋上防水の劣化状況をふまえて、適した工法を選びましょう。
また、判断が付かない場合は、業者に相談するのが賢明です。
屋上防水補修後のアフターケア
屋上・ベランダ防水において、補修後でもアフターケアは必要です。
下記にアフターケアの方法をいくつか挙げていきます。
屋上防水に水たまりを作らないようにする
雨水がたまるような凹凸や隅の部分には、水がたまらないように注意が必要です。
水はけが悪い場合は、排水口や雨樋の詰まりを確認し、必要に応じて掃除を行います。
定期的な屋上防水の点検
補修後は、定期的な点検を行い、問題がないか確認します。
特に雨漏りや水が浸透していないか、目地の劣化がないかなど、業者に依頼して点検してもらうことが大切です。
定期的な屋上防水のメンテナンス
防水材料の種類によっては、定期的なメンテナンスが必要な場合があります。
特に、トップコートは5年ごとに塗り替えるのがベストなタイミングとされているので、定期的に塗り替えましょう。
屋上防水の問題を見つけたら早期に対処
何かしらの問題が発生したら、放置せず早急に対処することが重要です。
すぐに業者に連絡して、修理を行ってもらいましょう。
防水工事でよくある質問
Q
防水工事の種類にはどんなものがありますか?
A
主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。
Q
防水工事の費用はどのくらいかかりますか?
A
工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。
Q
工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。
Q
防水工事のタイミングはいつが良いですか?
A
一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。
屋上防水の補修方法まとめ
ここまで屋上防水の補修方法について解説してきました。
まず、屋上防水において補修が必要なケースは、経年劣化、施工不良、天災などの要因が挙げられます。
次に、補修が必要となる劣化サインおよび補修方法についても解説しました。
補修にかかる費用は、あくまでも参考程度に把握しておくと、補修する時に請求される金額に大きな差があるか分かるでしょう。
最後に、アフターケアまでしっかりと行い、最適な屋上の状態を保ってください。