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防水工事の保護塗装を解説|工事の費用相場は?トップコートとは?

防水工事の保護塗装について知りたい人

防水工事の保護塗装について知りたい人

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防水工事において、トップコートと呼ばれる保護塗装は重要な工程です。

しかし、「保護塗装って何?」「本当に必要な工事なの?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな防水工事の保護塗装について、必要性や工事の費用相場などを徹底解説していきます。

防水工事で行う保護塗装とは

防水工事で行う保護塗装とは、トップコートのことを意味します。

トップコートは、防水工事の要となる防水層を形成した後、防水層の上から塗布するものです。

ここでは、トップコートについてさらに詳しく紹介します。

トップコートとは

トップコートは、先ほども少し触れた通り防水層の1番上に塗装されるものです。

トップコートには防水層を紫外線の刺激から守ってくれる役割があります。

このような役割から、トップコートは「保護塗装」とも呼ばれているのです。

トップコートで防水層を保護することで、防水層の劣化を遅らせて寿命を伸ばすことができます。

ただし、トップコートも徐々に劣化していってしまうものなので、定期的なトップコートのメンテナンスが必要です。

保護塗装の必要性

保護塗装であるトップコート自体には、実は防水機能がありません。

そう聞くと、「防水工事に保護塗装は必要ないのでは?」と考える方もいるのではないでしょうか。

確かに防水機能を担うのは、ウレタンや防水シートなどの材質で形成した防水層なのですが、実はこの防水層は紫外線に弱いというデメリットがあります。

紫外線に弱い防水層を保護しないまま日光に当ててしまうと、非常に劣化しやすいです。

防水層が劣化すると、ひび割れや損傷を起こして防水機能を失ってしまいます。

そのため、防水層を保護して防水機能を守るためにも、保護塗装が必要となるのです。

保護塗装の劣化症状

トップコートの経年劣化は、どうしても避けられない問題です。

トップコートの寿命が尽きれば劣化症状が現れて、劣化した部分から雨水が侵入して防水層を劣化させてしまいます。

防水層が劣化すると雨漏りが発生するため、トップコートの劣化症状の段階から見逃さずに補修を行うことが重要です。

ここではトップコートの劣化症状を5つ紹介するので、ぜひ覚えて自宅のトップコートが劣化していないかチェックしてみましょう。

チョーキング現象

チョーキング現象は、トップコートの表面が剥がれた状態の劣化症状のことです。

剥がれたトップコートの表面がチョークの粉のように見えることから、チョーキング現象と呼ばれています。

チョーキング現象が起きたらトップコートが剥がれているということなので、防水層を保護する機能が弱まっています。

放置していると防水層が劣化してしまう原因にもなるので、メンテナンスを行いましょう。

トップコートを塗布している場所を触るとチョークの粉のような汚れが手に付着するため、比較的気付きやすい劣化症状です。

ひび割れ・剥がれ

防水層は建物の動きや気温の変化によって収縮しますが、この収縮はトップコートにとって負担になります。

経年劣化してきたトップコートがこの収縮に耐えられなくなった時、トップコートの表面にひび割れや剥がれが発生することがあります。

トップコートにひび割れや剥がれが発生すると、その部分が水の侵入経路となり防水層にまでダメージを与えるリスクが高いです。

さらに放置しているとトップコート全体の劣化や損傷を早めたり、防水層が劣化して雨漏りの原因となったりする危険度の高い症状だと言えます。

色褪せ

トップコートは、徐々に本来の色に比べて色褪せていきます。

特に紫外線がよく当たる場所では、色褪せが起こりやすいです。

日当たりのいいベランダやバルコニーでは特に起こりやすい症状で、機能面というよりも見た目への影響が大きいです。

トップコートの色褪せは緊急性の低い劣化症状ですが、トップコート全体の劣化の初期症状とも言えます。

トップコートの色褪せを感じたら、他に劣化症状が起きていないかをよくチェックしながら、メンテナンスを検討し始めるといいでしょう。

カビ・苔・雑草

ベランダやバルコニーの中でも日陰や湿度の高い場所は、カビ・苔・雑草などが生えることがあります。

問題ないように思えますが、雑草の根は力強くトップコートや防水層を超えて根を張ってしまうことがあり、トップコートや防水層の劣化や損傷につながります。

カビや苔もトップコートの劣化を早めてしまう原因となるほか、歩行の際に滑りやすく転倒の原因にもなるため、早めにメンテナンスを行いましょう。

摩耗

トップコートは、人の歩行や重いものの移動などの物理ストレスによって、摩耗します。

ベランダやバルコニーは人がよく歩くため、摩耗が起こりやすいです。

トップコートの表面が摩耗すると、防水層を保護するためのコーティング機能が低下してしまいます。

放置すると防水層へのダメージにもつながる劣化症状なので、早めのメンテナンスが必要です。

防水工事の流れと保護塗装を行うタイミング

防水工事や保護塗装について、どのように行われるのかを知らない方が多いのではないでしょうか。

ここでは、屋上防水工事で主流となっている「ウレタン防水」の工事の流れと保護塗装を行うタイミングを解説していきます。

ウレタン防水工事の全体の流れは、以下の通りです。

  1. 高圧洗浄
  2. 下地調整
  3. プライマー塗布
  4. 下塗り
  5. 中塗り
  6. 上塗り
  7. トップコート

防水工事においては、まず下地をしっかりと整えることが重要です。

高圧洗浄を行なって綺麗な状態にした後、既存防水層の撤去や補修など状況に合わせたさまざまな下地処理を行います。

下地を丁寧に整えることは、防水工事全体の完成度を左右する重要な工程です。

この後使用するウレタン塗料をしっかりと接着させるため、下地にプライマーを塗布します。

防水層を形成するウレタン塗料は、基本的に下塗り・中塗り・上塗りの3回にわたって塗布します。

この際、各層を均等な厚さで塗布することが重要なポイントです。

ウレタン塗料を塗布ししっかりと乾燥させたら防水層の形成が完了となり、上からトップコートを塗布します。

トップコートは、防水層の形成が終わった後の工事の最後のタイミングで塗装されます。

保護塗装の種類

保護塗装にはいくつかの種類があり、その特徴や防水層との相性を考慮した上で選ばれます。

ここでは、

  • ウレタン防水
  • FRP防水
  • シート防水
  • アスファルト防水

の4つの防水工事で使用されるトップコートについて、それぞれ紹介していきます。

ウレタン防水のトップコート

ウレタン防水のトップコートは、主に以下の2種類が使用されます。

  • アクリルウレタン系
  • フッ素系

この2種類の中でも主流で、ほとんどの一般家庭のウレタン防水に使用されるのがアクリルウレタン系のトップコートです。

フッ素系のトップコートはアクリルウレタン系に比べて耐久性が優れていることが特徴ですが、高額な費用がかかるため一般家庭ではあまり使用されません。

そのためフッ素系のトップコートは、商業施設などで使用されることが多いです。

FRP防水のトップコート

FRP防水とは、繊維強化プラスチックを使用した防水方法です。

FRP防水のトップコートには、

  • ポリエステル系
  • アクリルウレタン系

の2種類がよく使用されます。

ポリエステル系のトップコートはよく新築の住宅に使用されていますが、重ね塗りには適していません。

そのため、FRP防水でトップコートの塗り替えを行う際には、アクリルウレタン系のトップコートが使用されます。

シート防水のトップコート

シート防水のトップコートには、シート防水の材料である合成ゴムに悪影響のない水性タイプのトップコートが使用されます。

このように、防水工事の種類や防水層の材質によって、最適なトップコートを選ぶことが重要です。

アスファルト防水のトップコート

アスファルト防水とは、液状とシート状の2種類のアスファルトを使用して防水層を形成する工法のことです。

アスファルトを使用するのでとても重く、公共施設や大型の物件で行われる防水工事です。

アスファルト防水には、紫外線や酸化による劣化を防ぐために反射塗料などのトップコートが使用されます。

保護塗装工事の費用相場

トップコートは、5年ごとを目安に塗り替えることで効果的に防水層を保護することができます。

比較的頻繁に行う工事だからこそ、費用がどれくらいかかるかは重要なポイントですよね。

ここでは、それぞれの防水方法ごとに費用の目安をまとめました。

防水層1㎡あたりの平均施工価格
ウレタン防水1,600〜1,700円/㎡
FRP防水1,700〜2,200円/㎡
シート防水900〜1,500円/㎡
アスファルト防水1,000〜3,000円/㎡

このように、防水層の種類によっては倍近く費用が変わることもあります。

費用相場も参考にしながら、最適な種類の防水工事を行えるよう専門業者と相談してみてくださいね。

保護塗装を塗り替えるタイミング

トップコートの経年劣化は避けられない問題なので、定期的に塗り替えを行う必要があります。

一般的なトップコートは、5年ごとが塗り替え時期の目安です。

ただし、耐用年数はトップコートの種類によっても異なるため、10年ほど塗り替えなくても問題ないものもあります。

反対に5年経過していなくても劣化症状が出ている場合は、塗り替えの検討が必要です。

トップコートは、防水層にダメージを与えてしまう前にメンテナンスを行うことが重要です。

トップコートの塗り替えを怠って防水層の寿命を縮めてしまうと、結果的に防水工事にかかる費用が高額になります。

トップコート塗り替えの費用を惜しまず定期的にメンテナンスして防水層の寿命を伸ばすことが、全体で考えた時の費用の節約にもつながります。

塗り替える際の注意点

トップコートの塗り替えを行う際には、いくつかの注意点があります。

ここでは、ベランダの防水工事の場合と、陸屋根・屋上の防水工事の2つの場合の注意点をそれぞれ紹介します。

ベランダの場合

ベランダはよく人が歩行するため、床の塗装の剥がれが気になり工事を行うことが多いです。

劣化症状がトップコートのみに現れていればトップコートの塗り替えで対応できますが、防水層まで劣化が進んでいる場合はトップコートだけを塗り替えても意味がありません。

トップコートの塗り替えで対応できない劣化症状の場合には、防水工事から行うことになります。

防水層の劣化の主な症状としては、ひび割れや亀裂などがあります。

陸屋根・屋上の場合

陸屋根や屋上は人が歩くことは少ないですが、特に紫外線の影響を受けやすい場所です。

紫外線の影響によるチョーキング現象などの劣化が心配されますが、普段あまり見ない部分だからこそ劣化症状の発見が遅れてしまうことも多いです。

ベランダと同様に、トップコートの劣化に留まらず防水層にも劣化症状が現れていればトップコートの塗り替えだけでは対応できず、防水工事から行う必要があります。

屋根や屋上の防水機能の低下は、雨漏りして初めて気づいたというパターンも少なくありません。

定期的にチェックすることが、防水層の寿命を伸ばすポイントです。

保護塗装の塗り替え工事を行う業者とは

トップコートの塗り替えに最適な業者は、「防水業者」です。

塗り替えという言葉から塗装業者を連想する方も多いのですが、保護塗装は防水工事の一環です。

そのため、防水工事に関する知識と経験が豊富な防水専門の業者に依頼するようにしましょう。

中にはトップコートの塗り替えを行なっている塗装業者もありますが、防水知識がない場合も少なくありません。

防水目的でトップコートの塗り替えを依頼するのであれば、専門家である防水業者への依頼をおすすめします。

まとめ

防水工事の保護塗装とは「トップコート」とも呼ばれ、防水層を保護する役割を持っています。

  • 防水層の寿命を伸ばすためにもトップコートは必須
  • 使用されるトップコートの種類は、防水層の種類によって異なる
  • トップコートは経年劣化するため、定期的な塗り替えが必要
  • トップコートの塗り替えは防水業者に依頼しよう

必要ないようにも思えるトップコートですが、実は重要な役割を担っていることがわかりました。

今回の記事が、防水工事やトップコート塗り替えについて悩んでいた方の参考となれば幸いです。

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