ベランダやバルコニーのパーテーション(隔て板や仕切り板とも呼ばれます)は、マンションやアパートにおいて重要な役割を果たしています。隣人との境界を示すだけでなく、消防法に基づく避難経路としても機能する蹴破り戸の役割も担っています。
しかし、台風などの自然災害や不注意な衝突により、このパーテーションが損傷することがあります。壊れたパーテーションは隣人とのトラブルや安全性の低下につながるため、早急な修理や交換が必要です。
この記事では、ベランダのパーテーション修理・交換の方法・費用・素材(ケイカル板など)の選び方を詳しく解説します。マンションの管理規約や消防法の観点からも、適切な対処法をお伝えします。
パーテーションの正式名称や、バルコニーの間仕切りとしての役割、さらには補修の具体的な手順まで、トラブル時に役立つ情報が満載ですので、ぜひご参考ください。
目次
ベランダ修理の基礎|パーテーションの役割
ベランダのパーテーションは、プライバシーの保護と災害時の避難通路として使用するために、通常は壊れにくい素材で作られています。
別名で、「隔て板」「仕切り板」「蹴破り戸」「隔板(かくはん)」「ベランダ隔て」「戸境壁(こざかいへき)」などと呼ばれることもあります。
そして、災害時には容易に破壊できる程度の強度が必要です。
ベランダのパーテーションには、以下の2つの役割があります。
プライバシー保護
ベランダのパーテーションは、隣人とのプライバシーを保護するために重要な役割を果たしています。
ベランダは、洗濯物を干したり、ガーデニングを楽しんだりするスペースとして使用される場所です。
そのため、プライバシーが確保されていないと、他人の視線が気になって、リラックスして過ごすことができません。
このような観点から、雨風などの外的な刺激では壊れにくい素材が用いられます。
災害時の避難経路確保
消防庁告示第三号では、火災が発生した場合に備え、2つの異なった避難経路を確保するよう定められています。
災害時に共用廊下が使えない場合、パーテーションが破られることで、ベランダが避難経路になるのです。
ベランダの境壁は、通常時は仕切りとしての役割を果たしますが、災害時には容易に破壊できる程度の強度が求められます。
ベランダ修理の基礎|パーテーションの種類と特徴
ベランダのパーテーションには、ケイカル板とフレキシブル板の2種類があります。
どちらも建築基準法において不燃材料の認定を受けている材質です。
ケイカル板は、ケイ酸質や石灰質などの軽い素材でできており、耐水性や耐火性に優れています。
フレキシブル板は、セメントでできており、重量があり、耐水性や耐火性にも優れています。
また境壁の厚みは、5mm前後が一般的です。
厚みが1mm違うと強度に大きな違いが生じます。
境壁を破る事態に直面した際は、材料の強度に応じた対応が必要です。
もしものことが起こる前に、境壁の素材や厚みを確認しておくとよいでしょう。
ベランダ修理が必要な状態とは?パーテーションの劣化症状
ベランダのパーテーションは、屋外に設置されているため、風雨や紫外線などの影響を受けやすく、劣化しやすいものです。
劣化の症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 変色やひび割れ:紫外線の影響で、パーテーションの表面が変色したり、ひび割れたりする
- 腐食:雨水や湿気の影響で、パーテーションが腐食する
- 歪みや変形:風や地震などの影響で、パーテーションが歪んだり、変形したりする
このような劣化症状が見られたら、早めに修理や交換を行う必要があります。
また、劣化を防ぐためには、定期的なメンテナンスを行うことが大切です。
ベランダのパーテーションが壊れる原因|破損は早めの修理が必要
ベランダのパーテーションが壊れる原因は、大きく分けて以下の2つが挙げられます。
経年劣化
パーテーションは、屋外に設置されているため、風雨や紫外線などの影響を受けやすく、劣化しやすいものです。
経年劣化によって、パーテーションの強度が低下し、壊れやすくなります。
経年劣化による破損は、パーテーションの素材や設置場所によって、発生する時期や頻度が異なります。
ベランダのパーテーションは、紫外線の影響を受けやすいため、経年劣化による破損が発生しやすい傾向があります。
また、ベランダの角や端部は、風の影響を受けやすいため、破損が発生しやすい場所です。
衝撃や破壊行為
風や地震などの自然災害や、人為的な衝撃や破壊行為によって、パーテーションが壊れることがあります。
人為的な衝撃や破壊行為による破損は、事故やトラブルによって発生することがあります。
例えば、ベランダで洗濯物を干しているときに、風で物が飛んできて、パーテーションにぶつかったり、落下したりすることも考えられることです。
また、隣人とのトラブルによって、パーテーションを破壊されることもあります。
ベランダのパーテーションが壊れた場合は、早めに修理や交換を行う必要があります。
また、破損を防ぐためには、定期的な点検を行い、劣化が見られたら早めに対処することが大切です。
ベランダのパーテーションが壊れたときの対処法|修理を依頼
ベランダのパーテーションが割れた場合は、まず現場の写真を撮り、管理人か管理会社に連絡しましょう。
現場の写真を撮る理由は、後に火災保険が適用される場合の証拠になるからです。
その後、できるだけ迅速に隔板の修理や交換を専門業者に依頼し、応急処置としてブルーシートや段ボールで破れた部分を覆っておきます。
応急処置するときは、二次災害を防ぐため、素材が飛ばないようにしっかりと貼ります。
ベランダのパーテーション修理・交換
ベランダのパーテーションが壊れたときは、以下のような対処法があります。
また、ベランダのパーテーション修理は、小規模修繕の対象となる場合が多いです。
パーテーションを修理する
パーテーションの破損が軽微なものであれば、修理することで元通りにすることが可能です。
修理方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 割れた部分を接着する
- 歪んだ金物部分を補修する
このとき、割れたパーテーションの厚みは必ず測っておきましょう。
パーテーションの厚みが違うと、枠に取り付けることができないからです。
また、金物部分が歪んでしまった場合、一旦撤去してパーテーションに合った形状に整えます。
金物をパーテーションに取り付けて作業完了です。
修理は、自分で行うことも可能ですが、難しい場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
パーテーションを交換する
パーテーションの破損が重度であれば、交換する必要があります。
交換する際は、同じ素材やデザインのパーテーションを選ぶのが大切です。
また、パーテーションの設置方法についても、専門業者に相談することをおすすめします。
ベランダのパーテーション修理・交換の費用と期間
ベランダのパーテーションの修理・交換の費用と期間は、以下のとおりです。
修理内容 | 費用相場 | 期間 |
割れた部分を接着する | 約5,000〜1万円 | 半日〜1日 |
歪んだ部分を補修する | 約5,000〜1万円 | 半日〜1日 |
パーテーションを交換する | 約2万〜3万円 | 半日〜1日 |
大規模修繕で行うベランダのパーテーション修理・交換の費用相場や期間は、パーテーションの種類やサイズによって異なります。パーテーションのみの工事は別途費用が発生します。大規模修繕工事のセットであれば上記表の金額になりますが、単体の場合は、80,000円前後の費用がかかります。
ベランダのパーテーションは、消防法によって以下のように定められています。
- 高さ800mm以上、幅600mm以上、床面から150mm以下で設置し、ハッチまでの通路は最低 600 ㎜以上確保すること
- ハッチを 700 ㎜で行う場合は、隔て板の幅及び通路は 700 ㎜以上とすること
参考:消防法施行令第25条、避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目
設置するパーテーションのサイズが900mmを超える場合は、特注品となるので費用も高くなるので注意が必要です。
ベランダのパーテーションが壊れた場合は、早めに修理や交換を行うことが大切です。
また、修理や交換の費用を抑えるためにも、複数の業者に見積もりを取って、比較検討することをおすすめします。
ベランダのパーテーションの修理・交換費用は誰が負担する?
パーテーションの修理・交換は、一般的に建物の管理費や火災保険を適用して行います。
自然災害による破損は、火災保険が適用される範囲内です。
ただし、入居者の故意や過失によってに破られた場合は、入居者が負担することもあります。
入居者には原状回復する義務があり、パーテーションも含まれるため、入居時の契約をしっかり確認することが大切です。
ベランダのパーテーション修理・交換を依頼する際のポイント
ベランダのパーテーション修理・交換を依頼する際のポイントは、以下のとおりです。
複数の業者に見積もりを取る
複数の業者に見積もりを取ることで、費用や業者の対応や技術力などの比較検討ができます。
パーテーションの修理・交換は、専門知識や技術が必要な作業です。
そのため、業者の資格や経験を確認しておきましょう。
見積もりの記載内容を確認する
修理や交換の後に、再び故障した場合に備えて、保証内容を確認しておきましょう。
また、施工日程の確認も重要です。
施工日程は、業者の繁忙状況によって異なります。
緊急を要する施工依頼の場合は、早めに業者に連絡しておきましょう。
契約書を交わす
依頼内容や費用、施工日程など、契約内容を明確にするために、契約書を交わしましょう。
具体的には、以下の点を確認して契約書を交わすことが重要です。
- 依頼内容
- 費用
- 施工日程
- 保証内容
- キャンセル料
また、パーテーションが共有部分である場合は、管理会社や大家に連絡して、修理・交換を行ってもらいましょう。
ベランダのパーテーション修理のまとめ
ここまで、ベランダのパーテーション修理について解説してきました。
この記事の要点は、以下のとおりです。
- パーテーションが壊れた場合は、まず現場の写真を撮り、管理人か管理会社に連絡する。
- その後、できるだけ迅速にパーテーションの修理や交換を専門業者に依頼する。
- 応急処置として、ブルーシートや段ボールで破れた部分を覆っておく。
- パーテーションの修理・交換の費用は、パーテーションの種類やサイズによって異なる。
- パーテーションの修理・交換費用は、自然災害による場合、火災保険が適用される。
- 入居者の故意や過失による破損は、入居者が負担する可能性がある。
- ベランダのパーテーション修理・交換を依頼する際は複数の業者に見積もりを取る。
- 業者の資格や経験、見積書の記載内容を確認して契約書を交わすのがベスト
ベランダのパーテーションが壊れた場合は、早めに修理や交換を行うことが大切です。
また、修理や交換の費用を抑えるためにも、複数の業者に見積もりを取って、比較検討することをおすすめします。