マンションの階段や外廊下の床を改修する際、どのような施工があるのか、詳しく理解し、選択したいと考える方が多いでしょう。
階段・外廊下を施工する方法として、長尺シートを用いた工事が挙げられます。
ほかの方法と比較するためにも、長尺シートの特徴、メリットやデメリットを理解しておきましょう。
そこで今回は、長尺シートとはどのようなものなのか、ほかの施工方法との違い、メリットやデメリットを詳しく解説します。
目次
長尺シートとは?
長尺シートとは、正式には防滑性ビニル床シートと呼ばれるものです。
最大の特徴は、床専用シートでありながら滑らず、掃除の手間もかからず、遮音効果もあることです。
マンションの廊下床や階段に使われることが多く、ベランダや屋上で見たことがある方も多いのではないでしょうか。
長尺シートを施工できる業者が少ない(なかなか見つからない)ため、工事費が高騰しているといわれています。
作業の性質上、床の塗装に比べれば決して安くはなく、平均すると2倍程度の費用がかかりますが、それでも作業する価値は十分にあるでしょう。
塗装(塗り床)と長尺シートの違いは?
現在、階段や外廊下の床がコンクリートや塗装の場合、次のようなリフォーム方法があります。
- 塗り替える
- 長尺シートを貼る
塗装は、比較的安価であり、複雑な場所でも施工可能なことです。
ただし、汚れやすく、耐久性が悪い点がデメリットだといえるでしょう。
また、工事中、道路が通行止めになります。
さらに、濡れると滑りやすいため注意が必要です。
一方、長尺シートは滑りにくく、遮音効果があり、施工後の清掃の手間がかからず意匠性も高いです。
ただし、塗装に比べて費用がかかります。
一概に長尺シートが良いとはいえませんが、維持費や耐用年数を考えると長尺シートを選択した方がコストパフォーマンスは良いでしょう。
長尺シートの施工費の相場
大きさにもよりますが、廊下で1㎡あたり3,800円~5,500円が相場です。
エッジシール、下地調整などは別途費用がかかります。
長尺シートのメリット
長尺シートを選択するかどうかを決めるためには、メリットとデメリットを把握しておかなければなりません。
ここでは、マンションやアパートの階段や外廊下に長尺シートを使用することのメリットを紹介します。
長尺シートのメリット.1耐久性がある
長尺シートのメリットは、耐久性の高さです。
具体的には、クッションフロアの上に物を落とすと破れてしまうことがありますが、長尺シートはほとんど破れません。
また、長尺シートの場合は家具を置いてもほとんどへこみが残りません。
また、長尺シートには熱や薬、油に強いものもあり、病院から工場までさまざまな施設で使用できます。
つまり、住宅の床材はクッションフロアが主流ですが、長尺シートはあらゆる施設に対応できるのです。
長尺シートのメリット.2優れた機能性
安価で施工しやすいように機能を限定しているシートもありますが、長尺シートは機能性を重視していることが特徴です。
長尺シートは防水性だけではなく、耐薬品性、耐油性、耐熱性などに優れた製品もあり、使用場所に応じて使い分けることができます。
また、転倒時の衝撃を緩和するクッション性の高い長尺シートもあり、多くの人が利用する店舗や病院、公共施設などで使用されています。
一般家庭でも、天然素材の長尺シート「リノリウム」であれば、小さな子どもがいる家庭でも安心して使うことができるでしょう。
長尺シートのメリット.3メンテナンスが簡単
長尺シートは耐久性が高いため、メンテナンスの頻度を減らすことができます。
メンテナンスが容易なことが、店舗や公共施設など多くの人が利用する場所でもよく使われている理由です。
さらに、長尺シートはお手入れが簡単なだけではなく、長期間ワックスがけが不要なものもあります。
価格が高くても、メンテナンスにかかるコストを考えれば効果が期待できるのがメリットです。
長尺シートのメリット.4デザインの自由度が高い
長尺シートはクッションフロアと同様、表面の仕上げを変えるだけで様々なデザインの床にできます。
フローリングのような木調や、大理石調で高級感があるものも選択できます。
また、長尺シートは硬い素材でできているため、本物の木や石と見間違うような質感を出しやすいでしょう。
デザイン性の高さから、店舗での採用も多いです。
足長尺シートのメリット.5音が響きにくい遮音効果がある
従来は、ハイヒールや革靴を履いて、塗装された床やモルタルなどの硬い面を歩くと、乾いた足音が響いていました。
しかし、長尺シートは厚みがあり、シート自体に衝撃音を遮断する機能があります。
そのため、長尺シートであれば足音が響きにくいことがメリットです。
長尺シートのメリット.6滑り止め効果があり雨でも滑りにくい
長尺シートは表面に凹凸があるため、滑りにくいことが特徴です。
床が塗装されていると雨水で足元が滑りやすくなりますが、長尺シートを使えばクッション性があるため踏んでも滑りにくいでしょう。
長尺シートのメリット.7工事中に通路を閉鎖する必要はない
長尺シートの施工では、階段・外廊下を閉鎖する必要がありません。
塗装の場合、半日程度道路を閉鎖することになり、住民の生活に支障をきたします。
しかし、長尺シートなら住民からの苦情も起こりにくいでしょう。
施工業者によっては、一時通行止めの案内、歩行誘導も行います。
そのため、住民生活への支障はほとんどありません。
長尺シートのデメリット
一般的に機能性の高い長尺シートですが、デメリットもあります。
次に、長尺シートを選択するうえで注意したいデメリットを紹介します。
長尺シートのデメリット.1コストが高い
機能性に優れた長尺シートですが、材料の手配や施工にかかるコストはほかの施工方法よりも高くなる傾向にあります。
そもそも長尺シートはホームセンターなどではあまり販売されておらず、床材メーカーから直接購入することが多いです。
一般市場にはほとんど出回っていないため、素材自体の価格も高いのです。
さらに、長尺シートは一定面積以上の注文がないと購入できないこともあり、小規模住宅では施工が難しいでしょう。
また、施工が簡単ではないため、施工費が高くなり、全体的なコストが高くなる傾向にあります。
長尺シートのデメリット.2DIYは困難
長尺シートはクッションフロアに比べて重く硬いため、施工が非常に難しいことが特徴です。
部分的にでも長尺シートを使用したい場合は、購入から施工まで業者に任せることをおすすめします。
長尺シート貼りの流れ
長尺シートの施工をする場合、どのような流れで作業が行われるのでしょうか。
ここでは、長尺シート貼りの流れを紹介します。
長尺シート貼りの流れ.1仮敷き
仮敷きとは、接着剤を塗る前にシートのサイズを床に合わせて調整することです。
角まで細かくカットします。
仮敷きの時、シートの継ぎ目のパターンを素早く丁寧に揃えることがポイントです。
長尺シート貼りの流れ.2貼り付け
クシゴテと呼ばれる、先端がギザギザになった特殊な道具を使って接着剤を塗ります。
クシ状に接着剤を塗布することで、均一な接着面に仕上がります。
長尺シート貼り床に接着剤を塗る際、廊下の片側ずつ接着剤を塗ることで、入居者の歩く道を確保しながら作業をします。
長尺シート貼りの流れ.3締め固め
締め固めの作業で床とシートの接着力を高め、長尺シートが後で浮いてくるのを防ぎます。
小さなローラーと大きなローラーを使い分け、しっかりと転圧します。
長尺シート貼りの流れ.4溶接作業
長尺シートとシートの間にはわずかな隙間があり、隙間をそのままにしておくと、雨水や汚れが入り込んで劣化の原因になります。
そのため、溶接棒で継ぎ目を埋めなければなりません。
出っ張った部分を切り落とすと、継ぎ目が埋まります。
長尺シート貼りの流れ.5シーリング処理
長尺シートの端にシーリング材を充填します。
乾かないうちにヘラで塗り広げることが重要です。
マスキングテープを剥がしたら、作業は完了です。
防水工事でよくある質問
Q
防水工事の種類にはどんなものがありますか?
A
主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。
Q
防水工事の費用はどのくらいかかりますか?
A
工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。
Q
工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。
Q
防水工事のタイミングはいつが良いですか?
A
一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。
長尺シートを使った施工はプロに依頼しよう
長尺シートは、メンテナンスをしやすく、靴を履く場所でも使える耐久性の高さが特徴です。
そのため、長尺シートは店舗や公共施設で使われることが多いですが、もちろんマンションやアパート、一般家庭でも使用できます。
長尺シートの施工は、見栄えを良くするだけではなく、マンションやアパートの資産価値を高める効果もあります。
長尺シートをDIYで施工するのは難しいため、施工はプロに依頼しましょう。