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腐食は大丈夫ですか?見落とされがちなビルピット防水工事

ビルの地下には、さまざまな施設があります。

特に水回りの設備が地下にあると、下水配管よりも低い位置になり、自然に排水できません。

そこで貯水槽としてビルピットを作り、排水ポンプでくみ上げる仕組みを取ります。

ビルピットは排水をため込むための設備で、所有者が維持管理しなければいけません。

もし異常があれば、周囲の環境に対して悪臭を含めた被害が出るのは容易に想像できるはずです。

そこで防水処置が必要ですが、本当に今でもしっかり機能しているでしょうか。

ビルピット防水工事は非常に重要ですが、見落とされがちです。

そこでビルピットではどのようなことが起きるのか、防水工事の必要性などを詳しく解説していきます。

ビルの防水工事とは

ビルの防水工事とは、建物内部への水の浸入を防ぐために屋上や外壁などに施す工事です。特に雨水が侵入すると、内部の構造や設備に悪影響を及ぼし、耐久性の低下や漏水被害につながることがあります。そのため、建物の劣化を防ぎ、長期的な資産価値を維持するためにも、定期的な防水工事が必要です。防水材や工法にはさまざまな種類があり、建物の規模や使用目的に合わせた適切な選択が求められます。正確な施工が行われることで、ビルの安全性や快適性が向上します。

ビルの防水工事にかかる費用

ビルの防水工事にかかる費用は、使用する防水材や施工面積によって変動します。一般的な相場は1㎡あたり5,000〜15,000円ですが、工事の規模や下地の補修範囲によって追加費用が発生することもあります。例えば、シート防水は比較的安価ですが、アスファルト防水は高価になる傾向があります。また、工事期間も費用に影響し、短期集中型の工事はコストが上がる場合があります。適切な見積もりを取得し、予算に応じた施工内容を決定することが重要です。

ビル防水工事業者の選び方

ビルの防水工事を行う場合、専門の業者を選ぶことが大切です。しかし、専門業社は数多く存在するなかで、依頼内容や工事金額、要望に沿った工事内容を提供してくれるところを見つけなければなりません。適切な業者を選ぶにはいくつか方法がありますので、以下にて説明します。信頼性の高い業者を選び、長期的な防水効果と適切なサポートを得られるようにしましょう。

実績と専門知識の確認

ビル防水工事業者を選ぶ際は、まずその業者の実績と専門知識を確認することが重要です。過去の施工事例を見せてもらい、ビルの規模や使用された防水工法が自社の建物に適しているかを見極めましょう。

また、長年の経験を持つ業者は、多種多様な状況に対応できるノウハウを持っているため、より安心して依頼できます。特に、防水工事は建物の寿命に直結するため、信頼性の高い業者を選ぶことで、建物の安全性や資産価値を保つことができます。実績のある業者は、適切な材料の選定から施工後の管理まで、包括的なサービスを提供してくれます。

保証内容とアフターフォロー

業者選びにおいては、保証内容とアフターフォローの充実度も大切なポイントです。防水工事は長期的な効果を求めるものですので、一定期間内に発生した不具合に対する保証があるか確認しましょう。

保証期間が長ければ、それだけ工事の質に自信を持っている証拠でもあります。また、施工後の定期点検やメンテナンスサービスが提供されるかどうかを確認することで、より安心できる防水対策が期待できます。しっかりしたアフターケアがある業者を選ぶことで、工事後の不安を最小限に抑え、長期にわたる防水効果を維持しましょう。

ビル防水工事の見積りを確認する

ビル防水工事の見積もりを確認する際は、詳細な内訳を確認し、適正な価格と内容であるかを見極めることが重要です。見積もりは、工事の範囲や使用する材料、工期、保証内容などが正確に記載されている必要があります。不明点があれば業者に質問し、すべての項目について十分な説明を受けましょう。また、ビル防水工事の見積もりにおける重要なチェックポイントをいくつか詳しく説明します。

明確な工事内容

見積もりでは、工事の範囲と具体的な施工内容が明確に記載されているかを確認しましょう。例えば、屋上全体の防水施工なのか、部分的な補修工事なのか、または下地補修や排水設備の改修が含まれるのかなどが明記されている必要があります。工事範囲が曖昧な場合、後から追加工事が発生し、予想以上のコスト増加となることがあります。すべての作業内容を事前に把握することで、工事後のトラブルを防ぐことができます。

使用する材料の種類と数量

防水工事に使用する防水材の種類や数量も、見積もりで確認すべき重要なポイントです。シート防水、塗膜防水、アスファルト防水など、どの防水材が使用されるかによって工事費用が変動します。さらに、使用する防水材の厚さや必要な数量が適切に記載されているかをチェックしましょう。品質の低い防水材を使用すると、工事の耐久性が低下する可能性があるため、信頼性の高い防水材を選ぶことが大切です。

ビルピットと防水工事

ビルピットは適切に維持管理しなければいけません。

そのためにも役割と構造、防水工事の関係を見ていきましょう。

防水工事を行うビルピットとは

ビルの地下で発生した排水を一時的に溜めるための設備です。

公共の下水配管より高い位置であれば、自然に排水できます。

ところが、地下にある設備などは、高さの関係上、公共下水に自然に排水できません。

下水は浄水とは違い、圧力をかけて排出する仕組みではないからです。

低いところから高いところへと流すためには、ポンプでくみ上げ排水する必要が出てきます。

ポンプでくみ上げるために溜めおくのが、地下に作るビルピットの役割です。

常にビル内で発生する排水を溜めることから、堅牢になるようコンクリートで作ります。

ビルピットにおける防水工事の必要性

もしも、ビルピットの排水が漏れ出したらどうなるでしょうか。

ビル内で発生したさまざまな排水をため込むのがビルピットの役割になるため、もし漏水するようなことがあれば、必ず悪臭を伴います。

ビルの設備に対してだけでなく、周辺環境にも悪影響を与えるかもしれません。

日常生活が遅れないような悪臭が漂えば、生活環境にも大きな影響を与えかねない問題です。

そのため、コンクリートにも影響を与えないよう防水処置をします。

もちろん、新築のときには防水処置が新しく漏水する可能性は低いでしょう。

ところが、いつまでもこの状態が保てるわけではありません。

防水が機能するよう定期点検が必要で、状態によっては改めて防水工事が必要です。

ビルピットに防水工事の機能を果たすライニング材

ビルピットはコンクリートで作られる設備です。

しかし、このままでは排水に含まれる物質に侵食される可能性があることから、ライニング材を使って被覆します。

コンクリートを守ると同時に、漏水に対する防水の役割を果たすのです。

ビルピットのライニング材としては、ゴムシートや塩ビシート、エポキシ樹脂、強化プラスチックなどが一般的に使われてきました。

明確な定義ではありませんが、厚みが1mm以上ある場合をライニングと呼び、1mm以下をコーティングと分類しています。

ビルピットの場合、いろいろな排水が流れ込むことから、エポキシ樹脂のような塗布型ライニング材に10年保証が義務付けられるようになりました。

それぐらいの耐久性がなければ周辺環境に与える被害が大きく、メーカー側としても責任が問われることから、年々品質が高まっています。

防水工事機能を持つビルピットのライニング材が劣化する原因

ビルピットには防水処置としても、ライニング材が使われます。

理由はいくつかありますが、通常の防水処置だけでは対策できないからです。

排水には想定外の物質が流れ込んでくる可能性があり、通常の防水処置だけではビルピットを劣化させるため、耐えられるライニング材が必要となりました。

これまでビルピットといえば、硫化水素が大きな焦点になったのは間違いありません。

強烈な悪臭の原因で、排水を2時間以上貯留するだけで生成されることがわかっていたからです。

硫化水素は人体に有害であり、高濃度な状態で吸い込めば死亡原因にもつながります。

高い危険性を持つ気体ですが、ライニング材を使うことで、コンクリートに対する侵食も抑えていました。

ところが、ビルピットの中で発生する物質の研究が進んだことで、防水処置に使われる樹脂も侵食する可能性が指摘されるようになったのです。

ビルピットでは、下水処理場などで確認されている有機酸が発生することがわかっています。

この有機酸がライニング材も侵食するため、耐食性を高めたライニング材が必要となったのです。

ここで問題になるのは、ライニング材だけでは防水性がありません。

防水処置では耐食性の問題があるため、両立できる防水工事の必要が出てきたといえるでしょう。

気が付きにくいビルピットのコンクリート防食

ビルピットのコンクリートを侵食するといっても、なかなか理解できないかもしれません。

堅牢で強固なコンクリートも、実はもろい部分があるからです。

コンクリートは侵食されて劣化する

かつてコンクリートは100年持つといわれてきました。

古い建築物でも残っているため、そう思うのも致し方ありません。

ですが、現在は50年どころか30年もたたずに劣化するとまでいわれるようになりました。

環境によっても違いますが、コンクリートには劣化する要因がいくつもあるからです。

特にビルピット内でも起こる中性化の問題は、非常に大きな影響を与えます。

硫化水素とコンクリートの強度

コンクリートは腐食する可能性があります。

腐食とは、その名前の通り腐ることですが、正確には無機物であるコンクリートは腐りません。

しかし、徐々になんらかの物質によって侵食され、まさに腐るようにボロボロになることがあるのです。

そのひとつが硫化水素です。

コンクリートはアルカリ性物質です。

強度を保つためにも、アルカリ性でなければいけません。

硫化水素は排水に含まれている微生物や細菌が作り出しますが、気中に放出されると硫酸を作り出すのです。

硫酸は酸性物質ですので、アルカリ性のコンクリートとぶつかると中性化させます。

アルカリ性を保てなくなったことで結合力を失い、ボロボロと劣化するのです。

硫化水素はビルピット内では2時間も排水を放置すれば発生するのですから、まさにコンクリートにとっては最悪の環境といえます。

ビルピットのコンクリートを守るためライニング材が存在しますが、有機酸などが劣化させると、硫化水素の影響で腐食が進むのです。

ビルピットが常に維持管理の点検、防食と防水施工が必要なのは、こうした複雑な関係が起因しています。

ビルピットのコンクリートが劣化したらどうなるか

もしビルピットのコンクリートが劣化し、漏水したらどうなるでしょうか。

硫化水素は、人体にも影響を与えます。

居住空間に漏れ出せば、正常な生活を脅かすことになり、必ず大きな問題につながるのです。

高いリスクがあるからこそ、各自治体が厳格に指導してきました。

一定期間での清掃や維持管理はもちろんですし、構造の基準も厳格です。

それでも、コンクリートの劣化は進むかもしれません。

だからこそ、しっかりとした防食を含む防水工事をしなければいけないといえます。

なぜコンクリートの劣化に気が付かないか

コンクリートの劣化は、昨日今日に始まった問題ではありません。

しかし、ビルピットの防水が保たれなくなり、漏水や悪臭の事例があとを絶たないわけです。

理由にあげられるのが、屋上などと違い地下にあることでしょう。

ビルピットはその機能上、地下の最下層に作ります。

屋上の貯水設備などと違い、漏水してもまずは地下に漏れ出すためすぐ発見できません。

すぐにわからないことから、どうしても対応が遅れるのです。

非常に大きな問題に発展してから気が付くことからも、定期的な点検が必要といえます。

専門業者に依頼しないと点検できないことも問題です。

ビルピットがあることは知っていても、自分で点検するでしょうか?

見に行ったとしても、道具や知識もなければ点検もできません。

つまり、ビルピットの防水は、後手に回りやすいのです。

ビルピットの防水施工にも関係する法令

ビルピットに関する法令として、建築物における衛生的環境の確保に関する法律があります。

もともと昭和45年に作られた法律ですが、令和4年に改正されました。

この法律では、良好な状態に維持管理できる措置を定めること、6カ月以内に1度は清掃しなければいけないとしています。

実際に東京都の条例には、建築物における排水槽等の構造、維持管理等に関する指導要綱(ビルピット対策指導要綱)があり、少なくとも4カ月に1度の清掃と汚泥除去を義務付けるなど、細かに定められているのが重要です。

つまり、ビルピットの内部は定期的に清掃する必要があり、防水できているか点検が必要だとしています。

なにもしていないと、ビルピットの防水や防食が6カ月程度でも耐えきれなくなる可能性も示唆しているのです。

それほど防水や防食がビルピットにとって重要な要素なのがわかります。

ビルピットの防水工事の手法

ビルピット防水工事にもさまざまな方法があります。

防水工事だけではなく、防食を含めた工法の選択が重要です。

ビルピットの防水工事の手法1.エポキシ樹脂防食

ビルピットで基本的な工法なのが、エポキシ樹脂防食です。

施工条例に合わせ、いくつもの工法が作られてきました。

工場排水などにも使われている工法で、有機酸に対する耐性を持ったものもあります。

粘性によって、目地やひび割れにも浸透させることができるため、幅広い対応が可能です。

ビルピットの防水工事の手法2.ポリマー樹脂系防水

エマルジョン樹脂とセメント系のパウダーを配合した材料を使う防水工法です。

有機溶剤は一切必要ないため、環境にも優しい工法といえます。

しかし、これだけでは防食まではいかないため、ビルピットでは下地として使われる方法です。

ビルピットの防水工事の手法3.FRP防食

有機酸のなかには、耐食エポキシ樹脂では対応できないものがあるのがわかっています。

そこで繊維強化プラスチックを用いた工法がFRP防食です。

アルカリや溶剤にも対応できます。

ビルピットの防水工事の手法4.ポリエチレン系防食

水性ポリエチレンを使った防食防水工法で、有害物質を抑えられます。

環境ホルモンも発生させない環境にやさしい素材です。

ビルピットの防水工事の手法5.防食被覆工法

クロスを使わない防食防水工法で、溶剤も必要ないため安全です。

水性のエポキシ樹脂を使うことで、防食性を高めています。

コンクリート躯体と緻密化するのも特徴です。

ビルピットの防水工事をプロに任せた方がいい理由

ビルのピット部分は、建物の基礎に近く、水漏れが起きると建物全体に深刻なダメージを与える可能性があります。そのため、ピットの防水工事は専門知識と経験を持つプロに任せることが推奨されます。

特に、ピット内は狭く作業が難しい環境であり、適切な防水材料の選定や施工技術が求められます。プロの業者は、施工前に綿密な現場調査を行い、最適な防水方法を提案します。

また、防水施工には高度な機械や特殊な技術が必要であり、適切な下地処理がされていない場合は防水効果が発揮されません。プロに任せることで、長期的な防水性能を確保し、メンテナンスのコストを抑えることが可能です。

さらに、保証期間を設ける業者も多く、工事後のトラブルにも迅速に対応してもらえるため、安心してビル管理ができます。

防水工事でよくある質問

Q

防水工事の種類にはどんなものがありますか?

A

主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。

Q

防水工事の費用はどのくらいかかりますか?

A

工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。

Q

工事の期間はどのくらいかかりますか?

A

工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。

Q

工事中の生活にどんな影響がありますか?

A

騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。

Q

防水工事のタイミングはいつが良いですか?

A

一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。

ビルピットの防水工事まとめ

この記事のまとめです。

  • ビルピットは、防水だけでなく防食工事が必要
  • 法令によって点検や維持管理に定めがある
  • 工法はいろいろあるが、使用する環境によって選ぶ必要が出てくる

ビルピットといってもテナント店舗などによって、内部の環境に差が出てきます。

状況にあった防食防水を施すことが大切です。

点検とともに、適切な維持管理のためにも、専門会社に依頼していきましょう。

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