ウレタン塗膜防水の単価はいくら?工法や規模別の相場や追加費用などを解説
2025/09/18
ウレタン塗膜防水は、マンションやビル、さらには戸建てのベランダや屋上に至るまで幅広く採用されている防水工事の代表的な工法です。液状のウレタンを塗り重ねて膜を形成するため、形状を問わず施工でき、仕上がりも美しく安定している点から多くの現場で選ばれています。
その中でも多くの方が気になるのが「単価はいくらなのか」という費用面の疑問でしょう。工法の種類や施工面積、さらに下地の劣化具合によって単価は大きく変動します。
本記事では、ウレタン塗膜防水の工法別単価や㎡数ごとの総額目安を丁寧に解説するとともに、他の防水工法との比較や見積もりをチェックする際の重要なポイントまでをわかりやすく紹介します。
目次
ウレタン塗膜防水とは?
ウレタン塗膜防水とは、屋上やベランダ、バルコニーなどに広く採用されている代表的な防水工法のひとつです。液状のウレタン樹脂を複数回塗り重ねることで、継ぎ目のない防水層を形成します。そのため、複雑な形状の下地にも柔軟に対応できる点が大きな魅力です。
さらに、塗布の厚さや回数を調整することで防水性能を高めることができ、さまざまな施工条件に合わせた柔軟な対応が可能です。特に建物の形状が複雑な場合や排水口周辺など細かな箇所にも施工できる点は、他の工法にはない大きな強みといえるでしょう。
また、仕上がりがシームレスで見た目も美しく、メンテナンス時にも部分的な補修が行いやすいという利点もあります。
ウレタン塗膜防水の仕組み
液体状のウレタン樹脂をローラーや刷毛、あるいは吹き付けによって下地に塗布し、乾燥・硬化させて強靭な防水膜を作ります。この防水膜はゴムのような弾力があり、下地の微細な動きにも追従できるため、ひび割れや隙間からの漏水を防ぎやすいのが特徴です。
さらに複数回に分けて塗り重ねるため膜厚が確保されやすく、長期的に安定した防水性能を維持することができます。場合によってはトップコートを組み合わせて紫外線劣化を防止するなど、耐候性を高める工夫も施されます。
ウレタン塗膜防水の特徴
- 継ぎ目がなく均一な防水膜を形成できる
- 複雑な形状の場所や立ち上がり部分にも対応可能
- 補修や重ね塗りによる再施工がしやすい
ウレタン塗膜防水のメリット
- 防水性が高く耐久性も十分
- 部分補修で長期間使用できる
- 施工実績が豊富で信頼性がある
ウレタン塗膜防水のデメリット
- 雨天や低温時の施工が難しい
- 硬化まで時間がかかるため工期が長くなりがち
- 職人の技術力によって仕上がりに差が出る
このように、ウレタン塗膜防水は多くの建物で採用されている信頼性の高い工法です。ここからは本題である「単価」について詳しく解説していきます。
ウレタン塗膜防水の単価相場
ウレタン防水工事の工法にはいくつかあり、㎡あたりの単価もそれぞれで異なります。
代表的な工法は「密着工法」「通気緩衝工法」「改修(重ね塗り)」の3種類です。以下で、単価相場を確認してみましょう。
密着工法の単価相場
密着工法は、下地に直接ウレタンを塗布して防水層を密着させる工法です。比較的施工が簡単で工期も短いため、コストを抑えやすいのが特徴です。
また下地との一体感が高く、薄い層でもしっかりした防水性能を発揮できます。特に新築や比較的健全な下地に適しており、施工環境が良ければ均一な仕上がりが得られます。
さらに通気緩衝工法に比べて材料費や人件費が少なく済むため、総額を抑えるには有効な方法です。ただし下地に含まれる水分や劣化がある場合は不向きであり、その点を見極めることが大切です。
- 単価目安:約4,000〜5,500円/㎡
- 適用範囲:新築や下地が健全な場合
通気緩衝工法の単価相場
通気緩衝工法は、下地とウレタン層の間に通気シートを設けることで、下地に含まれる水分や水蒸気を逃がす仕組みを備えた工法です。下地が湿っている場合や雨水の影響を受けやすい屋上でも施工が可能で、防水層の膨れや浮きを防ぐ効果が高いため、改修工事に多く採用されています。
さらに通気層によって下地の動きを吸収できるため、ひび割れや膨張によるトラブルを軽減でき、長期的に安定した防水性能を維持しやすいのも大きなメリットです。ただし密着工法より施工手順が増えるため工期が長くなりやすく、材料費や人件費も高くなる傾向がありますが、その分仕上がりの信頼性は高く、既存建物の改修においては非常に有効な選択肢となります。
- 単価目安:約5,500〜7,500円/㎡
- 適用範囲:既存の屋上や下地に劣化が見られる場合
改修・重ね塗り工事の単価相場
既存のウレタン層の上に新たに塗り重ねる方法で、既存の防水層がまだ健全で大きな劣化が見られない場合に行われます。下地処理の手間を大幅に省けるため工期が短く済み、工事費用を安く抑えられるのが最大のメリットです。
また部分的な補修やメンテナンスとしても利用でき、必要な箇所に追加で塗り重ねることで防水性能を延命できます。ただし既存層に膨れや剥がれがある場合には不向きで、そのまま塗り重ねると仕上がりに不具合が出る可能性があるため、事前の診断と適切な下地処理が欠かせません。
- 単価目安:約3,500〜4,500円/㎡
- 適用範囲:既存防水層が健全で軽度の補修で済む場合
工法別単価一覧表
工法 | 単価相場(㎡あたり) | 特徴 |
---|---|---|
密着工法 | 約4,000〜5,500円 | 下地に直接塗布。新築向き |
通気緩衝工法 | 約5,500〜7,500円 | 下地に湿気がある場合も可。改修向き |
重ね塗り改修 | 約3,500〜4,500円 | 既存層が健全な場合に低コストで施工可 |
このように工法ごとに単価が変わるため、自分の建物に適した工法を選ぶことが重要です。
㎡数ごとのウレタン塗膜防水における費用目安(小規模〜大規模)
単価相場を把握したら、実際に施工する面積ごとにどの程度の費用がかかるかを確認しておきましょう。㎡数が小さいと単価が割高になり、大規模になるほど単価が割安になる傾向があります。
ウレタン塗膜防水における費用目安|㎡数別
施工箇所 | 面積 | 単価目安 | 総額目安 |
---|---|---|---|
戸建てベランダ | 10㎡ | 約5,000円 | 約5万円 |
中規模屋上 | 40㎡ | 約6,000円 | 約24万円 |
マンション屋上 | 120㎡ | 約5,500円 | 約66万円 |
建物の規模や周辺完了などによっては、足場代・下地補修費が別途発生する可能性もあるため、目安の費用として計画と立てておくことが大切です。
ウレタン塗膜防水の単価に影響する追加費用項目
ウレタン塗膜防水の㎡単価だけを見ていても、実際の見積もり額とは大きな差が出ることがあります。理由は「追加費用」の存在です。単価は基本の工事部分のみを示すことが多く、実際には周辺の環境条件や施工場所の状態に応じてさまざまな追加費用が発生します。
ここでは、工事全体の金額に影響を与える代表的な項目をより詳しく解説し、見積もりを見る際に注意すべきポイントを理解できるように整理します。
ウレタン塗膜防水の単価に影響する追加費用|下地補修
防水工事を行う前に、下地のひび割れや劣化部分を丁寧に補修する必要があります。これを怠ると、防水層を新しくしても短期間で不具合が発生する可能性が高く、施工後すぐに漏水や剥離といったトラブルに繋がりかねません。
特にモルタルの浮きや欠損が放置されたままでは、塗布したウレタンが下地に密着せず、防水効果が十分に発揮されないリスクがあります。そのため、下地補修は単なる前準備ではなく、防水工事全体の耐久性を左右する極めて重要な工程といえるでしょう。
- ひび割れ補修:1か所あたり3,000〜5,000円程度
- モルタル浮き・欠損補修:1㎡あたり3,000〜8,000円程度
ウレタン塗膜防水の単価に影響する追加費用|足場・養生
高所作業が伴う場合や大規模な工事では、足場の設置が必須となります。足場は作業員の安全を確保するだけでなく、安定した施工品質を保つためにも欠かせない設備です。
また、足場を組むことで細部まで丁寧な作業が可能になり、結果的に防水層の耐久性を高める効果も期待できます。さらに周囲への飛散防止ネットや養生シートも必要で、これにより塗料やほこりの飛散を防ぎ、近隣への影響を最小限に抑える役割を果たします。
特に都市部や隣接建物が近い現場では、養生の徹底がトラブル防止に直結します。
- 足場設置:およそ700〜1,200円/㎡
- 養生シート:数万円規模で追加
ウレタン塗膜防水の単価に影響する追加費用|トップコート更新
ウレタン防水の仕上げにはトップコートが塗布されます。トップコートは紫外線や摩耗から防水層を保護する役割を果たすだけでなく、美観を保ち、表面の汚れ付着や劣化を防ぐ効果も持っています。
定期的に塗り替えることで防水層そのものの寿命を延ばすことができ、長期的にみると維持管理コストの削減にもつながります。
- 単価目安:約1,500〜2,500円/㎡
- 耐用年数:約5〜7年
ウレタン塗膜防水の単価に影響する追加費用|諸経費・施工管理費
現場管理や搬入出費用、廃材処理費などが含まれます。これらは一見目立たない費用ですが、工事を安全かつ円滑に進めるためには欠かせない重要な部分です。現場監督の人件費や資材の運搬コスト、施工後に出る廃材の処理費用などがここに含まれます。
工事規模や業者によって差はありますが、全体費用の5〜10%程度が目安とされ、規模が大きいほど割合が高くなる場合もあります。特に都市部や搬入経路が複雑な現場では想定以上に費用が膨らむこともあるため、見積もり時には必ず確認しておくべきポイントです。
ウレタン塗膜防水以外の工法と単価はどれくらい違う?
ウレタン塗膜防水を検討する際は、他の防水工法との単価や耐用年数を比較することが重要です。それぞれの工法に特徴があるため、条件に応じて最適な選択肢が変わります。
ウレタン塗膜防水以外の工法との単価比較
工法 | 単価相場(㎡あたり) | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|
シート防水 | およそ4,500〜6,500円 | 10〜15年程度 | 塩ビシートやゴムシートを貼る。厚みが均一で耐候性に優れる |
アスファルト防水 | およそ6,000〜8,500円 | 15〜20年程度 | アスファルトを溶かし複数層を形成。耐久性が高く大規模建築向き |
FRP防水 | およそ5,500〜7,500円 | 10〜12年程度 | ガラス繊維強化プラスチックを使用。硬化後は強靭でベランダなど小規模に最適 |
ウレタン塗膜防水 | およそ3,500〜7,500円 | 10〜13年程度 | 継ぎ目なし・複雑形状に対応可 |
予算計画を立てる際は、それぞれの費用対効果などを踏まえたうえで検討することが重要です。
ウレタン塗膜防水の見積書でのチェックポイント|単価が妥当化判断しよう!
防水工事の見積もりは単に金額を知るためのものではなく、工事内容の妥当性や業者の信頼性を見極めるための重要な判断材料でもあります。そのため、単価の内訳や条件をしっかり確認することが大切です。
ここでは、見積もりを受け取った際に必ずチェックしておきたいポイントを整理します。
ウレタン塗膜防水の見積書でのチェックポイント1.材料費・人件費・諸経費の内訳
見積もりには、材料費・人件費・諸経費が含まれています。これらのバランスを確認し、極端に安い項目や不明瞭な費用がないかを見極めましょう。安すぎる場合は、材料の質や施工精度に不安が残る可能性があります。
例えば、材料費が極端に安いと耐久性の低い資材が使われているかもしれませんし、人件費が安すぎると熟練職人ではなく経験の浅い作業員が中心になる可能性も考えられます。諸経費についても、現場管理費や廃材処理費が含まれているかを必ず確認しましょう。
ウレタン塗膜防水の見積書でのチェックポイント2.単価が安いが保証が短いケースへの注意
単価が相場より安くても、保証年数が短い場合は注意が必要です。防水工事は長期的な耐久性が求められるため、費用だけでなく保証条件も必ず比較検討してください。
保証が5年と10年では、その後の維持管理にかかるコストに大きな差が生まれます。単価が多少高くても長期保証付きの業者を選ぶ方が、長期的に見ればお得になることが多いのです。
ウレタン塗膜防水を依頼する際の業者選びのコツ
工事費用を左右するのは単価だけではありません。業者の実績や対応力も仕上がりに直結します。業者選びを誤ると、同じ単価でも仕上がりや耐久性に大きな差が出るため、慎重な見極めが必要です。
ここでは、信頼できる業者を選ぶためのポイントを紹介します。
ウレタン塗膜防水を依頼する際の業者選びのコツ|実績数を確認する
施工実績が豊富な業者は、トラブル回避や適切な工法選定に強みを持っています。公式サイトや施工事例を確認しましょう。実績が多い業者ほど、施工品質が安定しており、特殊な条件下でも柔軟に対応してくれる可能性が高まります。
また、実績を見る際には施工規模や建物の種類(戸建て、マンション、ビルなど)が自分の物件に近いかどうかもチェックしておくと、より安心して依頼できます。口コミや第三者評価を参考にするのも有効です。
防ウレタン塗膜防水を依頼する際の業者選びのコツ|水工事専門か総合リフォームか
防水を専門とする業者は知識と経験が豊富で、高品質な施工が期待できます。細かな技術や新しい工法に精通しているため、難しい条件下でも高い品質を実現できる可能性があります。
一方で総合リフォーム業者は幅広い対応力があるため、防水工事と同時に外壁塗装や屋根工事などをまとめて依頼したい場合に有利です。費用や工期を効率化できる点も強みですが、専門性では差が出ることもあるため、自分の建物の状況や工事内容に応じて、どちらが適しているかを見極めることが大切です。
ウレタン塗膜防水を依頼する際の業者選びのコツ|保証と施工後の対応
保証内容やアフターフォロー体制を必ず確認しましょう。保証が長く、定期点検や補修対応がある業者を選ぶことで安心度が高まります。特に、保証書が明文化されているか、どの範囲まで保証対象になるのかを事前に確認しておくとトラブルを避けられます。
アフター対応が不十分だと、不具合が生じた際に追加費用がかかるリスクがあるため、契約前に確認しておくことが大切です。また、施工後に定期点検の案内やメンテナンスの提案をしてくれる業者は信頼度が高く、長期的なパートナーとして安心して任せられるでしょう。
よくある質問(FAQ)
実際にウレタン塗膜防水を検討しているものの、不安や疑問を抱えている方も多いでしょう。
ここでは、よく寄せられる質問に回答しておりますので、参考にしてみてください。
Q1. ウレタン塗膜防水の単価は地域によって違いますか?
はい。都市部では人件費や諸経費が高くなる傾向があるため、地方と比べて単価が上がる場合があります。また、寒冷地や海沿いなど特殊な環境では、材料の選定や施工方法が変わることもあり、それが単価に影響します。
例えば、豪雪地域では積雪荷重に対応するため膜厚を増す必要があり、結果的に材料費が増えるケースも見られます。沿岸部では塩害に強い材料を採用することが推奨され、通常よりコストが高くなることがあります。
Q2. 部分補修と全面改修では単価が変わりますか?
変わります。部分補修は一見安く済みますが、単価は割高になることも多く、面積が大きい場合は全面改修の方が効率的です。
特に防水層全体に劣化が見られる場合は、部分補修を繰り返すより全面改修を選んだ方が長期的には費用を抑えられるケースが多いです。また部分補修では色や仕上がりに差が出ることがあり、美観を重視する建物では全面改修の方がメリットが大きくなる傾向があります。
Q3. 面積が少ないと単価は高くなりますか?
はい。10㎡程度の小規模工事では、施工効率が悪いため単価が高めに設定されることがあります。
これは作業準備や養生、職人の手間が同じように必要になるためで、規模の経済が働かないことが理由です。さらに、小規模現場では材料のロスが出やすく、余剰分の処分費用が加算される場合もあります。
Q4. 相見積もりで単価を下げられますか?
複数業者に見積もりを依頼することで、相場感を把握でき、価格交渉の余地も生まれます。必ず2〜3社以上で比較しましょう。
相見積もりを提示することで、業者同士の競争が働き、単価を抑えやすくなります。ただし単に最安値を提示する業者ではなく、保証内容や施工実績まで含めて比較することが大切です。
Q5. 助成金や補助金で費用を安くできますか?
自治体によっては、省エネ改修や防水工事に補助金が出る場合があります。事前に自治体の公式サイトや窓口で確認してください。国の制度や長期優良住宅関連の補助金が適用できるケースもあるため、併せて調べるとさらに負担を軽減できる可能性があります。
ウレタン塗膜防水の単価の理解が工事の成功につながる|まとめ
ウレタン塗膜防水の単価は工法や施工面積によって異なりますが、㎡あたり3,500〜7,500円程度が目安です。さらに、下地補修や足場設置などの追加費用が総額に大きな影響を与えます。他の防水工法との比較を行い、適切な工法を選択することも重要です。
見積もりでは、単価の内訳や保証条件をしっかり確認し、信頼できる業者を選びましょう。複数の見積もりを比較することで、適正価格と安心の施工を実現できます。最終的には「単価」だけでなく、品質や保証を含めた総合的な判断が成功への鍵となります。単価の数字にとらわれず、施工後の安心や建物の寿命を延ばすという視点で考えることが、長期的に満足度の高い工事につながります。