
マンション大規模修繕3回目の工事内容から費用・管理組合の役割まで詳しく解説
2025/07/24
マンションの大規模修繕は、建物の劣化を防ぎ、長く快適に住み続けるために欠かせない重要な工事です。特に3回目の大規模修繕は、築30年以上のタイミングで実施されるケースが多く、1回目・2回目よりも大がかりな工事や費用の増加が予想されます。本記事では、「マンション 大規模 修繕 3 回目」というキーワードで情報収集している管理組合や住民の方に向けて、工事内容・費用相場・注意点までを解説します。
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目次
マンション大規模修繕の基本と3回目が必要な理由
大規模修繕は、屋上・外壁・バルコニー・共用設備などの劣化を定期的に修復し、建物全体の機能・美観・安全性を保つための計画的な修繕工事です。12〜15年周期での実施が推奨されており、一般的な実施年数は以下の通りです。
修繕回数 | 実施時期(目安) |
1回目 | 築12〜15年頃 |
2回目 | 築25〜30年頃 |
3回目 | 築30〜40年頃 |
3回目の大規模修繕になると、単なる劣化補修にとどまらず、「建物の機能向上」や「耐震・省エネ性能の改善」なども求められるようになります。
「3回目修繕」が築30〜40年で必要となる理由
3回目の大規模修繕が重要視される最大の理由は、建物構造や設備が設計上の耐用年数の限界に達し、単なる補修では維持できなくなる時期だからです。築30〜40年の建物には以下のような問題が複合的に現れ、対応を先延ばしにすることで深刻な劣化や資産価値の低下につながる恐れがあります。
給排水管や電気設備の老朽化によるライフラインの脆弱化
マンション内の給水・排水管、電気配線などのインフラ設備の耐用年数は30〜40年程度とされており、3回目の修繕時期とちょうど重なります。
- 給水管:サビによる赤水、漏水、減圧などが発生しやすくなる
- 排水管:詰まりや腐食による漏れ、下階への漏水事故の原因に
- 電気設備:分電盤・照明・インターホンなどの不具合や発火リスクも
これらは住民の生活に直結する重大インフラであり、早期の更新・改修が不可欠です。
外壁・屋上など防水層の劣化による構造リスク
1回目・2回目の修繕で対応していても、紫外線・雨風・温度差による繰り返しの劣化により、外壁や防水層の機能は徐々に低下します。タイル浮きや剥がれの再発や落下による事故リスク、屋上・バルコニーからの雨水侵入による鉄筋腐食など、これらの問題を放置すれば、建物構造(躯体)自体のダメージへとつながります。その結果、補修ではなく大規模な構造補強が必要になる可能性も出てきます。
建具(玄関ドア・サッシ)の更新による快適性と断熱性の向上
築40年近く経過したマンションでは、玄関ドアや窓サッシが経年劣化し、防音性・断熱性の著しい低下が見られます。
- ドアの閉まりが悪くなる、すき間風や結露の発生
- 単板ガラスのサッシでは、夏は暑く冬は寒い状態に
- 鍵やドアノブなどの部品故障によるセキュリティ低下
最新の建具に交換することで、省エネ性・防音性・防犯性・快適性が一気に向上し、居住満足度と建物評価の両方が改善されます。
法改正対応による耐震性・省エネ性の強化が求められる時代背景
新耐震基準(建築基準法改正)や、近年の省エネ基準の厳格化などにより、旧基準の建物では構造補強や断熱改修が必要になるケースもあります。
- 耐震診断の実施・耐震補強の要否確認
- 断熱性能不足による断熱改修や断熱建材の導入
- 長期優良住宅やZEH-M基準への対応検討
今後の法改正に対応できる体制を整えておくことは、将来的な住み替えや資産売却時の価値維持にも直結します。
住民の高齢化・多世代化への対応
築30年を超えたマンションでは、住民の高齢化が進行しているケースが多く、建物自体のバリアフリー化・安全対策が急務になります。段差解消・手すり設置・スロープ追加などの共用部改修や、エレベーター更新や乗り場の増設などが必要になるでしょう。また、子育て世代や単身者の入居も増える中で、「次世代の住みやすさ」への視点も求められる時代です。
マンション大規模修繕3回目に行われる工事内容とは?
3回目の大規模修繕では、建物の経年劣化に加え、住環境の変化や法的要件の対応も求められるため、1回目・2回目と比べてより広範囲かつ高額な工事が実施される傾向があります。以下では、代表的な工事項目を3つのカテゴリーに分けて詳しく紹介します。
外装・構造部の修繕(外壁・屋根・防水)
建物の「外側」を保護する部分は、自然環境の影響を直接受け続けるため、劣化の再発と構造的なダメージの進行が見られることが多くなります。
- 外壁塗装・ひび割れ補修・タイルの張り替え:1回目では表面的な塗装やクラック補修で対応できた箇所も、3回目には下地の浮きや爆裂補修、鉄筋の腐食対応が求められる場合があります。タイルの全面張り替えを行うケースもあり、費用が大きく膨らむ要因となります。
- 屋上・バルコニーの防水再施工(シート防水・ウレタン防水など):防水層は耐用年数(12〜15年程度)を過ぎると性能が低下し、雨水浸入や漏水による構造劣化を引き起こすリスクがあります。3回目修繕では、表面処理だけでなく「下地処理+全面再施工」が一般的となり、工期も長くなりやすいです。
- 屋根の劣化補修や葺き替え:屋根材の劣化や金属部のサビなど、見落とされがちな部分も点検・対応が必要です。屋根からの雨漏りは早期発見が難しく、劣化が進行しやすいため、3回目では重点的な点検が欠かせません。
給排水・電気・設備更新工事
建物のライフライン設備は、機能性だけでなく安全性の観点からも更新が必須になります。
- 給水管・排水管の更生や交換:鉄管は内部の腐食による赤水、漏水リスクが高くなります。3回目修繕では、ライニング工法による更生工事や、配管そのものの更新が検討されます。漏水による階下被害の未然防止にもつながります。
- 電気設備(照明・分電盤・受電設備)の更新:分電盤・共用灯などの老朽化により、ショート・火災などのリスクが生じることもあります。エネルギー効率やLED化、省メンテナンスの観点からも、更新する価値があります。
給水ポンプや貯水槽の入れ替え:維持コストや電力消費の面でも効率化が進んでおり、省エネタイプの機器への更新が推奨されます。最新設備は騒音も抑えられるため、住民の満足度にも直結します。
これらの更新は建物全体の長寿命化と安全性の確保に直結し、後回しにすると緊急工事としてコストも倍増する可能性があるため、計画的な対応が求められます。
住戸開口部・建具の全面更新
3回目の修繕では、建物の構造体だけでなく「日常の快適性を左右する部位」の改修も重要になります。
- 玄関ドアの断熱・防音対応品への交換:鍵の不具合・建てつけの悪化・防犯性の低下など、ドアの劣化は見た目以上に居住者の不安材料になります。耐震ドア・二重ロック・断熱仕様など、時代に合った高性能な建具への更新が進んでいます。
- 窓サッシやガラスの更新:窓は断熱・防音・結露対策の要です。サッシの劣化や単板ガラスでは、冷暖房効率が悪くなり、居住環境に大きく影響します。二重窓の設置や高断熱ガラスへの交換により、省エネ効果や結露防止にもつながります。
これらは共用部分に該当するため、管理組合での決議を経て工事に含めることが可能です。修繕と同時に行うことで、足場の設置などコスト面でも効率的に実施できます。
マンション大規模修繕3回目の費用目安と構成比率
マンションの大規模修繕3回目は、1回目・2回目に比べて工事内容が多岐にわたるため、費用も高額になる傾向があります。一般的な相場は以下の通りです。
- 1戸あたりの平均費用:約75万円〜100万円程度
- 中規模マンション(50戸〜70戸):約6,000万円〜8,000万円
- 大規模マンション(100戸超):1億円〜1.5億円以上
実際の金額は、建物の構造や劣化状況、設備の更新内容によって大きく変動します。特に3回目では「設備更新」や「法改正対応」が費用に大きく影響します。
工事項目別の費用割合における目安
工事費の内訳としては以下のような比率が一般的です。
工事項目 | 割合(3回目) |
外壁塗装 | 28.8% |
床防水 | 15.7% |
外壁タイル | 7.1% |
屋根防水 | 12.9% |
シーリング工事 | 9.1% |
鉄部等塗装 | 8.8% |
建具・金物等 | 15.3% |
共用内部 | 2.4% |
マンション大規模修繕3回目で費用が増加する主な原因と対策
3回目の大規模修繕は、規模が大きくなる一方で、費用も1回目・2回目に比べて大幅に上昇する傾向があります。「なぜそんなに高くなるのか?」と感じる管理組合や住民も多いですが、そこには経年劣化・外的要因・準備不足といった複数の要因が重なっています。ここでは、費用増加の主な原因と、その対策をわかりやすく解説します。
経年劣化と設備寿命の到来
築30〜40年を迎えるマンションでは、設備・建材の耐用年数が限界に達し、表面的な修繕では対応しきれなくなる時期に差し掛かります。特に排水管は見えない部分で腐食・詰まりが進行し、床下や壁内の工事が必要になることも少なくありません。また、接着力の低下や躯体の変形によりタイルが落下するリスクもあり、全面的な張り替えが必要になるケースも増加する傾向にあります。根本的な更新や補修が必要になるケースが多く、費用が跳ね上がる要因となります。
資材・人件費によるコスト上昇
近年では、3回目の修繕が高額になる背景として無視できないのが、社会的・経済的なコスト上昇圧力です。塗料や鉄鋼・アルミ・配管材・樹脂などが世界的に値上がりしており、特に外壁材・断熱材・防水材などの単価は、10年前に比べて倍になっているケースもあります。また、建設業界の深刻な人手不足により、職人の確保自体が難しくなっている状況です。これらの外的要因は管理組合がコントロールできない部分であるため、あらかじめ織り込んだ資金計画が重要になります。
トラブル回避のための事前対策
費用増加が避けられない部分があるとはいえ、無駄な出費やトラブルは事前準備で大きく抑えることが可能です。管理組合が実践した方がいい対策は、以下の通りです。
- 複数社からの相見積もりを取得する:業者ごとの価格差を把握するだけでなく、見積書の内訳の透明性や提案力も比較できます。中間マージンや過剰工事の抑止にもつながります。
- 長期修繕計画との整合性を見直す:当初の修繕計画は資材価格や工事内容の変化に対応していない可能性が高いため、3回目に合わせて現実的な更新が必須です。
- 施工実績・保証内容を精査する:価格の安さだけでなく、過去の施工実績・保証年数・アフター対応の有無などを確認し、安かろう悪かろうを回避しましょう。
- 第三者のコンサルタントを導入する:専門家による設計監理・仕様書チェック・業者選定支援を受けることで、不適切な工事内容や不透明な見積もりの排除が可能になります。建築士やマンション管理士などの外部専門家を活用することで、工事の質と適正価格が両立できます。
特に3回目の修繕では工事範囲の拡大により、中間マージンや見えにくいコストが入り込みやすくなるため、透明性の確保が極めて重要です。
マンション大規模修繕3回目の資金計画と管理組合の役割
3回目の大規模修繕である築30年〜40年を迎える段階では、建物の経年劣化が進み、給排水設備や電気系統・外壁の補強など大規模な修繕が避けられません。そのため、十分な資金準備が不可欠ですが、実際には多くのマンションで修繕積立金が不足しており、資金面が最大の課題となっています。
国土交通省が示すガイドラインによると、マンションの規模や階数に応じた修繕積立金の目安が定められており、これを基準に積立てを進めることが推奨されています。以下は適正な積立水準の目安です。
地上階数 | 建築延床面積 | 平均値(㎡・月) |
20階未満 | 5,000㎡未満 | 335円 |
20階未満 | 5,000㎡以上~10,000㎡未満 | 252円 |
20階未満 | 10,000㎡以上~20,000㎡未満 | 271円 |
20階未満 | 20,000㎡以上 | 255円 |
しかし、こうした数値はマンションの規模により変動するため、各マンションの特性に合わせて計画を立てる必要があります。
資金が不足した場合のリスクと対応策
修繕積立金が不足すると、必要な修繕工事を十分に行えず、建物の劣化を早めるリスクが高まります。また、資金不足は修繕計画の遅延や縮小を招き、結果として建物の資産価値低下や居住環境の悪化を招く可能性があります。こうした状況に直面した場合の対応策としては、以下の方法があります。
状況 | 主な対応策 |
積立金が不足している | 一時金の徴収 / 金融機関からの借入 / 工事内容の絞り込み |
計画外の設備更新が発生した | 緊急性の高い工事を優先 / 段階的に施工を分割 |
長期修繕計画と実態に乖離がある | 専門家を入れて再調査 / 資金見通しの再設計 |
さまざまば事態に備えるには、長期修繕計画を5〜10年単位で見直し、現実に即した積立額へ調整することが不可欠です。また、管理費とのバランスや住民の経済的負担への配慮も忘れてはなりません。
管理組合の役割
修繕の成功可否は、管理組合の事前準備と意思決定の質に大きく左右されます。3回目の修繕では、単なる工事の発注だけでなく、どの範囲まで更新を行うか、限られた予算の中でどの工事を優先するか、提出された業者の見積もりが適正かどうかといった高度な判断が求められます。こうした複雑な判断を、専門知識を持たない住民主体だけで行うのは非常に困難です。そのため、管理組合は専門的な知見を持つ外部のサポートを受けることが重要です。
修繕コンサルタント導入のメリット
そこで注目されているのが建築士・マンション管理士といった、第三者の修繕コンサルタントの導入です。彼らは管理組合の専門的なパートナーとして、工事の質とコストの最適化を図ってくれます。
新東亜工業の施工事例|13階建てマンションの大規模修繕工事
東京都内にある13階建てワンオーナーマンションにて、新東亜工業が実施した大規模修繕工事の事例をご紹介します。外壁タイルやシーリング、屋上防水など複数の劣化箇所を総合的に改修し、建物の資産価値を回復しました。
工事概要【工事金額・期間】

工事金額:6,098万円/工期:約5か月間(足場設置〜引き渡しまで)
屋上防水・外壁タイル補修・シーリング打ち替えを中心に、建物全体をバランスよく修繕。
建物全体にわたる一貫した施工により、見た目と性能の両立を実現しました。
建物の劣化とオーナー様のご相談内容
長年手を入れていなかったマンションの修繕を検討し始めたオーナー様から、初回のご相談をいただいたのがスタートでした。
相談のきっかけ
築20年以上が経過し、目視でも劣化が感じられるように。最初は「少し気になる」という段階でしたが、調査を通じて複数の問題が明らかになっていきます。
オーナー様「タイルの剥がれや屋上の汚れが気になっていて…」
担当者「まずは図面を拝見して、現地調査で状態を見ていきましょう」
調査で明らかになった劣化状況
現地での打診調査や目視検査によって、建物の各所に進行した劣化が確認されました。オーナー様も驚かれるほどの症状が浮き彫りに。
屋上防水の劣化
既存の通気緩衝工法によるウレタン防水は、広範囲に劣化や膨れが生じていました。
オーナー様「花火の時期には屋上に上るんです。きれいになると嬉しいな」
現地調査員「眺望も大事ですね。美観にも配慮して施工いたします」
外壁タイルの浮き・剥離
浮きタイルが多数見つかり、剥離の危険性も。劣化の進行度に応じて、張替えと樹脂注入を使い分けました。
担当者「打診調査で見えない内部の浮きも確認しました。対応が必要です」
シーリングの硬化不良
シーリング材は硬化しきって弾性を失い、手作業での撤去が必要なほどでした。
現場職人「カッターが入らないくらい硬くなってます。全部打ち替えですね」
オーナー様「そこまで傷んでたとは…早めにお願いしてよかったです」
工事の流れと透明な対応
調査結果をもとに明確な見積書と診断書を作成。オーナー様に工程を丁寧に説明し、工事中も報告を徹底しました。
診断報告と見積提示
写真付きの診断報告書と、内訳を明記した見積書を提出。工事内容をわかりやすく共有しました。
オーナー様「写真があると素人でもわかりやすいですね」
担当者「透明性を重視していますので、何でもご質問ください」
工事の実施(足場~防水まで)
工程は足場設置から高圧洗浄、下地補修、シーリング、塗装、屋上防水まで。報告写真とともに進捗共有を行いました。
担当者「毎週の報告で進捗をご確認いただけます」
オーナー様「離れてても工事の様子がわかって安心できました」
工事完了後のオーナー様の声
見た目だけでなく機能性も向上した建物に、オーナー様からは満足の声が寄せられました。
オーナー様「すっかりきれいになりましたね。やってよかったです」
担当者「大切な資産を守るお手伝いができて光栄です」
お問い合わせや工事のお見積もり無料!まずはメール・お電話からご相談ください!
マンション大規模修繕3回目の対応とコミュニケーション
3回目の大規模修繕は規模が大きく、工期も数カ月単位で長期に及ぶため、住民の生活に少なからず影響が出ます。以下はよくある生活上の影響と、その対策例です。
生活への影響 | 発生タイミング | 配慮・対策例 |
足場の設置による圧迫感・採光不足 | 工事初期〜全期間 | 朝夕の光の遮断を事前に説明・居室側のネット施工方法を工夫 |
共用部(廊下・バルコニー)の一時使用制限 | 中盤〜仕上げ工程 | 使用禁止日程を早めに通知・代替案の提示(洗濯物干し) |
騒音・におい(塗料・溶剤) | 下地補修・塗装工程 | 作業時間の明示、換気の注意喚起、在宅高齢者への個別説明 |
作業員の出入りによる心理的ストレス | 毎日(平日中心) | 作業員の教育徹底・エレベーター/通路マナーの共有 |
住民の「小さな声」を拾う体制が重要です。一括で対応策を決めるのではなく、実際に影響を受ける住民の立場から意見を集めるプロセスが、満足度の高い修繕につながります。
情報発信の工夫が住民満足度を左右する
「説明不足だった」「突然工事が始まって驚いた」という不満が出ないよう、透明性ある情報発信が欠かせません。以下のような多層的なコミュニケーション手段が効果的です。
- 掲示板・ポスティングチラシ:要点を短く、色分けで視認性UP
- 定例説明会・事前アンケート:双方向の意見交換の場に活用
- LINEやメール等のデジタル連絡網:若年層の理解促進に有効
- 専用Webページ・ポータル:工事スケジュールや進捗の常時公開も効果的
「伝えたつもり」を防ぐには、多様な手段を重ねることがポイントです。
住民参加型の修繕プロセスが成功のカギ
3回目の大規模修繕は、単なるメンテナンスではなく、今後20〜30年の住環境を再設計するプロジェクトとも言えます。だからこそ、「管理組合だけ」で決めるのではなく、住民全体で意識を共有する姿勢が必要です。参加型プロセスにすべき取り組み例としては、以下のことが挙げられます。
- 修繕委員会の設置:修繕に関心のある住民による小規模チーム。仕様選定や業者評価に住民の声を反映。
- 専門家による建物診断の共有:劣化状況の“見える化”により、工事の必要性を納得しやすくなる。
- 住民説明会・総会での意見交換:工事の概要、資金面、今後の課題を対話的に共有。意見集約の場として不可欠。
- アンケート調査・ヒアリングの実施:高齢世帯・子育て世帯など特定のニーズにも配慮できるきっかけに。
住民一人ひとりが“当事者”である意識を育てることが、工事の成功とマンション価値の維持につながります。
特に注目すべき「将来世代」への配慮
近年では、マンション住民の高齢化や世代交代により「次世代の生活者」を意識した修繕の必要性が高まっています。高齢者の生活に配慮したバリアフリー改修や若い世代のニーズを反映した省エネ設備・断熱性強化、子育て世帯の声を反映した共用部の安全性確保など、これらは単なる工事以上に、「誰のために」「どんな暮らしを守るのか」という住民全体の合意形成力が問われるテーマです。
よくある質問(FAQ)
マンションの大規模修繕は、多くの住民や管理組合にとって初めて経験する大きなイベントです。ここでは、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1. 大規模修繕の3回目は必ず実施しなければならないのですか?
必須ではありませんが、築30年以上のマンションでは老朽化が進んでいることが多く、実施しないと重大なトラブルが発生するリスクが高まります。建物診断結果をもとに判断しましょう。
Q2. 3回目の修繕工事では1回目・2回目と比べて費用は高くなるの?
はい。特に建具や設備の更新が加わるため、総費用が1.5倍以上になるケースもあります。過去の修繕履歴や工法によって差はあります。
Q3. 修繕積立金が不足している場合はどうすればいいですか?
一時金の徴収や借入・工事項目の見直し・優先順位づけなどの対策があります。早めに資金シミュレーションを行うことがカギです。
Q4. 修繕工事中は住民の生活に支障がありますか?
はい。足場設置・騒音・共用部の通行制限など、一時的に不便を感じることがあります。ただし、事前周知と工程管理がしっかりしていれば、大きな混乱は避けられます。
Q5. 工事業者はどうやって選べば失敗しませんか?
まずは、複数社の相見積もりを取り、比較検討することです。業者の過去実績・保証内容・施工体制なども確認し、必要に応じて第三者のコンサルタントを活用しましょう。品質・信頼性・管理体制のトータルバランスで選ぶことが重要です。
マンション大規模修繕3回目を成功させる秘訣|まとめ
3回目の大規模修繕は、築30〜40年を迎えるマンションにとって、建物の寿命を左右する非常に重要なタイミングです。これまでの修繕履歴や劣化状況を丁寧に見直し、将来を見据えた現実的な資金計画を立てることが欠かせません。
また、住民全体の理解と合意形成をしっかりと行い、透明性の高い運営体制を構築することが成功のポイントです。修繕内容が複雑化し費用も増加しやすい中で、信頼できる専門家や施工業者を選び、適正な工事を進めることがマンションの資産価値の維持・向上につながります。
情報収集を怠らず、住民の声を反映した参加型のプロセスを大切にすることで、トラブルを回避し、安心して修繕を乗り切ることが可能です。これらのポイントを押さえて計画的に進めることが、長く快適に暮らせる住まいづくりのカギとなります。