屋上のウレタン防水工事とは?費用・耐用年数・工法・施工手順まで徹底解説
2025/09/22
屋上の防水は、建物の寿命や快適な生活環境を守るために欠かせない工事です。特に「ウレタン防水工事」は、液体を塗布して継ぎ目のない防水層を作り上げる工法で、施工性の高さと柔軟性から多くの建物で採用されています。
しかし、実際に工事を検討する際には「費用はいくらかかるのか」「どのくらいの耐用年数があるのか」「他の防水工法と比べて何が違うのか」といった疑問を持つ方が少なくありません。
本記事では、屋上防水工事におけるウレタン防水の特徴や工法の種類、費用相場、施工手順、そして業者選びのポイントまでを詳しく解説します。これから工事を検討している方にとって、判断の参考になる情報をまとめています。
目次
- 1 防水工事とは?
- 2 屋上防水工事におけるウレタン防水とは
- 3 屋上工事で行われるウレタン防水の工法にはどんな種類がある?
- 4 ウレタン防水による屋上工事の費用相場
- 5 ウレタン防水の耐用年数とメンテナンス
- 6 ウレタン防水による屋上工事の施工手順
- 7 ウレタン防水による屋上工事の工期目安
- 8 ウレタン防水で屋上工事を行うメリット
- 9 ウレタン防水で屋上工事を行うデメリット
- 10 屋上防水工事で用いられるウレタン以外の工法と比較
- 11 ウレタン防水による屋上工事を依頼する業者選びのポイント
- 12 ウレタン防水による屋上工事の見積もりで確認すべき項目
- 13 実録!新東亜工業の施工事例|3階建てビルの屋上防水工事
- 14 ウレタン防水による屋上工事に関するよくある質問(FAQ)
- 15 ウレタン防水による屋上工事で建物の安全性を確保しよう|まとめ
防水工事とは?
防水工事とは、雨や雪などの浸入を防ぎ、内部の構造体を守るために欠かせないメンテナンスのことを指します。防水性能が低下すると、雨漏りやカビ、鉄筋の腐食といった深刻なトラブルにつながり、資産価値を大きく損ないます。
ここでは、まず防水工事の基本を理解し、その上で屋上におけるウレタン防水工事の特徴を詳しく見ていきましょう。
防水工事の基本的な役割
建物の屋根や屋上、バルコニーは常に雨風や紫外線にさらされています。防水工事は、これらの外的要因から建物を保護する「防御膜」のような役割を担います。
適切な防水層を維持することで、建物の寿命を延ばし、安全性と快適性を確保できます。
防水工事が必要になる理由
防水工事が必要な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 雨漏り
- 劣化
- 資産価値低下
防水層が劣化すると、目に見えるひび割れや膨れが発生します。放置すると雨水が浸入し、天井や壁のシミ、鉄筋コンクリートの劣化へと進行します。
こうした被害は修繕費が高額になり、最悪の場合は建物の安全性に影響します。また、雨漏りがある物件は資産価値が著しく低下するため、定期的な防水工事は経営面でも重要です。
屋上防水工事におけるウレタン防水とは
屋上の防水工事では、建物の条件や予算、築年数や劣化の進行度合いに応じて複数の工法が選択されます。その中でも、液体を塗布して硬化させる「ウレタン防水」は施工性が非常に高く、国内外を問わず多くの建物で採用されている工法です。
ここでは、屋上防水におけるウレタン防水の役割や特徴、そしてなぜ多くの施主や管理組合から選ばれるのかを詳しく解説します。
屋上防水の必要性
屋上は雨水や紫外線、風雪など外的要因の影響を最も受けやすい場所です。勾配が十分でない場合や排水口が詰まっている場合には水たまりができやすく、時間とともに防水層が劣化します。
こうした劣化を放置すれば、雨漏りやコンクリート内部の鉄筋腐食に直結し、建物全体の寿命を縮めてしまう恐れがあります。さらに雨漏りは内装材や電気設備にも悪影響を及ぼすため、修繕費用が高額化するリスクもあります。
そのため、定期的なビルやマンションの屋上防水工事は、建物の安全性・快適性を維持する上で必須といえます。
ウレタン防水の基本的な仕組みと特徴
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を下地に何層も塗り重ね、防水層を形成する工法です。液体を使用するため、屋上の形状や立ち上がり部分、設備周りなどの複雑な部位にも対応しやすく、細部までムラなく仕上げることができます。
また、継ぎ目がないシームレス構造のため、水の浸入を効果的に防げる点も大きなメリットです。さらに、重ね塗りや部分補修がしやすいため、改修工事にも向いています。
一方で、施工者の技術力や塗布量の管理によって仕上がりや耐久性に差が出やすい側面もあるため、実績と信頼のある業者を選ぶことが極めて重要です。
屋上工事で行われるウレタン防水の工法にはどんな種類がある?
ウレタン防水にはいくつかの施工方法が存在し、建物の状態や環境によって最適な工法が変わります。
ここでは代表的な「密着工法」と「通気緩衝工法」の違いを比較表で整理し、それぞれの適用場面や選定ポイントについて解説します。
工法比較表
工法 | 特徴 | 適用場面 | メリット | デメリット | 工法選びのポイント |
---|---|---|---|---|---|
密着工法 | 下地に直接ウレタンを塗布 | 戸建てや小規模屋上 | コストを抑えやすい/工期が短い/施工手順がシンプル | 下地に湿気があると膨れが発生しやすい/下地状態が悪いと早期劣化の可能性/長期耐久性には不安が残る | コスト重視や小規模工事に適する。ただし下地環境を十分に確認する必要がある。 |
通気緩衝工法 | 下地とウレタン層の間に通気層を設け水蒸気を逃す | 大規模屋上/マンション/ビル/改修工事 | 膨れや剥がれが起きにくい/湿気や構造の動きに強い/長期的な安心感 | 密着工法よりコストが高い/工期が長くなる傾向 | 耐久性重視や大規模屋上に推奨。改修工事にも適している。 |
ウレタン防水を行う際は通気緩衝工法か密着工法かを、屋上の面積や使用状況に応じて、最適な工法を選ぶことが成功のポイントです。
ウレタン防水による屋上工事の費用相場
ウレタン防水工事の費用は、施工面積や工法、下地の状態によって変わります。
ここでは、㎡単価の目安と広さ別の費用シミュレーションを紹介し、さらに他工法との比較を表で整理します。
1㎡あたりの単価目安
ウレタン防水工事の単価は、4,500〜7,500円/㎡ 程度が一般的な相場です。密着工法よりも通気緩衝工法のほうが単価は高めになります。
広さ別の費用シミュレーション
- 30㎡(小規模屋上):約15〜22万円
- 50㎡(中規模屋上):約23〜35万円
- 100㎡(大規模屋上):約45〜70万円
他の防水工法との費用比較表
工法 | 単価目安(円/㎡) | 耐用年数の目安 |
---|---|---|
ウレタン防水 | 約4,500〜7,500 | およそ10〜12年 |
シート防水 | 約4,000〜6,500 | およそ12〜15年 |
FRP防水 | 約5,500〜8,500 | およそ10〜12年 |
アスファルト防水 | 約6,500〜9,000 | およそ15〜20年 |
ウレタン防水の耐用年数とメンテナンス
ウレタン防水は施工性に優れていますが、気になるのは「どのくらい持つのか」という耐用年数です。ここではウレタン防水の寿命や点検・補修の目安について、より詳しく解説します。
施工後にどのような管理を行うかによって耐用年数は大きく変わるため、計画的な維持が欠かせません。
耐用年数の目安
一般的なウレタン防水の耐用年数は 10〜12年 程度です。ただし、建物の立地や屋上の使用状況によって前後します。通気緩衝工法を採用した場合は比較的長持ちしやすく、適切なメンテナンスを行えば15年近く持つケースもあります。
都市部の排気ガスが多い環境や日射の強い地域では劣化が早まる可能性があるため、状況に応じた判断が必要です。
メンテナンスの重要性
ウレタン防水を長持ちさせるために欠かせいないのが、メンテナンスです。
その重要性を改めて、整理しておきましょう。
トップコート再塗布
5〜7年ごとにトップコートを塗り直すことで、防水層を紫外線や摩耗から守り、劣化を抑制します。
これにより寿命を大幅に延ばすことができ、美観の維持にもつながります。
ドレン(排水口)の清掃
屋上に水が溜まると防水層の負担が増し、膨れや劣化の原因となります。
定期的な排水口の清掃はスムーズな排水を確保するために不可欠で、特に落ち葉や砂埃が多い時期には重要です。
定期点検の実施
専門業者による定期的な点検で、ひび割れや膨れを早期に発見できます。小規模な補修で対応できる段階で手を打つことが、大規模修繕を避けるための最善策です。
さらに、点検結果を記録しておけば次回工事の計画にも役立ちます。
このように定期的なメンテナンスは、工事後の耐用年数を大きく伸ばすこと貢献します。
ウレタン防水による屋上工事の施工手順
ウレタン防水工事はシンプルなように見えて、実際には複数の工程を順序立てて行うことで高い品質が確保されます。それぞれのステップには重要な役割があり、正しく実施することで防水性能の寿命を延ばすことにつながります。
ここでは代表的な施工の流れと、それぞれの工期目安を詳しく紹介します。
ステップ1.現地調査・見積もり
施工に入る前に、屋上の劣化状況や下地の状態、排水設備の有無を詳細に確認します。この段階で最適な工法や必要な補修内容を判断し、正確な見積もりを提示します。
場合によっては赤外線カメラや打診検査を用いて下地内部の状態を把握し、雨水の浸入リスクや内部劣化の有無を科学的に確認することもあります。さらに、屋上の利用状況や将来の修繕計画を考慮して提案するケースも増えており、初期段階での判断が工事全体の成否を左右します。
ステップ2.足場設置・養生
安全な作業環境を整えるために足場を設置し、周辺を汚さないよう養生を行います。大規模屋上では安全管理が工期全体に影響するため、資材搬入経路の確保や近隣への配慮も重要です。
場合によっては防音シートや飛散防止ネットを併用し、近隣トラブルを防ぐ工夫も行われます。安全対策は労働基準法や建築基準法に基づいた基準が求められ、計画性が欠かせません。
ステップ3.下地処理
埃やゴミを取り除いた後、ひび割れ補修や不陸調整を実施します。さらにプライマーを塗布し、ウレタン材が密着できる状態を作ります。
不十分な下地処理は防水層の寿命を大きく縮めるため、最も注意が必要な工程です。加えて、下地の含水率を測定して適切な乾燥状態を確保するなど、細部の確認が欠かせません。
ステップ4.ウレタン塗布
液状のウレタン樹脂を複数回に分けて塗布し、均一な厚みを確保します。塗布量や乾燥時間を厳守することで、防水性能が安定します。
複雑な形状でも隙間なく施工できるのが特徴で、改修工事にも適しています。必要に応じて補強布を挟み込むことで強度を高めたり、施工環境に合わせて硬化速度を調整するなど、応用的な工夫も施されます。
ステップ5.トップコート仕上げ
トップコートを塗布して紫外線や摩耗から防水層を保護します。遮熱効果を持つトップコートを選べば、省エネ効果や屋上温度の抑制も期待できます。
定期的な再塗布で防水層の寿命を延ばすことができます。さらに、トップコートの種類を変えることで色や質感を選べるため、意匠性を高めることも可能です。
ステップ6.検査・引き渡し
目視点検や漏水試験を行い、不具合がなければ引き渡しです。工事完了報告書や保証書を発行し、アフターフォロー体制を説明することで、施主は安心して建物を利用できます。
検査では膜厚計や赤外線サーモグラフィを使用する場合もあり、施工品質の数値的な証明が可能です。また、アフター点検の時期や保証内容を明示することで、長期的な安心感を提供できます。
ウレタン防水による屋上工事の工期目安
工事の流れについてみてきましたが、全体的な工期はどれくらいなのでしょうか。
ここでは、ウレタン防水の工期を工事の規模ごとに紹介します。
ウレタン防水による屋上工事の工期目安表
規模 | 面積目安 | 工期 | 特徴・補足 |
---|---|---|---|
小規模 | 約30㎡程度 | 3〜5日 | 戸建て住宅の屋上やルーフバルコニーに多い。下地状態が良好ならさらに短縮可能。 |
中規模 | 50〜100㎡ | 5〜7日 | 小型マンションやオフィスビルで多く見られる。補修範囲によっては1週間前後必要。 |
大規模 | 100㎡以上 | 1〜2週間 | 工場や大型マンションでの施工。下地処理工程が増えるため長期化しやすく、天候の影響も大きい。 |
ある程度の工期を理解しておくことで、ズムーズな工事計画に役立つでしょう。
ウレタン防水で屋上工事を行うメリット
ウレタン防水には多くの利点があり、特に改修工事や複雑な屋上形状で力を発揮します。
ここでは主なメリットを具体的に整理し、実際の活用場面についても補足します。
液体施工のため複雑な形状に対応可能
設備や立ち上がり部分が多い屋上でも隙間なく塗布でき、仕上がりの自由度が高いです。曲面や細かな入り組みがある場合にも対応できるため、設計上制約の多い建物でも有効です。
特に機械設備が多い屋上や、既存建物の形状に合わせて改修するケースで強みを発揮します。
継ぎ目がなくシームレスで水密性が高い
継ぎ目からの漏水リスクがなく、均一な防水層を形成できます。ジョイント部分がないことで、長期的な防水性能を安定させる効果が期待できます。
さらに、シームレスであることにより美観を損なわず、外観デザインとの調和も図りやすいという利点があります。
改修時は重ね塗りで施工可能
既存の防水層を撤去せずに施工でき、費用と工期を抑えることができます。解体廃材が少ないため環境負荷も軽減でき、SDGsの観点からも注目されています。
また、建物を使用しながら施工できるケースも多く、居住者やテナントへの影響を最小限にとどめることが可能です。
他工法に比べ初期コストを抑えやすい
材料費と施工費のバランスが良く、比較的リーズナブルに導入できます。さらに、短期施工が可能なため人件費削減にもつながります。
加えて、資材や道具の搬入が比較的容易なため都市部の限られたスペースでも対応しやすい点もメリットです。
デザイン性や仕上がりの自由度
ウレタン防水は着色性にも優れ、トップコートにより色や質感を選択可能です。建物の外観イメージを損なわずに防水性能を確保できます。
さらに、遮熱性や反射性を持つトップコートを選択すれば省エネ効果も期待でき、見た目と機能性を兼ね備えた施工が実現できます。
ウレタン防水で屋上工事を行うデメリット
一方で、ウレタン防水には注意すべき弱点や課題も存在します。デメリットを理解したうえで採用を判断することが重要です。
ここでは単なる注意点にとどまらず、実際の施工現場で問題となりやすい事例や、長期使用時に顕在化する課題についても掘り下げます。
施工者の技術力に仕上がりが左右されやすい
職人の経験や腕によって耐久性が変わるため、信頼できる業者の選定が欠かせません。特に均一な厚みを確保できるかどうかがポイントになります。
さらに、施工者が適切な気象条件や材料管理に配慮しない場合、施工後すぐに不具合が起こるリスクもあります。
塗布量不足や気泡混入で防水性能が低下
適切な厚みや施工環境を守らないと不具合の原因になります。施工中の気候条件にも影響を受けやすく、風や湿度に注意が必要です。
特に真夏や梅雨時などは硬化不良や膨れが発生しやすく、工期調整が求められる場合もあります。
他工法に比べて耐用年数が短め
シート防水やアスファルト防水と比較すると耐久性に劣り、定期補修を怠ると早期劣化します。長期的な視点で見ると、ランニングコストはやや高めになる傾向があります。
さらに、定期点検を行わずに放置すると小さな劣化が大規模な損傷に発展する可能性があるため、維持計画の策定が不可欠です。
紫外線に弱くトップコートの定期塗布が必須
紫外線による劣化を防ぐには、定期的なトップコート塗布が欠かせません。維持管理を怠ると劣化が進行し、想定より早く再施工が必要となるリスクがあります。
加えて、環境によっては数年単位で色あせや表面劣化が進むため、美観を保ちたい場合にはより短い周期での塗布が望まれることもあります。
屋上防水工事で用いられるウレタン以外の工法と比較
ライフサイクルコストを考慮した工法選びを行うためにも、他の工法との違いを把握しておくことが重要です。
ここでは、代表的な防水工法と比較して、ウレタン防水の特徴を整理します。
防水工法比較表
工法 | 耐用年数 | 単価相場(円/㎡) | 特徴 |
---|---|---|---|
ウレタン防水 | 10〜12年 | 約4,500〜7,500 | 柔軟性が高く複雑形状に対応。改修に適する |
シート防水 | 12〜15年 | 約4,000〜6,500 | 耐久性に優れるが複雑形状には不向き |
FRP防水 | 10〜12年 | 約5,500〜8,500 | 強靭で歩行可能。ベランダ向き |
アスファルト防水 | 15〜20年 | 約6,500〜9,000 | 厚みと耐久性が高い。大規模建築に多い |
屋上の状況や周辺環境との兼ね合いを考慮しながら、適した工法を選ぶことが大切です。
ウレタン防水による屋上工事を依頼する業者選びのポイント
ウレタン防水工事は施工者の技術力や経験によって仕上がりが大きく変わるため、業者選びは最重要課題のひとつです。信頼できる施工会社を見極めることが、工事の品質や耐久性を大きく左右します。
さらに、業者選びの段階で情報収集を徹底することで、不要なトラブルや余計な出費を防ぐことができます。
防水工事の専門性を確認
塗装業者やリフォーム業者の一部でも防水工事を扱っていますが、ウレタン防水は施工技術が求められる工種です。過去の施工実績や専門資格(防水施工技能士など)の有無を確認しましょう。
施工件数が多い業者はノウハウを蓄積しており、特殊な条件下でも柔軟に対応できる可能性があります。
提案力と診断力
単に見積もりを出すだけでなく、現地調査を行い下地の状態や建物条件に応じた提案ができる業者は信頼性が高いです。複数の工法比較やメンテナンス計画まで説明できるかも重要なポイントです。
例えば「密着工法と通気緩衝工法のどちらが適しているか」を明確に示せるかどうかで、業者の知識と提案力を見極めることができます。
保証とアフターフォロー
施工後の保証年数や内容を確認し、定期点検や緊急対応の有無をチェックしましょう。アフターフォロー体制が整っている業者は、工事後の安心感が違います。
さらに、定期的な報告書の発行やメンテナンスプランを提供する業者であれば、長期的な視点で建物を守るパートナーとして信頼できます。
ウレタン防水による屋上工事の見積もりで確認すべき項目
防水工事の見積もりは、金額だけで判断すると後から追加費用が発生するリスクがあります。そのため、内訳を一つひとつ確認し、施工範囲や保証内容が適切に含まれているかを把握することが重要です。
以下では、見積もりで特に確認しておきたい代表的な項目を整理します。
工法の種類
密着工法か通気緩衝工法かといった工法の違いによって、費用や耐用年数が大きく変わります。見積もりには必ず工法が明記されているかを確認しましょう。
さらに、工法の選択によって将来的なメンテナンス費用や施工時の制約条件も変わるため、初期費用だけでなく長期的なコストも含めて検討することが大切です。
材料費と施工費
材料費と施工費が分けて記載されているかどうかは、適正価格を判断する上での基本です。単価や数量が具体的に記載されているかも要チェックです。
さらに、材料のメーカーやグレード、施工環境によって価格が変動するため、その根拠を確認すると安心です。
下地処理費
下地処理にはひび割れ補修やプライマー塗布などが含まれます。見積もりにこれらが含まれていない場合、追加費用が発生する恐れがあります。
特に古い建物では下地補修の範囲が大きくなる傾向があるため、事前にどの程度の作業が見込まれているかを確認することが重要です。
トップコート費用
トップコートの施工費用や、将来的な再塗布にかかる費用が見積もりに反映されているかを確認することが大切です。紫外線対策や遮熱性能の有無についても注目しましょう。
トップコートの種類によって寿命や機能が異なるため、どの製品を採用するかによって将来の維持費用が変わります。
保証内容
保証の有無や期間、範囲が具体的に明示されているかどうかを確認します。免責事項が曖昧な場合は後々のトラブルにつながるため、事前に業者に説明を求めるのが安心です。
また、メーカー保証と施工会社保証の両方が適用されるのか、保証対象外となるケースは何かといった点まで理解しておくことが望ましいです。
実録!新東亜工業の施工事例|3階建てビルの屋上防水工事
東京都大田区にある3階建てビルにて、雨漏り解決を目的とした防水工事を実施しました。
屋上の既存防水層は劣化が激しく、複数層が重なっていたため、通気緩衝工法による全面改修が必要と判断。
調査から契約・打ち合わせ・施工・引き渡しまで、実際の会話と共にその流れを紹介します。
大規模修繕・防水工事・外壁塗装のご依頼やご相談は、メール・お電話からお受け致しております。

ご相談内容
お客様:「弊社ビルが雨漏りしていて、一度見に来ていただけませんか?」
担当者(受付):「はい、担当者より本日中に折り返しさせていただきます」
その後、担当者より折り返し連絡を行い、図面の有無や訪問希望日を確認。
スムーズに日程調整が行われ、数日後に現地調査を実施しました。
工事の概要|工事金額と施工期間

屋上防水工事 施工前

屋上防水工事 施工後
以下は、本案件における建物情報と工事概要です。
項目 | 内容 |
---|---|
建物種別 | 鉄骨造3階建てビル |
所在地 | 東京都大田区 |
施工内容 | ・屋上防水改修(通気緩衝工法)・既存防水層全面撤去・改修用ドレン設置・脱気筒取付・手摺り鉄部塗装・下地段差処理ほか |
工事金額:約354万円
施工期間:約10日間
現地調査で判明した劣化症状
既存の防水層は7層以上が重なっており、劣化・損傷が複数箇所に見られました。
また、ドレン周辺も劣化していたため、改修用ドレンの導入を提案。
担当者:「漏れている天井からすると、屋上が原因の可能性が高いです」
担当者:「既存シートが切れていて、あちこちから水が入り込んでいます」
担当者:「この状態では10年保証が出せないため、防水層をすべて撤去して通気緩衝工法で新たに施工します」
鉄部塗装も加えて見積に反映。後日郵送で提出しました。
お客様:「この手摺も錆びてしまっているので、ついでに塗装してもらえますか?」
担当者:「はい、大丈夫です!」
施工中のやり取りと配慮
施工は現場責任者が担当し、打ち合わせ・色決め・進捗確認を随時行いました。
担当者:「防水のトップコート色はグレーが多いですが、いかがですか?」
お客様:「じゃあグレーで。鉄部は茶色系でお願いします」
担当者:「承知しました。あと、工事中は水・電気をお借りしてもよろしいでしょうか?」
お客様:「大丈夫です。2階の部屋も材料置き場として使ってください」
さらに、既存層が厚く、鉄管の下の除去が困難であることが判明した際も、以下のように報告と対応を行いました。
担当者:「鉄管下は完全に剥がせないため、段差調整してウレタンを施工します」
お客様:「了解しました。任せます」
引き渡し時のご感想
施工後は、屋上の仕上がり確認とともに、今後のメンテナンスやアフターフォローの案内も行いました。
担当者:「屋上の仕上がりをご確認いただけますか?」
お客様:「すごく綺麗になりましたね。新東亜さんにお願いして本当によかったです」
担当者:「ありがとうございます!本日中に完了報告書・請求書・保証書を郵送いたします」

お問い合わせや工事のお見積もり無料!まずはメール・お電話からご相談ください!
今回の施工では、雨漏りの原因となっていた屋上防水層を完全撤去し、通気緩衝工法による新たな防水施工を行いました。
加えて、改修用ドレンの設置や鉄部塗装などを含め、雨水の侵入を根本から防ぐ工事となりました。
お問い合わせから契約・打ち合わせ・施工・引き渡しに至るまで、各工程で丁寧に対応し、
最終的には「またお願いしたい」と言っていただける仕上がりを実現しました。
ウレタン防水による屋上工事に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、読者からよく寄せられる疑問をFAQ形式で詳しく解説し、施工を検討している方が安心して理解を深められるよう整理しました。
施工の特徴や耐久性、費用相場から保証まで幅広く網羅しています。
Q1. ウレタン防水の耐用年数はどれくらいですか?
A. 一般的には10〜12年程度が目安ですが、施工環境や工法の選び方で変動します。例えば通気緩衝工法を採用した場合や、5〜7年ごとのトップコート再塗布を欠かさず行った場合には、15年以上耐用できるケースもあります。
逆に排気ガスや紫外線の影響が強い地域では劣化が早まるため、定期点検と早期補修が寿命延長に不可欠です。
Q2. ウレタン防水とシート防水はどちらが良いのでしょうか?
A. ウレタン防水は液体塗布のため複雑な形状にも対応でき、改修工事では撤去せず重ね塗りできる利点があります。
一方、シート防水は耐久性に優れ継ぎ目が明確に管理できるため、大規模な屋上や単純な形状に適しています。選定は建物の用途、求める耐久性、施工環境によって異なるため、専門業者の診断を受けて比較するのが最も安心です。
Q3. 工事中は屋上を使えなくなりますか?
A. はい、工事中は安全確保のため屋上の使用を制限する必要があります。工期は規模により異なりますが、戸建て住宅の屋上やルーフバルコニーであれば3〜5日程度、小型マンションなら1週間前後、大型施設では1〜2週間かかる場合もあります。
施工中は騒音や臭気の発生もあるため、事前にスケジュールを把握して生活や業務への影響を最小限に抑える工夫が必要です。
Q4. 費用はどのくらいかかりますか?
A. ウレタン防水は1㎡あたり4,500〜7,500円が相場です。例えば30㎡程度の戸建て住宅の屋上なら15〜20万円前後、中規模マンションの100㎡程度では50〜70万円前後、大規模屋上では100万円を超えるケースもあります。
屋上の面積、下地の劣化状況、採用する工法や材料によって費用が変動するため、複数業者からの見積もり比較が不可欠です。
Q5. 改修工事の場合、既存の防水層を撤去しないといけませんか?
A. ウレタン防水は既存の防水層を撤去せずにその上から重ね塗りが可能なケースが多いのが特徴です。これにより工期短縮や費用削減が期待できます。
ただし、下地が劣化している場合や膨れ・剥がれが顕著な場合には、既存層の撤去が必要となるケースもあります。事前調査で下地の含水率や劣化状況を確認し、最適な施工方法を選択することが重要です。
Q6. 保証はどのようになっていますか?
A. 業者や工法によって異なりますが、一般的には5〜10年程度の保証が付与されます。中には15年保証を設ける業者もあり、保証内容は「雨漏りが発生した場合の補修費用」「トップコート再施工の対象範囲」など細かく定められています。
メーカー保証と施工会社保証が併用できる場合もあるため、契約前に免責事項や条件を詳細に確認し、不明点は必ず業者に説明を求めましょう。
ウレタン防水による屋上工事で建物の安全性を確保しよう|まとめ
ウレタン防水は柔軟性と施工性に優れ、複雑な屋上や改修工事で大きな力を発揮する工法です。コストと耐久性のバランスが良く、多くの建物で採用されていますが、技術力に依存する部分が大きいため業者選びとメンテナンスが成功のカギとなります。
定期的な点検やトップコートの再塗布を組み合わせれば、耐用年数を延ばすことができ、長期的に建物を守ることが可能です。見積もりでは金額だけでなく工事内容や保証条件まで確認し、信頼できる専門業者に依頼することが重要です。