屋上80㎡の防水工事はいくらかかる?費用相場・工法別の違いと注意点を解説

2025/08/08

屋上防水は、建物の寿命や室内環境の快適さを守るために欠かせない工事です。とくに築年数が経過した建物では、雨漏りや下地の劣化といった深刻なトラブルにつながることもあり、早期の対応が求められます。この記事では、屋上面積が約80㎡(約24坪)の建物を対象に、防水工事にかかる費用相場や選ぶべき工法、それぞれの特徴や見積もりの注意点などを詳しく解説します。実際の見積もり事例も交えながら、初めて工事を検討される方にも分かりやすくまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

屋上防水工事の費用は面積で変わる?80㎡の場合の目安とは

屋上防水工事は、施工面積が大きくなるほど単価が下がる傾向があるものの、基本的には面積に比例して費用が高くなります。とくに80㎡(約24坪)の屋上となると、建物の規模や形状にもよりますが、一般的な住宅や中小規模の施設に該当するケースが多いため、より具体的な相場感を知っておくことが重要です。ここでは、80㎡の面積を基準として防水工事を行う場合の費用や、見積もりに含まれる工事項目について詳しく解説します。

防水工法別の80㎡あたりの費用相場

防水工法費用相場(税別)特徴
ウレタン塗膜防水約40〜60万円コストと対応力のバランスが良い
シート防水(塩ビ・ゴム)約55〜75万円均一な厚みで耐久性に優れる
FRP防水約60〜80万円高強度・耐摩耗性だが高コスト
アスファルト防水約65〜85万円重厚で耐久性高いが施工時臭いあり

この費用相場には、下地補修やトップコートの仕上げといった付帯工事もある程度含まれますが、建物の状態や立地条件によって増減する場合もあります。

見積もり金額に含まれる主な工事項目

防水工事の見積もりには、以下のような項目が含まれることが一般的です。

  • 高圧洗浄・既存層の撤去(既存の劣化した防水層を除去する作業)
  • 下地補修・プライマー塗布(施工面の整備と接着性の向上)
  • 防水層の施工(主材塗布またはシート貼付による本工事)
  • トップコート施工(紫外線・摩耗から防水層を保護する最終仕上げ)
  • 廃材処分・材料搬入費・周囲の養生(周辺環境の保護・後片付け)

これらの項目がしっかり記載されているかどうかは、見積もりを比較する際の大事なチェックポイントです。

追加費用が発生しやすいケースとは?

以下のような状況では、当初の見積もりよりも追加費用が発生する可能性があります。

  • 下地の劣化が激しい場合(コンクリート剥がれやひび割れ、クラック補修が必要な場合)
  • 屋上に重い設備(室外機・貯水タンクなど)が設置されており、作業前に一時移動や専用の養生が必要になるケース
  • 既存防水層の種類によっては、完全に撤去しないと新しい防水材が密着しないため、撤去処分費が加算されることがある
  • 材料の搬入経路が狭い、またはクレーン等の重機が必要な現場
  • 足場の設置が必須な現場や、屋上までのアクセスが難しい場合

これらの条件を事前に把握するためには、現地調査を必ず依頼し、担当者から詳細な説明を受けることが重要です。

主な防水工法と80㎡におすすめの施工方法

防水工事にはさまざまな工法が存在し、建物の構造、屋上の形状、予算、仕上がりの希望、耐久年数などの条件に応じて最適なものを選定する必要があります。80㎡という面積は一般住宅から中小規模のビルまで幅広く該当するサイズであり、以下のような工法が候補になります。

ウレタン防水|コストと汎用性のバランスが◎

ウレタン塗膜防水は、液状のウレタン樹脂を複数回塗り重ねて防水層を作る工法です。複雑な形状の屋上や、ドレン周りの細かな処理にも対応しやすく、下地との密着性にも優れています。費用が比較的安価で、見た目も綺麗に仕上がることから、住宅や小規模ビルの80㎡の屋上に非常に適した工法といえるでしょう。トップコートの種類や塗布回数によって耐用年数を調整することも可能です。

シート防水(塩ビ・ゴム)|均一な厚みと耐久性

シート防水は、塩化ビニールやゴム製の防水シートを現場で敷設・接着または機械固定する工法です。厚みが均一に保たれ、施工ムラが生じにくいため、防水性能が安定しやすいというメリットがあります。80㎡程度の面積であれば、継ぎ目の数も抑えられるため、漏水リスクも低減できます。ただし、下地の形状によってはシートの敷設が難しい場合もあるため、事前の確認が必要です。

FRP防水|強度に優れるが費用は高め

FRP防水は、ガラス繊維とポリエステル樹脂を組み合わせて硬化させることで、強靭で耐摩耗性の高い防水層を形成する工法です。耐久性と耐薬品性に優れており、人の出入りが多い屋上やバルコニーなどに適しています。ただし、材料費や施工手間がかかるため、ウレタンやシート防水に比べると費用は高めになります。80㎡すべてに採用するよりも、部分的な補強やバルコニー併用などで導入されるケースもあります。

アスファルト防水|耐久性重視の大型建築向け

アスファルト防水は、熱で溶かしたアスファルトとフェルトを交互に積層する重防水工法です。耐久性が非常に高く、大型施設や商業ビルの屋上に多く採用されています。火気を使うため、住宅地などでは安全面や臭気に注意が必要ですが、80㎡程度でも施工は可能です。ただし、他の工法に比べて重量や手間がかかるため、住宅用途としてはやや過剰なケースもあります。

工事費用を抑えるために知っておきたいポイント

防水工事は選ぶ工法や施工環境によって大きく費用が変わるため、コストを抑えつつも品質を確保するには事前準備と比較検討が欠かせません。以下のポイントを押さえておくことで、無駄な出費を避け、納得のいく工事につなげることができます。

相見積もりは必須!費用と内容を見比べる

まず複数業者から見積もりを取り、価格差や含まれる工事項目の違い、使用材料の種類、施工体制(自社施工か下請けか)などを比較しましょう。単に総額だけで判断するのではなく、施工範囲や保証、工期まで丁寧にチェックすることが大切です。業者によっては現地調査後にしか正式な見積もりが出せない場合もあるため、早めに依頼してスケジュールを確保しましょう。

保証内容とアフター対応も比較すべき

防水工事は、完成後すぐに効果が現れるというよりも、数年にわたって建物を守るものです。そのため、工事後の保証内容(5年〜10年が一般的)、定期点検の有無、万が一の雨漏り時の緊急対応など、長期的な視点で業者の対応力を確認する必要があります。保証が有償か無償か、有効範囲がどこまでかなど、細かい点まで書面で確認しましょう。

助成金・補助金の活用方法(自治体制度の活用)

地方自治体によっては、住宅改修や長寿命化工事、防災対策として防水工事に対する助成制度を設けている場合があります。たとえば、高齢者向け住宅改修支援や、省エネ・断熱改修とのセット補助など、条件を満たせば10万円〜20万円程度の補助を受けられるケースもあります。申請には事前承認や書類提出が必要なため、工事前に役所の担当窓口に確認するのがおすすめです。

80㎡の屋上防水工事の見積もり例

屋上防水工事の費用は、選ぶ工法や現場の条件によって異なりますが、実際の見積もり例を見ることで相場感をつかみやすくなります。ここでは、代表的な3つの工法を用いた80㎡の防水工事における見積もり事例をご紹介します。

ケース1:ウレタン塗膜防水(通気緩衝工法)

  • 面積:80㎡
  • 工事内容:下地補修、通気緩衝シート敷設、ウレタン2層塗布、トップコート仕上げ
  • 工期:5日間程度
  • 見積もり額:55万円(税込)
  • 備考:既存防水層は撤去せず、上から新設する仕様

ケース2:塩ビシート防水(機械固定式)

  • 面積:80㎡
  • 工事内容:下地調整、ディスク取付、塩ビシート固定、端部シール処理
  • 工期:4〜5日間
  • 見積もり額:65万円(税込)
  • 備考:屋上に大きな設備があり、シート加工に手間がかかる現場

ケース3:FRP防水(バルコニー併設)

  • 面積:屋上70㎡+バルコニー10㎡
  • 工事内容:下地調整、FRP1層施工、トップコート
  • 工期:6日間
  • 見積もり額:80万円(税込)
  • 備考:下地に段差があり、複雑な形状への対応が必要

これらの事例からもわかるように、同じ面積でも工法や現場条件によって価格は大きく変わるため、現地調査に基づいた詳細な見積もりが不可欠です。

屋上防水工事を依頼する際の注意点と業者選び

防水工事は専門性の高い分野であり、業者選びの良し悪しが仕上がりに直結します。失敗しないためにも、以下のポイントを押さえて業者選びを行いましょう。

見積もりの内容は詳細まで確認を

見積書には工事内容が具体的に記載されているか、単価・数量・施工範囲が明記されているかを必ず確認しましょう。不明瞭な項目がある場合はその場で質問し、不安を解消することが重要です。”一式”表記が多い場合は要注意です。

施工実績と資格の有無をチェック

過去の施工事例を見せてもらい、自分の屋上と同条件の施工があるかを確認しましょう。また、「防水施工技能士」や「建築施工管理技士」などの資格を持つ職人が在籍しているかも信頼性を判断する材料になります。

近隣への配慮や施工期間の説明も重要

屋上工事は騒音や臭気が発生するため、近隣住民への挨拶や日程説明などの配慮も必要です。事前に説明や文書配布を行ってくれる業者は、トラブル防止の意識が高いといえます。

よくある質問(FAQ)

Q1:防水工事の工期はどれくらい?
A:一般的に3〜7日程度ですが、天候や工法によっては前後することがあります。

Q2:工事中は屋上を使えない?
A:はい、施工中は安全のため立ち入り禁止になります。洗濯物干しなどは事前に別の場所へ移動を。

Q3:雨の日の作業はどうなる?
A:基本的に中止です。ウレタンやFRPは特に乾燥条件が重要なので、工期が延びることもあります。

Q4:保証はつくの?
A:多くの業者は5〜10年の防水保証を設けています。内容や条件は契約前に確認しておきましょう。

まとめ|80㎡の屋上防水工事は内容と業者選びがカギ

80㎡の屋上防水工事は、費用にして50万円〜80万円程度が相場となりますが、建物の状態・工法・施工条件によって大きく変わります。費用だけでなく、施工内容や保証、アフターサービスを含めて信頼できる業者を選ぶことが、後悔のない防水工事への第一歩です。見積もりは複数取得し、内容をしっかり比較してから依頼を進めましょう。

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