ラジカル塗料とは?仕組みや特徴、屋根や外壁塗装へ使用するメリット・デメリットも解説

2025/07/24

外壁塗装を検討している方にとって、「どの塗料を選べばいいのか」は大きな悩みのひとつです。
中でも「ラジカル塗料」は大きな注目を集めています。
聞きなれない名称に戸惑う方もいるかもしれませんが、この塗料はこれまで主流だったシリコン塗料やフッ素塗料の「間」を埋めるような高性能塗料として、住宅の外壁塗装を中心に採用例が増えています。
耐候性やコストパフォーマンスに優れ、次世代のスタンダードとして台頭しつつあるラジカル塗料ですが、実際にはどのような仕組みで、どんな人に向いているのでしょうか。

本記事では、ラジカル塗料の仕組みや特徴、メリット・デメリット、他塗料との違い、そして選び方のポイントまでわかりやすく解説します。

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目次

ラジカル塗料とは?仕組みと特徴をわかりやすく解説

ラジカル塗料は、外壁塗装に使われる塗料の中でも比較的新しい種類に分類され、紫外線による劣化を抑える「ラジカル制御型酸化チタン」という成分を配合しているのが特徴です。

ラジカルとは塗膜を劣化させる原因物質のことで、従来の塗料ではこのラジカルの発生を防ぐことが困難でした。
ラジカル塗料では、その発生を抑制する特殊技術が導入されており、結果として塗膜の劣化を防ぎ、耐久年数が大きく向上します。

ラジカルとは何か?

ラジカルとは、紫外線が塗料に含まれる酸化チタンに作用することで発生する「非常に活性の高い分子(=劣化因子)」のことを指します。
このラジカルが空気中の酸素や水分と反応することで、塗膜を酸化させて劣化を引き起こすのです。
つまり、塗料の色あせや剥がれ・チョーキング現象(白い粉が表面に出てくる状態)は、ラジカルの作用によって起きる現象なのです。

ラジカル制御技術の仕組み

ラジカル塗料は「高耐候酸化チタン」や「光安定剤(HALS)」といった特殊な添加剤を用いることで、ラジカルの発生を抑えたり、発生したラジカルを無害化したりする技術を採用しています。
これにより、従来の塗料よりも塗膜の劣化スピードが遅く、結果的に塗り替えサイクルを長く保てるのが大きな特長です。

ラジカル塗料は、シリコン塗料と同等以上の耐久性を持ちつつ、フッ素塗料ほど高価ではない「中価格帯」に位置する塗料として注目を集めています。
また汚れにも強く、美観の維持にも貢献する塗料です。
機能性と価格のバランスが取れた塗料として、戸建住宅を中心に採用が進んでいます。

ラジカル塗料のメリットとデメリット

ラジカル塗料の人気が高まっているのは、やはり「高機能でありながら価格が比較的抑えられる」というバランスの良さにあります。
ただし、どのような塗料にも一長一短があるため、メリットだけでなくデメリットもしっかり把握しておくことが大切です。

ラジカル塗料のメリット

高い耐候性と耐久年数(10〜15年)

ラジカル塗料は、紫外線による塗膜の劣化を防ぐ「ラジカル制御技術」が搭載されていることで、非常に高い耐候性を発揮します。
一般的なシリコン塗料と比較しても、10〜15年という長期間にわたり、外壁の保護性能と美観を維持することが可能です。
これにより、塗り替え頻度が少なくて済み、トータルでのメンテナンスコスト削減にもつながります。
とくに、厳しい気象条件下でも安定した性能を維持するため、住宅や小規模施設などに最適です。

汚れに強く、美観を維持しやすい

ラジカル塗料は、防汚性にも優れた性質を持っており、外壁表面に汚れが付着しにくい構造をしています。
空気中のチリやホコリ、雨だれなどが付着しても、風雨によって自然に洗い流される「セルフクリーニング効果」が働く製品もあります。
そのため、塗装後の外観が長期間にわたりきれいに保たれやすく、再塗装のサイクルを遅らせることにもつながります。
とくに外観を重視する住宅や店舗の外壁には、大きな利点となります。

コストパフォーマンスに優れる(シリコン以上フッ素未満)

ラジカル塗料は、価格面でシリコン塗料よりやや高価ながら、フッ素塗料ほどの高額にはなりません。
加えて耐久年数が10〜15年と長いため、初期費用と塗り替え頻度のバランスを考慮すると、非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢となります。
塗料選びにおいて「性能も価格もどちらも妥協したくない」と考える方にとって、ラジカル塗料はまさに中間帯の最適解とも言えます。
このことから、将来的なメンテナンス費用も視野に入れた、賢い外壁塗装計画が実現できるでしょう。

ラジカル塗料のデメリット

製品差が大きく、選定には注意が必要

ラジカル塗料と一口に言っても、実際にはメーカーや製品ごとに成分やラジカル制御技術の仕様が異なるため、性能にも大きな差が生じます。
とくに安価な製品では、制御効果が限定的であったり、耐候性が期待値よりも早く低下してしまうケースもあるため注意が必要です。
購入時には、メーカーの信頼性・成分構成・実績データなどをチェックし、適切に比較・検討を行うことが大切です。

塗装業者による施工品質に左右される

ラジカル塗料の性能を最大限に発揮させるには、適切な施工が不可欠です。
たとえば下地処理が不十分だったり、塗布量や乾燥時間が規定どおりでなかった場合、期待された効果が発揮されないこともあります。
したがって、信頼できる実績ある施工業者に依頼することが重要です。
施工事例の確認・使用する塗料の指定・工程の説明などを通じて、業者の信頼性を見極めましょう。

フッ素塗料には性能で及ばない場合も

ラジカル塗料は高機能塗料として優れていますが、フッ素塗料と比較すると、より長期的な耐久性ではやや劣る側面もあります。
特に20年以上の塗膜維持を重視する施設や、海辺・山間部といった過酷な自然環境にある建物では、フッ素塗料のほうがより適している場合もあります。
耐用年数や立地条件、今後の修繕計画なども総合的に踏まえて、どの塗料を選ぶかを慎重に判断することが重要です。

他の塗料との違い|シリコン・フッ素・ウレタンとの比較

ラジカル塗料は、新しい技術を採用した塗料で、従来のシリコン・フッ素・ウレタンと比較して「コストと耐久性のバランス」に優れている点が特徴です。
外壁塗装を検討する際、他の塗料と何がどう違うのかを理解することで、より自分のニーズに合った選択が可能になります。

塗料名耐用年数単価の目安特徴
ウレタン約6〜10年安価柔軟性あり/やや劣化しやすい
シリコン約10〜13年中程度コスパが良く汎用性が高い
ラジカル約12〜15年中〜やや高め耐候性と価格のバランスが良い
フッ素約15〜20年高価高耐久・長寿命だがコスト高

耐久性で言えばフッ素が最も優れていますが、コストが高いため採用に踏み切れないケースも少なくありません。
ラジカル塗料はシリコンよりもやや高めですが、耐久性・防汚性・美観維持といった点で非常にバランスが良く、一般住宅に適した塗料といえます。

ラジカル塗料に付随する主な機能とは?

ラジカル塗料は、紫外線による劣化を抑える「ラジカル制御」が最大の特徴ですが、それに加えて多機能性を持たせた製品も数多く存在します。
建物の立地や用途・居住者のニーズに応じて、こうした付随機能を選ぶことで、塗装効果をより高めることができます。

低汚染性(セルフクリーニング)

外壁の美観を保つうえで重要なのが、汚れへの耐性です。
ラジカル塗料の中には、親水性の高い成分を含むことで、雨水が表面の汚れを洗い流す機能を備えたものもあります。
排気ガスやホコリが付着しやすい道路沿いの住宅や、雨だれが目立つ立地に有効です。

防カビ・防藻機能

湿気がたまりやすい場所では、カビや藻の繁殖が外壁の劣化や美観低下を引き起こします。
そのため、ラジカル塗料の中には防カビ・防藻剤を配合し、微生物の発生を抑える製品も存在します。
日陰の多い北側や、植栽の近くなどにおすすめです。

遮熱機能

夏場の室温上昇を抑えたい方には、遮熱性能を備えたラジカル塗料が適しています。
太陽光の赤外線を反射する成分が含まれており、外壁や屋根の温度上昇を防ぐ効果があります。
冷房効率が向上することで、省エネや電気代削減にもつながるでしょう。

透湿性

近年の高気密住宅では、壁内結露がトラブルの原因となることもあります。
透湿性のあるラジカル塗料は、内部の湿気を外に逃がす構造を持ち、カビの発生や構造材の腐食を防ぎます。
建物を長く健康に保つためにも、透湿性能の有無は重要な判断ポイントです。

環境が建物にどのような影響を与えるのか、そのリスクを把握したうえで最適な機能を持つ塗料を選ぶことが重要だと言えるでしょう。

実録!新東亜工業の施工事例|4階建てビルの外壁塗装工事

築年数の経過したビルを購入されたオーナー様から、「外壁が劣化しており雨漏りも心配」とのご相談をいただきました。今回は、東京都杉並区にある4階建てビルの外壁塗装・防水工事の一連の流れを、初回のお問い合わせから現地調査、見積提出、契約、施工中のやり取り、そして引き渡しに至るまで、実際の会話を交えながら詳しくご紹介します。「信頼できる業者に任せたい」「予算内でしっかり直したい」という方にとって、参考となるリアルな施工事例です。

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ご相談内容

今回ご相談いただいたのは、築年数の古い4階建てビルを購入されたお客様。購入時点で外壁の傷みが激しく、雨漏りの心配もあるとのことで、外壁塗装と屋上の防水工事をご希望されました。

担当者:お世話になります。新東亜工業の高井です。お問い合わせの件でお電話しました!
お客様:ありがとうございます。今回ビルを購入したんですが、外壁塗装と防水をお願いしたくて…。できるだけ早く見てもらえますか?
担当者:わかりました。では明日の10時はいかがでしょうか?
お客様:はい、大丈夫です。

内装工事も同時進行中とのことで、外装の工事を急ぎたいという背景がありました。

工事の概要|施工内容と条件

ビル外壁塗装 施工前
ビル外壁塗装 施工後

工事内容は以下のとおりです。

項目 内容
建物種別 商業ビル(4階建て)
所在地 東京都杉並区
工事内容 外壁塗装、防水工事、下地補修
工法 塩ビシート機械固定+ウレタン密着工法
特記事項 内装工事との同時進行、工期短縮の要望あり

工事金額:510万円
工期:約2か月

現地調査で判明した劣化症状

現地調査では、外壁の塗膜剥離、タイルの浮き・クラック、屋上防水層の劣化など深刻な症状が確認されました。特に屋上の防水状態は悪く、既存塗料も不適切で、全面改修が必要と判断されました。

担当者:この壁、塗膜がガッツリ剥がれていて、打診しても浮きが多いですね。
お客様:うわ、本当だ。こんなに音が違うんですね…。
担当者:屋上は塩ビシートとウレタンのハイブリッド工法でいきましょう。外壁もタイルの張り替えが必要です。
お客様:予算内に収まるようにお願いします。

施工中のやり取りと配慮

足場組立後、下地調査で塗膜の劣化が想定以上に進行していたことが発覚。雨漏りリスクの高い箇所を優先的に補修し、予算内で最善の施工を進行しました。屋上扉の塗膜厚により開閉しづらくなるといったトラブルも、事前説明と調整によりスムーズに対応。

担当者:塗装の厚みで屋上扉が開きづらくなっています。調整して対応しますのでご安心ください。
お客様:事前に聞いていたので大丈夫です。開くようにお願いします。
担当者:了解です。あとは防水工事に入りますね。

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引き渡し時のご感想

工事完了後、お客様ご自身でも現地を確認され、「外壁も屋上もきれいに仕上がっていて安心した」との嬉しいお言葉をいただきました。鍵の返却や保証書の送付などもスムーズに完了しました。

お客様:すごくきれいになってました!ドアもちゃんと開くようになっていて安心しました。
担当者:ありがとうございます。保証書などは後日郵送させていただきますね。
お客様:はい。ありがとうございました。本当に良かったです。

本工事では、築古ビルの劣化箇所を的確に調査・把握し、限られた予算内で最大限の品質を確保しました。特に屋上のハイブリッド防水工法と外壁タイルの下地補修により、建物全体の防水性と美観が向上。お客様との綿密なやり取りにより、信頼関係を築きながら安心して任せていただける工事を実現しました。

ラジカル塗料が向いているケースとは?

ラジカル塗料はすべての場面で最適というわけではなく、「適した用途」が明確に存在します。
以下のようなケースでは、ラジカル塗料の採用が有効です。

コストを抑えつつ長持ちさせたい人

外壁塗装の費用は決して安くないため「できるだけコストを抑えたい」と考える人は多いでしょう。
ラジカル塗料はシリコン塗料よりも耐久性が高く、フッ素塗料ほど価格が高くないため「価格と耐久性のバランスを重視したい」という方に最適です。
耐用年数は10〜15年とされ、長持ちするうえに塗り替えの回数も減るため、長期的に見るとトータルコストを抑えることができます。

コスパ重視で賢く外壁リフォームをしたい方にぴったりの塗料です。

日当たり・雨風が強い立地にある建物

建物が直射日光を浴びやすい、または強い風雨にさらされる地域では、外壁の劣化が早く進む傾向があります。
そのような条件下でも性能を維持しやすいのが、ラジカル塗料の強みです。
ラジカル制御技術により、紫外線によって発生する劣化因子「ラジカル」を抑制できるため、塗膜の寿命が延び、美観も長く保たれます。
沿岸部や高台、日当たりのよい住宅密集地など、環境負荷の高い立地条件にある建物には非常に有効です。

戸建て住宅や小規模施設など

比較的小規模な建物、特に一般的な戸建て住宅では、初期費用と長期的なメンテナンスコストのバランスが重要です。
ラジカル塗料は、その中価格帯のコスト設定と高い耐久性から、戸建て住宅の外壁塗装にぴったりです。
また、小規模な施設や店舗など、定期的な修繕にかけられる予算が限られている場合にも適しています。
価格を抑えながら品質にもこだわりたいというニーズに応えられる、費用対効果の高い塗料といえるでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. ラジカル塗料はシリコン塗料より本当に長持ちしますか?

A. メーカーや製品の品質にもよりますが、ラジカル塗料はシリコン塗料と同等、あるいはそれ以上の耐久性を持つものも存在します。紫外線による劣化を抑える機能が強化されているため、長期間美観を保てる傾向にあります。

Q2. ラジカル塗料にもグレードや種類がありますか?

A. はい、あります。「ラジカル制御型塗料」として販売されている製品にもグレードや使用成分に違いがあるため、選定時にはメーカーの信頼性や実績、製品仕様書などを確認することが重要です。

Q3. ラジカル塗料は屋根にも使えますか?

A. 製品によっては外壁と屋根両方に使えるタイプもありますが、屋根はより過酷な条件にさらされるため、専用の高耐久仕様が推奨されます。屋根用として使用する場合は、「屋根対応可」と明記された塗料を選びましょう。

まとめ:ラジカル塗料は「次世代のスタンダード」として注目の選択肢

ラジカル塗料は、これまでの外壁塗料の課題であった「紫外線による劣化」に対し、ラジカル制御技術という新しいアプローチで応えた次世代型の高機能塗料です。
シリコン塗料を超える耐久性を持ちながらも、フッ素塗料よりも手頃な価格帯であることから、「高性能かつコストパフォーマンスに優れた塗料」として多くの住宅で採用が進んでいます。

もちろん、すべての建物や予算条件に対して万能というわけではなく、製品による性能差や施工業者の技術力にも依存する部分があるため、導入時には十分な検討が必要です。
メーカーの信頼性や製品のグレード、そして現場経験豊富な施工業者の選定こそが、ラジカル塗料の性能を最大限に引き出すポイントになります。

「できるだけ長持ちさせたいけれど、予算には限りがある」「外壁の美観を保ちたいけれど頻繁に塗り替えるのは難しい」といった悩みを抱える方にとって、ラジカル塗料は非常に有力な選択肢です。
とくに戸建て住宅のように、塗装周期やメンテナンスコストが家計に影響しやすいケースでは、その実力が強く発揮されるでしょう。

外壁塗装の成否は、塗料選びと業者選びの両方にかかっています。
ラジカル塗料の特性を理解し、建物の立地や劣化状況、予算といった要素を踏まえたうえで、最適な塗装プランを立てることが大切です。
専門業者と相談しながら、ご自身の住まいにぴったりの塗料を選んで、建物の資産価値や美観を長く保ちましょう。