
中古マンションの大規模修繕費用を解説!購入前に知っておきたい基礎知識
2025/07/24
中古マンションを検討中の方にとって、大規模修繕にかかる費用は無視できない大きな判断材料です。築年数が進むほど、建物の劣化も進行し、修繕のタイミングが差し迫ってきます。特に築15年・20年といった節目を迎えるマンションでは、近いうちに大規模修繕が予定されているケースが少なくありません。費用の負担額や修繕積立金の状況によっては、購入後に思わぬ出費が発生するリスクもあるため、事前にしっかりと情報を把握しておくことが重要です。
この記事では、中古マンションにおける大規模修繕の概要、工事費用の相場、積立金の仕組みや購入時のチェックポイントまで、初めての方でも理解しやすいように詳しく解説します。
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目次
- 1 大規模修繕とは?基本と頻度の把握が購入成功のカギ
- 2 中古マンションの大規模修繕にかかる費用の目安とその内訳
- 3 中古マンションの築年数ごとの修繕リスクと費用の違い
- 4 修繕積立金と一時金の違い|中古マンション購入前に要チェック!
- 5 中古マンション購入時に確認すべきチェックポイント
- 6 実録!新東亜工業の施工事例|7階建てマンションの大規模修繕工事
- 7 中古マンションの大規模修繕の業者選びのポイント|費用を削減するには?
- 8 中古マンションの大規模修繕費用を抑える方法
- 9 中古マンションの大規模修繕の資金不足で役立つ助成金について
- 10 中古マンションの大規模修繕の費用相場でよくある質問
- 11 中古マンションの修繕リスクは「見える化」と「備え」で回避できる|まとめ
大規模修繕とは?基本と頻度の把握が購入成功のカギ
中古マンション購入前にまず押さえておきたいのが、「大規模修繕工事」の存在です。これはマンション全体の経年劣化を防ぎ、資産価値を維持するために、一定の周期で行われる大規模な改修工事を指します。国土交通省のガイドラインでは、おおよそ12年〜15年周期での実施が推奨されており、通常30年間で2回ほど実施されるのが一般的です。
大規模修繕で対象となる工事には、以下のようなものがあります。
- 外壁の塗装やひび割れ補修
- 屋上やバルコニーの防水工事
- 給排水管や配管設備の交換
- 鉄部(手すり・階段など)の塗装・修繕
- 共用部分の床材や内装のリニューアル
これらの工事は、単に建物の外観を整えるだけでなく、漏水や劣化による安全性の低下を防ぐ重要な役割を担っています。
特に築15年以上のマンションでは、大規模修繕が近いか、すでに1回目が終わっていて2回目を控えている場合が多く、物件価格が安くても将来的な修繕コストが大きな負担になることがあります。
中古マンションの大規模修繕にかかる費用の目安とその内訳
実際にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。以下は一般的な費用の目安です。マンションの規模や築年数、使用されている建材、地域差などにより費用は変動しますが、あくまで平均的な参考値としてご覧ください。
戸数規模 | 修繕費用(総額) | 1戸あたり目安 |
---|---|---|
小規模(〜20戸) | 約2,000〜4,000万円 | 約100〜200万円 |
中規模(21〜49戸) | 約5,000〜7,000万円 | 約100〜150万円 |
大規模(50戸以上) | 約8,000万円〜1億5,000万円 | 約80〜120万円 |
この費用の中には、足場設置、外壁塗装、防水施工、設備交換、仮設トイレや工事車両の導入など、さまざまな工程が含まれています。施工の内容や使用する材料のグレードによっても費用は変わってきます。
また、2回目以降の大規模修繕では、1回目よりも配管や設備の交換などが加わるため、工事項目が増加し費用も高くなる傾向があります。
中古マンションの築年数ごとの修繕リスクと費用の違い
マンションは築年数によって必要な修繕内容やその頻度、かかる費用が大きく異なります。購入価格が割安に感じられる築古物件でも、後々多額の修繕費用が発生するリスクがあるため、築年ごとの修繕傾向を把握しておくことは非常に重要です。
以下に、築年数ごとの特徴と修繕費用の目安をまとめた表を掲載します。
築年数帯 | 修繕の主な内容 | 修繕費の目安(1戸あたり) |
---|---|---|
築10年未満 | 小規模な補修程度。大規模修繕は未実施 | 約0〜20万円(将来に備えた積立重視) |
築10〜20年 | 1回目の大規模修繕(外壁・屋上・鉄部など) | 約80〜120万円 |
築20〜30年 | 2回目の大規模修繕+設備更新や配管工事 | 約120〜180万円 |
築30年以上 | 劣化が進み建替検討や総合改修の可能性も | 約150〜200万円以上(内容により大幅変動) |
築10年未満
基本的には新築時の仕様が維持されており、劣化も軽微です。大規模修繕は未実施のケースがほとんどで、修繕積立金も低めに設定されている傾向にあります。購入時は、今後の積立金増額予定を確認することがポイントになります。
築10〜20年
1回目の大規模修繕が行われるタイミングです。すでに工事が完了している場合は、次の修繕までの期間を確認しましょう。まだ実施されていない場合は、今後数年以内に修繕が計画されていることが多く、積立金残高や一時金徴収の有無を必ず確認すべきです。
築20〜30年
2回目の大規模修繕が近づく時期であり、1回目よりも費用が高くなる傾向があります。設備の更新や給排水管の劣化補修など、内部構造に関わる工事が加わるため、修繕内容も多岐にわたります。修繕積立金が十分でない場合には、一時金負担の可能性が高まります。
築30年以上
構造上の劣化が深刻化し、部分的な建て替えやリノベーションが検討される場合もあります。修繕の履歴が明確で、長期修繕計画と積立金の状況が管理されていれば、築年数が進んでいても安心材料となりますが、建物自体の耐用年数や今後の維持コストを総合的に検討する必要があります。
築年数だけで判断するのではなく、過去の修繕履歴、今後の計画、管理体制の有無など複合的な視点で判断することが、後悔のない購入につながります。
修繕積立金と一時金の違い|中古マンション購入前に要チェック!
マンションの修繕費用は、基本的に「修繕積立金」によってまかなわれます。これは、住戸ごとに毎月一定額を積み立て、将来の修繕に備える制度です。積立金はマンションの管理規約に基づいて設定されており、以下はその一例です。
専有面積 | 月額の目安 | 年間合計 | 30年間累計 |
---|---|---|---|
約70㎡ | 約12,000〜18,000円 | 約15万円 | 約450〜540万円 |
この積立金が不足していると、大規模修繕の際に「一時金」として住戸ごとに追加負担を求められることがあります。たとえば、1戸あたり100万円前後の一時金が必要になる例もあり、想定外の出費として家計に大きな影響を与えることもあります。
積立方式には「均等積立方式」と「段階増額方式」があり、後者の場合は築年数が進むほど負担額が上がる仕組みとなっています。中古物件を購入する際には、この積立金の累積残高や管理組合の財政状況をチェックすることが重要です。
中古マンション購入時に確認すべきチェックポイント
大規模修繕費用のリスクを回避するためには、購入前に以下のような点を徹底的に確認しておくことが大切です。
- 長期修繕計画書が作成されているか(最新かどうか)
- 過去の修繕履歴(1回目・2回目の工事実績)
- 現在の修繕積立金の残高と今後の支出予定
- 一時金の徴収履歴や今後の徴収予定
- 管理組合の運営体制(総会議事録・役員構成など)
- マンション全体の築年数と主要設備の劣化状況
詳しく解説していきます。
長期修繕計画書が作成されているか(最新かどうか)
長期修繕計画書は、今後の修繕スケジュールや内容、必要な費用が具体的に示された重要書類です。これが整備されていれば、将来的な出費を予測しやすくなり、計画的なマンション運営がなされている証ともいえます。最新の内容に更新されているか、修繕の周期や費用が妥当かを確認しましょう。
過去の修繕履歴(1回目・2回目の工事実績)
過去にどのような修繕が実施されてきたのかを知ることで、今後のリスクを判断する材料になります。1回目の大規模修繕が適切な時期に行われているか、またその際にどの部位を修繕したのかによって、次回修繕の範囲やコストも予測可能になります。実施年や業者名も含めてチェックするのが理想です。
現在の修繕積立金の残高と今後の支出予定
修繕積立金は、大規模修繕の財源となるため、残高が十分にあるかどうかは非常に重要です。過去の修繕費用と照らし合わせ、残高が今後の予定に対して不足していないかを確認しましょう。収支計画書や決算報告書を確認し、収入と支出のバランスを見ておくことも大切です。
一時金の徴収履歴や今後の徴収予定
積立金が不足している場合、過去に一時金の徴収が行われていた可能性があります。また、今後の修繕に向けて追加徴収が予定されていないかどうかもチェックポイントです。たびたび一時金が必要になっている場合は、財政計画に問題がある可能性も考えられます。
管理組合の運営体制(総会議事録・役員構成など)
管理組合の運営が透明かつ活発であるかは、マンションの将来を左右する重要な要素です。総会議事録を確認して議論が適切に行われているか、役員が定期的に交代しているか、居住者の合意形成がなされているかなど、健全な体制かどうかを見極めましょう。
マンション全体の築年数と主要設備の劣化状況
建物自体の築年数や、給排水管・エレベーター・インターホンなど主要設備の状態も重要なチェックポイントです。外観がきれいでも、内部設備の老朽化が進んでいれば大規模修繕や設備更新により多額の費用が必要になることもあります。現地見学の際に確認するだけでなく、点検記録や報告書も確認できると安心です。
これらを不動産仲介会社に依頼して資料を取得したり、売主からの情報開示を受けることで、将来の費用リスクを把握しやすくなります。特に「築20年」「築30年」といった年数を迎えるマンションは、次の修繕工事が数年以内に予定されているケースが多く、その費用が売買価格に反映されていない場合もあるため注意が必要です。
また、管理体制がしっかりしているマンションほど、工事の履歴や積立金の管理が透明で、将来的な出費に対しても安心感があります。
実録!新東亜工業の施工事例|7階建てマンションの大規模修繕工事
今回は、東京都墨田区にある7階建てマンションで実施された大規模修繕工事の実例をご紹介します。色選びの失敗を繰り返したくないというオーナー様のご相談から始まり、現地調査、丁寧な工程説明、施工後の満足の声まで、実際の会話を交えながら施工の流れをわかりやすくお届けします。
大規模修繕・防水工事・外壁塗装のご依頼やご相談は、メール・お電話からお受け致しております。

ご相談内容
お問い合わせ時点で、オーナー様は過去の色選びの失敗と屋上防水の要否にお悩みでした。
お客様:「前に外壁の修繕をやったとき、色で失敗してしまって…。今回はちゃんと満足できるものにしたいんです」
お客様:「屋上防水もやるべきか迷っていて…実は5年前に他業者でやってるんですが、そのまま使えますか?」
現地調査の結果、屋上防水の状態は良好と判断。防水あり/なしの2パターンで見積を提示し、「防水なしプラン」でのご契約となりました。
工事の概要|工事金額と施工期間


今回の工事では、外壁塗装、シーリング打ち替え、鉄部塗装、足場など複数の工事項目を含めて施工。屋上防水は状態良好につき除外となりました。
工事項目 | 内容 |
---|---|
外壁塗装 | シリコン塗装仕上げ |
シーリング | 全箇所撤去・打ち替え |
鉄部塗装 | 玄関扉・バルコニー手すりなど |
足場 | 全面架設 |
工事金額:約852万円(税込)
施工期間:約50日間
お客様:「複数パターンで見積を出してくれたので比較しやすかったですね。説明もわかりやすくて納得できました」
担当者:「屋上防水は前回の状態が良好でしたので、今回は必要ありませんでした。余計な費用がかからないよう判断させていただきました」
現地調査で判明した劣化症状
現地調査では、以下のような劣化症状が確認されました。
- シーリングの硬化・亀裂:経年劣化により弾性を失い、ひび割れ多数
- シーリングの「増し打ち」による施工不良:旧シールを撤去せず重ねていたことで剥離が発生
- 外壁塗装の色あせ・汚れ:前回塗装の退色が進行し、日陰部に黒ずみ
- バルコニー床のトップコート剥離:防水機能は残るものの、表面劣化あり
担当者:「古いものを撤去せず上から足してあるだけだったので、耐久性が落ちてました。今回はすべて撤去して打ち直します」
お客様:「やっぱり、見えないところもきちんと確認してもらえると安心できますね」
施工中のやり取りと配慮
工事中は毎回担当者が進捗を報告。外壁色や長尺シートの見本を見て決定しながら進められ、工程ごとに確認しやすい体制を整えました。
担当者:「今日は3階バルコニーのシーリングを打ち替えていきます。既存シールはすべて撤去済みです」
お客様:「毎回進捗を伝えてくれるので、こちらも安心して見守れます」
担当者:「色見本の実物板を5種類ほど持ってきましたが、どれがよさそうですか?」
お客様:「これがいいですね!」

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引き渡し時のご感想
引渡し時には、オーナー様とお母様にも仕上がりをご確認いただき、ご満足の声をいただきました。
お客様:「本当イメージ通りの色でよかったです。ありがとうございます。母も喜びますわ!」
お客様:「領収書の件も丁寧に対応してくださって助かりました。最初から最後まで信頼できました」
中古マンションの大規模修繕の業者選びのポイント|費用を削減するには?
中古マンション購入後、大規模修繕に向けた準備を進める上で、業者選定はコストと品質に直結する重要な要素です。修繕費用をどこまで抑えられるか、工事の質をどれだけ保てるかは、業者選び次第で大きく変わってきます。特に、管理組合が主導して業者を選定する場合でも、住民として適切な知識を持って参加することが求められます。
まず注目したいのは、「相見積もり(複数業者からの見積もり取得)」を行うこと。価格の比較だけでなく、提案内容や使用する材料の違い、工事スケジュールなどの比較が可能になり、費用の妥当性を客観的に判断するうえで非常に有効です。
また、以下のような視点も業者選びでは重要です。
- 担当者が建築士や施工管理技士などの有資格者かどうか
- 工事保証やアフターフォローの制度が整っているか
- 使用する材料・工法について明確な根拠と説明があるか
- 工事中の住民対応(掲示板掲示、説明会実施など)が丁寧か
- クレーム対応の窓口が明確に設けられているか
詳しくみていきましょう。
担当者が建築士や施工管理技士などの有資格者かどうか
大規模修繕は設計・工事管理・安全対策など複数の専門的な視点が求められます。担当者が一級建築士、マンション管理士、施工管理技士などの国家資格を保有しているかを確認することで、業務の信頼性や法令遵守の体制が整っているかを判断できます。資格情報は面談時に直接確認するとよいでしょう。
工事保証やアフターフォローの制度が整っているか
修繕工事は完了して終わりではありません。施工後に発生する不具合やトラブルへの対応がスムーズであるかを確認するには、保証期間やアフターサービス体制の有無が鍵となります。防水保証5年、塗装保証3年など、部位ごとの保証内容が契約書に明記されているか確認しましょう。
使用する材料・工法について明確な根拠と説明があるか
「どの材料を使うか」「なぜその工法を選ぶのか」について、業者から根拠ある説明がなされることが重要です。耐用年数・メンテナンス性・コスト面を比較し、納得できる仕様であるかを判断しましょう。材料名やメーカー名が記載された仕様書を出してもらうことが望まれます。
工事中の住民対応(掲示板掲示、説明会実施など)が丁寧か
マンション内での大規模工事は、住民生活に直接影響を及ぼします。騒音、出入り制限、共有部分の使用制限などが発生するため、住民への説明会開催、掲示板やチラシでの工事予定案内など、丁寧な配慮があるかが業者の誠実さを測るポイントとなります。
クレーム対応の窓口が明確に設けられているか
工事期間中に何らかのトラブルや住民からの苦情が発生した際、迅速かつ的確に対応してもらえる体制があるかどうかは極めて重要です。クレーム受付専用の連絡先や担当者が明示されているか、報告・対応のフローが明文化されているかを確認し、安心して任せられる業者かどうかを見極めましょう。
価格が安すぎる業者には注意が必要です。不自然な安値は、必要な工程を省略していたり、安価な資材を使用していたり、結果として工事の品質や耐久性に大きな影響を及ぼす可能性があります。施工後すぐに不具合が発生し、再工事が必要になるリスクもあるため、信頼性の高い業者を慎重に選ぶことが重要です。
中古マンションの大規模修繕費用を抑える方法
大規模修繕費用を少しでも抑えるには、工事のタイミングや内容、契約形態などを工夫する必要があります。ここでは、コスト圧縮につながる具体的なポイントを紹介します。
- 長期修繕計画を前倒ししすぎない:必要以上に早く工事を実施すると、未劣化部位の工事まで含まれてしまい、無駄な支出が発生するリスクがあります。外部専門家による劣化診断をもとに、本当に必要な時期に絞って施工するのが理想です。
- 工事内容の優先順位を明確にする:すべての部位を一度に修繕するのではなく、緊急性の高い箇所から優先し、他の部分は次回の修繕時に回すことで、短期的な支出を抑えることが可能です。
- 仕様書や見積書の精査を怠らない:同じ金額でも、含まれている工程や品質が異なる場合があります。仕様書や見積書に曖昧な点があれば質問し、内容を明確化することが大切です。
- 管理会社の推薦に依存しすぎない:管理会社が提携している業者に一任すると、価格競争が働かず、工事費が高額になりがちです。第三者の専門コンサルタントに相談することで、公正な視点で業者選定が可能になります。
- 中長期の修繕計画を共有し、分割発注を検討する:1回の工事で全てを賄おうとせず、2回・3回に分けて実施することで、財政状況や住民の負担に合わせて柔軟な対応が可能になります。
中古マンションの大規模修繕の資金不足で役立つ助成金について
大規模修繕には多額の資金が必要ですが、全額を自己資金や積立金だけでまかなうのが難しいケースも少なくありません。そんな時に活用したいのが、国・自治体・金融機関が提供する補助金や融資制度です。
地方自治体の補助金制度
各自治体では、分譲マンションの老朽化対策や居住環境の改善を目的とした補助金制度を設けていることがあります。対象となるのは、外壁塗装、防水工事、バリアフリー化、耐震補強などで、支給額は工事費の10〜30%、上限50万〜100万円程度が一般的です。自治体によって申請条件や受付期間が異なるため、事前の確認が必要です。
管理組合向けの融資制度
住宅金融支援機構や一部の銀行・信用金庫では、管理組合に対して「マンション共用部修繕ローン」などの融資商品を提供しています。これにより、修繕積立金が不足していても、必要な工事を前倒しで実施することが可能になります。借入金は修繕積立金や住民からの追加徴収で返済していく形になります。
その他の支援制度
国土交通省が推進する「マンション管理計画認定制度」に認定されたマンションは、今後、補助制度の対象として優遇される可能性があります。また、省エネルギー改修に関する補助金や税制優遇措置と併用することで、工事費用の一部をカバーすることもできます。
これらの制度は事前申請が必要であり、適用条件もあるため、計画段階で制度活用を検討することが重要です。管理組合単位での相談会や専門家のサポートを受けることで、申請成功率を高められるでしょう。
中古マンションの大規模修繕の費用相場でよくある質問
ここでは、中古マンションの大規模修繕の費用相場でよくある質問をまとめているので、参考にしてみてください。
Q1. 中古マンションの大規模修繕費用は1戸あたりどれくらいかかりますか?
A. 一般的な費用相場は、1戸あたり80万円〜150万円程度が目安です。マンションの規模や施工内容によって変動し、50戸以上の大規模マンションでは1戸あたりの負担が抑えられる傾向があります。
Q2. 修繕積立金だけで費用をまかなえるのでしょうか?
A. 積立金が十分に確保されていれば、追加費用(=一時金)の徴収なしで工事が可能です。ただし、築年数が長く積立金が不足している場合、一時金として数十万円〜100万円以上の追加費用が発生することもあります。
Q3. 中古マンションを買う前に、修繕費の負担をどう確認すればいいですか?
A. 購入前に「長期修繕計画書」「修繕積立金の残高」「管理組合の議事録」などを確認しましょう。次回修繕の予定時期や、過去に一時金の徴収があったかどうかも重要なチェックポイントです。
Q4. 大規模修繕は何年ごとに必要ですか?回数で費用は変わりますか?
A. 一般的には12〜15年周期で実施されます。1回目よりも2回目・3回目の方が劣化箇所が増えるため、費用が高くなる傾向があります。給排水管や設備の更新も必要になるため、工事内容も複雑化します。
Q5. 修繕費用を抑えるコツはありますか?
A. 複数業者から見積もりを取る「相見積もり」、修繕内容の優先順位付け、管理会社以外の業者も含めた検討などが有効です。信頼できるコンサルタントや施工実績豊富な会社に相談することで、適正価格で高品質な施工が期待できます。
中古マンションの修繕リスクは「見える化」と「備え」で回避できる
|まとめ
中古マンション購入は、価格や立地条件だけでなく、将来のメンテナンスコストを見据えた判断が求められます。特に大規模修繕に関する費用や積立状況は、購入時には見えづらい部分だからこそ、意識的に確認・検討することが重要です。
- 修繕積立金の残高と方式(均等・段階増額)を必ず確認する
- 長期修繕計画の有無と、その更新状況をチェック
- 工事項目・スケジュール・資金計画のバランスを評価する
- 管理組合の運営体制が整っているか、議事録・資料で確認する
- 工事実績や保証体制を持つ信頼性のある業者を選定する
こうした点を押さえることで、「買った後にこんなに費用がかかるとは思わなかった」という失敗を防ぎ、安心して長く住み続けられる住環境を手に入れることができます。
大規模修繕の費用は、突然降ってくる一過性の出費ではなく、情報を得て、計画を立てて、備えることで十分に対処可能なものです。信頼できる不動産会社や施工業者、管理会社と連携しながら、後悔のないマンション購入を実現させましょう。