コンクリート住宅の屋根防水工事とは？塗料の選び方や費用相場を詳しく解説

コンクリート住宅の屋根は、丈夫で耐久性が高いと思われがちですが、実は定期的な防水工事が欠かせません。見た目に異常がなくても、内部で水分がしみ込み劣化が進行しているケースもあり、放置すれば雨漏りや構造体の腐食・断熱性の低下など深刻なトラブルに発展する恐れがあります。

特に築10年以上の建物や、過去に防水工事をしていない屋根は要注意です。
「そろそろ工事が必要かも？」と感じたら、まずは適切な工法や費用、信頼できる業者の選び方を知ることが重要です。

このページでは、コンクリート住宅における屋根防水工事の必要性や代表的な工法の違いや費用の目安、業者選びのポイントまでをわかりやすく解説します。
住まいを長く快適に保つために、ぜひ最後までチェックしてください。

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なぜコンクリート住宅の屋根に防水工事が必要なのか

コンクリート屋根は一見頑丈で劣化しにくいように感じますが、実際には経年によりさまざまな内部劣化が進行します。表面の見た目では分かりにくい場合も多く、知らぬ間に深刻なトラブルに発展していることも少なくありません。
以下では、構造上のリスクと防水処理を怠ることによる影響について解説します。

コンクリート屋根の構造上のリスクとは

コンクリートは圧縮には強い一方で、引っ張りに弱く、微細なひび割れ（クラック）が発生しやすい性質を持っています。また、水分を内部に吸収する特性があり、防水層が劣化すればすぐに内部へと雨水が浸透し始めます。屋根は建物の中で最も過酷な環境にさらされているため、放置しておくと急激に劣化が進行します。特に陸屋根タイプでは水の排出がしにくく、長期間にわたって水分が滞留しやすいという問題もあります。

雨水侵入による劣化とその深刻な影響

雨水が内部へ侵入すると、コンクリートの中性化が進行し、内部に埋め込まれた鉄筋が酸化しやすくなります。鉄筋が錆びることで体積が膨張し、それがさらにコンクリートを押し広げて亀裂を拡大させる悪循環に陥ります。このような現象は、建物の耐震性の低下や剥離・爆裂といった重大な構造的損傷へとつながります。さらに湿気が内部にこもることで、カビの発生やシロアリ被害が誘発されることもあり、健康被害や室内環境の悪化といった二次被害に発展するリスクも高まります。

防水処理を怠ると起きるトラブル例

・天井の雨染みやシミ跡の発生により、美観と快適性が損なわれる
・室内の湿度が高まり、カビが発生しやすくなる
・断熱材が濡れることで断熱性能が著しく低下し、冷暖房効率が悪化
・建物全体の構造体に腐食や剥離が起こり、重大な安全性の問題につながる

これらのトラブルは一見些細に見えるかもしれませんが、放置することで高額な改修費用が発生する恐れもあります。早期の防水工事によって、こうした被害を未然に防ぐことが可能です。

コンクリート住宅の屋根防水工事が必要なタイミングと劣化サイン

屋根の防水工事は、劣化が進んでから慌てて行うのではなく、適切なタイミングで行うことが重要です。そのためには、劣化の初期症状を見逃さずに発見し、築年数や過去のメンテナンス状況も踏まえて工事時期を判断することが大切です。
ここでは、見落としがちな劣化サインと工事の目安、そして早めの対応がもたらすメリットについて解説します。

見逃しやすい初期症状

コンクリート屋根の劣化は、外からは気づきにくいことが多いですが、実は「ひび割れ」「膨れ」「雨染み」といった初期症状が現れています。
ひび割れは、コンクリートの表面が少しずつ割れ始めている状態で、放置するとそこから水が侵入しやすくなります。また、塗膜が膨れている箇所は防水層の劣化が進んでいる証拠です。さらに、雨染みが見られる場合は内部に水分が入り込み始めているため、早急な点検と対策が必要です。
これらのサインを見つけたら、専門業者に相談し、現状を正確に把握することが重要です。

築年数別の防水工事目安

一般的に、コンクリート住宅の屋根防水工事は築10年から15年を目安に検討するのが適切です。
特にウレタンやFRPなどの防水工法の場合は耐用年数が10〜15年とされており、築年数が近づくと劣化リスクが高まります。
過去に防水工事をしていない建物や、定期的な点検を行っていない場合は、さらに早めの検査をおすすめします。
もちろん環境条件や施工状況によって劣化の進み具合は異なるため、定期的な専門点検が工事の最適なタイミングを知る鍵になります。

雨漏りが起きる前に対応するメリット

雨漏りが発生してからの修理は、被害が拡大し費用も高額になることがほとんどです。そのため、防水層の劣化や初期の劣化サインを発見した段階で対処することが大切です。
早めの防水工事は建物の構造を守り、断熱性能の低下も防げるため、快適な住環境を維持できます。また、予算面でも大規模な補修より抑えられ、工期も短く済む傾向があります。

コンクリート住宅に適した屋根防水工事の主な工法と特徴

屋根防水工事には複数の工法が存在し、それぞれ施工条件や費用、耐用年数に違いがあります。
以下では、主に採用されている4つの代表的な防水工法について、その特徴や適用条件をわかりやすく解説します。

ウレタン防水

ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を現場で塗布して防水層を形成する工法です。継ぎ目のない一体化した膜が形成されるため、複雑な形状の屋根にも柔軟に対応可能です。また、比較的リーズナブルな価格で施工できることから、多くの戸建て住宅で採用されています。耐用年数は10〜12年程度で、定期的なトップコート塗り替えによってさらに寿命を延ばすことが可能です。

FRP防水

FRP（繊維強化プラスチック）防水は、ガラス繊維と樹脂を組み合わせた非常に強固な防水層を形成する工法です。短時間で硬化するため、スピーディーな施工が可能で、工期の短縮にもつながります。耐摩耗性・耐薬品性にも優れており、ベランダやバルコニーでも使用されることが多いですが、動きの大きい屋根部には不向きな場合があるため、施工箇所を選ぶ必要があります。

シート防水

シート防水は、防水性のあるシートを接着や機械的に固定する工法です。塩ビシートは耐候性・耐紫外線性に優れており、ゴムシートは柔軟性が高く動きに強いため、建物の揺れや変形に追従しやすい特徴があります。下地の状態に応じて選択でき、メンテナンスも容易なことから、広範囲の屋根に適した方法です。

アスファルト防水

アスファルト防水は、アスファルトシートを熱で溶かして重ね貼りしていく工法で、高い防水性と耐久性を誇ります。特にトーチ工法は、バーナーで加熱して施工する方法で、均一な厚みの防水層を形成できます。耐用年数は15〜20年と長く、ビルやマンションなどの大型建築物での採用実績も豊富です。ただし、火気使用が伴うため安全管理が重要で、専門技術者による確実な施工が求められます。

コンクリート住宅の屋根防水工事にかかる費用相場と見積もりのポイント

コンクリート住宅の屋根防水工事は、防水工法や屋根の形状・面積・立地によって費用が大きく変動します。納得できる工事にするためには、相場の把握と見積書の内容確認が重要です。
ここでは、代表的な防水工法の単価目安や見積書のチェックポイント、費用を抑えるコツなどを分かりやすく解説します。

工法別の単価目安（1㎡あたりの価格帯）

以下は、主な防水工法における一般的な価格帯（税抜）です。実際の費用は、使用材料や下地の状態、現場の環境、施工面積などにより上下します。

防水工法名	一般的な価格帯（税抜）
ウレタン防水（密着工法）	3,500〜6,000円／㎡
ウレタン防水（通気緩衝工法）	4,500〜7,500円／㎡
FRP防水（ガラスマット仕様）	5,000〜8,000円／㎡
シート防水（塩ビ・ゴム）	4,000〜7,000円／㎡
アスファルト防水（熱・トーチ工法）	5,000〜9,000円／㎡

これらはあくまで目安であり、特に高所作業や狭小スペースなど、施工性が悪い現場では追加費用が発生することもあります。

見積書でチェックすべき項目とは

見積書は金額の確認だけでなく、工事内容の詳細が記載された重要な書類です。内容をしっかり確認することで、不要な費用や不適切な工事を防ぐことができます。
主なチェック項目は、以下の通りです。

・図面や実測に基づいた正確な数量か

・使用する塗料・シートの種類やメーカー名が明記されているか

・高圧洗浄・下地処理・防水層・トップコートなどの作業が分かりやすく記載されているか

・足場費・養生費・残材処理費などが明細に含まれているか

・保証期間・範囲・対象箇所が明確に記載されているか

不明な点がある場合はそのまま契約せず、納得できるまで担当者に説明を求めましょう。

予算オーバーを防ぐコツと注意点

費用を抑えながらも品質を維持するには、いくつかの実践的な工夫が有効です。以下のポイントを意識することで、予算内で満足度の高い施工を実現できます。

相見積もりは最低3社以上

工事を依頼する際は、最低でも3社以上から見積もりを取りましょう。価格の比較はもちろん、説明の丁寧さや提案の具体性なども重要な判断材料になります。契約後のトラブルを防ぐためにも、複数の業者を比較検討することが安心です。

現場調査時に希望を明確に伝える

見積もり前の現地調査では、予算の上限や希望する材料、完成希望日などを具体的に伝えることが大切です。事前に伝えておくことで、無駄なプランの提示や予算オーバーを防げます。要望を共有することが納得できる見積もりへの第一歩です。

「一式表記」には要注意

見積書に「一式」とだけ書かれている項目は、作業内容や数量が不明確でトラブルの原因になります。工事の内訳や材料名、使用量などが明確に記載されているか確認しましょう。細かく記載されているほど、信頼性のある見積もりといえます。

実録！新東亜工業の施工事例｜3階建てマンションの屋上防水工事

築38年の3階建てRC造マンションにて、屋上の防水工事をご依頼いただいた事例をご紹介します。
「屋上の防水塗装が剥がれてきて不安…」「ベランダや排水溝も気になる箇所がある」
そんな不安を抱えたお客様からメールにてお問い合わせをいただき、現地調査・見積・契約・施工・引き渡しまでを実際のやり取りと共にご紹介します。
途中で工法の変更が発生した点も含め、リアルな工事の流れがわかる内容です。

ご相談内容

お問い合わせはメールで始まりました。屋上やベランダの防水劣化、排水溝の錆、駐輪場のライン引きについてもご相談がありました。
お客様はメールでのやりとりを希望されており、現地調査と見積が無料であることを案内することで安心感を提供できました。

お客様：屋上やベランダの防水塗装が剥がれているようなので見積をお願いします。
通路の排水溝の金属蓋の交換もお願いしたいです。

担当者：現地調査・御見積は無料で行っておりますのでご安心ください。

お客様：12月12日 14時でお願いできますか？ ついでに天窓と屋根の調査もお願いします。

工事の概要｜工事金額と期間

工事金額：100万円

工期：5日間

 

現地調査で判明した劣化症状

屋上の防水層は部分的に切れ・膨れが見られ、塔屋屋根はより劣化が進んでいました。
一方でベランダや廊下の防水はまだ機能していると判断され、不要な工事は避ける形でご提案しました。

担当者：塔屋屋根の防水層は屋上よりも状態が悪く、以前の工事からかなり年数が経っていると思われます。

お客様：そうなんですね。やはり雨漏りしてからじゃ遅いので、防水お願いします。

担当者：防水層が生きている場所については、今回は工事しなくても大丈夫です。

施工中のやり取りと配慮

洗浄後の確認で、旧防水層の膨れが多数見つかり、急遽「通気緩衝工法」への変更を提案。
工法変更による追加費用やメリットを丁寧に説明し、納得を得て施工を進行。
室外機や物干し台の取り扱い、駐輪場ライン引きのスケジュールも調整されました。

担当者：古い防水層の膨れがあり、通気緩衝工法への変更をおすすめします。

お客様：金額によりますが、効果があるならお願いしたいです。

担当者：費用追加で対応可能です。支払いは完工時で結構です。

引き渡し時のご感想

駐輪場のライン引きを含めた全工程が完了。お客様には仕上がりをご確認いただき、満足のご感想をいただきました。
今後のトラブル時対応についても案内し、信頼関係を築いてお引き渡しとなりました。

担当者：駐輪場のライン引きも終わり、全ての工事が完了しました。

お客様：ありがとうございます。線がとてもきれいで満足です。

担当者：今後なにかあればいつでもご連絡ください。

本工事では、お客様のご要望を丁寧にヒアリングし、メール主体のやり取りにも柔軟に対応しました。
現地調査により劣化の状態を正確に把握し、必要な工事だけをご提案。
施工中には想定外の劣化が発見されましたが、最適な工法へ変更し、お客様の納得を得て対応。
お引き渡し後もフォロー体制を伝えることで、長期的な信頼関係を築くことができました。

コンクリート住宅の屋根防水工事の施工手順と工期の目安

防水工事の現場では、計画的かつ安全に作業を進めるための手順が明確に定められています。
ここでは、着工前の調査から工事完了後の保証まで、一般的な施工の流れを時系列で紹介します。

現地調査からプラン提案までの流れ

1. 現地調査・劣化診断（30分〜1時間）
   • 屋根材や既存防水層の劣化度合い、ひび割れ、水はけの状態などを確認します。
2. 報告書と見積もり作成（2〜3営業日）
   • 調査結果に基づき、写真付きの報告書と複数の施工プラン（工法別）を提示します。
3. 契約・スケジュール確定
   • 工程の説明や工期の打ち合わせ、近隣対応などを含め、契約書を締結します。

実際の施工工程（下地処理〜トップコート）

工事は以下のような工程で進められます。防水工法によって多少の違いはありますが、基本の流れは次の通りです。

工程	内容	所要日数（目安）
高圧洗浄	既存の汚れ・藻・ホコリを除去	半日〜1日
下地補修	ひび割れ・欠損部の補修、下地調整	1日〜2日
プライマー塗布	防水材との接着をよくする下塗り材	半日程度
防水層の施工	ウレタン・FRP・シートなどによる施工	1〜3日
トップコート塗布	紫外線・劣化を防ぐ保護層の塗布	半日〜1日
養生・乾燥期間	材料の硬化を待つ	1日〜2日

施工完了後の保証やメンテナンス対応

防水工事完了後は、防水保証書が発行され、5〜10年程度の保証が付くことが一般的です。保証期間は防水材や工法によって異なり、ウレタン防水は5〜10年、FRPは約10年、シート防水は10年以上のケースもあります。保証を受けるには定期点検が必要な場合が多いため、契約時に内容をよく確認しましょう。

また防水層の劣化を防ぐために、5年ごとのトップコート塗り替えや定期点検も重要です。工事後のアフターサービスが充実している業者を選ぶことで、安心して長く住まいを守れます。

信頼できる業者の選び方｜コンクリート住宅の屋根防水工事で失敗しないために

屋根防水工事は、信頼できる業者選びが成功のポイントです。価格だけでなく、実績や資格・保証内容・見積もりのわかりやすさも確認しましょう。
ここでは、後信頼できる業者の選び方をわかりやすく解説します。

業者の実績や資格を確認する

まず注目したいのは、業者の施工実績と保有資格です。防水工事の経験が豊富な業者ほど、コンクリート屋根特有の構造や劣化傾向を熟知しており、的確な施工が期待できます。また「防水施工技能士」や「建築士」などの有資格者が在籍しているかも信頼性を測る指標です。公式サイトに事例が掲載されているか、過去の施工写真や口コミを確認するのも有効です。

複数の見積もりでしっかり比較する

1社だけでなく、複数の業者から見積もりを取り寄せて比較することが重要です。費用の相場感がつかめるだけでなく、提案内容や対応の丁寧さも見極められます。同じ工事内容でも価格に差が出る場合があり、その理由を質問することで業者の誠実さも判断できます。また、極端に安い見積もりには注意が必要です。必要な工程が省かれていたり、耐久性に不安がある材料を使っている可能性もあります。

アフターサービスと保証内容を見極める

防水工事は施工後のフォロー体制が非常に重要です。万が一トラブルが起きたとき、すぐに対応してくれるか、保証期間はどのくらいかなどを契約前にしっかり確認しましょう。工事保証書の発行や定期点検の有無も、安心して任せられるかどうかの判断材料になります。「保証あり」と書かれていても、内容が曖昧な場合もあるため、書面で具体的に明記されているかどうかがポイントです。

コンクリート住宅の屋根防水工事に関するよくある質問（FAQ）

コンクリート住宅の屋根防水工事に関するよくある質問について紹介します。参考にしてみてください。

Q1. コンクリート屋根の防水工事は何年おきに必要？

A. 一般的には10〜15年を目安に再施工が推奨されます。ただし、使用している工法や建物の立地条件、日照や風雨の影響度合いによっても異なります。築年数だけでなく、定期的な点検と劣化症状の有無によってタイミングを見極めることが大切です。

Q2. 雨漏りが発生してからでも間に合いますか？

A. 雨漏りが発生した時点で、すでに防水層が機能していない状態です。対応が遅れると、コンクリート内部や鉄筋にまで水が浸透し、構造的なダメージに発展する恐れがあります。早急な処置が必要であり、雨漏りが発生していなくても予防的な施工が望ましいとされています。

Q3. DIYでの補修は可能ですか？

A. 市販の防水材を使って一時的な補修を行うことは可能ですが、根本的な解決にはなりません。コンクリートのひび割れや下地の処理、防水層の重ね塗りや接着力の確保には専門的な知識と技術が必要です。特に屋根などの高所作業は安全管理も重要となるため、基本的には専門業者への依頼が推奨されます。

コンクリート住宅を長く守るために屋根防水工事は欠かせない｜まとめ

コンクリート住宅の屋根は構造的に頑丈ですが、雨や紫外線・寒暖差などの外的要因により劣化しやすい特徴があります。こうした劣化を防ぎ、住宅の寿命を延ばすためには、定期的な点検と適切な防水工事が欠かせません。

防水工事には、雨漏りの防止だけでなく、躯体の保護や断熱性能の維持、室内環境の安定など、多くのメリットがあります。早期に対処することで、補修費用や生活への影響を最小限に抑えることが可能です。また、保証制度やアフターサービスが整った信頼できる業者を選ぶことが、長期的な安心につながります。

工事の必要性を感じたら専門業者に点検を依頼し、屋根の現状を正確に把握しましょう。無料診断や見積もりを活用すれば、工事のタイミングや工法・費用の見通しが立てやすくなります。家の資産価値と快適な暮らしを守るため、早めの防水対策が大切です。