 
              大規模修繕はいくらかかる?費用相場・内訳・積立金の目安を徹底解説
2025/09/30
マンションやビルの所有者・管理組合にとって「大規模修繕はいくらかかるのか」は、最も大きな関心事の一つです。修繕を適切に行わなければ外壁のひび割れや漏水が進み、居住者の安全性や建物の資産価値が低下してしまいます。一方で、数千万円単位の大きな出費が発生するため、資金計画を誤れば修繕積立金の不足や一時金の徴収につながり、住民トラブルの火種になりかねません。
本記事では「大規模修繕はいくらかかるのか」という疑問に答えるべく、マンション規模別の費用相場、工事項目ごとの費用内訳、修繕積立金の目安や不足時の対応方法を詳しく解説します。さらに、費用を抑える工夫や事例も取り上げ、これから修繕を検討する方が安心して準備できるように情報を整理しました。
目次
大規模修繕はいくらかかる?費用の全体相場
大規模修繕の費用は、建物の規模・築年数・劣化の度合いによって大きく異なります。一般的な目安は1戸あたり100万〜150万円程度です。たとえば以下のように規模別にシミュレーションできます。
- 30戸規模マンション:3,000万〜4,500万円
- 50戸規模マンション:5,000万〜7,500万円
- 100戸規模マンション:1億〜1.5億円
- 200戸規模マンション:2億〜3億円以上
また、延床面積を基準に算出する方法も一般的で、1㎡あたり1.2〜1.8万円程度が費用相場とされています。建物の形状が複雑な場合やタイル張りの外壁が多い場合は補修単価が高くなり、費用が膨らみやすくなる点に注意が必要です。
大規模修繕は12〜15年周期で行うのが標準とされており、その度に数千万円単位の費用が発生します。修繕を後回しにすると劣化が進行し、次回の修繕で一度に大きな費用がかかるリスクが高まるため、「いくら必要か」を早めに把握して積立を準備することが不可欠です。
大規模修繕の工事項目ごとの費用はいくら?費用内訳
大規模修繕の費用は、一つの工事だけでなく複数の工事項目が組み合わさって発生します。その中でも「外壁工事」と「防水工事」は費用全体の約半分を占めるケースが多く、優先順位も高い工事項目です。以下に代表的な工事項目と費用目安をまとめます。
| 工事項目 | 内容・目的 | 費用目安 | ポイント・注意点 | 
|---|---|---|---|
| 外壁塗装 | 外壁の洗浄・下地補修・塗装を行い美観と耐久性を維持 | 1㎡あたり3,000〜5,000円 | タイル外壁の場合は補修や張替えで高額化しやすい | 
| 防水工事 | 屋上やバルコニーの漏水を防ぐ(ウレタン・シートなど) | 1㎡あたり5,000〜8,000円 | 工法によって耐用年数とコストが変わる | 
| シーリング打ち替え | 外壁目地や窓周りの隙間を補修し雨水侵入を防ぐ | 1mあたり800〜1,500円 | 打ち増しと打ち替えで費用差がある | 
| 給排水管更新 | 老朽化した配管を交換し漏水や詰まりを防止 | 1戸あたり30万〜50万円 | 配管劣化が進むと緊急工事で割高になる | 
| 鉄部塗装 | 手すり・扉・階段など金属部分の防錆処理 | 一式 数百万円規模 | 放置すると腐食が進み交換費用が高額化 | 
| 共用設備更新 | エレベーターや照明などの機械設備を更新 | 数百万円〜数千万円 | 法定点検や耐用年数に合わせて更新 | 
工事項目の費用は「劣化の進み具合」「施工範囲」「使用する材料」によって大きく変動します。例えば外壁塗装は、単純な塗り替えだけなら比較的安価ですが、タイルの浮きやひび割れが多い場合は下地補修費用が大幅に増える可能性があります。防水工事も同様で、短期的に安い工法を選んだ場合、次回修繕までの間隔が短くなり、結果的にコスト高になるケースも少なくありません。
したがって、工事項目ごとの費用相場を把握したうえで「必要性」と「長期的なコストバランス」を考慮することが、大規模修繕費用を適正にコントロールする鍵となります。
費用に影響する要因
大規模修繕の費用は「建物の規模」「築年数」「劣化状況」など、さまざまな条件によって変動します。相見積もりを取った際に金額差が大きいのは、これらの要因が複雑に絡んでいるためです。事前にどの条件がコストに影響するかを理解しておくと、予算を組みやすくなります。
- 建物の規模・階数
 規模が大きくなるほど工事項目も増え、足場や仮設工事の費用が比例して高くなります。高層マンションでは足場設置が難しく、ゴンドラなどの特殊設備を用いるため費用が上がりやすい点に注意が必要です。
- 築年数と劣化の度合い
 築30年を超える建物では外壁や防水層の劣化が顕著で、下地補修や配管交換が追加されることがあります。「外壁塗装だけで済む」と思っていても、実際にはタイル剥落や漏水が発見され、追加工事が数千万円単位になるケースも珍しくありません。
- 工法の選択
 防水工事を例に挙げると、ウレタン塗膜防水は比較的安価ですが耐用年数は短め。一方、シート防水やアスファルト防水は初期費用は高いものの長持ちし、次回工事までの期間を延ばせます。短期的な安さを取るか、長期的なコスト削減を取るかで総額は大きく変わります。
- 施工会社・地域による違い
 同じ内容でも施工会社によって見積もり金額が異なります。人件費や資材調達コスト、施工体制などが影響するためです。また都市部は人件費が高く、地方より費用が高めに出る傾向があります。
これらの要因を見極めることで、工事の必要性と費用の妥当性を判断しやすくなります。
修繕積立金の目安と不足時の対応
大規模修繕の費用を賄うのが「修繕積立金」です。国土交通省のガイドラインによれば、マンション1戸あたりの修繕積立金は月額12,000〜20,000円前後が目安とされています。この金額を12〜15年積み立てることで、1戸あたり150万〜200万円程度の資金が確保でき、概ね大規模修繕に対応できる計算です。
しかし実際には、販売時に積立金を低めに設定しているマンションも多く、いざ工事の段階で資金不足に陥るケースが目立ちます。積立不足が判明した場合には以下の対応策があります。
- 一時金の徴収:住民から追加で資金を集める方法。ただし負担感が大きくトラブルに発展することも。
- 金融機関からの借入:管理組合として融資を受ける方法。分割返済が可能だが利息負担が発生。
- 工事項目の見直し:緊急性の低い工事を次回に回し、費用を分散させる。
最も望ましいのは、長期修繕計画を策定し、必要な積立金を前もって確保することです。資金不足を避けるためには、定期的に積立金額を見直し、建物の劣化進行に応じて調整していく姿勢が求められます。
大規模修繕費用を抑えるためのポイント
「大規模修繕はいくらかかるのか」を正しく把握したうえで、費用をできるだけ抑える工夫をすることも大切です。安易に「安さ」だけを追求すると施工不良や再工事につながるため、コスト削減と品質確保のバランスを意識しましょう。
- 複数業者からの相見積もり
 同じ工事でも業者によって数百万円以上の差が出る場合があります。少なくとも3社以上から見積もりを取り、金額だけでなく工法や保証内容まで比較検討することが重要です。
- 長期修繕計画の策定と定期点検
 劣化が進んでからまとめて工事を行うと費用が高額化します。定期点検を行い、小規模修繕で早めに対応すれば、次回大規模修繕の費用を軽減できます。
- 助成金・補助金制度の活用
 自治体によっては耐震改修や省エネ改修に補助金が用意されています。例えば屋上断熱防水や省エネ型設備の導入は対象になる場合があり、数百万円単位の削減が期待できます。
- 工事時期の工夫
 建設業界は年度末や夏季に依頼が集中しやすく、価格が高騰する傾向があります。閑散期を狙えば見積もりが下がる可能性があり、コスト削減につながります。
これらの工夫を組み合わせることで、総額で数百万円から数千万円規模の節約も不可能ではありません。大切なのは「安さ」ではなく「適正価格と長期的なコスト削減」を目指すことです。
大規模修繕に関するよくある質問(FAQ)
大規模修繕に関するよくある質問を紹介します。
Q1. 大規模修繕の平均費用はいくらですか?
大規模修繕の平均費用は1戸あたり100万〜150万円前後が目安です。例えば50戸のマンションなら5,000万〜7,500万円、100戸規模なら1億円を超えるケースが多く見られます。外壁や防水など主要工事の内容によって金額は変動するため、建物の規模と劣化状況を踏まえてシミュレーションすることが重要です。
Q2. 修繕積立金だけで足りますか?
修繕積立金でまかなえる場合もありますが、積立不足になるケースが少なくありません。特に分譲時に積立金を低めに設定したマンションでは不足が発生しやすい傾向があります。不足した場合は一時金徴収や金融機関からの借入が必要になることもあるため、定期的に積立金額を見直し、長期修繕計画に沿って準備することが大切です。
Q3. 大規模修繕はどのくらいの周期で必要ですか?
一般的には12〜15年周期で行うのが目安とされています。外壁塗装やシーリングは10〜12年、防水工事は12〜15年ごとに更新が必要です。これを放置すると劣化が進み、補修では対応できず大規模な改修が必要となり、結果的に費用が高額化してしまいます。
Q4. 費用を抑える方法はありますか?
費用を抑えるには複数業者からの相見積もりを取ることが必須です。さらに定期点検を行い、劣化が大きくなる前に小規模修繕で対応しておくことも効果的です。自治体の補助金や助成金を活用する方法もあり、断熱防水や省エネ改修などが対象になる場合があります。
Q5. 大規模修繕の工事中は住民生活に影響しますか?
はい、一定の影響があります。足場設置による日照や景観の制限、騒音や工事車両の出入りなどが挙げられます。ただし施工会社による説明会や事前調整を行えば、影響を最小限に抑えることが可能です。管理組合は住民への情報共有を徹底し、トラブルを避ける体制を整えておくことが望まれます。
大規模修繕の費用は「いくらかかるのか」についてまとめ
大規模修繕の費用は「いくらかかるのか」という疑問に対し、目安として1戸あたり100万〜150万円、全体では数千万円規模になることが一般的です。外壁や防水など主要工事項目ごとに内訳を理解し、建物の規模や劣化状況、工法の選択によって費用が大きく変わることを念頭に置く必要があります。
また、修繕積立金の不足はよくある課題であり、長期修繕計画の策定と積立金の定期見直しが不可欠です。さらに、相見積もりや補助金の活用、定期点検による早期対応など、費用を抑える工夫も欠かせません。
「大規模修繕はいくらかかるのか」を正しく把握し、計画的に資金を準備することが、安心して建物を維持・管理していくための第一歩です。
 
         
                       
                       
                       
     
         
         
        