病院・クリニックの大規模修繕について解説!目的や注意点は?
2025/07/24
病院やクリニックの大規模修繕は、医療施設の安全性や機能性を維持するために欠かせない取り組みです。
日々多くの患者が利用する医療施設は、建物の老朽化や設備の劣化が進みやすい環境にあります。
安全で快適な医療提供を可能にするためには、定期的な修繕が必要不可欠です。
この記事では、大規模修繕の目的、具体的な計画方法、さらには注意すべき点について詳しく解説します。
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目次
病院・クリニックの大規模修繕とは
病院やクリニックは、日々多くの患者に利用されるため、その建物や設備は他の施設に比べて早く老朽化する傾向があります。
このため、一定の期間ごとに大規模な修繕が必要となります。
大規模修繕とは、建物の耐久性を維持し、利用者に安全で快適な環境を提供するために行う修繕作業のことです。
特に医療施設では、患者の安全と治療の質を保証するために、定期的な大規模修繕が欠かせません。
大規模修繕の目的
大規模修繕の主な目的は、建物や設備の寿命を延ばし、安全性と機能性を維持することにあります。
医療施設における大規模修繕は、以下のような目的を持っています。
- 患者とスタッフの安全確保
- 建物の耐久性と機能性の向上
- 最新の医療技術に対応するための設備更新
- 衛生環境の改善
これらの目的を達成することで、医療施設は安心して利用できる環境を提供し続けることができます。特に、医療施設での安全性は患者の命に直結するため、慎重な計画と実施が求められます。
修繕の必要性とタイミング
大規模修繕の必要性は建物の状態や利用状況によって異なりますが、一般的には10年から15年ごとに行われることが多いです。
修繕のタイミングは、定期的な点検と診断に基づいて決定されます。
具体的には、以下のような兆候が見られた場合には修繕の検討が必要です。
- 建物のひび割れや漏水
- 設備機器の故障や老朽化
- 法令や規制の変更に伴う対応
- 患者やスタッフからの苦情や要望
これらの兆候を見逃さずに、適切なタイミングで修繕を行うことが、施設の機能維持と安全性確保につながります。
特に医療施設では、患者の健康と安全を守るため、計画的かつ迅速な対応が求められます。
病院やクリニックの大規模修繕における計画の立て方
病院やクリニックにおいての大規模修繕における計画について解説します。
現状分析と課題の洗い出し
病院やクリニックの大規模修繕を成功させるためには、まず現状分析と課題の洗い出しが不可欠です。
建物の老朽化や設備の劣化を確認し、どの部分が最も修繕を必要としているのかを把握することが重要です。
この過程では、専門家による詳細な調査が役立ちます。
診断結果に基づき、建物の耐震性や設備の安全性、さらにバリアフリー対応の状況などを総合的に評価します。
現状分析の際には以下のポイントに注意が必要です:
- 建物の構造的な劣化状況の確認
- 設備(電気、給排水、空調など)の状態チェック
- 施設内の安全基準遵守の確認
- 利用者の動線や利便性の評価
これらの情報をもとに、現在の問題点をリストアップし、優先順位を付けることが求められます。
これにより、効率的な修繕計画の立案が可能となり、必要な部分から計画的に修繕を開始することができるのです。
特に医療施設では、患者やスタッフの安全を第一に考え、迅速かつ的確な判断が求められます。
修繕計画の立案
現状分析の結果を踏まえ、具体的な修繕計画を立てる段階に移ります。
この計画は単に建物や設備の修繕を行うだけでなく、病院やクリニック全体の機能向上を目指すものです。
計画には、修繕の優先順位・スケジュール・具体的な施工内容を詳細に記載し、関係者全員が共通の理解を持つことが重要です。
修繕計画を立案する際に考慮すべき要素には以下があります:
- 修繕の目的と目標の明確化
- 修繕箇所ごとの具体的な施工内容
- 修繕に必要な期間とスケジュール
- 患者やスタッフへの影響を最小限にする配慮
修繕計画は、各部署やスタッフとの協力が不可欠です。
特に医療機関では、診療に影響を与えないスケジュール調整が重要です。
計画段階での調整が不十分な場合、診療に支障をきたす恐れがありますので、慎重な検討が求められます。
資金計画と予算設定
大規模修繕には多額の費用がかかるため、資金計画と予算の設定は非常に重要です。
修繕に必要な費用を正確に見積もり、適切な資金調達方法を検討することが求められます。
予算は修繕の進行において、計画通りに運営するための指針となります。
資金計画のポイントは次の通りです
- 修繕費用の見積もりと内訳の明確化
- 資金調達方法の検討(融資、補助金など)
- 予算の柔軟な運用と調整
- 予算超過時の対応策の準備
特に医療機関では、補助金や助成金を活用することで、財政負担を軽減できる場合があります。
また、予算設定の段階で潜在的なリスクを見越して、予備費を確保しておくことも重要です。
これにより、突発的な費用発生にも柔軟に対応することができます。
資金計画は修繕の成功を左右する重要な要素であり、慎重な検討が必要です。
実録!新東亜工業の施工事例|8階建てマンションの大規模修繕工事
築17年の8階建てマンションにおける、管理組合主導による大規模修繕工事の一部始終をご紹介します。
「予算オーバーを避けたい」「融資は極力使いたくない」といった現実的な課題を抱える中で、新東亜工業がどのように提案し、信頼を築きながら工事を完遂したのか──。
理事会への説明から近隣対応、完成後のフォローまで、実際のやり取りを交えてリアルにお伝えします。
大規模修繕・防水工事・外壁塗装のご依頼やご相談は、メール・お電話からお受け致しております。

ご相談内容
築17年が経過し、管理組合では以前から大規模修繕の検討がされていましたが、資材高騰などにより予算が合わず延期されていた背景があります。「融資は避けたい」「必要な部分に絞って実施したい」といった要望の中、数社に見積り依頼をされていた中で弊社にご相談をいただきました。
担当者:お問い合わせありがとうございます。ご予算に合わせて施工範囲を調整することも可能です。弊社は子会社で材料問屋を持っているため、同じ工事でも他社様より価格を抑えるご提案が可能です。
お客様:なるべく費用を抑えたいので、ぜひ現地調査をお願いします。図面などもご用意します。
担当者:ありがとうございます。図面と、屋上に鍵があるようであればご用意をお願いします。
工事の概要|工事金額と期間


項目 | 内容 |
---|---|
建物種別 | 分譲マンション(8階建て) |
所在地 | 東京都内(詳細非公開) |
工事内容 | 大規模修繕工事(外壁補修・塗装・防水・シーリング・長尺シート他) |
工法 | 足場設置のうえ全面修繕/ウレタン塗膜防水(密着工法)他 |
その他特記事項 | 理事会へのプレゼンあり、工事中の騒音・近隣対策対応あり |
工事金額:2,430万円 期間:約2カ月間
現地調査で判明した劣化症状
現地調査では、屋上の防水層や外壁のシーリング、タイル目地などに劣化が見られました。既存のアスファルトシート防水はまだ機能していたものの、再施工のタイミングとしては適切であり、ウレタン塗膜防水による上塗りを推奨しました。また、タイルの一部には硬化不良が確認され、慎重な撤去作業が必要な状態でした。
担当者:屋上はアスファルトシート防水ですね。状態は悪くないので、ウレタン塗膜防水の密着工法が適しています。
お客様:それでお願いします。あとベランダは見た目を良くしたいので、長尺シートも検討したいです。
担当者:シートは費用が倍近くかかるので、ウレタンの方が予算には優しいですね。
お客様:でも可能ならシートにしたいので、そちらで見積りお願いします。
施工中のやり取りと配慮
工事期間中は、騒音や近隣への影響を最小限に抑える配慮を行いました。作業工程や騒音の案内は掲示板やホワイトボードで事前に周知し、近隣住民や管理人との連携も徹底。足場設置やメッシュシートの風対策も含め、安全対策も万全に対応しました。また、アスベスト調査も事前に実施し、含有なしを確認済みです。
お客様:日曜に音がしたって苦情が来たのですが…。
担当者:調べたところ、隣の工事のものでした。担当者に周知のお願いはしておきました。
お客様:ありがとうございます。トラブルにならなくてよかったです。
引き渡し時のご感想
工事完了後、お客様からは「タイルもまったく違和感がない」「すごく綺麗になった」と高い評価をいただきました。タイルの保管方法や施工写真・保証書を含めた竣工図書の提出も行い、今後のメンテナンスにも役立てていただける内容でお渡ししました。
お客様:どこを張り替えたかわからないくらい自然ですね。
担当者:窯焼きで色を合わせたので、かなり近く再現できています。必要があればいつでもご連絡ください。
お客様:ありがとうございます。次は廊下の床や照明をまとめて検討したいと思います。
今回の工事では、以下のような成果が得られました。
- ご予算に合わせた柔軟な工事範囲調整
- 自社施工・材料問屋からの直接仕入れでコストダウンを実現
- 理事会での丁寧なプレゼンと近隣配慮で信頼を構築
- 施工中の進捗報告や打ち合わせで透明性を確保
- 外観と防水性が向上し、物件価値の維持につながった
新東亜工業では、お客様の状況に合わせた提案と対応を徹底しております。大規模修繕に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
病院・クリニックの大規模修繕におけるポイント
病院・クリニックの大規模修繕におけるポイントを紹介します。
患者への影響を最小限にする方法
病院やクリニックの大規模修繕は、患者に直接的な影響を及ぼす可能性があるため、その影響を最小限に抑えることが極めて重要です。
患者への影響を抑えるためには、まず修繕工事のスケジュールを適切に計画することが求められます。
診療時間外や患者数が少ない時間帯に工事を行うことで、患者の利便性を損なわずに工事を進められるでしょう。
- 診療時間外の工事実施
- 患者数が少ない時期の選定
- 適切な工事告知と情報共有
さらに、工事の進行状況を患者に適時知らせることで、不安を軽減し、信頼を維持することができます。
患者に安心感を与えるためには、事前に工事の内容や期間、影響範囲を明確に伝えることが重要です。
また、工事期間中に特に配慮が必要な患者に対しては、個別に対応策を講じることも考慮しましょう。
医療機器の保護と管理
病院やクリニックなどの医療機関における大規模修繕の際には、医療機器の保護と管理が重要な課題となります。
医療機器は高価であり、かつ診療の質を左右するため、適切な保護策を講じることが求められます。
まず、修繕工事が及ぼす影響を最小限にするために、医療機器の一時的な移設や保護カバーの使用を検討します。
- 医療機器の一時移設
- 保護カバーの使用
- 機器の定期メンテナンス
また、工事による振動や埃が医療機器に影響を与える可能性があるため、定期的なメンテナンスや動作確認を行うことも重要です。
医療機器の保護に関する専門家の意見を取り入れることで、より確実な対策を講じることができるでしょう。
これにより、工事期間中も診療品質を維持し、患者への影響を抑えることが可能となります。
安全性と衛生管理の確保
病院やクリニックの大規模修繕においては、安全性と衛生管理をしっかりと確保することが非常に重要です。
医療機関は感染症のリスクが高いため、衛生管理には特に注意を払う必要があります。
工事中に発生する埃や騒音が直接影響を及ぼすことがないよう、工事エリアをしっかりと隔離し、清掃を徹底することが求められます。
- 工事エリアの隔離と防塵
- 定期的な清掃と消毒
- 安全基準の遵守
加えて、安全基準を厳格に遵守し、工事現場の安全を確保することも欠かせません。
作業員の安全教育を実施し、適切な装備を使用することで、事故の発生を未然に防ぐことができます。
これらの対策を講じることで、患者やスタッフの安全を守りつつ、円滑に修繕工事を進めることができます。
FAQ
修繕期間中の診療はどうなるのか?
大規模修繕中でも、病院やクリニックの診療を継続することが重要です。患者さんへの影響を最小限に抑えるためには、計画的な準備と柔軟な対応が求められます。まず、修繕のスケジュールを事前に立て、診療時間外や週末を利用して工事を行う方法があります。また、仮設の診療スペースを設けることで、通常の診療を維持することも可能です。工事の進捗に応じて、診療科ごとに一時的に場所を移すなどの対策も考えられます。
さらに、患者さんに対しては事前に修繕についての情報を提供し、診療の変更や臨時の対応について周知することが大切です。これにより、患者さんの混乱を防ぎ、スムーズな診療を確保することができます。
修繕費用の負担を軽減する方法はあるか?
大規模修繕には多額の費用がかかることが一般的ですが、費用の負担を軽減するための方法もいくつかあります。まず、修繕に関する助成金や補助金制度を活用することです。自治体や政府が提供するこれらの制度は、特定の条件を満たすことで利用可能となる場合があります。具体的な条件や申請方法については、各機関のウェブサイトや窓口で確認することが重要です。
また、修繕計画の初期段階から複数の施工業者に見積もりを依頼し、比較検討することも費用削減につながります。適切な業者を選定することで、コストパフォーマンスの高い修繕が実現できます。さらに、長期的な視点での資金計画を立て、無理のない返済計画を組むことも、経済的な負担を軽減する一助となります。
大規模修繕と通常のメンテナンスとの違いは?
大規模修繕と通常のメンテナンスは、目的や規模において大きな違いがあります。大規模修繕は、建物の老朽化を防ぎ、機能性や安全性を長期間にわたって維持するために行われるもので、建物全体を対象にした包括的な取り組みです。具体的には、外壁の補修や屋根の交換、設備の更新などが含まれます。これに対して、通常のメンテナンスは、日常的な点検や小規模な修理を行うことで、短期的な不具合の発生を防ぐことを目的としています。
大規模修繕は、計画的に実施される一方で、通常のメンテナンスは定期的に行われることが一般的です。また、大規模修繕は専門業者による施工が必要となる場合が多く、通常のメンテナンスは内部スタッフで対応可能な場合がある点でも異なります。このように、両者は異なる役割を担い、それぞれの目的に応じた適切な実施が求められます。
まとめ
病院やクリニックの大規模修繕は、その施設の機能性や安全性を維持するために欠かせない重要な取り組みです。
修繕工事を成功させるには、細部にわたる計画と、患者さんへの影響を最小限に抑えるための配慮が必要です。
修繕期間中の診療の継続や、費用負担の軽減策を講じることで、施設運営に与える影響を抑えつつ、質の高い医療サービスを提供し続けることが可能となります。
また、省エネルギーや環境配慮の観点を取り入れることで、持続可能な医療施設運営を実現し、地域社会にとっても貢献度の高い修繕となるでしょう。
これらのポイントをしっかりと押さえ、計画的かつ効率的な修繕を進めることが、施設の長期的な運営において大いに役立つはずです。
今後の修繕において、この記事が少しでも参考になれば幸いです。