建物の劣化とは?原因・症状・放置リスクと対策をわかりやすく解説

2025/07/24

どんなに丈夫に建てられた建物でも、時間の経過とともに劣化は避けられません。見た目に異常がなくても、内部でゆっくりと進行しているケースも多く、放置すれば雨漏りや構造腐食といった深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。

本記事では、「建物の劣化とは何か?」という基本から、劣化の主な原因や部位別の症状・放置することで起こるリスク・そして劣化を防ぐための対策までをわかりやすく解説します。築年数が気になってきた方や、メンテナンスのタイミングを迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

大規模修繕・防水工事・外壁塗装のご依頼・メール・お電話でお受け致しております

目次

建物の劣化とは?

建物の劣化とは、経年や自然環境、使用状況、そして施工の質などさまざまな要因によって、建物の構造や外観が徐々に損なわれていく現象です。これは住宅やマンション、商業ビルといったあらゆる建物に共通して起こるもので、放置すると建物の寿命を縮めるだけでなく、住環境や安全性にも大きな影響を与えることになります。

特に、初期段階の劣化は見た目では気づきにくいケースも多く、気づいたときには内部まで深刻なダメージが進行していることも珍しくありません。

劣化を早期に発見し、適切な対処をすることで、建物の耐用年数を延ばし、大規模な修繕や高額な費用の発生を抑えることが可能です。

建物の劣化が進む原因とは?

建物の劣化にはさまざまな原因がありますが、大きく分けると「自然劣化」「外的要因による劣化」「施工不良や管理不足による劣化」の3つに分類できます。

それぞれの原因は複雑に絡み合いながら建物の状態に影響を与えるため、原因を正しく理解することが劣化対策の第一歩です。ここでは、各原因について詳しく見ていきましょう。

経年劣化による自然な変化

建物は時間とともに必ず劣化します。これはどれだけ良質な建材を使っていても避けることはできません。塗料の退色や剥がれ、コーキング材の硬化、屋根材の風化などは自然な経年劣化の一例です。特に築10年を過ぎたあたりから、目に見える変化が生じやすくなります。

雨風・紫外線などの外的要因

日本は四季があり、地域によっては豪雨・積雪・台風・強風・猛暑といった過酷な気候条件が建物に影響を与えます。これらの自然環境は外壁の塗膜や屋根材、防水層などにダメージを与え、ひび割れや剥がれ、腐食などの原因となります。

特に紫外線は塗膜の劣化を促進するため、日当たりの良い南側の壁面などは劣化が早く進行しやすい傾向があります。

施工不良・素材の選定ミスによる劣化加速

施工時の不備や材料選定の誤りは、経年劣化よりも早く重大な損傷を招く場合があります。下地の処理不足、湿気を含んだ状態での防水施工、不適切な塗料選定などが例です。

また、通気性を無視した構造や気候に合わない素材の使用も劣化を早める要因となります。

建物の劣化の部位別に見る建物の主な劣化症状

劣化は建物のあらゆる部位で起こり得るもので、気づきにくい箇所ほどダメージが進行しやすい傾向があります。見た目には問題がなさそうでも、内部では劣化が進んでいるケースも少なくありません。

ここでは、特に劣化しやすく、トラブルにつながりやすい代表的な部位について、注意すべき症状とあわせて解説します。

外壁

外壁は常に外気にさらされているため、経年や環境の影響を受けやすい部分です。チョーキング(白い粉が手につく現象)は塗膜が劣化しているサインであり、放置すると防水性が失われてしまいます。また、モルタル壁やサイディングのひび割れや剥がれも水の侵入リスクを高めます。

屋根

屋根材は紫外線・風・雨・雪といった自然環境の影響を最も直接受ける部位です。金属系屋根ではサビ、スレート系ではひび割れやズレが目立ち、放置すれば雨漏りや屋根裏の腐朽にまでつながります。また、雨樋の詰まりが原因で排水不良となり、屋根周辺の部材が劣化することもあります。

基礎・構造部分

基礎や構造体の劣化は建物全体の安全性に直結する重要な問題です。コンクリートの中性化により内部の鉄筋が錆びると、爆裂やひび割れが生じ、強度が著しく低下します。見た目に大きな変化がなくても、内部で進行しているケースもあるため、定期的な診断が不可欠です。

窓まわりや開口部

開口部は雨水や風の侵入を防ぐ重要な役割を持っています。窓枠や扉まわりのシーリングが硬化・ひび割れ・剥離していると、そこから水が入り込み、内部の壁材や床材を腐食させる原因になります。シーリング材は耐久年数が短いため、こまめなチェックとメンテナンスが必要です。

室内の劣化

屋外だけでなく、室内にも劣化は生じます。天井のシミは雨漏りや結露が原因で発生し、カビの発生源となることも。床の沈みや軋みは下地材の劣化や構造のゆがみによるもので、居住性や安全性に影響を及ぼします。湿気がこもりやすい場所ではクロスの浮きや変色も起こりやすく、見た目だけでなく空気環境にも悪影響を与えます。

建物の劣化サインを放置するとどうなる?

建物の劣化を放置すると、表面的な問題だけでなく、建物全体の寿命を縮める深刻なリスクにつながります。初期段階で対応すれば比較的簡単な修繕で済むケースも、見逃して長期間放置した結果、大規模な工事が必要になり、費用も膨大になるケースは少なくありません。以下に代表的なリスクを紹介します。

雨漏り・カビ・構造腐食などの実害

小さなひび割れやシーリング材の劣化を放置すると、雨水が徐々に建物内部に侵入し、壁内の断熱材や柱・梁などの構造材を腐食させていきます。こうした状態が長引けば、天井や壁に雨染みが現れるだけでなく、湿気によってカビが発生し、居住者の健康を害する恐れもあります。

特に木造住宅では、木材の腐朽やシロアリ被害を招きやすく、構造安全性が著しく低下する場合もあります。

資産価値の低下と売却時の不利

建物の劣化が進んでいると、住宅の査定評価は大きく下がります。売却を検討する際や相続、賃貸活用を行う場面で、「状態の悪い物件」と判断されてしまうと、価格交渉でも不利になり、買い手や借り手が見つからない原因にもなります。

逆に、適切なタイミングでメンテナンスされている建物は、査定額も高く、信頼性の高い資産として評価されやすくなります。

修繕費用の増加・工事の長期化

劣化を初期段階で発見・対処できれば、補修にかかる費用や工期も最小限で済みます。しかし、劣化が進行した状態では、表面の補修だけで済まず、下地の交換や構造補強など、手間と費用がかかる工事が必要になる可能性が高まります。

たとえば、防水層のひび割れを放置していた結果、躯体が腐食して全面的なやり替えが必要になると、費用は数十万円〜百万円単位に膨れ上がることもあります。

部位ごとに異なる建物の劣化スピードと補修目安年数

劣化のスピードは、建物の部位や使用されている材料・施工方法・さらには地域環境によっても大きく異なります。ここでは、住宅の代表的な部位ごとの「劣化進行の目安」と「補修・メンテナンスのタイミング」をまとめて解説します。

部位劣化が進行し始める目安補修・メンテナンスの目安主な劣化症状
外壁(塗装仕上げ)築7〜10年10年ごとに再塗装チョーキング、ひび割れ、退色
屋根(金属・スレート)築10〜15年10〜15年ごとに塗装または葺き替えサビ、ズレ、割れ、雨漏り
シーリング(コーキング)築5〜8年7〜10年で打ち替えひび割れ、剥離、硬化
防水層(バルコニー等)築10〜12年10〜15年で再施工膨れ、剥がれ、水たまり
基礎・構造部築20〜30年20年以降は定期診断中性化、爆裂、ひび割れ
サッシまわり築10〜15年10年ごとにシール補修隙間風、水漏れ、結露
室内(天井・床)状況により随時10〜15年で張り替え等シミ、沈み、クロスの浮き

上記はあくまで一般的な目安ですが、実際には日当たり・風通し・積雪量などの条件によって前後するため、定期点検を欠かさず行うことが重要です。

築年数だけで判断せず、「外観に変化が出た」「床が軋むようになった」など、日常生活の中で感じる小さな違和感にも注目しましょう。

新東亜工業の施工事例|13階建てマンションの大規模修繕工事

東京都内にある13階建てワンオーナーマンションにて、新東亜工業が実施した大規模修繕工事の事例をご紹介します。外壁タイルやシーリング、屋上防水など複数の劣化箇所を総合的に改修し、建物の資産価値を回復しました。

工事概要【工事金額・期間】

工事金額:6,098万円/工期:約5か月間(足場設置〜引き渡しまで)
屋上防水・外壁タイル補修・シーリング打ち替えを中心に、建物全体をバランスよく修繕。
建物全体にわたる一貫した施工により、見た目と性能の両立を実現しました。


建物の劣化とオーナー様のご相談内容

長年手を入れていなかったマンションの修繕を検討し始めたオーナー様から、初回のご相談をいただいたのがスタートでした。

相談のきっかけ

築20年以上が経過し、目視でも劣化が感じられるように。最初は「少し気になる」という段階でしたが、調査を通じて複数の問題が明らかになっていきます。

オーナー様「タイルの剥がれや屋上の汚れが気になっていて…」
担当者「まずは図面を拝見して、現地調査で状態を見ていきましょう」

調査で明らかになった劣化状況

現地での打診調査や目視検査によって、建物の各所に進行した劣化が確認されました。オーナー様も驚かれるほどの症状が浮き彫りに。

屋上防水の劣化

既存の通気緩衝工法によるウレタン防水は、広範囲に劣化や膨れが生じていました。

オーナー様「花火の時期には屋上に上るんです。きれいになると嬉しいな」
現地調査員「眺望も大事ですね。美観にも配慮して施工いたします」

外壁タイルの浮き・剥離

浮きタイルが多数見つかり、剥離の危険性も。劣化の進行度に応じて、張替えと樹脂注入を使い分けました。

担当者「打診調査で見えない内部の浮きも確認しました。対応が必要です」

シーリングの硬化不良

シーリング材は硬化しきって弾性を失い、手作業での撤去が必要なほどでした。

現場職人「カッターが入らないくらい硬くなってます。全部打ち替えですね」
オーナー様「そこまで傷んでたとは…早めにお願いしてよかったです」

工事の流れと透明な対応

調査結果をもとに明確な見積書と診断書を作成。オーナー様に工程を丁寧に説明し、工事中も報告を徹底しました。

診断報告と見積提示

写真付きの診断報告書と、内訳を明記した見積書を提出。工事内容をわかりやすく共有しました。

オーナー様「写真があると素人でもわかりやすいですね」
担当者「透明性を重視していますので、何でもご質問ください」

工事の実施(足場~防水まで)

工程は足場設置から高圧洗浄、下地補修、シーリング、塗装、屋上防水まで。報告写真とともに進捗共有を行いました。

担当者「毎週の報告で進捗をご確認いただけます」
オーナー様「離れてても工事の様子がわかって安心できました」

工事完了後のオーナー様の声

見た目だけでなく機能性も向上した建物に、オーナー様からは満足の声が寄せられました。

オーナー様「すっかりきれいになりましたね。やってよかったです」
担当者「大切な資産を守るお手伝いができて光栄です」

お問い合わせや工事のお見積もり無料!まずはメール・お電話からご相談ください!

新東亜に相談する

建物の劣化に気づいたらすべきことは?

劣化の兆候に気づいたとき、最も避けるべきなのが「様子見」で放置してしまうことです。たとえば、外壁の小さなひび割れが気になった場合でも、「まだ大丈夫だろう」と考えて対応を先延ばしにしてしまうと、知らぬ間に内部構造へ水分が浸入し、広範囲の修繕が必要になることがあります。

対応が早ければ早いほど、工事の規模・費用・期間のいずれも軽減される可能性が高いため、「何かおかしい」と感じた時点で信頼できる専門業者に相談・診断を依頼することをおすすめします。

日常的な対策と予防

建物の劣化は完全に防ぐことはできませんが、進行を遅らせたり、劣化の初期段階で気づいて対処することで、大きな損傷や費用の発生を回避することが可能です。以下では、建物の劣化を最小限に抑えるために意識したい予防策を紹介します。

定期点検は最重要!「見る」「触る」「比べる」が基本

建物の点検と聞くと業者による専門的な診断を思い浮かべがちですが、まずは居住者自身ができる日常的なチェックが基本です。たとえば以下のような行動が劣化の早期発見につながります。

  • 外壁や屋根の表面を「見る」ことで、ひび割れや変色の有無を確認
  • 窓まわりのシーリング部分を「触る」ことで、硬化や剥離がないか確認
  • 「以前と比べて」クロスが浮いてきた、床の沈みがあるなど違和感を感じたら要注意

また、梅雨・台風・大雪の後など、外的ダメージを受けやすいタイミングでは、いつも以上に念入りにチェックすると良いでしょう。

地域の気候に合った建材とメンテナンス計画

劣化のスピードは、気候や環境によっても大きく左右されます。たとえば、積雪地では屋根に耐荷重性能が求められ、海沿いでは塩害に強い金属建材の選定が重要です。建材や塗料の選び方、点検頻度も地域性に合わせて調整することで、無理のない維持管理が可能になります。

加えて、築年数ごとに適切なメンテナンスサイクル(10年ごとの塗装、15年ごとの屋根点検など)をあらかじめ計画し、必要に応じてリフォーム予算も確保しておくと安心です。

建物が劣化した際の修繕までの基本的な流れ

建物の劣化を見つけたとき、どのように対応すればよいか迷う方も多いでしょう。ここでは、劣化診断から修繕工事までの基本的な流れをわかりやすく紹介します。手順を知っておくことで、突然の劣化にも落ち着いて対処でき、安心して修繕を進められるでしょう。

修繕までの基本的な流れ

  1. 劣化の兆候を発見
     → ひび割れ、剥がれ、シミ、サビ、沈みなどを発見したら記録を取る(写真推奨)
  2. 専門業者に相談・現地調査依頼
     → 地元密着型や建築士在籍の会社に無料診断を依頼できるケースが多い
  3. 診断結果と修繕内容の提案を受ける
     → 劣化箇所ごとに必要な補修方法や費用の見積もりを提示される
  4. 工事内容と金額を比較・検討
     → 相見積もりや施工事例のチェックも重要
  5. 契約・着工・完成・引き渡し
     → 工期や施工保証の内容も事前に確認することがポイント

劣化診断から工事までの一連の流れを把握しておけば、突然の劣化にも冷静に対応できます。とくに雨漏りや外壁の浮き・剥がれなどは、早めの相談が安全・経済面ともにメリットが大きくなります。

建物の劣化に関するよくある質問(Q&A)

建物の劣化に関するよくある質問について紹介してきます。参考にしてみてください。

Q1:外壁の小さなひび割れでも補修は必要ですか?

A:幅0.3mm以下のヘアクラックであれば、すぐに補修が必要なケースは多くありません。ただし、放置して雨水が浸入すると内部腐食の原因になるため、状況を見ながら定期的な観察やシーリング補修を検討しましょう。

Q2:築20年以上の建物でも、修繕すれば長く住めますか?

A:はい、築年数が経過していても、適切な補修やリノベーションを行えば、さらに20年、30年と快適に住み続けることは可能です。特に構造体に大きな劣化がない場合は、外装や内部の改修によって資産価値も高められます。

Q3:点検や診断はどのくらいの頻度で行えば良い?

A:目安としては5年に1度の専門点検が推奨されます。特に築10年を超えたら、屋根や外壁、防水層を中心に点検を受けると、劣化の進行を早期に把握できます。外観や内部に気になる変化がある場合は、頻度を増やすことも重要です。

建物の劣化は「予防」と「早期発見」がカギ|まとめ

建物は時間とともに必ず劣化していきます。しかし、そのスピードや影響は、日々の点検や適切な対策によって大きく抑えることができます。小さな変化に早く気づき、信頼できる専門業者に相談・対応をすることで、大がかりな工事や高額な修繕費用を未然に防ぐことが可能です。
特に、雨漏りや外壁のひび割れ、屋根のズレなどは「あとでいいや」と放置しがちですが、こうした初期のサインこそ見逃してはいけません。早期の対応が、建物の安全性や住環境を守るカギになります。

「なんとなく気になる」「そろそろ築10年を超える」といったタイミングは、点検や劣化診断を検討する絶好の機会です。毎日を安心・快適に過ごすためにも、そして大切な建物の資産価値を守るためにも、今できることから始めてみましょう。