
アパート経営における修繕費の目安と節税対策|費用相場・タイミング・注意点を解説
2025/07/24
アパート経営を続けていくうえで、建物の修繕は避けて通れない重要なテーマです。入居者の入れ替えや築年数の経過によって、内装から外装、設備に至るまで様々な修繕が発生します。適切なタイミングで計画的に修繕を行うことで、建物の資産価値を維持し、入居率や賃料水準の安定にもつながります。
さらに、修繕費は税務上「必要経費」として計上できる場合があり、うまく活用することで節税効果も期待できます。一方で、すべての工事が即時償却の対象になるわけではなく、「資本的支出」として減価償却になるケースもあるため、注意が必要です。
本記事では「アパート経営 修繕費」という観点から、よくある修繕内容とその費用目安、節税につながる経費計上の考え方、失敗しない修繕計画の立て方などを網羅的に解説します。アパートオーナーや不動産投資家にとって、将来の収支計画にも影響する重要なポイントですので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
- 1 アパート経営における修繕費とは?基本の考え方と税務上の分類
- 2 アパート経営で発生しやすい修繕項目とその費用目安
- 3 修繕のタイミングと長期修繕計画の立て方
- 4 アパート修繕の先送りがもたらすリスク
- 5 修繕計画書の作成方法とメリット
- 6 アパート修繕費を経費計上して節税する方法
- 7 アパート修繕費を即時償却できる条件とは?
- 8 アパート修繕を「分割工事」で節税できるケース
- 9 修繕費計上で税務調査を受けないために
- 10 新東亜工業の施工事例|13階建てマンションの大規模修繕工事
- 11 アパート修繕費に関する注意点と業者選びのコツ
- 12 アパート修繕のよくある質問(FAQ)
- 13 アパート経営における修繕費は「費用」ではなく「戦略投資」
アパート経営における修繕費とは?基本の考え方と税務上の分類
アパート経営における修繕費とは、建物の維持・管理を目的として行う補修や交換工事にかかる費用のことです。ただし、すべての修繕費がその年の経費として計上できるわけではなく、「資本的支出」として資産計上される場合もあります。
修繕費と資本的支出の違いとは?
税務上、「修繕費」と「資本的支出」では取り扱いが異なります。修繕費はその年度の経費として全額を計上できますが、資本的支出は数年に分けて減価償却されます。たとえば、壊れた壁紙の一部張り替えは修繕費ですが、全面的な内装リフォームや設備のグレードアップは資本的支出に該当します。
税務上「修繕費」に該当する条件
修繕費として認められるためには、以下のような条件を満たす必要があります。
- 原状回復や機能維持が目的
- 全体の価値向上・耐用年数延長を伴わない
- 工事費用が20万円未満、または3年以内の周期的な修繕
これらを満たしていれば、原則として修繕費として計上できます。
減価償却の対象になるケースとは?
以下のような場合は「資本的支出」となり、原則として建物本体や設備の耐用年数に応じて減価償却が必要になります。
- 建物全体の大規模修繕
- 新規設備の設置(例:防犯カメラ・宅配ボックス)
- 耐用年数を延ばす工事(屋上防水の全面改修など)
税務処理を間違えると、後々の税務調査で否認されるリスクもあるため、専門家への相談が安心です。
アパート経営で発生しやすい修繕項目とその費用目安
アパートの修繕費用は、その内容や規模によって大きく異なります。ここでは、築年数や使用状況に応じてよく発生する修繕項目と、一般的な費用相場をご紹介します。
アパートの修繕|原状回復(クロス張替え・フローリング補修など)
入居者の退去時に最もよく行われるのが原状回復です。クロスの張替えは1面あたり3,000〜6,000円、1室全体なら3万〜6万円程度が目安です。フローリングの傷補修や張り替えも1㎡あたり8,000〜12,000円程度かかります。
アパートの修繕|屋根・外壁の塗装・防水工事
外観を維持するためには、10〜15年ごとの塗装や防水工事が必要です。屋根塗装は1㎡あたり2,000〜3,500円、外壁塗装は1㎡あたり2,500〜4,000円程度が相場です。建物全体で数十万円〜数百万円の規模になります。
アパートの修繕|給排水・電気設備の修繕
老朽化に伴って、給湯器の交換や配管漏れ、電気系統のトラブルが発生することもあります。給湯器交換は1台10万〜20万円、電気配線の補修は内容により5万円〜20万円程度が目安です。
アパートの修繕|共用部のメンテナンス(階段・廊下・駐輪場など)
共用部分は入居者全体の印象に関わるため、適切な維持管理が求められます。廊下の長尺シート張替えや照明器具の交換、階段手すりの塗装などは、それぞれ5万円〜30万円程度の費用感です。
アパートの修繕費用目安一覧表(修繕項目×費用)
修繕内容 | 単価目安 | 備考 |
---|---|---|
クロス張替え | 3,000〜6,000円/面 | 原状回復費用 |
フローリング補修 | 8,000〜12,000円/㎡ | 施工内容により変動 |
外壁塗装 | 2,500〜4,000円/㎡ | 足場設置費用別途 |
屋根塗装 | 2,000〜3,500円/㎡ | 防水塗装の場合は高め |
給湯器交換 | 10万〜20万円/台 | 工賃込み |
共用照明交換 | 5,000〜15,000円/基 | LED化で省エネ対策 |
修繕のタイミングと長期修繕計画の立て方
アパート経営における修繕費の発生は、予測しにくく突発的であることが多いため、経営者にとって大きな課題となります。特に築年数が進む物件では、建物の構造体や外壁、屋根、配管、電気設備など、目に見えない部分での劣化が静かに進行しており、これらを放置してしまうと突発的な故障や事故、そして高額な修繕費用に発展する恐れがあります。こうした事態を防ぐためには、早期に現状を把握し、長期的な視点で修繕の必要性を見極めていくことが重要です。
修繕は、定期的に実施することで費用を平準化でき、予算化しやすくなるというメリットもあります。突発的な支出を防ぐだけでなく、建物の資産価値を長期間にわたり維持することにもつながるため、オーナーとしては積極的に長期修繕計画を策定し、実行していくことが求められます。長期修繕計画には、点検やメンテナンスの周期、想定される修繕項目、予算配分の目安などが含まれます。
築年数別の修繕スケジュール目安
アパートの修繕タイミングは、築年数と建物の使用状況によって大きく異なります。以下は一般的な目安ですが、実際には地域の気候や使用頻度、建物の構造や材質によって調整が必要です。
築5年〜10年では、設備機器の交換や内装のリニューアルなど、比較的軽微な修繕が中心となります。たとえば、クロスの張り替え、クッションフロアの張替え、給湯器・エアコンなどの設備更新が挙げられます。これらは入居者の快適性を維持するうえで必要不可欠な修繕です。
築10年〜15年を超えると、建物の外観を保つための外壁塗装や屋根の防水処理、階段や鉄部の塗装など、より本格的な修繕が必要になります。また、雨樋や排水管の劣化、共用灯のLED化なども含まれる場合があります。
築20年を超えると、給排水設備や電気配線などの内部インフラの劣化が進み、大規模な更新工事が求められます。耐震補強や配管更新、エレベーターのリニューアルなど、多額の費用が発生する可能性があるため、早期からの積立や資金計画が重要です。
築年数 | 主な修繕項目 | 費用目安 |
---|---|---|
5〜10年 | クロス張替え、床補修、設備交換 | 5万〜30万円/室 |
10〜15年 | 外壁・屋根塗装、共用部の塗装 | 100万〜300万円 |
20年〜 | 給排水・電気設備の更新、防水再施工 | 300万〜600万円以上 |
これらの目安を参考に、建物ごとの点検結果や修繕履歴を踏まえて、無理のない修繕計画を立てていくことが大切です。
アパート修繕の先送りがもたらすリスク
修繕のタイミングを逃すことで、思わぬリスクを抱えることになります。たとえば、外壁の小さなひび割れを放置することで雨水が侵入し、構造躯体が腐食してしまうケースがあります。これにより、当初は数万円で済む補修だったものが、数十万円〜数百万円に膨れ上がる事態に発展する可能性があります。
また、入居者が快適に暮らせない環境が続くと、クレームや退去が相次ぎ、空室率の上昇や家賃の値下げを余儀なくされることもあります。さらに、突発的な高額出費が生じると、自己資金や融資枠を圧迫し、他の投資機会を逃すことにもつながります。
経営の安定性と資産価値の維持を両立させるためにも、早期発見・早期対応を基本とし、先送りせずにタイミングよく修繕を実施する姿勢が求められます。
修繕計画書の作成方法とメリット
長期修繕計画書とは、今後10年〜20年の間に必要とされる修繕項目を洗い出し、その時期と予算をあらかじめ設定する文書のことです。これにより、突発的な支出を避けながら、安定した資金繰りが可能となります。修繕費の積立てや金融機関からの融資を計画的に行う際の根拠資料としても役立ちます。
作成にあたっては、建物の図面や修繕履歴、専門家による建物診断の結果をもとに、信頼性の高い見積を算出することが重要です。建築士や不動産管理会社、修繕コンサルタントなどの専門家に依頼することで、より現実的かつ実行可能なプランが立てられます。
また、この計画書は入居者やオーナー自身への情報開示資料としても活用でき、経営の透明性や信頼性を高めることにもつながります。中長期的な資産管理の指針として、ぜひ活用すべきツールです。
アパート修繕費を経費計上して節税する方法
アパート経営を成功に導くには、収入だけでなく支出のコントロールも重要です。中でも、修繕費は経費として計上できる項目のひとつであり、正しく処理することで所得税・法人税などの節税につなげることが可能です。ただし、税務処理には明確なルールがあり、それを逸脱した処理をしてしまうと、税務調査で否認されるリスクも伴います。
ここでは、修繕費を最大限に活用して節税するための条件や具体的な方法、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
アパート修繕費を即時償却できる条件とは?
修繕費は、本来の機能を回復するための支出であれば、その年の必要経費として一括で計上できます。この仕組みを利用すれば、その年度の利益を圧縮し、結果的に納税額を下げることが可能になります。以下の条件を満たす場合には、原則として修繕費として経費化が認められます。
- 支出が1件20万円未満である
- 同種の工事が概ね3年以内に周期的に行われている
- 建物の価値や耐用年数を向上させるものではない
これらの条件を満たす例としては、室内の軽微な補修や共用部の照明交換、排水管の詰まり修理などがあります。なお、判断に迷う場合は、あらかじめ税理士に確認を取ることが重要です。
アパート修繕を「分割工事」で節税できるケース
複数の修繕工事を一度にまとめて行うと金額が大きくなり、資本的支出と判断されてしまう場合があります。そこで、内容を分けて複数回に分割して発注・実施することで、1件あたりの費用を抑え、修繕費として計上しやすくすることが可能です。これを「分割工事」と呼びます。
たとえば、共用部の塗装と照明器具交換を別工事として見積・契約すれば、それぞれが20万円未満で済むケースもあります。ただし、形式的に分割しただけで実態が一体の工事であると判断されれば、税務署から否認される可能性がありますので、内容の独立性を証明できるよう資料を整えておきましょう。
修繕費計上で税務調査を受けないために
節税の意図を持って修繕費を計上する際は、以下のような点に留意することが重要です。税務署に疑義を持たれた場合でも、客観的な証拠が整っていれば、正当性を証明しやすくなります。
- 見積書・請求書に具体的な工事内容と単価が明記されていること
- 工事前後の写真、現場の状況説明書、管理会社からの修繕提案書などのエビデンスを保管すること
- 支出の必要性や妥当性を説明できる記録を残すこと
また、高額な修繕費を複数年にわたって継続して計上している場合には、第三者の建物診断報告書や建築士の意見書などを活用することで説得力を高めることができます。
アパート経営における修繕費の節税活用は、ルールに則って行えば大きなメリットになります。適切な経理処理と記録管理を徹底し、無駄のない運営を目指していきましょう。
新東亜工業の施工事例|13階建てマンションの大規模修繕工事
東京都内にある13階建てワンオーナーマンションにて、新東亜工業が実施した大規模修繕工事の事例をご紹介します。外壁タイルやシーリング、屋上防水など複数の劣化箇所を総合的に改修し、建物の資産価値を回復しました。
工事概要【工事金額・期間】

工事金額:6,098万円/工期:約5か月間(足場設置〜引き渡しまで)
屋上防水・外壁タイル補修・シーリング打ち替えを中心に、建物全体をバランスよく修繕。
建物全体にわたる一貫した施工により、見た目と性能の両立を実現しました。
建物の劣化とオーナー様のご相談内容
長年手を入れていなかったマンションの修繕を検討し始めたオーナー様から、初回のご相談をいただいたのがスタートでした。
相談のきっかけ
築20年以上が経過し、目視でも劣化が感じられるように。最初は「少し気になる」という段階でしたが、調査を通じて複数の問題が明らかになっていきます。
オーナー様「タイルの剥がれや屋上の汚れが気になっていて…」
担当者「まずは図面を拝見して、現地調査で状態を見ていきましょう」
調査で明らかになった劣化状況
現地での打診調査や目視検査によって、建物の各所に進行した劣化が確認されました。オーナー様も驚かれるほどの症状が浮き彫りに。
屋上防水の劣化
既存の通気緩衝工法によるウレタン防水は、広範囲に劣化や膨れが生じていました。
オーナー様「花火の時期には屋上に上るんです。きれいになると嬉しいな」
現地調査員「眺望も大事ですね。美観にも配慮して施工いたします」
外壁タイルの浮き・剥離
浮きタイルが多数見つかり、剥離の危険性も。劣化の進行度に応じて、張替えと樹脂注入を使い分けました。
担当者「打診調査で見えない内部の浮きも確認しました。対応が必要です」
シーリングの硬化不良
シーリング材は硬化しきって弾性を失い、手作業での撤去が必要なほどでした。
現場職人「カッターが入らないくらい硬くなってます。全部打ち替えですね」
オーナー様「そこまで傷んでたとは…早めにお願いしてよかったです」
工事の流れと透明な対応
調査結果をもとに明確な見積書と診断書を作成。オーナー様に工程を丁寧に説明し、工事中も報告を徹底しました。
診断報告と見積提示
写真付きの診断報告書と、内訳を明記した見積書を提出。工事内容をわかりやすく共有しました。
オーナー様「写真があると素人でもわかりやすいですね」
担当者「透明性を重視していますので、何でもご質問ください」
工事の実施(足場~防水まで)
工程は足場設置から高圧洗浄、下地補修、シーリング、塗装、屋上防水まで。報告写真とともに進捗共有を行いました。
担当者「毎週の報告で進捗をご確認いただけます」
オーナー様「離れてても工事の様子がわかって安心できました」
工事完了後のオーナー様の声
見た目だけでなく機能性も向上した建物に、オーナー様からは満足の声が寄せられました。
オーナー様「すっかりきれいになりましたね。やってよかったです」
担当者「大切な資産を守るお手伝いができて光栄です」
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アパート修繕費に関する注意点と業者選びのコツ
アパート経営における修繕工事は、費用だけでなく品質や対応力、そして長期的な管理の信頼性にも大きな影響を与えます。仮に工事の質が不十分であった場合、わずか数年以内に再修繕が必要になったり、施工ミスによる漏水やクレームといったトラブルに発展するケースも少なくありません。修繕工事は決して一度きりの単発対応ではなく、将来的なメンテナンスも視野に入れて、信頼性のある業者に依頼することが重要です。
見積書のチェックポイントと注意点
見積書は工事契約前のもっとも大切な判断材料のひとつです。ただ金額を比べるだけでなく、項目の内容、数量、単価が明確に記載されているかを確認することで、業者の信頼性や工事の透明性が見えてきます。以下のような点をしっかりチェックしましょう。
- 作業内容が「一式」表記になっていないか(内訳の明示があるか)
- 材料のメーカー、型番、グレードの記載があるか
- 足場代、諸経費、産廃処理費などの項目が含まれているか
- 工事期間、作業人数、工程表の提示があるか
- アフターサービス・保証期間の明記があるか
見積内容が不明瞭だったり、質問への回答が曖昧だったりする場合は、その時点で慎重になるべきです。また、2〜3社から相見積もりを取得することで、価格の妥当性だけでなく、各社の説明姿勢や対応品質も比較できます。
安さだけで業者を選ばない理由
費用が限られる中で、できるだけコストを抑えたいというのは経営者として当然の考え方です。しかし、価格だけを重視して業者を選ぶと、工事の仕上がりや耐久性に大きな差が出ることがあります。特に以下のような点には注意が必要です。
- 材料グレードが明記されておらず、低品質な材料が使われる
- 工程を簡略化し、本来必要な下地処理などが省略される
- 保証書を発行しない、アフター対応がない業者
- 実績が乏しく、建物種別や工法に不慣れな場合
価格が安い理由には必ず「裏」があります。短期的には安く済んでも、2〜3年後に再補修が必要になればトータルコストは上昇します。業者の過去実績やホームページの施工事例、口コミ評価、建設業許可番号の有無なども必ず確認しましょう。
信頼できる業者であれば、現地調査をしっかり行い、過不足のない見積を提出し、工程や素材についても丁寧に説明してくれます。「安さ」ではなく「安心」で選ぶことが、長い目で見たアパート経営における成功のカギです。
アパート修繕のよくある質問(FAQ)
Q1. 修繕費はいくらまでなら経費で落とせますか?
原則として、1件あたりの支出が20万円未満であれば、その年の経費(即時償却)として計上が可能です。ただし、20万円を超えていても、工事の内容が現状回復や機能維持を目的としたものであれば、修繕費として認められるケースも多くあります。判断基準は「資本的支出に該当するかどうか」です。詳細は税理士に相談のうえ、適切な処理を行いましょう。
Q2. 古いアパートは修繕費がかかりすぎるのでは?
築年数が古くなるほど、外壁の劣化、防水層の老朽化、給排水設備の腐食といったインフラに問題が生じやすく、結果的に修繕費が増大します。ただし、すべてを一度に改修する必要はありません。優先順位を決め、長期修繕計画に基づいて年次ごとに分割して実施すれば、費用負担を分散しながら資産価値を維持することが可能です。
加えて、入居者満足度の向上にもつながり、空室率の低下、家賃の維持といった間接的な収益にも影響します。築古アパートであっても、丁寧な修繕によって競争力を高められるという点を忘れないようにしましょう。
Q3. 修繕費が払えないときはどうすればいいですか?
修繕費が高額で、一括払いが難しい場合は、複数の資金調達手段を検討する必要があります。代表的なのは以下の方法です:
- 不動産担保ローン(修繕費用に使える商品も多数あり)
- 修繕積立金の計画的利用
- 管理会社やリフォーム会社が紹介する信販ローンの活用
- 地方自治体や金融機関の中小事業者向け融資制度の活用
また、突発的な修繕に備えて毎月の家賃収入の一部を修繕積立に充てるなど、日頃からの備えも重要です。資金繰りを理由に修繕を先送りにすると、後々の費用増加やトラブルに直結するため、早めの対応が肝心です。
Q4. 修繕費と原状回復費の違いは?
原状回復費とは、入居者が退去した際に元の状態に戻すための費用であり、具体的にはクロスの張り替え、フローリングの補修、水回り清掃などが該当します。これは主に「部屋単位」での対応になります。
一方、修繕費は建物全体に関わるメンテナンスや補修を意味し、屋根防水、外壁塗装、共用廊下の補修などが含まれます。税務処理上も扱いが異なるため、請求書や会計処理においてはしっかり分類することが求められます。
アパート経営における修繕費は「費用」ではなく「戦略投資」
アパート経営における修繕費は、ただの支出項目ではなく、長期的な収益安定のための戦略的な投資と捉えるべきです。建物の美観や機能を維持することで、入居率を高め、賃料の値下げを防ぎ、資産価値の低下を抑えることができます。逆に、修繕を怠ると小さな劣化が大きな損失へとつながる可能性もあるため、日常点検や定期メンテナンスを怠らない姿勢が重要です。
また、修繕費の適切な経費処理は、税務上の節税にもつながります。経費としての計上が認められる工事内容を正しく把握し、必要に応じて税理士に相談することで、無駄なくキャッシュフローを最適化することが可能です。
業者選びにおいても、価格だけではなく施工実績や対応の丁寧さ、アフターサービスの有無など、総合的に評価する姿勢が必要です。安価な工事にはリスクがある一方、信頼できる業者との長期的な関係構築は、継続的な経営安定につながります。
修繕費は「避けたい支出」ではなく、「価値を維持・向上させる手段」です。経営目線で修繕に向き合い、戦略的に取り組むことが、成功するアパートオーナーへの第一歩となります。