家屋・外壁の防水工事と修理|工法比較・費用・保証を解説
2025/10/01
雨漏りや外壁の劣化は、建物の寿命や資産価値に大きく影響します。その原因の多くは「防水性能の低下」です。屋根や外壁、ベランダや屋上といった防水が必要な箇所を適切にメンテナンスしなければ、修理費用がかさみ、住まいの快適性も損なわれてしまいます。
この記事では、家屋全体の防水工事から外壁防水の方法、部分的な修理のポイント、防水処理工事の種類、費用相場や保証制度までをわかりやすくまとめました。これから防水工事を検討している方は参考にしてください。
目次
家屋に必要な防水工事の基本
家屋全体を守る防水工事は、屋根・外壁・屋上・バルコニーなど「雨水が侵入しやすい部分」に行われます。新築時には必ず防水処理がされていますが、10〜15年ほど経過すると劣化が進み、防水修理や再施工が必要になります。
特に木造住宅では雨水が内部に侵入すると構造体の腐食やシロアリ被害につながるため、早めの点検と防水処理工事が欠かせません。
外壁に行う防水工事の重要性
外壁は建物を守る盾の役割を果たします。防水性が低下すると次のようなトラブルが起こります。
- クラック(ひび割れ)からの雨水浸入
- シーリングの劣化や剥離による隙間からの漏水
- 外壁材の浮きや塗膜の剥がれ
- 室内のカビや雨染み
こうした不具合を防ぐには、外壁防水の修理や塗装、防水材による処理が必要です。特にサッシまわりや目地部分は劣化が早いため、重点的な点検が推奨されます。
防水処理工事が必要になるケース
防水修理はひび割れ補修やシーリングの打ち替えなど部分的に行うことも可能ですが、劣化の範囲や進行度によっては「防水処理工事」として建物全体を対象に施工する必要があります。以下のようなケースでは部分修理だけでは不十分で、全面的な工事を検討すべきです。
- 広範囲に雨染みが発生している:天井や壁に複数の染みが見られる場合、局所修理では原因箇所を特定しきれないことが多いです。
- 防水層の膨れや剥がれが複数箇所に見られる:ベランダや屋上で広範囲に症状が出ている場合、再施工が必要です。
- 外壁全体にクラックが拡大している:部分的な補修では追いつかず、全面塗装+防水処理が効果的です。
- 築年数が15年以上経過している:建物全体の防水性能が限界に近づいており、計画的に防水処理工事を行うのが安心です。
「どこまでが部分修理で済み、どこから全体工事に切り替えるか」の見極めは専門知識が必要です。専門業者による点検を受け、建物の状態に合った施工内容を選ぶことが重要です。
防水修理の箇所ごとの修理と全体工事の違い
防水が必要な部位は屋上・外壁・サッシまわり・配管まわりなど複数あります。それぞれの劣化状況に応じて「部分修理」か「全体工事」かを判断します。
- 部分修理(防水修理)
- 外壁の一部クラック補修
- サッシまわりのシーリング打ち替え
- ベランダ床の局所的な浮き補修
小規模であれば費用を抑えて修理可能。ただし周辺に劣化が広がっていれば応急処置に留まる場合もあります。
- 全体工事(防水処理工事)
- 外壁全体にひび割れやチョーキングが広がっている
- ベランダ・屋上の防水層が劣化して全面的に剥離している
- 雨漏りが複数箇所から発生している
建物全体の防水性能を回復させるために必要で、耐久性・再発防止の面でも有効です。
防水工事の施工方法比較
防水工事にはいくつかの工法があり、部位や用途によって選び方が異なります。以下は代表的な防水工法の比較です。
主な防水工法と特徴
| 工法 | 特徴 | 耐用年数 | 費用目安(1㎡あたり) | 適用部位 |
|---|---|---|---|---|
| ウレタン塗膜防水 | 液体を塗り重ねて防水層を形成。複雑な形状にも対応できる | 約10〜12年 | 3,500〜7,500円 | 屋上・ベランダ・外壁補修 |
| シート防水(塩ビ・ゴム) | シートを貼り付ける工法。均一な品質と耐久性が魅力 | 約12〜15年 | 4,000〜8,000円 | 広い屋上 |
| アスファルト防水 | アスファルトを積層して施工。耐久性が高くビルに多い | 約15〜20年 | 5,000〜9,000円 | 大規模屋上 |
| FRP防水 | 硬化プラスチックによる強靭な層。小規模住宅に向く | 約10〜12年 | 5,000〜9,000円 | バルコニー・小屋根 |
選ぶ際は「施工部位」「予算」「耐久性」のバランスを見極めることが大切です。
防水修理が必要となるサイン
防水性能が低下すると、建物のいたるところに劣化のサインが現れます。軽度のうちに気づけば部分修理で済む場合もありますが、放置すると雨漏りや構造材の腐食につながり、結果的に大規模な防水処理工事が必要になります。ここでは代表的な症状を解説します。
外壁や屋根のひび割れ
外壁や屋根に細かなクラック(ひび割れ)が入ると、そこから雨水が浸入します。小さなひび割れでも放置すると内部にまで水が回り、外壁材や下地を痛めてしまいます。
シーリング材の硬化や隙間
窓サッシまわりや外壁の目地に充填されているシーリング材は、紫外線や経年劣化で硬化・剥離します。隙間ができると、雨水の侵入経路となるため早めの補修が欠かせません。
ベランダや屋上の膨れ・浮き
ベランダや屋上の床に膨れや浮きがある場合、防水層の内部に水分が入り込んでいる可能性があります。放置すると表面が破れ、漏水のリスクが一気に高まります。
室内の天井や壁の雨染み
室内に雨染みやカビ跡が出ている場合は、すでに防水層を突破して水が侵入している状態です。被害が進行している可能性が高いため、部分補修ではなく全面的な防水工事が必要になるケースが多く見られます。
部分修理か全体工事かの判断基準
- 軽度の劣化(小さなひび割れや局所的なシーリング割れ):部分的な防水修理で対応可能
- 広範囲の劣化や雨漏り発生:防水処理工事として全体的な施工が必要
建物の状態を正しく判断するには専門業者の点検が欠かせません。早めに診断を受けることで、無駄な費用を抑えつつ的確な修理を行うことができます。
防水工事の費用相場
防水工事は工法や施工面積によって費用が変わります。以下は一般的な費用目安です。
| 施工内容 | 単価(㎡あたり) | 工事規模の目安 |
|---|---|---|
| 外壁防水塗装(シリコン系塗料) | 2,800〜4,500円 | 外壁100㎡で30〜45万円 |
| ウレタン防水(密着工法) | 3,500〜5,500円 | ベランダ50㎡で20〜30万円 |
| ウレタン防水(通気緩衝工法) | 5,000〜7,500円 | 屋上100㎡で50〜70万円 |
| シート防水(塩ビシート) | 4,000〜8,000円 | 屋上200㎡で80〜150万円 |
| FRP防水 | 5,000〜9,000円 | バルコニー10㎡で10〜15万円 |
費用は「下地の状態」「足場の有無」「工事範囲」によって増減します。必ず複数業者から見積もりを取って比較することが重要です。
防水工事における保証書の重要性
施工後に発行される「保証書」は、工事の品質を裏付けるものです。一般的に防水工事では5〜10年程度の保証期間が設けられ、期間内に不具合が出た場合は無償で修理を受けられるケースが多いです。
保証書がない業者も存在するため、契約前に必ず確認しておきましょう。
実録!新東亜工業の施工事例|2階建て戸建の外壁塗装・防水工事
雨漏りのトラブルから始まった緊急のご相談。
ここでは、杉並区にある2階建て戸建住宅で実施した「外壁塗装」と「屋上防水工事」の様子を、お客様との実際の会話を交えながらご紹介します。
雨漏りの原因調査から現地調査、見積り説明、打ち合わせ、施工、引き渡しまでを丁寧に追いかけており、これからご自宅の修繕をご検討される方にとっても参考になる事例です。
ご相談内容
雨漏りをきっかけにお電話いただいたことが、今回の工事の発端でした。
地下階の天井から水が垂れてくるという深刻な状況で、当社としても迅速な対応が求められる現場でした。
担当者:お世話になっております。新東亜工業の担当です。
お客様:こんにちは、自宅なんですけど雨漏りしてて、見に来てもらえますか?
担当者:分かりました、早めに伺いますね。明後日の午前10時はいかがでしょう?
お客様:はい、大丈夫です。お願いします!
工事の概要|工事金額と期間

外壁塗装 施工前

外壁塗装 施工後
以下は、今回の工事内容と建物情報をまとめたものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建物種別 | 戸建住宅(2階建て+地下) |
| 所在地 | 東京都杉並区 |
| 工事内容 | 外壁塗装、屋上防水、床タイル補修、シーリング打ち替え、鉄部塗装 |
| 工法 | ウレタン防水(密着工法)、砂骨ローラー仕上げ、シリコン塗料3回塗り、防水クリア塗装など |
| 特記事項 | 雨漏り対策として床タイルやシーリングの重点補修、改修用ドレン設置 |
工事金額:197万円 / 工事期間:30日間
現地調査で判明した劣化症状
現地調査では、地下の天井からの雨漏りを確認し、屋上や外壁の複数箇所に劣化が見つかりました。
特にALC外壁のシーリング劣化、玄関床タイルのひび、屋上防水層の切れが深刻でした。
担当者:外壁のこの目地、シーリングが硬化してひび割れてますね。
お客様:ほんとだ…全然気にしてなかったです。
担当者:ここから雨水が侵入している可能性があります。タイルのひびも怪しいので補修しますね。
お客様:お願いします!
屋上も既存のウレタン防水が切れており、モルタル補修と再防水を行う必要がありました。
施工中のやり取りと配慮
施工中は進捗報告を欠かさず、生活への配慮も丁寧に行いました。
雨の日の洗濯、騒音、においへの配慮、また材料の仮置き場所や駐車スペースの確認も徹底しました。
担当者:防水工事中なのですが、雪止めが浮いていたので補強しておきますね。
お客様:ありがとうございます。雨漏りしないようにしてくれたら大丈夫です。
お客様のご予定も考慮しながら、帰宅時間に合わせて塗装工程を調整するなど、現場ごとの工夫も随所に。
引き渡し時のご感想
工事が終わり、最も気がかりだった「雨漏り」が無事に止まり、安心されたご様子でした。
担当者:地下の雨漏り、止まりましたか?
お客様:おかげさまで止まってます。高井さんの言う通り、タイルとシーリングが原因だったみたいです。
施工完了後も、今後の相談窓口としてお声がけいただける関係性が築けました。
今回の工事では、以下のような課題を解決しました。
- 地下の雨漏りを止めるため、外壁シーリング・床タイルの補修を実施
- 屋上の防水層を密着工法で補修し直し、改修用ドレンで雨水排出機能を強化
- 外壁の美観と耐久性向上のため、3回塗りでの外壁塗装を実施
また、進捗報告や相談体制、色の決定など、お客様との密なコミュニケーションによって、安心・納得の工事を実現できました。
部位ごとの防水修理ポイント
建物の中で防水が必要な箇所は一部に限られず、家屋全体に点在しています。それぞれの部位ごとに劣化の原因や修理方法が異なるため、適切なメンテナンスが重要です。
屋上・ベランダ
雨水が直接たまりやすい場所であり、防水層の劣化が最も進みやすい部位です。表面のひび割れや膨れが見られる場合、部分補修では不十分なことも多く、定期的な点検と再施工が必要になります。
外壁
外壁は常に風雨や紫外線にさらされているため、ひび割れやシーリングの劣化が主要な原因です。外壁塗装とあわせて防水処理を施すことで、建物全体の耐久性を高められます。
サッシまわり
窓やドアのサッシ周辺は隙間から雨水が侵入しやすいポイントです。シーリングの打ち替えや隙間の防水処理が必須で、定期的な補修が必要です。
配管まわり
給排水管や電気配管の貫通部は、小さな隙間から漏水が起こりやすい箇所です。シーリング材での防水処理や、経年劣化に応じた打ち替えを行うことで雨漏りを防げます。
適切な防水修理方法を選ぶ重要性
部位ごとに劣化の進行度やリスクが異なるため、修理方法も一律ではありません。適材適所の施工を行うことで、余計なコストをかけずに効果的な防水対策が可能になります。そのためにも、専門業者による診断を受けて最適な修繕計画を立てることが大切です。
防水修理業者選びのポイント
防水修理を成功させるためには、工法や材料だけでなく「誰に依頼するか」が大きな鍵となります。以下の点を意識して業者を選びましょう。
保証書の有無を確認する
施工後に保証書を発行してくれるかは大切なチェックポイントです。保証があれば、施工品質への自信やアフター対応への誠実さの証明になります。
見積りの内訳が明確か
「材料費」「人件費」「足場費用」などが細かく分かれているかを必ず確認しましょう。大雑把な金額提示しかない業者は避けるべきです。
施工実績を確認する
自宅と同じような建物(戸建て・マンション・ビルなど)の施工事例を持っているかを調べると、技術力を判断しやすくなります。
アフターサービスの有無
工事後の定期点検や不具合時の対応スピードも重要です。長く付き合える業者かどうかを見極めましょう。
防水修理・工事のよくある質問(FAQ)
Q1. 家屋の防水工事はどのような工事内容ですか?
A. 家屋全体の防水工事は、屋根・外壁・屋上・ベランダなど雨水が侵入しやすい部分に防水層を設ける工事です。新築時の処理だけでは劣化するため、10〜15年ごとのメンテナンスが推奨されます。
Q2. 外壁の防水はどんな方法で行われますか?
A. 外壁防水では、防水性のある塗料での外壁塗装、ひび割れ補修、シーリング材の打ち替えなどが代表的です。劣化の状態に応じて工法を選びます。
Q3. 防水修理と防水処理工事は何が違いますか?
A. 防水修理は部分的な不具合(ひび割れやシーリングの剥離など)を補修する工事で、防水処理工事は建物全体を対象に新たな防水層を設ける大規模な施工を指します。
Q4. 防水工事後に保証書は必ずもらえますか?
A. 業者によります。多くは5〜10年程度の保証を付与しますが、中には保証書を発行しない業者もあります。契約前に「保証書の有無」「保証範囲」を必ず確認しましょう。
Q5. 部分的に防水ヶ所だけを修理することは可能ですか?
A. 可能です。ベランダや外壁の一部、サッシまわりなどの局所的な修理だけを行うこともできます。ただし、劣化が広範囲に及ぶ場合は部分補修だけでは不十分で、防水処理工事による全体的な施工が必要です。
防水修理のまとめ
防水修理は、建物の寿命と資産価値を守るための欠かせないメンテナンスです。外壁や屋上、ベランダなど劣化が進みやすい箇所を定期的に点検し、早めに修理を行うことで雨漏りや内部腐食を防げます。
また、施工方法や費用は建物の状態によって変わるため、複数業者に相談して比較することが大切です。その際、保証書の有無や施工実績をしっかり確認することで、安心して依頼できる業者を選べます。
建物を長持ちさせるために、点検とメンテナンスを怠らず、信頼できる業者に防水工事を任せましょう。

