外壁塗装における塗料の種類を解説|選び方や塗り替え時期とは?
2025/07/24
外壁塗装を成功させるカギは、見た目や価格だけでなく「どの塗料を使うか」にあります。
耐用年数や機能性・艶の違いなど、塗料の選び方ひとつで仕上がりも将来のメンテナンスコストも大きく変わります。
この記事では、代表的な外壁塗料を比較し、それぞれの性能や用途に応じた選び方を解説します。
さらに、仕上がりの印象を左右する「艶」のタイプについても詳しく紹介します。
これから外壁塗装を検討される方はもちろん、業者との相談前に知っておきたい基礎知識として、ぜひ参考にしてください。
大規模修繕・防水工事・外壁塗装のご依頼・メール・お電話でお受け致しております
目次
外壁塗装における「塗料選び」が重要な理由
外壁塗装は、建物の外観を美しく保つだけでなく、雨風や紫外線から家を守る大切な役割を担っています。
そして、その効果や耐久性を左右する大きな要素が「塗料の選び方」です。
どれほど丁寧な施工をしても、塗料の性能が不十分であれば、早期に劣化が進んでしまうこともあります。
特に日本は、梅雨や台風・強い紫外線・寒暖差といった自然環境が厳しく、塗料には高い耐久性や機能性が求められます。
近年では、耐候性・遮熱性・防カビ・透湿性など、さまざまな性能を備えた高機能塗料も登場しており、選択肢が広がっています。
外壁塗装でよく使われる塗料の種類
外壁塗装に使用される塗料にはさまざまな種類がありますが、代表的なのはシリコン・ラジカル・フッ素・無機・ウレタン・アクリルの6タイプです。
それぞれに耐久性や価格・適応素材・メンテナンス性などが異なり、建物の立地や築年数・外壁材の種類に応じて、最適な選択肢が変わってきます。
外壁塗装の種類別比較一覧表
下記では、それぞれの塗料の特徴を表にまとめています。
塗料の種類 | 耐用年数 | 主な特徴 | 適したケース |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 4〜7年 | 非常に安価で発色が鮮やか。ただし耐久性は低い。 | 仮設建物、短期使用の物件、DIYなど |
ウレタン塗料 | 6〜10年 | 柔軟性があり、細部にも対応しやすい。価格も手ごろ。 | 木部・雨どい・鉄部などの複雑な箇所、部分補修 |
シリコン塗料 | 8〜10年 | 耐候性・防汚性に優れ、価格と性能のバランスが良好。 | 戸建て住宅全般、初めての塗り替え |
ラジカル制御塗料 | 12〜15年 | 紫外線による劣化(ラジカル反応)を抑え、色あせを防ぐ。 | 紫外線が強い場所、白系など色あせが気になる外壁 |
フッ素塗料 | 12〜15年 | 非常に高い耐候性を持ち、色あせ・汚れに強い。 | 高層マンション・ビル、塗り替え頻度を抑えたい住宅 |
無機塗料 | 15〜20年 | 紫外線・熱に強く、最高レベルの耐久性。防火性・防汚性にも優れる。 | 長期居住予定の住宅、病院・学校など公共施設 |
外壁塗装の塗料を選ぶ際にチェックすべき性能
外壁塗装で後悔しないためには、塗料の種類だけでなく「どんな性能を重視するか」を明確にすることが重要です。
ここでは特にチェックしておきたい10の性能について、それぞれの意味と選び方のポイントを解説します。
耐候性
紫外線や風雨・気温差などに、どれだけ強いかを示す指標です。
外壁塗装の長寿命化には欠かせない性能で、南面・西面など日当たりの強い場所では、特に重視したいポイントです。
防カビ性
カビは見た目だけでなく、素材の劣化や健康リスクにもつながります。
特に北面や湿気の多い立地では、防カビ性を備えた塗料の選択が効果的です。
防藻性
藻は外壁の美観を損ね、繁殖が進むと落としにくくなります。
日陰・水辺・森林に近い場所では藻の発生リスクが高まるため、防藻機能のある塗料が有効です。
低汚染性・超低汚染性
排気ガスやホコリなどの汚れが付きにくく、雨によって自然に流れ落ちる性質を持つ塗料です。
都市部や道路沿いの住宅には特におすすめで、美観の維持に役立ちます。
遮熱性
直射日光による温度上昇を抑える性能のことで、特に屋根や南面の壁に使用する際にはチェックしたい項目です。
遮熱塗料を使うことで室内温度を下げ、省エネやエアコン費用の節約にもつながります。
透湿性
建物内の湿気を逃がし、結露やカビの発生を防ぐ性能です。
モルタル外壁や通気性の低い構造では特に重要で、住まいを長く健康に保つために欠かせません。
高光沢性
外壁に美しいツヤを出し、色の鮮やかさを際立たせます。
ツヤの持続性や選べる艶の段階(ツヤあり〜ツヤ消し)も塗料によって異なるため、好みに応じて選ぶとよいでしょう。
高弾性
塗膜が柔らかく伸縮性があり、細かなひび割れにも追従して水の浸入を防ぐ機能です。
モルタル壁や築年数の経った住宅で、特に効果を発揮します。
難燃性
火災時に燃え広がりにくい性能です。
防火地域に建つ住宅や木造建築物では、一定の難燃性が求められる場合もあるため、確認が必要です。
耐薬品性
酸性雨・排気ガス・工場排煙など、化学的に過酷な環境にさらされる外壁に必要な性能です。
住宅地でも、大通り沿いや工業地帯に近い場所では、考慮すべきポイントです。
外壁塗装における水性塗料と油性塗料の違いとは?それぞれの特徴と選び方
外壁塗料は、使用する溶剤の違いによって、水性塗料と油性塗料に分かれます。
ここでは、それぞれの特徴やどのようなケースに適しているかを解説します。
水性塗料の特徴
水性塗料は水を主成分として希釈された塗料で、現在の外壁塗装では主流となりつつあります。
環境負荷が少なく、においも控えめなため、戸建て住宅などでの使用が増えています。
主な特徴として、下記のような点が挙げられます。
- 環境にやさしく、低VOC(揮発性有機化合物)
- においが少なく、近隣への配慮がしやすい
- 扱いやすく、DIYにも向いている
- 最近では高耐久タイプも登場しており、機能面も進化
油性塗料の特徴
油性塗料は、シンナーなどの溶剤で希釈する塗料で、水性に比べて強力な密着力と耐久性を持ちます。金属面やツルツルした素材にも、しっかり密着するのが特徴です。
そのほかの特徴として、下記のような点が挙げられます。
- 密着性・耐候性に優れ、雨風に強い
- フッ素塗料やウレタン塗料など、高耐久塗料に多い
- 金属サイディングや鉄部などに最適
ただし、シンナー臭が強いため施工時は換気が必要で、作業員や近隣への配慮も求められます。
また、扱いには専門的な知識が必要です。
水性と油性、どちらを選ぶべき?
近年では水性塗料の技術も向上しており、耐久性の面でも油性に匹敵する製品が増えています。
ただし、下地の素材や立地環境によっては油性が適するケースもあるため、塗装業者と相談しながら選定するのが理想です。
外壁塗装における塗料の艶(光沢)タイプ
外壁塗料には、光沢の強さによって複数の艶タイプが存在します。
艶の違いは単なる見た目の好みだけでなく、塗膜の性能や耐久性、さらにはメンテナンス性にも直結します。
ここでは主な艶タイプごとの特徴や用途、選び方のポイントについて詳しく解説します。
艶あり(フルグロス)
最も光沢が強く、鏡面のような仕上がりになるのが特徴です。
また塗膜の表面が滑らかで、雨水をはじきやすく、汚れも付きにくいのもメリットに挙げられます。
主に、高級感や鮮やかな発色を求める方、モダンなデザインの建物によく合います。
ただし、傷や色むらが目立ちやすいため、仕上がりにこだわる方は慎重な施工が必要です。
7分艶・5分艶(セミグロス・半艶)
光沢をやや抑えつつも、ほどよい艶があり、上品で落ち着いた印象を与えます。
外観の雰囲気に自然に馴染みやすく、現在の住宅塗装では主流の選択肢となっています。
5分艶は艶ありと艶消しの中間で、機能性・見た目のバランスが最も優れているとされています。
3分艶・艶なし(マット)
艶を極力抑えたマットな質感は、自然で控えめな印象を演出します。
和風住宅や古民家風のデザイン、景観に配慮が必要なエリアなどで好まれる仕上がりです。
ただし、表面がややざらつくため汚れが付きやすく、他の仕上げに比べてメンテナンスの頻度が高くなる傾向があります。
艶の選び方ポイント
- 高級感や明るい印象を出したい場合:艶あり・7分艶
- ナチュラルで落ち着いた仕上がりを求める場合:3分艶・艶なし
- 汚れが気になる地域や交通量の多い場所:光沢のある塗料で清掃性を確保
ただし、艶の種類は塗料メーカーによって設定や名称が異なる場合がありますので、事前に色見本や実際の施工例を確認することをおすすめします。
外壁塗装における塗料の種類とその選び方|目的別おすすめパターン
外壁塗料を選ぶ際には、単に価格やブランドで決めるのではなく、「どんな目的で塗装したいのか」という視点が非常に重要です。
建物の築年数や周辺環境、住まい方によって最適な塗料は異なります。
以下では目的別におすすめの塗料と選び方のポイントを紹介します。
長持ち・耐久性を重視したい
- おすすめ:無機塗料、フッ素塗料
- 特徴:15〜20年の耐用年数があり、塗り替えの頻度が少なく済むため長期的には経済的です。紫外線や雨風に強く、沿岸部や日当たりの良い場所にも適しています。
コストを抑えて仕上げたい
- おすすめ:シリコン塗料、ウレタン塗料
- 特徴:コストパフォーマンスに優れ、耐用年数も8〜12年と十分。比較的予算が限られているケースや、10年ごとの定期的な塗り替えを前提とする家庭に適しています。
デザイン・仕上がりにこだわりたい
- おすすめ:セラミック塗料、艶選択可能なフッ素系塗料など
- 特徴:発色や艶感の調整が可能で、建物の外観に合ったデザイン性を実現しやすいのが魅力。こだわりの外壁に仕上げたい方に人気です。
DIYや短期用途で使いたい
- おすすめ:アクリル塗料
- 特徴:価格が安く、塗りやすいためDIYにも使われます。ただし耐久性が低いため、短期間の利用や仮設住宅向けに限定するのが現実的です。
目的に合った塗料選びをすることで、無駄な費用や不満を避け、納得のいく外壁塗装が実現できます。
実録!新東亜工業の施工事例|5階建てマンション大規模修繕工事の外壁塗装
埼玉県さいたま市のマンションオーナー様から「そろそろ外壁と屋上防水の修繕を検討したい」とのご相談をいただきました。築年数の経過により外壁や鉄部の劣化が目立ち始めたことがきっかけです。
本記事では、お問い合わせから現地調査、見積説明、契約、打ち合わせ、工事中の様子、そして引き渡しに至るまでの流れを、実際の会話形式でリアルにご紹介します。
大規模修繕・防水工事・外壁塗装のご依頼やご相談は、メール・お電話からお受け致しております。

ご相談内容
マンション全体の劣化が目立ち始めたものの、修繕工事をどこに頼めばよいか分からず困っていたオーナー様から、お電話でご相談いただきました。
担当者:お電話ありがとうございます。新東亜工業でございます。
お客様:マンションの大規模修繕の見積をお願いしたいのですが。
担当者:もちろんです。詳細は担当者より折り返しさせていただきます。
担当者:ご住所と図面の有無を教えていただけますか?
お客様:図面あります。今週木曜日なら立ち合えます。
担当者:では木曜11時に伺います!
工事の概要|工事金額と期間




項目 | 内容 |
---|---|
建物種別 | 鉄筋コンクリート造 5階建てマンション |
所在地 | 埼玉県さいたま市 |
工事内容 | 外壁塗装、屋上・バルコニー防水、鉄部塗装、下地補修、シーリング打替え |
工法 | ウレタン防水(密着工法)、外壁塗装(シリコン3回塗り) |
その他特記事項 | 駐車場・資材置き場の敷地内使用、居住者への事前周知徹底 |
工事金額:1,210万円
工期:58日間
現地調査で判明した劣化症状
外壁タイルの目地や鉄部のサビ、屋上防水層の浮きなど、各所に経年劣化が見られました。
担当者:屋上のひび割れが多く、既存のアスファルト層の状態も良くありません。
お客様:予算があるのでウレタン防水でお願いします。
担当者:ウレタンは安価ですが、施工保証は難しいです。ご希望に沿って見積を2種類お出ししますね。
担当者:玄関枠や鉄部はすべて塗装。外壁目地のシーリング幅が広く、材料費がかさむ原因です。
お客様:費用のこともあるので、教えてもらえてよかったです。
施工中のやり取りと配慮
施工中は定期的な中間報告を実施し、オーナー様のご不在時でも進捗が分かるよう対応。また、住人対応やトラブル未然防止にも注力しました。
担当者:下地補修の数量が多めでしたが、サービスで対応します。
お客様:ありがとうございます。追加がないのは安心です。
担当者:バルコニーに設置されていたアンテナは、住人に説明して移動済みです。
お客様:ありがとうございます。塗装の色もイメージ通りでした!
引き渡し時のご感想
工事完了後、オーナー様ご自身でも仕上がりを確認され、大変ご満足いただけました。
担当者:足場解体も終わり、完工となります。
お客様:仕事帰りに確認しました。とても綺麗になっていて嬉しいです。
担当者:保証書や報告書は郵送いたします。鍵の返却もご自宅へお届けします。
お客様:本当にありがとうございました。また何かあれば相談します。
本工事では、以下のポイントを徹底しました。
- 図面+現地調査に基づく透明性のある見積提示
- 劣化症状に応じた下地補修と高耐久の3回塗り仕上げ
- 居住者対応や追加費用の事前通知を徹底
- 工事後の書類対応・フォロー体制完備
外壁塗装を含む大規模修繕は、建物の資産価値を守るために欠かせない工事です。新東亜工業では、オーナー様のご要望を丁寧に伺いながら、安心してお任せいただける体制を整えております。
外壁塗装は経験豊富な業者に相談を
外壁塗装は住まいの美観や耐久性を左右する大切な工事です。
そのため、業者選びは失敗しないための最重要ポイントと言えます。
経験や知識が豊富で信頼できる業者を選ぶことで、満足のいく仕上がりと安心のアフターサポートを得られます。
下記では、業者選びで特に注目すべきポイントを解説します。
- 施工実績が豊富かどうか:とくに自宅と同じような構造・素材の建物での実績があるかを確認しましょう。
- 塗料に関する知識とメーカーとの連携があるか:最新の塗料やその特徴を理解し、適材適所で提案できる業者は信頼できます。
- 自社施工かどうか:自社の職人による施工であれば品質が安定しやすく、責任の所在も明確です。すべて下請けに任せている業者は、トラブル時の対応に差が出る場合があります。
- 保証内容やアフターフォロー体制が整っているか:施工後の保証や定期点検の有無も、業者選びの大切なポイントです。
- 見積書の明確さと担当者の対応力:費用の内訳が分かりやすく説明されているか、担当者の対応が誠実かどうかも重要な判断材料です。
信頼できる業者を選ぶには、2〜3社に見積もり依頼し、比較検討することが推奨されます。
そのほか、相性や対応のスピードも選定の大きな要素です。
外壁塗装工事に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 外壁塗装は何年ごとに行うのが理想?
A. 一般的な目安は10年前後ですが、塗料の種類や建物の立地条件によって7〜15年と幅があります。外壁にひび割れや色あせが見られた場合は早めの塗装を検討しましょう。
Q2. 塗装中に窓は開けられますか?
A. 養生シートが窓全体を覆うため、基本的には開閉できません。換気が必要な場合は業者と事前に相談し、日中の作業時間などを調整することが可能です。
Q3. 雨の日でも工事は行いますか?
A. 雨天時は原則作業中止となります。雨が降ると塗料が流れたり密着不良の原因になるため、安全性と品質保持の観点から延期されます。天候の変動によって工期が延びる可能性も想定しておきましょう。
Q4. 外壁塗装中の生活への影響は?
A. 足場設置による視界の変化や作業中の騒音・においなど、一定の生活影響は避けられません。ただし水性塗料の普及により、以前と比べて臭気の軽減が進んでおり、工期も効率化されています。
外壁塗料選びで失敗しないために|まとめ
外壁塗装は、見た目の美しさを維持するだけでなく、建物を風雨や紫外線から守る重要なメンテナンスです。
また塗料には艶のタイプや素材の種類、用途や耐久性によってさまざまな種類があり、選択を誤ると施工後に後悔するケースも少なくありません。
失敗しないために大切なのは、以下の点を明確にしておくことです。
- 何を優先するか(長持ちさせたい、価格を抑えたい、見た目にこだわりたいなど)
- 自宅の築年数や壁材の種類・劣化状況に合った塗料を選ぶこと
- 実績が豊富で信頼できる業者と相談しながら進めること
塗料は、一度塗れば数年〜十数年付き合うことになるものです。
焦らずに比較検討しながら、自分にとって最適な選択肢を見つけていきましょう。