外壁塗装による家の塩害対策とは?塩害塗装向けの塗料選びについても紹介

2025/07/24

海沿いの住宅では、塩分を含んだ風雨の影響により外壁や屋根の劣化が早まる「塩害」が大きな課題となります。塩害は目に見える症状だけでなく、建物内部への深刻なダメージにもつながるため、長期的に住まいを守るためにはしっかりとした対策が必要です。特に外壁塗装は、建物全体を守る第一のバリアであり、塩害に強い塗料や施工方法を選ぶことが長持ちする住まいづくりの鍵となります。

本記事では、「外壁塗装 塩害」に関心のある方向けに、塩害の仕組み、外壁への影響、適した塗料の種類、施工時の注意点、さらには信頼できる業者選びまでを体系的に解説します。また、日常的な塩害対策やメンテナンス方法、建物全体を守るための実践的な取り組みについても紹介します。塩害の理解を深めることで、適切な予防と対策を講じられるようになるはずです。

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目次

塩害とは?外壁に与えるダメージとその仕組み

塩害とは、海から運ばれてくる潮風に含まれる塩分が建物に付着し、外壁や屋根などの劣化を早める現象を指します。特に鉄部の腐食、塗膜の剥がれ、コンクリートの中性化などの被害が多く、建物の耐久性を著しく低下させる原因となります。住宅の外観を損なうだけでなく、放置することで建物の寿命にも関わる問題です。

潮風は建物の立地や風向きによって大きく影響を受けます。下記のような条件では塩害のリスクが高くなります。

リスク要因内容
海からの距離が近い海岸線から500m圏内は高リスクエリアとされる
強風の多い地域塩分を含んだ風が建物に直接吹き付ける頻度が高い
高台や風の通り道に立地塩分の滞留時間が長くなる傾向がある
建物の向き海側を向いている壁面は被害を受けやすい
周辺の建物配置風の抜け道となる場所は特に注意が必要

さらに、建材の種類によっても塩害の影響度が異なります。たとえば、金属製のサッシや手すり、露出した鉄部などは塩分による腐食が進みやすくなります。また、築年数の経過した建物は防水機能や塗膜の劣化が進んでいる可能性があるため、より一層の注意が求められます。

塩害による外壁劣化の初期症状と放置リスク

塩害による劣化は、初期段階では目立たない症状として現れます。早期に発見して対処することで、大掛かりな修繕工事を回避できます。以下に、塩害による外壁の初期劣化症状とそのリスクをまとめます。

劣化症状内容とリスク
チョーキング外壁に触れると白い粉がつく現象。塗膜の劣化初期段階を示す
サビの発生鉄部や金属製建材に赤茶色の変色が現れる。構造的腐食へ進行する可能性あり
塗膜の膨れや剥がれ塩分の侵入で塗膜が浮き上がり、下地が露出して再劣化が加速する
クラック(ひび割れ)内部への水分や塩分侵入を許し、建材の劣化が進行する
モルタルの崩れや中性化見た目以上に内部が劣化している可能性があり、構造にも影響が出る場合がある
カビや藻の発生湿気と塩分の影響で外壁表面が変色し、美観と耐久性が低下する

これらの症状を放置すると、塗装の機能が失われ、建物内部にまで被害が及ぶリスクがあります。定期的な点検を通じて、早期に異常を察知することが、劣化の進行を防ぐ鍵です。また、初期のサインに気づいたら、すぐに専門業者に相談することで被害を最小限に食い止めることができます。

塩害に強い塗料の選び方と代表的な種類

塩害のリスクが高い地域では、通常の塗料では数年で劣化が進む可能性があります。そのため、塩害に強い耐候性・防錆性を持つ塗料を選ぶことが非常に重要です。以下に、代表的な塩害対策塗料を紹介します。

塗料の種類特徴と適性
フッ素塗料耐候性・防汚性に優れ、15年以上の耐久が期待できる。塩害地域では定番
無機塗料無機成分が主成分で紫外線や塩分に強く、超高耐久。ただし費用は高め
シリコン塗料(高耐候型)標準的な価格帯ながら耐久性があり、コストパフォーマンス重視に最適
錆止め塗料(下塗り)鉄部への塩害対策には必須。上塗り塗料と組み合わせて使用
セラミック塗料耐久性・断熱性を兼ね備え、塩害・紫外線・温度変化にも強い傾向あり

これらの塗料を選ぶ際は、製品のスペックだけでなく、メーカーの信頼性や保証内容、施工業者の提案内容も比較検討する必要があります。また、実際の気候条件や建物の劣化状況に応じて、最適な塗料を選定するためには、専門業者との十分な打ち合わせが欠かせません。塗料の性能を最大限発揮させるには、適切な塗布方法と乾燥時間の確保も重要です。

塩害地域での外壁塗装における施工上の注意点

塗料選びだけでなく、施工の手順や下地処理も塩害対策には欠かせません。不十分な処理や施工ミスがあると、せっかくの高性能塗料も効果を発揮できません。

以下は、塩害地域で外壁塗装を行う際に注意すべきポイントです。

施工上の注意点補足説明
塩分の徹底洗浄高圧洗浄で外壁に付着した塩分を完全に除去。これを怠ると塗膜が早期に剥がれる原因となる
金属部の防錆処理サビが発生している場合はケレン作業と防錆塗装を入念に行うことが必要
下地補修の徹底クラックや浮きがある場合、塗装前に補修材で確実に処理を施すことが前提
適切な塗装環境湿度・気温など、気象条件に配慮して施工することで塗膜の密着性を確保
乾燥時間の厳守下塗り・中塗り・上塗りの間に十分な乾燥時間を設け、仕上がりを安定させる
足場の設置と安全管理強風地域では足場の転倒リスクが高いため、安全対策が必須
定期的な中間検査工事の進捗に応じたチェックを行い、不具合を早期に修正する

こうした施工管理は、現場経験のあるプロの職人によって実施されることで、ようやく本来の性能が発揮されます。適切な塗料を用い、適切な手順で仕上げることが、塩害の進行を防ぎ、長期間にわたって建物を保護する鍵となります。

塩害対策を施した外壁塗装の費用相場

塩害対策塗装は通常の外壁塗装と比較して、やや費用が高くなる傾向があります。これは使用する塗料のグレードや、下地処理に時間と手間がかかるためです。以下は費用の目安です。

内容費用目安(30坪住宅)備考
一般的なシリコン塗装約70〜90万円塩害対策が弱く、劣化サイクルが短め
フッ素塗装約100〜130万円耐久性が高く、メンテナンスコストを抑えられる
無機塗装約120〜150万円長寿命だが初期コストは高め
鉄部の防錆補修1箇所あたり1〜3万円程度錆の進行具合により変動
セラミック・遮熱系塗料約110〜140万円付加価値付きでコストはやや高め

費用を考える際には、単なる施工価格だけでなく、耐用年数や再塗装までのスパン、メンテナンスの頻度などを含めた「総合的なコストパフォーマンス」を意識することが重要です。初期費用が高くても、長期的に見れば結果的に安く済むケースも少なくありません。また、補助金や自治体の助成制度が活用できる場合もあるため、事前に情報収集しておくと良いでしょう。

塩害から家を守るためにできる実践的な対策とは

塩害地域に住む住宅では、外壁塗装だけでなく、日々のメンテナンスや設計面での工夫も含めた多角的な対策が求められます。海沿いの環境に特有の気象条件や立地の影響により、建物の劣化スピードが通常より早まるため、予防と保全の視点を常に持っておくことが重要です。このセクションでは、外壁塗装と連携しながら実施すべき塩害対策を、具体的な手段ごとに丁寧に解説します。住まいの資産価値を長期的に維持し、安全・快適な居住環境を確保するためにも、これらの対策を早期に取り入れることが肝心です。

定期的な水洗いで塩分を除去する

塩害の原因は、海風に含まれる塩分が建物の表面に付着し、時間の経過とともに蓄積していくことにあります。この塩分が外壁や屋根材に染み込み、塗膜の劣化や金属の腐食を引き起こすのです。特に、風が強い日が続いたり、雨が少ない乾燥した季節には、塩分の蓄積が加速しやすくなります。

こうした状況を防ぐために有効なのが「定期的な水洗い」です。月に1回程度、ホースを使って外壁全体に軽く水をかけるだけでも、表面に付着した塩分を洗い流すことができます。以下に代表的な水洗いのタイミングを表で整理しました。

推奨タイミング補足説明
風の強い日が続いた後海からの風で塩分が多く飛散している可能性が高い
雨の少ない乾燥した季節自然洗浄の機会が減るため塩分が蓄積しやすい
高台や海沿いの住宅直接風を受ける立地ではより塩害リスクが高まる

通常は水のみで問題ありませんが、油汚れや鳥の糞などと一緒に固着した塩分の場合、中性洗剤を使用して柔らかいブラシで優しくこすり落とすと効果的です。高圧洗浄機を使用する際は、外壁材や塗膜を傷つけないよう、適正な圧力設定に留意しましょう。

換気設備・庇・ルーバーなどの設計的工夫

塩害を防ぐには、建物そのものの構造的な工夫も大きな効果を発揮します。外壁が雨風に直接さらされにくい構造や、湿気がこもらない通気性の高い設計にすることで、塩害のリスクを根本から軽減できます。

設計面での工夫を以下にまとめました。

設計上の工夫期待される効果
庇(ひさし)の設置雨風が直接外壁に当たるのを防ぎ、塗膜の劣化を軽減する
換気口の位置調整湿気がこもらず通気性が保たれることで結露や腐食を防ぐ
ルーバー・目隠し壁の活用風の直撃を防ぎ、外壁に塩分が付着しにくくなる
サッシや戸袋にカバーを装着金属部分への直接的な塩害を予防できる

こうした工夫は、新築時に計画するのが最適ですが、リフォームや外装工事のタイミングで追加・変更することも可能です。住宅メーカーやリフォーム業者に相談し、塩害対策を意識した設計改善を検討するのがおすすめです。

電食・サビ防止のための異種金属対策

金属製の建材同士が接触している箇所では、「異種金属接触腐食(電食)」が発生しやすくなります。これは異なる金属が水や塩分を介して接触することで、電気的な反応が起こり、一方の金属が急速に腐食してしまう現象です。特に海沿い地域では、この現象がより顕著になります。

防止のための代表的な対策は以下の通りです:

  • 異なる金属の接合部に絶縁材(ゴムパッキンや樹脂プレート)を挟むことで直接接触を避ける
  • できるだけ同一素材で統一し、異種金属の混在を避ける
  • 雨水がたまりやすい箇所や通風の悪い箇所では金属部材の使用を控える

とくに注意したいのは、バルコニーの手すり、庇の支持金具、換気フードの取付部など、複数の金属素材が混在しやすい場所です。施工前に素材の組み合わせを確認し、長期的に腐食リスクの少ない構成を計画しましょう。

DIY補修では限界があるため、定期的なプロ点検を

塩害の初期段階ではサビや塗膜の剥がれといった目に見える症状が軽度で済むことも多く、ついDIYで簡易的な補修をして済ませたくなるものです。しかし、外観上は問題なく見えても、内部で塩分や湿気による腐食が進行している可能性は十分にあります。

専門業者による定期点検は、そうした“隠れた劣化”を見逃さないために有効です。最低でも3年に1度、できれば2年に1度程度の頻度で、外壁全体、鉄部、接合部などをプロにチェックしてもらうと安心です。点検の結果、軽微な修繕で済む段階で対処すれば、長期的に見て大きなコスト削減につながります。

また、点検のタイミングで撮影された写真や報告書を記録として残しておくと、次回の比較や劣化の進行度の確認にも役立ちます。家全体のメンテナンス計画の一部として、塩害対策の点検スケジュールを組み込むことをおすすめします。

屋根やベランダなど、外壁以外の塩害対策も忘れずに

塩害は外壁だけでなく、建物のさまざまな部位に影響を及ぼします。特に金属部材が多く使われている屋根やベランダ、設備機器周辺は、塩害の影響を受けやすい代表的なポイントです。塗装や防錆処理を施す範囲を外壁だけに限定せず、建物全体に広げることが重要です。

以下の表に、対象部位ごとの推奨対策を整理しました。

対象部位推奨される塩害対策
金属屋根防錆塗装やフッ素系塗膜で保護。雨どい周辺の金属部も忘れずに処理する
ベランダの手すり定期的な再塗装と水洗い。樹脂製カバーの装着も有効
室外機・給湯器防錆スプレーや簡易カバーの使用に加え、日差しや風雨を避ける配置も考慮する
排水口・雨樋詰まり防止とサビの早期発見のため、定期的な清掃と点検を実施する
電線・配線類被覆の破損や端子の腐食を防ぐため、防水カバーや耐候性チューブで保護する

こうした塩害対策は、外壁塗装と同時に計画・実施することで、工事効率やコスト面でも有利になります。全体としてバランスよく対応することが、建物の耐久性と安全性の向上につながります。

実録!新東亜工業の施工事例|5階建てマンション大規模修繕工事の外壁塗装

埼玉県さいたま市のマンションオーナー様から「そろそろ外壁と屋上防水の修繕を検討したい」とのご相談をいただきました。築年数の経過により外壁や鉄部の劣化が目立ち始めたことがきっかけです。
本記事では、お問い合わせから現地調査、見積説明、契約、打ち合わせ、工事中の様子、そして引き渡しに至るまでの流れを、実際の会話形式でリアルにご紹介します。

大規模修繕・防水工事・外壁塗装のご依頼やご相談は、メール・お電話からお受け致しております。


ご相談内容

マンション全体の劣化が目立ち始めたものの、修繕工事をどこに頼めばよいか分からず困っていたオーナー様から、お電話でご相談いただきました。

担当者:お電話ありがとうございます。新東亜工業でございます。
お客様:マンションの大規模修繕の見積をお願いしたいのですが。
担当者:もちろんです。詳細は担当者より折り返しさせていただきます。

担当者:ご住所と図面の有無を教えていただけますか?
お客様:図面あります。今週木曜日なら立ち合えます。
担当者:では木曜11時に伺います!


工事の概要|工事金額と期間

大規模修繕 施工前
大規模修繕 施工後
外壁塗装工事 施工前
外壁塗装工事 施工後
 
項目 内容
建物種別 鉄筋コンクリート造 5階建てマンション
所在地 埼玉県さいたま市
工事内容 外壁塗装、屋上・バルコニー防水、鉄部塗装、下地補修、シーリング打替え
工法 ウレタン防水(密着工法)、外壁塗装(シリコン3回塗り)
その他特記事項 駐車場・資材置き場の敷地内使用、居住者への事前周知徹底

工事金額:1,210万円
工期:58日間


現地調査で判明した劣化症状

外壁タイルの目地や鉄部のサビ、屋上防水層の浮きなど、各所に経年劣化が見られました。

担当者:屋上のひび割れが多く、既存のアスファルト層の状態も良くありません。
お客様:予算があるのでウレタン防水でお願いします。
担当者:ウレタンは安価ですが、施工保証は難しいです。ご希望に沿って見積を2種類お出ししますね。


担当者:玄関枠や鉄部はすべて塗装。外壁目地のシーリング幅が広く、材料費がかさむ原因です。
お客様:費用のこともあるので、教えてもらえてよかったです。


施工中のやり取りと配慮

施工中は定期的な中間報告を実施し、オーナー様のご不在時でも進捗が分かるよう対応。また、住人対応やトラブル未然防止にも注力しました。

担当者:下地補修の数量が多めでしたが、サービスで対応します。
お客様:ありがとうございます。追加がないのは安心です。
担当者:バルコニーに設置されていたアンテナは、住人に説明して移動済みです。
お客様:ありがとうございます。塗装の色もイメージ通りでした!

お問い合わせや工事のお見積もり無料!まずはメール・お電話からご相談ください!

新東亜に相談する

引き渡し時のご感想

工事完了後、オーナー様ご自身でも仕上がりを確認され、大変ご満足いただけました。

担当者:足場解体も終わり、完工となります。
お客様:仕事帰りに確認しました。とても綺麗になっていて嬉しいです。
担当者:保証書や報告書は郵送いたします。鍵の返却もご自宅へお届けします。
お客様:本当にありがとうございました。また何かあれば相談します。

本工事では、以下のポイントを徹底しました。

  • 図面+現地調査に基づく透明性のある見積提示
  • 劣化症状に応じた下地補修と高耐久の3回塗り仕上げ
  • 居住者対応や追加費用の事前通知を徹底
  • 工事後の書類対応・フォロー体制完備

外壁塗装を含む大規模修繕は、建物の資産価値を守るために欠かせない工事です。新東亜工業では、オーナー様のご要望を丁寧に伺いながら、安心してお任せいただける体制を整えております。

信頼できる業者の選び方と相談のポイント

塩害対策を伴う外壁塗装は、通常の塗装と比べて、より高度な専門知識と確かな施工技術が求められます。塩害地域は、風や潮の影響で塗膜の劣化や金属部の腐食が進行しやすく、誤った塗料選定や施工方法では、短期間で再度の補修が必要になることも珍しくありません。そのため、施工を依頼する業者選びは、塗装工事の品質と結果に直結する極めて重要なステップです。単に費用の安さで選ぶのではなく、業者の対応姿勢、技術的裏付け、実績の有無、アフターサポートの充実度など、複数の観点から慎重に比較検討することが求められます。

塩害地域での施工実績が豊富か確認する

塩害地域特有の施工環境に慣れているかどうかは、業者選びの最初の判断基準になります。海沿いエリアでの施工経験が豊富であれば、塩害のメカニズムや注意点、建材ごとの劣化傾向などを熟知しており、的確な施工計画が立てられる可能性が高いです。

施工エリアが限定されていたり、地元密着型であったりする業者は、その地域の気候や環境条件に精通している傾向があります。また、公式サイトやブログ、SNSなどで塩害に関する情報発信をしているかも、信頼性の判断材料になります。実際の施工写真、ビフォーアフター、使用塗料の説明などが公開されていれば、具体的な施工内容が把握しやすくなります。

塗料や工法の選定理由を説明してくれるか

施工前の打ち合わせや見積もり説明時に、業者が提案する塗料や工法の「選定理由」を明確に語れるかも、業者の信頼性を測るうえで重要です。例えば「この塗料はフッ素系で、塩害地域における紫外線や湿気の影響にも強く、15年耐久が見込めます」や「鉄部が多いため、防錆下塗りにエポキシ樹脂系を使い、耐久性を確保します」といった説明があれば、塗料選定に対する納得感も得られるでしょう。

一方で「これが主流だから」「今、他のお客様もこれを使ってます」といった曖昧な説明だけで提案してくる業者には注意が必要です。塩害に強い施工とは、あくまで現場の状況や素材の特性に応じた合理的な判断に基づくものであるべきです。

保証内容とアフターサポートを確認する

塩害地域では、どれだけ丁寧に施工しても、自然環境の影響を完全に防ぐことはできません。だからこそ、施工後に万が一の不具合が生じた場合に備えて、保証内容の確認が必須です。保証制度が明確で、かつ継続的な点検やアフターサービスが整っている業者を選ぶことで、長期的に安心できます。

以下のような保証内容があるかを、契約前に確認しておきましょう。

保証項目チェックポイント
塗膜保証保証年数(例:10〜15年)、剥離・退色などの具体的な対応範囲
防錆保証鉄部・金属部分の腐食に対して保証対象となるかどうか
アフター点検定期的な無償点検(例:1年・3年・5年)や点検報告書の有無

さらに、保証の適用条件や免責事項についても確認しておくことが大切です。保証書が口頭だけでなく書面で交付されるかも忘れずに確認しましょう。

外壁塗装の塩害対策に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 海からどのくらいの距離で塩害の影響がありますか?

一般的には、海岸線から500メートル以内が「重度の塩害エリア」とされ、建物の外壁や屋根などに著しい劣化を引き起こす可能性があります。ただし、海風が強く吹く地域では、1キロメートル〜2キロメートル圏内でも塩害の影響を受けることがあります。特に高台や風の通り道にある建物では、距離に関わらず注意が必要です。

Q2. 通常の外壁塗装でも塩害に対応できますか?

基本的には、一般的なシリコン塗料などの標準塗料では、塩害対策としての効果は限定的です。塩分に対して化学的・物理的に強い構造を持つ塗料(例:フッ素塗料・無機塗料)を使用することが望ましいです。また、金属部には必ず防錆処理を施し、複数工程による丁寧な下地処理が不可欠です。

Q3. 塩害対策塗料はどれくらい長持ちしますか?

使用する塗料の種類や施工方法によりますが、フッ素系塗料であれば15〜18年、無機塗料であれば20年程度の耐久性が期待されます。ただし、立地条件(風向き・海からの距離)や日当たり、建材の種類によっても耐用年数は変動します。定期的な点検と必要に応じた補修を行うことで、さらに寿命を延ばすことが可能です。

Q4. 外壁以外の塩害対策も同時にできますか?

はい、外壁塗装と合わせて、屋根・ベランダ・手すり・室外機周辺・雨樋など、塩害の影響を受けやすい箇所への対策も同時に進めることができます。一括で依頼することで足場代などのコストを抑えることができ、工期も短縮できます。業者によっては、塩害部位専用のパックプランなどを用意していることもあります。

Q5. 塩害対策の外壁塗装に補助金は使えますか?

自治体によっては、外壁塗装・防災対策・住宅性能向上などを目的としたリフォーム補助金制度を設けている場合があります。対象となる工事や金額、申請のタイミングなどは市区町村ごとに異なるため、事前に役所や自治体のホームページで確認しておきましょう。また、省エネ性能の向上やバリアフリー化と合わせて申請することで、助成額が増えるケースもあります。

まとめ|塩害を見据えた外壁塗装で、家の価値を長く守る

海沿いに建つ住宅は、日常的に自然の厳しさと向き合っています。塩分を含んだ湿った風、台風や突風などの暴風雨、そして強い紫外線——こうした環境下では、塗膜や建材の劣化が想定以上に早く進行します。そのため、塩害を前提とした外壁塗装の重要性は年々増しています。

外壁の美観を保つことはもちろん、建物全体の寿命を延ばし、将来的なメンテナンスコストを抑えるためにも、塩害対策を意識した塗料選びや施工工程、そして信頼できる業者の選定が極めて重要です。保証やアフターサービスも含め、長期的に任せられる業者とパートナーシップを築くことが、住まいの資産価値を維持するための鍵となります。

「塩害地域だからこそ、備えるべき工事がある」。そうした意識を持って外壁塗装を計画すれば、10年後・20年後も安心して暮らせる家を維持することができるでしょう。