マンションの水圧が弱い原因と対策|自分でできる改善法から設備変更まで解説

2025/11/04

マンションでシャワーを浴びるとき、「水の勢いが物足りない」「髪を洗い流すのに時間がかかる」と感じたことはありませんか?

水圧の弱さは、毎日のバスタイムを不快にするだけでなく、洗い物や洗濯の効率も下げてしまう深刻な問題です。

実は、マンションの水圧が弱くなる原因は一つではありません。シャワーヘッドの目詰まりという簡単に解決できるものから、建物の給水方式という構造的な課題まで、実に多様です。

この記事では、マンションの水圧が弱くなる7つの原因と、賃貸・分譲それぞれの立場でできる具体的な対処法を徹底解説します。

自分で今すぐ試せる改善方法から、管理組合で検討すべき根本的な設備変更まで、あなたの状況に合った解決策が必ず見つかります。

マンションの水圧が弱い7つの原因を徹底解説

マンションの水圧が弱い原因は、設備の目詰まりから建物の構造的な問題まで多岐にわたります。症状別に7つの主要な原因を解説します。

原因1.シャワーヘッドやフィルターの目詰まり

「最近、徐々にシャワーの勢いが弱くなってきた」という症状は、シャワーヘッドやストレーナー(フィルター)の目詰まりが原因である可能性が高いです。

ストレーナーはシャワーヘッドとホースの接続部分に設置されており、水道水に含まれるゴミを取り除く役割を担っています。

長期間使用すると、水垢やサビが蓄積し、水の通り道を塞いでしまいます。

シャワーヘッドを外してストレーナーを確認し、黒ずみや白い結晶状の付着物があれば、これが原因です。

歯ブラシで擦り洗いするか、クエン酸溶液(水200mlにクエン酸小さじ1杯)に1時間浸けると効果的です。

原因2.止水栓が十分に開いていない

引っ越し直後や水回りの工事後から水圧が弱い場合は、止水栓が十分に開いていない可能性があります。

止水栓は各住戸の水量を調整する器具で、通常は玄関横のメーターボックス内に設置されています。

工事業者が作業後に止水栓を半開き状態にしてしまうケースは意外と多く見られます。

マイナスドライバーで左に回すと開き、右に回すと閉まる仕組みです。

完全に開いているか確認し、もし閉まっていたら少しずつ左に回して調整してください。

原因3.給湯器の容量不足または劣化

お湯だけ水圧が弱い、または冬場に特に勢いが落ちる場合は、給湯器の容量不足や劣化が考えられます。

給湯器には「16号」「20号」「24号」といった号数があり、家族構成に対して号数が小さすぎると、同時にお湯を使った際に水圧が低下します。

また、給湯器は10〜15年で寿命を迎えるため、古い給湯器では本来の性能を発揮できなくなります。

号数と家族人数の目安は、以下のとおりです。

家族人数推奨号数使用状況
1〜2人16号シャワーのみ
2〜3人20号シャワーと洗面所で同時使用
3〜4人24号複数箇所で同時使用可能

原因4.配管の劣化や水漏れ

「以前と比べて明らかに水圧が弱くなった」という場合、配管の劣化や水漏れが発生している可能性があります。

特に築30年以上の古いマンションでは、給水管の内部にサビや水垢が蓄積し、水の通り道が狭くなっていることがあります。

水道料金が急増している、または家中の蛇口を閉めた状態で水道メーターの針が動いている場合は、漏水の疑いが強いため、速やかに管理会社や専門業者に連絡してください。

原因5.高層階による水圧低下

入居時から一貫して水圧が弱い場合、特に高層階に住んでいる方は、階数による物理的な水圧低下が原因かもしれません。

特に高架水槽方式(屋上のタンクから重力で給水)を採用している建物では、上階ほど水の落下距離が短くなるため、水圧が著しく弱くなります。

一般的には8階以上で水圧の低下を体感しやすくなります。高層階で水圧が弱い場合の対策としては、低水圧対応のシャワーヘッドへの交換が最も現実的です。

原因6.給水方式の問題(マンション特有)

マンション全体で水圧の問題を抱えている場合、建物が採用している給水方式自体に原因があるケースがあります。

マンションの給水方式は大きく「受水槽方式」と「水道直結方式」の2種類があり、それぞれ水圧特性が異なります。

高架水槽方式では上階ほど水圧が弱くなりやすく、直結増圧方式では比較的各階で均一な水圧を保てます。

給水方式による水圧問題は、個人レベルでの対応が難しく、マンション全体での設備改修が必要になるケースが多いです。

原因7.同時使用による一時的な水圧低下

朝の7時〜9時や夜の19時〜23時など、特定の時間帯だけ水圧が弱くなる症状は、マンション内での同時使用による一時的な水圧低下が原因です。

多くの住民が同じ時間帯に水を使うと、給水設備の供給能力が需要に追いつかなくなります。

頻繁に同時使用による水圧低下が起こる場合は、給水設備の能力不足を示している可能性があるため、管理組合での検討が必要です。

マンションの水圧問題への対応の違い【賃貸vs分譲】

マンションの水圧問題に対処する際、賃貸と分譲では取れる対応が大きく異なります。

契約形態による制約を理解し、適切なアプローチを選ぶことが重要です。

区分自分でできること(自己対応の範囲)相談・承認が必要なケース補足・ポイント
賃貸マンション・ストレーナーやシャワーヘッドの掃除
・止水栓の調整(位置を記録)
・シャワーヘッドの交換(元の部品を保管)
・給湯器の不具合
・配管の劣化
・水漏れ
・建物全体の給水設備の問題
原状回復できる範囲のみ自己対応可。
修繕費用は原則大家・管理会社負担。
分譲マンション・室内の水栓器具交換
・給湯器交換(容量アップ可)
・専有部分の配管修繕
・受水槽
・高架水槽の清掃や修繕
・給水ポンプ増設
・共用配管更新
・給水方式変更
専有部分は自由だが、共用部分は管理組合の承認が必要。

設備の不具合が起きた際、自己判断で対応を進めるとトラブルや費用負担の原因になりかねません。

まずは自分の権限範囲を理解し、必要に応じて管理会社・管理組合へ相談しましょう。

賃貸では「原状回復」、分譲では「専有・共用の区別」を意識することが基本です。

判断に迷うときは、専門業者や管理会社へ確認することで、安心かつ正確に対応できます。

マンションの給水方式と水圧の関係

マンションの水圧問題を根本的に理解するには、建物が採用している給水方式を知ることが欠かせません。

給水方式によって水圧特性が大きく異なります。

受水槽方式(貯水槽方式)

受水槽方式は、水道本管から送られてくる水を一度受水槽に貯めてから、各住戸に給水する方式です。

高架水槽方式は地上の受水槽から屋上のタンクへ送り、重力で給水します。

停電時も使用できますが、上階ほど水圧が弱くなります。

ポンプ直送方式は受水槽から直接ポンプで各住戸に給水し、各階で比較的均一な水圧を保てますが、停電時は使用できません。

給水方式水圧の特徴停電時
高架水槽方式上階ほど弱い使用可能
ポンプ直送方式各階均一使用不可
直結増圧方式各階均一低層階のみ可

水道直結方式

水道直結方式は受水槽を経由せず、水道本管から直接各住戸に給水します。

直結給水方式は水道本管の圧力をそのまま利用し、低層マンション(3〜5階建て)で採用されます。

水質が最も新鮮ですが、中高層マンションでは採用できません。

直結増圧方式は増圧ポンプで加圧し、中高層マンションでも対応可能です。

受水槽を使用しないため水質が良好で、各階で安定した水圧を保てます。

あなたのマンションの給水方式を確認する方法

自分のマンションの給水方式を知ることは、水圧問題への対策を考える第一歩です。

管理会社への問い合わせが最も確実な方法です。

賃貸なら管理会社や大家さん、分譲なら管理組合に問い合わせれば、正確な情報が得られます。

目視での確認として、屋上に大きなタンクがあれば高架水槽方式、屋上にタンクがなく増圧ポンプがあれば直結増圧方式と推測できます。

根本的に解決したい!給水方式の変更について

マンション全体で水圧問題が深刻な場合、給水方式自体を変更することで根本的な解決が可能になります。

特に高架水槽方式から直結増圧方式への変更は、多くのメリットがあります。

高架水槽方式から直結増圧方式への変更

主なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 水質の向上(新鮮な水道水が直接届く)
  • スペースの有効活用(タンク撤去後のスペース活用)
  • メンテナンスコストの削減(受水槽清掃費用が不要)
  • 水圧の均一化(上階でも安定した水圧)

なお、以下のようなデメリットが生じることがあることも把握しておきましょう。

  • 停電時のリスク(高層階は断水の可能性)
  • 初期費用が高額(数百万円から数千万円)
  • 災害時の備蓄水がなくなる

費用相場はマンション規模によって異なりますが、50戸規模で1,000万円〜2,500万円、1戸あたり20万円〜50万円程度が目安です。

配管更新が必要な場合はさらに費用が増加します。

給水方式変更の手順と条件

給水方式の変更には、所在地の水道局や自治体への事前協議が必須です。

直結増圧方式の導入基準は自治体ごとに異なり、水道本管の口径や水圧が対応しているか確認が必要です。

また、既存配管が新しい水圧に耐えられるか耐圧試験を実施しなければなりません。

給水方式の変更は共用部分の大規模変更に該当するため、総会での特別決議(組合員総数および議決権総数の4分の3以上の賛成)が必要です。

住民向けの説明会を複数回開催し、丁寧に合意形成を進めましょう。

自治体の推奨方式と補助金制度

多くの自治体では、受水槽を使用しない水道直結方式への転換を推奨しており、支援制度を設けている場合があります。

自治体が直結方式を推奨する理由は、受水槽による水質汚染リスクを回避し、水道本管から蛇口まで一貫して水質を管理できるためです。

東京都では一部の区で直結増圧方式への切り替え工事に対する補助金制度があります。

制度の詳細は自治体のホームページで確認するか、直接窓口に問い合わせることをおすすめします。

マンションの水圧に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、マンションの水圧に関してよく寄せられる質問を紹介します。

より変わりやすく簡潔に回答していますので、ぜひご覧ください。

Q1. 賃貸マンションでシャワーヘッドを交換しても大丈夫?

賃貸でもシャワーヘッドの交換は問題ありません。工具不要で簡単に取り外せ、原状回復が容易だからです。

ただし、退去時には必ず元に戻す必要があるため、外したシャワーヘッドは保管しておいてください。

Q2. 水圧が弱いのは階段のせい?何階から影響が出る?

高架水槽方式のマンションでは、8階以上で水圧の弱さを体感しやすくなります。

一方、ポンプ直送方式や直結増圧方式では各階で比較的均一な水圧が保たれます。

自分のマンションの給水方式を確認することが重要です。

Q3. 朝だけ水圧が弱いのはなぜ?

朝の7時〜9時頃は、マンション内で多くの住民が同時に水を使用するため、給水設備の供給が追いつかず一時的に水圧が低下します。

混雑時間帯を避けるか、低水圧対応のシャワーヘッドを使用することで改善できます。

Q4. タワーマンションは水圧が弱いって本当?

近年のタワーマンションは、直結増圧方式や高性能なポンプ直送方式を採用しており、高層階でも安定した水圧を確保できるよう設計されています。

古い高層マンションで高架水槽方式の場合は、上階で水圧が弱くなる可能性があります。

Q5. 給湯器の号数を上げれば水圧は改善する?

給湯器が家族構成に対して容量不足でお湯の勢いが弱い場合は、号数を上げることで改善が期待できます。

しかし、水そのものの供給圧力が低い場合や、マンションの給水方式に問題がある場合は、給湯器の交換だけでは根本的な解決になりません。

Q6. 引っ越し前にマンションの水圧を確認する方法は?

内覧時に、シャワーと洗面所、キッチンの蛇口で実際に水を出して勢いを確認しましょう。

不動産業者に給水方式と階数による水圧への影響を質問することも重要です。

可能であれば、朝や夜の混雑時間帯に再度内覧させてもらい、その時の水圧も確認できると安心です。

マンションの水圧が弱い時は原因特定から|まとめ

マンションの水圧が弱いという悩みは、原因を正しく特定することで解決への道が開けます。

ここまでご紹介した内容を振り返り、重要なポイントをまとめます。

  • まずはシャワーヘッドの清掃と止水栓の調整から試す
  • 症状から原因を特定し適切な対処法を選ぶことが重要
  • 賃貸と分譲では対応できる範囲が異なることを理解する
  • 給水方式を知ることで根本的な問題が見えてくる
  • 個人で改善しない場合は管理会社や管理組合に相談する

快適な水回り環境は、毎日の生活の質を大きく左右します。

水圧が弱いまま我慢を続けるのではなく、まずは費用のかからない簡単な対処法から試してみてください。

それでも改善しない場合は、専門家や管理組合と連携しながら、給湯器の交換や給水方式の変更など、より根本的な対策を検討しましょう。

この記事が、あなたのマンション生活をより快適にする一助となれば幸いです。

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