大規模修繕はオーナーにとって何を意味する?費用負担・判断ポイント・資産価値維持の秘訣

2025/09/30

不動産オーナーにとって「大規模修繕はいくらかかるのか」「誰がどこまで負担するのか」は大きな関心事です。修繕を怠れば入居率の低下や資産価値の下落につながり、賃貸経営にも影響します。一方で、数千万円規模の支出が発生するため、資金計画や修繕の判断を誤ると経営に大きな負担を与えかねません。
本記事では、オーナーの立場から大規模修繕を考えるうえで知っておきたい基礎知識、費用負担の仕組み、資産価値維持のための計画や工夫を徹底解説します。

大規模修繕とは?オーナー視点での基礎知識

大規模修繕とは、マンションやビルの外壁塗装や屋上防水、配管や共用設備の更新など、建物全体を対象に行う大規模な改修工事を指します。一般的には築12〜15年ごとに行うことが推奨されており、居住環境の安全性と快適性を保ち、建物の資産価値を維持するために欠かせないものです。

オーナーの立場から見た場合、管理組合が主体となる分譲マンションの修繕と、一棟所有している賃貸マンション・ビルの修繕とでは役割や負担が異なります。

  • 分譲マンションのオーナー
    専有部分の修繕は自己負担となり、共用部分の修繕は修繕積立金を通じて対応します。賃貸に出している場合も、区分所有者として修繕費用の一部を負担する義務があります。
  • 一棟所有のオーナー(賃貸マンション・ビル)
    大規模修繕費用はすべてオーナー負担です。共用部分・専有部分の区分はなく、建物全体の維持管理責任を負います。その分、修繕の計画や工事業者の選定も自ら判断できる自由度があります。

このように、大規模修繕は単なるメンテナンスではなく、オーナーの経営判断や資産戦略に直結する重要なテーマなのです。

大規模修繕にかかる費用とオーナーの負担

大規模修繕の費用は、建物の規模や劣化の度合いによって異なりますが、1戸あたり100万〜150万円程度が一般的な目安です。例えば50戸規模のマンションでは5,000万〜7,500万円、100戸規模なら1億〜1.5億円規模の支出が必要になります。

オーナーの立場ごとに費用負担の仕組みを整理すると以下の通りです。

所有形態費用負担の仕組み特徴・注意点
分譲マンションのオーナー共用部分:修繕積立金から負担/専有部分:自己負担共用部分は管理組合が主体だが、積立不足の場合は追加徴収あり
一棟所有マンション・ビルオーナー全額オーナー負担修繕の自由度が高いが、資金調達リスクも大きい
投資用マンション(区分所有)専有部分:オーナー負担/共用部分:積立金で負担賃貸経営における収益性に直結するため要注意

特に一棟所有の場合は、外壁や防水、配管更新など全ての工事をオーナーが直接手配し、資金を確保しなければなりません。分譲マンションの区分所有者に比べ、責任もリスクも大きくなります。

また、修繕積立金で足りない場合は追加徴収や金融機関からの借入が必要になるケースもあり、事前の資金計画が極めて重要です。オーナーが「大規模修繕はいくらかかるのか」を早めに把握して準備しておくことが、安定した賃貸経営の基盤となります。

資産価値を守るための修繕計画

大規模修繕は不動産オーナーにとって「資産価値を維持する投資」です。適切な計画を立てることで、入居率や賃料を安定させ、長期的な経営リスクを減らすことができます。ここでは、修繕計画の立て方と入居者への配慮について解説します。

長期修繕計画の重要性

大規模修繕の実施は建物の寿命を延ばすだけでなく、オーナーの収益性を守るために不可欠です。長期修繕計画を策定し、費用や工事内容を事前に整理することが、資産価値維持の基本となります。

入居者への配慮

修繕工事は入居者の生活に直結するため、オーナーの対応次第で満足度や入居継続率が変わります。影響を最小限に抑える工夫や、入居者への丁寧な説明が求められます。

大規模修繕の費用を抑える方法

大規模修繕はいくらかかるのか不安に思うオーナーも多いですが、工夫次第でコストを抑えることは可能です。ここでは、相見積もりや補助金活用など、具体的に役立つ費用削減のポイントを紹介します。

相見積もりで適正価格を見極める

修繕費用は業者によって大きく差が出るため、複数社からの見積もり比較が不可欠です。適正価格と工事内容を見極める姿勢が、コスト削減の第一歩となります。

小規模修繕で早期対応

劣化を放置せず、小さな修繕を早めに実施することが大規模修繕時の負担軽減につながります。オーナーにとっては、将来の大きな支出を抑える有効な手段です。

補助金・助成金を活用する

自治体の補助制度は、工事費用を軽減するための強力なサポートです。条件を確認し、対象となる場合は積極的に利用しましょう。

工事時期の調整

工事の依頼が集中する繁忙期を避けることで、見積もり額が下がるケースもあります。発注時期を工夫するだけで費用が抑えられる可能性があります。

オーナーが直面しやすいトラブルと回避策

大規模修繕は多額の費用がかかるだけでなく、入居者や業者との間でトラブルが発生するリスクもあります。ここでは、不動産オーナーが直面しやすい典型的な問題と、その回避方法を整理します。

入居者からのクレーム

修繕工事中は騒音や日照制限などで入居者に不満が出やすいものです。オーナーは事前説明を徹底し、理解と協力を得ることが重要です。

施工業者・管理会社との認識ズレ

契約内容が曖昧だと、追加費用や工期延長の原因となります。事前に契約条件を明確化し、トラブルを未然に防ぐ必要があります。

資金不足による工事ストップ

修繕費用の不足は最も避けたい事態です。資金計画を見直し、借入や積立の調整を行ってリスク回避につなげましょう。

実録!新東亜工業の施工事例|7階建てマンションの大規模修繕工事

今回は、東京都墨田区にある7階建てマンションで実施された大規模修繕工事の実例をご紹介します。色選びの失敗を繰り返したくないというオーナー様のご相談から始まり、現地調査、丁寧な工程説明、施工後の満足の声まで、実際の会話を交えながら施工の流れをわかりやすくお届けします。

大規模修繕・防水工事・外壁塗装のご依頼やご相談は、メール・お電話からお受け致しております。

ご相談内容

お問い合わせ時点で、オーナー様は過去の色選びの失敗と屋上防水の要否にお悩みでした。

お客様:「前に外壁の修繕をやったとき、色で失敗してしまって…。今回はちゃんと満足できるものにしたいんです」
お客様:「屋上防水もやるべきか迷っていて…実は5年前に他業者でやってるんですが、そのまま使えますか?」

現地調査の結果、屋上防水の状態は良好と判断。防水あり/なしの2パターンで見積を提示し、「防水なしプラン」でのご契約となりました。

工事の概要|工事金額と施工期間

 

大規模修繕工事 施工前

大規模修繕工事 施工後

今回の工事では、外壁塗装、シーリング打ち替え、鉄部塗装、足場など複数の工事項目を含めて施工。屋上防水は状態良好につき除外となりました。

工事項目 内容
外壁塗装 シリコン塗装仕上げ
シーリング 全箇所撤去・打ち替え
鉄部塗装 玄関扉・バルコニー手すりなど
足場 全面架設

工事金額:約852万円(税込)
施工期間:約50日間

お客様:「複数パターンで見積を出してくれたので比較しやすかったですね。説明もわかりやすくて納得できました」
担当者:「屋上防水は前回の状態が良好でしたので、今回は必要ありませんでした。余計な費用がかからないよう判断させていただきました」

現地調査で判明した劣化症状

現地調査では、以下のような劣化症状が確認されました。

 

  • シーリングの硬化・亀裂:経年劣化により弾性を失い、ひび割れ多数
  • シーリングの「増し打ち」による施工不良:旧シールを撤去せず重ねていたことで剥離が発生
  • 外壁塗装の色あせ・汚れ:前回塗装の退色が進行し、日陰部に黒ずみ
  • バルコニー床のトップコート剥離:防水機能は残るものの、表面劣化あり

担当者:「古いものを撤去せず上から足してあるだけだったので、耐久性が落ちてました。今回はすべて撤去して打ち直します」
お客様:「やっぱり、見えないところもきちんと確認してもらえると安心できますね」

施工中のやり取りと配慮

工事中は毎回担当者が進捗を報告。外壁色や長尺シートの見本を見て決定しながら進められ、工程ごとに確認しやすい体制を整えました。

担当者:「今日は3階バルコニーのシーリングを打ち替えていきます。既存シールはすべて撤去済みです」
お客様:「毎回進捗を伝えてくれるので、こちらも安心して見守れます」
担当者:「色見本の実物板を5種類ほど持ってきましたが、どれがよさそうですか?」
お客様:「これがいいですね!」

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引き渡し時のご感想

引渡し時には、オーナー様とお母様にも仕上がりをご確認いただき、ご満足の声をいただきました。

お客様:「本当イメージ通りの色でよかったです。ありがとうございます。母も喜びますわ!」
お客様:「領収書の件も丁寧に対応してくださって助かりました。最初から最後まで信頼できました」

大規模修繕に関するよくある質問(FAQ)

大規模修繕に関するよくある質問を紹介します。

Q1. 大規模修繕の費用はオーナーが全額負担するのですか?

所有形態によって異なります。分譲マンションのオーナーは共用部分を修繕積立金で負担し、専有部分は自己負担となります。一棟所有のマンションやビルのオーナーは、建物全体の大規模修繕費用をすべて負担する必要があります。そのため、修繕計画と資金準備が非常に重要です。

Q2. 大規模修繕の平均的な費用はいくらですか?

一般的には1戸あたり100万〜150万円程度が目安です。50戸のマンションであれば約5,000万〜7,500万円、100戸規模では1億円を超えるケースが多くなります。外壁や防水などの工事内容や建物の状態によって金額は大きく変わるため、相見積もりで比較検討することが不可欠です。

Q3. 修繕積立金が不足した場合、どうすればよいですか?

積立不足が判明した場合は、一時金の徴収や金融機関からの借入で対応するケースが一般的です。オーナーとしては長期修繕計画を見直し、将来必要となる金額を試算して積立額を適切に調整することが大切です。計画的な見直しを怠ると、資金不足によるトラブルや修繕の遅れにつながります。

Q4. 修繕工事中、入居者への影響はどの程度ありますか?

足場や防護ネットによる日照制限、騒音、工事車両の出入りなどが発生します。洗濯物の外干しが制限されることもあります。ただし、施工会社が事前に説明会を行い、管理会社やオーナーが丁寧に情報を共有することで、入居者の理解を得てトラブルを最小限に抑えることが可能です。

Q5. 大規模修繕の費用を抑えるにはどうすればよいですか?

費用を抑えるには、複数業者からの相見積もりを取り、金額・工法・保証内容を比較することが第一歩です。さらに、小規模修繕で早めに劣化に対応したり、補助金や助成金を活用したりする方法も有効です。工事の発注時期を工夫することでもコストダウンが可能です。

不動産オーナーにとって大規模修繕についてまとめ

不動産オーナーにとって大規模修繕は「避けられないコスト」ですが、同時に「資産価値を守るための投資」でもあります。費用の目安は1戸あたり100万〜150万円、全体では数千万円単位に及ぶため、修繕積立金の適切な管理と長期修繕計画の策定が不可欠です。
修繕を後回しにすれば入居率や売却価格の低下につながりますが、計画的に対応すれば安定した賃貸経営と資産価値の維持が可能です。費用負担の仕組みを理解し、相見積もりや補助金活用などの工夫を取り入れることで、無理のない修繕を実現できるでしょう。オーナーは「いくらかかるのか」を正しく把握し、将来を見据えた備えをしていくことが求められます。

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