総合防水工事とは?種類・費用・施工の流れ・業者選びまで完全解説!

2025/08/08

建物を長く安全に使い続けるためには、防水工事の適切な実施が欠かせません。とくに屋上やバルコニー、外壁など、外部からの雨風や紫外線にさらされやすい箇所は、経年劣化による雨漏りや内部腐食のリスクを抱えています。こうした問題を未然に防ぐためには、複数の箇所をまとめて施工する「総合防水工事」が効果的です。本記事では、防水工事の基本から、工法ごとの特徴、費用相場、施工の流れ、業者選びのポイントまで、初めての方でも理解しやすい形で詳しく解説します。

総合防水工事とは?対象範囲と特徴

「総合防水工事」とは、屋上だけではなく、外壁・バルコニー・庇・共用部分など複数の部位に対して同時に実施される包括的な防水施工のことです。建物全体の防水性能を一貫して高めることで、漏水リスクを効率的に低減し、維持管理の手間やコストも抑えられるのが特徴です。

対象となる部位

  • 屋上・陸屋根(RC構造の建物など)
  • 外壁(ALC・RC・モルタル仕上げ)
  • バルコニー・ベランダ
  • 共用廊下・階段・庇
  • パラペット・笠木まわり

これらの箇所は、降雨時や風が吹きつける際に雨水が溜まりやすく、放置すると建材内部にまで浸水し、構造部の腐食やカビの発生を招く可能性があります。

一括施工のメリット

項目メリット
足場コストの削減複数部位を一度に施工することで、共通の足場を使用できるためコストが圧縮できる
工期の短縮業者間の調整が不要で、工程がスムーズに進む
品質管理の一元化一社管理により施工精度や管理体制が明確になる
長期的な保全計画建物全体を一体的に管理しやすく、10〜15年スパンでの保守計画が立てやすい

部分的な工事をバラバラに行うよりも、トータルコストや品質、工期の面で優れた選択となるのが総合防水工事の利点です。

防水工事の主な種類とその特徴

総合防水工事で採用される主な防水工法は、建物の構造や使用目的により適切な工法が選ばれます。それぞれの特徴を理解することが、適正な施工プランを立てるうえで重要です。

ウレタン塗膜防水

  • 特徴:液状のウレタンを塗り重ねて防水層を形成。継ぎ目がなく柔軟で、複雑な形状にも対応可能。
  • 用途:屋上、バルコニー、小面積箇所
  • 耐用年数:10〜13年

シート防水(塩ビ・ゴム)

  • 特徴:工場生産の防水シートを貼り付ける工法。品質が安定し、短期間で施工可能。
  • 用途:屋上、共用廊下、外壁の一部
  • 耐用年数:12〜15年

アスファルト防水

  • 特徴:熱で溶かしたアスファルトとシートを重ねて積層。重量感があり高耐久。
  • 用途:大型施設、屋上駐車場など広面積向け
  • 耐用年数:15〜20年

FRP防水

  • 特徴:ガラス繊維と樹脂を用いて硬化させる工法。高強度で耐摩耗性にも優れる。
  • 用途:ベランダ、バルコニー、小規模箇所
  • 耐用年数:10〜12年

工法比較一覧

工法特徴適用場所耐用年数
ウレタン塗膜防水継ぎ目がなく施工性が高い、複雑な形状にも対応屋上・バルコニー10〜13年
シート防水(塩ビ・ゴム)安定施工・工期短縮屋上・外壁・廊下12〜15年
アスファルト防水高耐久・重量があり大型施設向け屋上・駐車場15〜20年
FRP防水硬化後の強度が高く、狭小部位向けベランダ・手摺下・庇10〜12年

総合防水工事の費用目安と見積もりのチェックポイント

工法の選定や施工範囲により、防水工事の価格は大きく異なります。ここでは代表的な単価相場と、見積もり取得時に注意すべき点を紹介します。

工法ごとの単価相場(1㎡あたりの目安)

工法単価(税込)備考
ウレタン塗膜防水4,500〜6,500円通気緩衝工法は割高
シート防水(塩ビ・ゴム)5,500〜7,000円シート厚や接着方法により変動あり
アスファルト防水6,000〜8,500円溶融施工で人件費・材料費が上乗せ
FRP防水5,000〜7,000円小面積に適し、端部処理が容易
※別途、足場設置費用(500〜1,000円/㎡)、高圧洗浄・下地補修・養生費用などが必要になります。

費用に影響する要素

  • 建物の規模・階数(高層は足場や安全対策が割増)
  • 劣化状況(下地補修の有無や程度)
  • 使用する材料のグレード
  • 同時施工の有無(複数箇所同時は単価が抑えやすい)

見積もりの注意点

  • 項目が「一式」表記になっていないか(作業内容の内訳を確認)
  • 保証年数やアフター点検の明示があるか
  • 雨天対応や緊急補修体制が記載されているか

複数社から相見積もりを取得し、価格・対応力・説明のわかりやすさなどを比較検討することが、満足度の高い工事につながります。

総合防水工事の施工の流れ

総合防水工事を成功させるためには、明確な工程管理と丁寧な準備が不可欠です。ここでは、実際の現場で採用される一般的な施工フローを順を追って解説します。初めて工事を依頼する方でも安心できるよう、各工程で行われる作業やポイントを具体的に紹介します。

総合防水工事の施工の流れ1. 現地調査と劣化診断

  • 屋上・外壁・バルコニーなど全体の劣化状況を調査
  • 打診・赤外線・目視などの診断方法を組み合わせて雨漏り原因を特定
  • 既存の防水層の浮き・膨れ・剥がれなども詳細に記録

総合防水工事の施工の流れ2. 診断結果に基づいた工法提案・見積もり

  • 劣化部位ごとの状態を報告書で可視化
  • 最適な防水工法(ウレタン・シートなど)を部位別に提案
  • 工事内容・材料・保証内容を含む詳細な見積書を提示

総合防水工事の施工の流れ3. 契約締結と周辺住民への配慮

  • 工事内容・工期・保証条件を確認し契約締結
  • マンション管理組合・入居者・近隣住民に工事の案内(張り紙・説明会など)
  • 足場設置前には現場周辺への挨拶回りを実施

総合防水工事の施工の流れ4. 施工準備と仮設工事

  • 足場組立・飛散防止ネット設置・資材搬入の準備
  • 高圧洗浄により汚れ・藻・カビを徹底除去
  • ひび割れ補修、下地調整、シーリング処理を丁寧に実施

総合防水工事の施工の流れ5. 防水層の施工

  • 選定された防水材(ウレタン・シート・FRPなど)を使用して各部位を施工
  • 各層ごとに厚み・乾燥時間・施工条件を管理
  • 端部・立ち上がり部分・ドレンまわりなど、漏水リスクの高い箇所を重点処理

総合防水工事の施工の流れ6. 完了検査と引き渡し

  • 専門スタッフによる目視検査・打診検査・散水テストを実施
  • 必要に応じて第三者機関の立ち会い検査も対応
  • 完工報告書・保証書の提出とアフターフォロー体制の説明

総合防水工事に強い業者選びのポイント

防水工事は仕上がりが外から見えにくいため、業者の技術力や管理体制が問われます。以下の観点を押さえて、信頼できる業者を選びましょう。

総合防水工事に強い業者選びのポイント1. 総合対応の実績と技術力

  • 複数工法(ウレタン・シート・アスファルト・FRP)に精通しているか
  • 各部位(屋上・外壁・バルコニーなど)での施工実績が豊富か
  • 自社施工か下請け依頼か(中間マージンの有無や技術の一貫性)

総合防水工事に強い業者選びのポイント2. 保有資格と第三者評価

  • 防水施工技能士、一級建築施工管理技士などの有資格者が在籍しているか
  • 国交省認可の施工管理体制(ISO、建設業許可)などの有無
  • ホームページやGoogleレビューでの施工事例と評価内容

総合防水工事に強い業者選びのポイント3. 保証内容とアフターサービス

  • 保証年数が明確で、保証書の発行があるか(5年〜10年が一般的)
  • 工事後の無料点検やメンテナンスプランの提供
  • 緊急時の対応スピードや定期点検の有無

よくある質問(FAQ)

Q1. 総合防水工事の期間はどのくらいかかりますか?
→ 施工範囲や天候によりますが、屋上・外壁・バルコニーなどを含む場合、2週間〜1ヶ月程度が目安です。

Q2. 工事中は通常通り生活できますか?
→ はい。原則的に日常生活への影響は少ないですが、足場や騒音が発生するため、一定の制限が伴います。

Q3. 雨天の場合はどうなりますか?
→ 防水材の性能を確保するため、雨天時の施工は原則中止となります。工期はその分調整されます。

Q4. 助成金や補助制度は利用できますか?
→ 自治体によっては、マンション・ビルの防水工事に助成金が出る場合があります。事前に調べておきましょう。

Q5. 工事のタイミングはいつが最適ですか?
→ 春(4月〜6月)や秋(9月〜11月)が湿度・気温ともに安定しており、防水材の硬化に適したシーズンです。

まとめ|防水工事は建物管理の要。信頼できる業者と計画的な実施を

総合防水工事は、建物全体の劣化を未然に防ぐうえで非常に重要な役割を担います。対象範囲を限定せず、屋上・外壁・バルコニーなどを一体で施工することで、防水性能を高水準で維持できます。工法や費用、施工フローを事前に把握したうえで、実績と信頼のある業者に依頼することが成功のカギです。中長期的なメンテナンス計画を立て、資産価値を守る取り組みを始めましょう。

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