マンションの大規模修繕費用とその相場と内容について詳しく解説

2025/07/30

老朽化が進むマンションにおいて、定期的な大規模修繕は避けて通れない重要なメンテナンスです。
しかし、実際に修繕計画を立てようとすると「いくらかかるのか」「何にお金がかかるのか」「費用を抑える方法はあるのか」など、多くの疑問が浮かぶのではないでしょうか。

本記事では、マンションの大規模修繕工事にかかる費用の内訳や項目別の相場、地域ごとの違い、業者の選定ポイント、施工中の注意点、そして引き渡し後のアフターケアに至るまで、徹底的に解説していきます。管理組合やオーナーの方が納得できる修繕計画を立てるための知識をわかりやすくお届けします。

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目次

マンションの大規模修繕費用とは?|相場と費用感の全体像

マンションの大規模修繕とは、外壁や防水層、設備などをまとめて改修する大規模な工事を指します。築10年〜15年を超えると、経年劣化により様々なトラブルが起こりやすくなり、資産価値や居住快適性にも影響を及ぼします。

中でも気になるのが「修繕にかかる費用」です。大規模修繕には数千万円単位の予算が必要となることもあり、管理組合にとっては非常に大きな意思決定になります。この記事では、1戸あたりの相場から工事項目ごとの単価、地域差まで、わかりやすく解説します。

工事項目別の修繕費用と内訳

大規模修繕工事では、様々な部位が対象となるため、費用も多岐にわたります。以下では、代表的な工事項目ごとの費用の目安をご紹介します。

外壁補修工事|㎡単価と総額の目安

外壁のひび割れやタイルの浮き、塗装の劣化などは美観や防水性に直結するため、重点的に修繕される部位です。主な作業には足場の設置、高圧洗浄、ひび割れ補修、再塗装などが含まれます。

  • 単価目安:4,000〜10,000円/㎡
  • 総額目安:500万円〜2,000万円以上(建物規模により変動)

屋上・バルコニーの防水工事|使用材料と単価

屋上やバルコニーの防水層が劣化すると、雨漏りや内部腐食の原因となります。ウレタン防水・シート防水・FRP防水などの工法があり、選定によって価格も異なります。

  • 単価目安:3,000〜12,000円/㎡
  • 総額目安:200万円〜800万円

給排水設備の更新・改修工事

給水管・排水管・ポンプなどの設備は、漏水事故や水圧トラブルにつながるため、耐用年数に応じた交換が推奨されます。共用部だけでなく、専有部との接続部分の対応範囲にも注意が必要です。

  • 単価目安:場所・範囲により変動
  • 総額目安:300万円〜1,000万円

エントランス・共用部の改修工事

共用部は居住者の利便性や印象を左右するため、床材の貼り替え、照明のLED化、手すりの更新などが行われます。

  • 総額目安:100万円〜500万円

足場・仮設工事など付帯費用

大規模修繕では、作業の前提として必要となる足場設置や養生、仮設トイレ・資材置き場の設置費用も発生します。

  • 総額目安:300万円〜1,000万円

地域別の大規模修繕費用相場|都市部と地方の違い

修繕工事の費用は、地域によっても大きく差があります。人件費や輸送コスト、材料調達のしやすさなどが影響するためです。

都市部(東京・大阪)|高騰傾向とその理由

首都圏や大都市圏では、職人の確保が難しく、人件費や物価上昇に伴って修繕費も上昇傾向です。1戸あたりの費用は、下記のような水準が一般的です。

  • 相場:1戸あたり50万円〜100万円
  • 例:50戸マンションで2,500万〜5,000万円程度

また、駐車場・資材置き場スペースの確保に苦労するケースがあり、仮設費用も高くなる傾向があります。

地方都市|人件費・工事費の違い

地方都市では、人件費が比較的抑えられ、同じ内容の工事でも1〜2割程度安くなる場合があります。

  • 相場:1戸あたり40万円〜70万円
  • 注意点:業者数が限られており、選択肢の少なさがネックになる場合も

郊外・農村部|相場は安いが業者不足に注意

郊外や農村部では、修繕費用の相場が30〜50万円と比較的低めになる傾向があります。
しかし、技術力の高い業者が近隣に少ない場合が多く、遠方から業者を呼ぶ必要があることも少なくありません。そのため、輸送費や宿泊費などの追加費用が発生する可能性があります。
また特殊な工事や高層物件の場合は、都市部と同等の費用になることもあります。

これらの点を踏まえ、地域の特性や物件の状況に応じて費用の見積もりをしっかりと確認することが大切です。

費用を左右する要因とは?

マンションの大規模修繕費用は一律ではなく、いくつかの要因によって大きく変動します。費用の差が生まれる原因を理解しておくことで、予算の適正化や見積もり比較の精度が高まります。
以下は、費用に影響を与える主な要素です。それぞれの要素について確認しておきましょう。

築年数と劣化状況

築20年以上の物件は補修範囲が広がりやすく、劣化箇所が多ければ修繕工事の内容も増加し、費用が高くなる傾向にあります。古い建物ほど内部の配管や設備の更新も必要になることが多く、工事期間やコストにも影響します。定期的な点検を行い、早めの対応が費用の抑制につながります。

建物の構造と規模

階数や延床面積が大きい建物は、足場設置や材料・作業員の人数が増えるため費用が高くなります。特に高層マンションでは仮設足場の設置費用が大幅に上がる傾向があり、工事全体のコストに大きく影響します。規模に応じた適切な計画が重要です。

採用する工法・材料の種類

高グレードの防水材や長寿命塗料を採用すると初期費用は高くなりますが、メンテナンス周期が延びるため長期的にはコスト削減に繋がることがあります。耐久性の高い材料選びは、将来的な修繕回数を減らし、資産価値の維持にも寄与します。

発注方式

責任施工方式と設計監理方式では総費用に差が出ます。設計監理方式は手数料がかかりますが、第三者の中立的な提案や工事監理が可能で、品質の確保やトラブル防止に役立ちます。信頼できる方式を選ぶことが、満足度の高い工事につながります。

これらを踏まえ、見積もり段階では工事項目・単価・数量が明記されているかをチェックすることが重要です。

設計・施工業者の選定ポイント

費用だけで業者を選ぶのは危険です。長期的な満足を得るためには、信頼性・対応力・技術力を備えた業者の見極めが重要です。

設計事務所・コンサルタントの選び方

設計者やコンサルタントは、工事の品質を左右する「指揮官」となる存在です。以下の点に注目して選定しましょう。

  • 実績:大規模修繕の経験が豊富かどうか。過去の案件の規模や内容を確認しましょう。
  • 専門性:マンション向け設計に強いか。戸建てや商業施設とでは考慮すべきポイントが異なります。
  • 中立性:施工業者から独立しているか。設計と施工が癒着していると、見積もりや品質管理の透明性に欠ける場合があります。

施工業者のチェックポイント

実際に工事を請け負う施工業者については、次の点を総合的にチェックすることが大切です。

  • 施工実績の数と質:自社施工なのか、外注に依存していないか確認しましょう。
  • 保証内容とアフター対応:工事後に問題が起きた場合、どこまで対応してくれるのか事前に確認が必要です。
  • 住民説明会などの対応力:住民対応に慣れている業者はトラブルが少なく、管理組合の負担も軽減されます。
  • 明確な見積書と工程表の提示:見積書が簡素すぎる業者は避けましょう。透明性と説明力があるかを重視します。

複数社で相見積もりを行い、価格だけでなく説明の丁寧さ・対応のスピードも比較しましょう。

新東亜工業の施工事例|13階建てマンションの大規模修繕工事

東京都内にある13階建てワンオーナーマンションにて、新東亜工業が実施した大規模修繕工事の事例をご紹介します。外壁タイルやシーリング、屋上防水など複数の劣化箇所を総合的に改修し、建物の資産価値を回復しました。

工事概要【工事金額・期間】

工事金額:6,098万円/工期:約5か月間(足場設置〜引き渡しまで)
屋上防水・外壁タイル補修・シーリング打ち替えを中心に、建物全体をバランスよく修繕。
建物全体にわたる一貫した施工により、見た目と性能の両立を実現しました。


建物の劣化とオーナー様のご相談内容

長年手を入れていなかったマンションの修繕を検討し始めたオーナー様から、初回のご相談をいただいたのがスタートでした。

相談のきっかけ

築20年以上が経過し、目視でも劣化が感じられるように。最初は「少し気になる」という段階でしたが、調査を通じて複数の問題が明らかになっていきます。

オーナー様「タイルの剥がれや屋上の汚れが気になっていて…」
担当者「まずは図面を拝見して、現地調査で状態を見ていきましょう」

調査で明らかになった劣化状況

現地での打診調査や目視検査によって、建物の各所に進行した劣化が確認されました。オーナー様も驚かれるほどの症状が浮き彫りに。

屋上防水の劣化

既存の通気緩衝工法によるウレタン防水は、広範囲に劣化や膨れが生じていました。

オーナー様「花火の時期には屋上に上るんです。きれいになると嬉しいな」
現地調査員「眺望も大事ですね。美観にも配慮して施工いたします」

外壁タイルの浮き・剥離

浮きタイルが多数見つかり、剥離の危険性も。劣化の進行度に応じて、張替えと樹脂注入を使い分けました。

担当者「打診調査で見えない内部の浮きも確認しました。対応が必要です」

シーリングの硬化不良

シーリング材は硬化しきって弾性を失い、手作業での撤去が必要なほどでした。

現場職人「カッターが入らないくらい硬くなってます。全部打ち替えですね」
オーナー様「そこまで傷んでたとは…早めにお願いしてよかったです」

工事の流れと透明な対応

調査結果をもとに明確な見積書と診断書を作成。オーナー様に工程を丁寧に説明し、工事中も報告を徹底しました。

診断報告と見積提示

写真付きの診断報告書と、内訳を明記した見積書を提出。工事内容をわかりやすく共有しました。

オーナー様「写真があると素人でもわかりやすいですね」
担当者「透明性を重視していますので、何でもご質問ください」

工事の実施(足場~防水まで)

工程は足場設置から高圧洗浄、下地補修、シーリング、塗装、屋上防水まで。報告写真とともに進捗共有を行いました。

担当者「毎週の報告で進捗をご確認いただけます」
オーナー様「離れてても工事の様子がわかって安心できました」

工事完了後のオーナー様の声

見た目だけでなく機能性も向上した建物に、オーナー様からは満足の声が寄せられました。

オーナー様「すっかりきれいになりましたね。やってよかったです」
担当者「大切な資産を守るお手伝いができて光栄です」

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施工中に注意すべき点と管理体制

工事中のトラブルを回避するためには、現場の管理と住民対応がカギを握ります。以下に、重要なチェックポイントをまとめました。

安全対策

施工中の事故は、住民や近隣に大きな影響を及ぼすリスクがあります。次のような対策が行われているかを確認しましょう。

  • 足場・資材の転倒事故防止:囲い養生や固定措置が適切か確認します。
  • 作業員への安全教育の徹底:ヘルメット・安全帯・服装などの着用が義務化されているか。
  • 火災や落下物対策の明示:喫煙所の設置、工具の落下防止措置などが必要です。

進捗管理と品質確認

工事が計画通りに進んでいるか、品質に問題がないかは、次のように管理されます。

  • 工事監理者による定期的な現場確認:第三者視点での品質確保ができます。
  • 工程ごとの写真記録:後日のトラブル回避や報告に役立ちます。
  • 管理組合との定例会議:疑問点や変更希望をその都度確認しやすくなります。

住民・近隣とのコミュニケーション

住民や近隣との信頼関係があると、工事はよりスムーズに進行します。

  • 工事前に説明会を開催:工事内容やスケジュール、影響を丁寧に伝える場です。
  • 騒音・通行規制などの案内文配布:生活への影響を最小限に抑える配慮が必要です。
  • 苦情窓口の設置と迅速な対応:トラブルの拡大を防ぎます。

引き渡しとアフターメンテナンスの重要性

大規模修繕は、工事が完了した時点で終わりではありません。長く安心して暮らすためには、引き渡し時の確認とアフターメンテナンスが欠かせない要素です。

完成検査と引き渡しの流れ

工事完了後には、設計監理者や管理組合の立ち会いによる完成検査が実施されます。以下の項目に注目して、引き渡しを受けるようにしましょう。

  • 不具合や未完了箇所の有無を細かくチェック
  • 施工報告書・保証書・図面などの受領
  • 使用材料・施工範囲が契約通りであるか確認

問題がある場合は引き渡し前に是正を依頼し、納得のいく状態で工事を終えることが重要です。

アフター対応のチェック項目

引き渡し後も万全の対応が受けられるよう、以下の点を事前に確認しておきましょう。

  • 定期点検のスケジュール:1年・2年目など、節目での点検実施が一般的です。
  • 保証対象の範囲と内容:雨漏り、塗装の剥離など、具体的に記載があるかチェック。
  • 緊急時の対応体制:トラブル時に迅速な連絡・対応が可能か。

大規模修繕費用を安く抑えるための工夫

限られた予算の中で満足度の高い修繕を実現するには、費用の最適化が不可欠です。以下の方法を組み合わせることで、適切なコストコントロールが可能になります。

  • 長期修繕計画を精密化:劣化を早期に発見し、先手を打てば急な出費を防げます。
  • 補助金や減税制度の活用:自治体によっては、耐震補強やバリアフリー対応などで助成金を得られる場合があります。
  • VE(バリューエンジニアリング)の活用:同じ機能を持つ代替材料を使うことで費用を削減します。
  • 相見積もりをとって交渉:複数業者から見積もりを取り、価格と内容を比較しながら交渉することも有効です。

コストダウンの余地を探りつつ、品質とのバランスを取る姿勢が大切です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 大規模修繕は何年ごとに必要ですか?

A. 一般的には12〜15年周期で行うことが目安とされています。ただし、建物の立地環境や使用状況によって劣化の進行具合は異なるため、劣化状況によっては早めの対応が必要になる場合もあります。定期的な点検を行い、適切なタイミングでの修繕を心がけましょう。

Q2. 修繕積立金で足りない場合はどうすればいいですか?

A. 修繕積立金が不足する場合は、一時金の徴収や銀行からの借入れを検討することが一般的です。また、工事の範囲や内容を見直して費用を抑える方法もあります。管理組合や専門家と相談し、住民の負担を最小限にしながら適切な対応をとることが重要です。

Q3. 工事中の生活に支障はありますか?

A. 工事中は騒音や足場設置による通行制限など、多少の生活への影響が避けられません。ただし、施工業者が工事時間を調整したり、住民との連携を密にしたりすることで、影響をできるだけ軽減する努力がなされます。事前の説明会などで工事の内容やスケジュールを確認しておくと安心です。

Q4. 工事後の保証はどれくらいありますか?

A. 保証期間は工事内容によって異なりますが、一般的には5年から10年程度の保証が付くことが多いです。保証内容や期間は契約書や保証書に明記されているため、工事完了後に必ず確認しましょう。不明点があれば施工業者に問い合わせることをおすすめします。

計画的な準備と判断が成功の鍵|まとめ

マンションの大規模修繕工事は、資産価値の維持や住みやすさの向上に直結する重要なプロジェクトです。
工事を成功させるためには、まず費用の目安や内訳を把握し、無理のない予算計画を立てることが大切です。そのうえで信頼できる設計者や施工業者を見極め、品質とコストのバランスをとることが求められます。

また工事中や引き渡し後にも、適切な管理体制やアフターフォローを整えておくことが欠かせません。長期修繕計画との整合性を図り、住民間で十分な説明や合意形成を行うことも重要です。住民同士のコミュニケーションを密にし、意見を尊重しながら進めることでトラブルを未然に防げます。

こうした準備と柔軟な対応を重ねることで、住民全員が納得できる大規模修繕工事を実現することができるでしょう。