RC構造のマンション・ビルの修繕費相場は?修繕時期の目安はいつ?実績や施工事例も紹介

2025/07/24

RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションは、耐久性や耐震性に優れ、長期にわたって安心して住み続けられる建物として多くの支持を集めています。しかし、いかに丈夫なRC造であっても、経年とともに外壁や防水層、設備などに劣化が生じるため、定期的な大規模修繕が欠かせません。

特に築10年を超えるマンションでは、「いつ」「どこまで」「いくらかかるのか」といった修繕に関する具体的な情報を知っておくことが、資産価値の維持や管理組合の適切な判断に直結します。本記事では、RC造マンションの大規模修繕に関する基礎知識から、費用相場、工事項目、業者選び、よくある質問までを丁寧に解説し、初めて修繕に向き合う方にもわかりやすくお届けします。

これから修繕計画を立てる管理組合の方、所有物件の資産保全を検討しているオーナー様にとって、有益な情報となるよう網羅的にご紹介いたします。ぜひ参考にしてください。

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RC造の大規模修繕とは?構造の特徴と修繕の基本を理解しよう

RC造(鉄筋コンクリート造)の建物は、その強靭な構造から高い耐震性と耐火性を誇り、長期的な建物利用に向いている反面、年月の経過とともにコンクリートや鉄筋の劣化が進行します。そのため、RC造マンションにおいては定期的な大規模修繕が不可欠です。このセクションでは、RC造の構造的な特徴を理解しつつ、どのような修繕が必要になるのか、基本的な知識を整理してお伝えします。

RC造とは?構造の特徴と他構造との違い

鉄筋コンクリート(RC)造とは、鉄筋とコンクリートを組み合わせて構造体を形成する建築構造で、耐火性・耐震性・遮音性に優れた性能を持っています。この構造は日本全国の集合住宅、特に分譲マンションや公共施設などで多く採用されており、非常に高い耐久性と安定性を誇ります。一般的には30年から50年以上の使用に耐えるとされており、長期的な資産価値の維持にも貢献します。RC造は鉄骨造(S造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と比べて、コンクリートの使用量が多く、躯体が厚くて重いため、遮音性や断熱性にも優れていますが、劣化の際には特殊な補修が必要になることもあります。

また、RC構造特有の劣化症状として「中性化」があります。これは、コンクリートが時間の経過とともに二酸化炭素と反応し、本来アルカリ性で鉄筋を守っていた性質が失われる現象です。中性化が進行すると、鉄筋が錆びて爆裂を起こし、外壁や梁、スラブなどにひび割れや剥離が生じ、最終的には建物の耐震性や安全性に大きく関わる問題へと発展します。そのため、RC造においては早期の診断と対策が極めて重要とされているのです。

RC造における大規模修繕の特徴

RC造の大規模修繕は、一般的には築12年から15年を目安に最初の修繕工事が実施されます。その後はおおよそ12年〜15年の周期で、計画的に修繕を繰り返すことが望ましいとされています。このサイクルは、建物の維持管理計画や修繕積立金の計画に大きく関わり、長期的な建物価値の保全を目的としています。

大規模修繕の対象には、外壁の塗装やひび割れ補修、防水層の改修工事、給排水管や電気設備の更新、共用部の美観維持を目的とした整備などが含まれます。中でもRC造は、躯体のコンクリートの劣化や鉄筋の腐食といった構造的な問題が生じやすく、専門の診断や調査、補修工事が必要不可欠です。打診や赤外線カメラ、コア抜き検査といった調査手法が用いられ、劣化の進行度を把握したうえで適切な施工方法が選定されます。

また、修繕工事は建物の規模、階数、居住者数によっても異なり、管理組合の意思決定や工事内容に対する理解度、積立金の状況などによって進行速度も変化します。居住者への説明会や広報活動も重要で、工事に対する合意形成を図るためのプロセスも修繕計画の一環となります。

RC造マンションの修繕費用相場とコスト増の要因

RC造の大規模修繕において、最も気になるのが「費用感」です。戸数や階数、建物の劣化状況によって相場は大きく異なります。ここでは、代表的な規模別のモデルケースとともに、実際の修繕内容によってどのように費用が変動するかを解説します。

修繕費用の目安|戸数・規模・劣化度別の事例

RC造マンションにおける大規模修繕の費用は、戸数や階数、建築面積や立地条件、そして現在の劣化状況によって大きく変動します。以下は代表的な戸数別の費用目安としてのモデルケースです。

  • 20戸(5階建):約3,000万円〜4,500万円
  • 30戸(7階建):約4,500万円〜6,500万円
  • 50戸(10階建):約7,000万円〜1億円

これらの費用は、主に外壁補修・塗装、防水工事、共用部の設備更新、給排水管の交換などが中心となって算出されます。例えば外壁の塗装面積が広い物件や、複雑な形状のバルコニーを有する物件では、仮設足場の設置にかかる費用も上乗せされます。また、劣化が激しい場合は補修工事の範囲が拡大し、費用全体が膨らむ要因となります。

加えて、電気系統の設備更新、消防設備や避雷設備の更新などが必要となる場合、修繕費用はさらに上昇します。給排水管については、ライニング工法で対応可能な場合と、更新工法による全面交換が必要な場合とで費用差が大きく、築年数が古い物件では2倍以上の差が出るケースも珍しくありません。

RC造の修繕で費用が高くなりやすいポイント

RC造の修繕工事において、費用が高騰しやすいポイントは以下のとおりです。

  • 仮設工事(足場設置費):特に10階建て以上の高層マンションでは、高所作業の安全性を確保するための設計・施工が必要であり、足場だけで数百万円から1000万円以上かかる場合もあります。
  • コンクリートの構造劣化補修:中性化による鉄筋の腐食や爆裂の補修には、専用のエポキシ樹脂や補修モルタルを使用し、熟練した技術者による施工が求められます。そのため材料費と人件費が高くなります。
  • 追加工事の発生:調査段階では把握しきれなかった劣化箇所や隠れた問題が、施工中に発見されることがあります。これにより見積もりに含まれていなかった追加費用が発生し、全体の工事費が膨らむリスクもあるのです。

このように、RC造特有の構造的課題や高所対応の必要性から、修繕費用の精度を上げるには、事前に精密な建物診断を行い、詳細な積算に基づいた見積もりを取ることが肝心です。

実録!新東亜工業の施工事例|8階建てマンションの大規模修繕工事

築17年の8階建てマンションにおける、管理組合主導による大規模修繕工事の一部始終をご紹介します。
「予算オーバーを避けたい」「融資は極力使いたくない」といった現実的な課題を抱える中で、新東亜工業がどのように提案し、信頼を築きながら工事を完遂したのか──。
理事会への説明から近隣対応、完成後のフォローまで、実際のやり取りを交えてリアルにお伝えします。

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ご相談内容

築17年が経過し、管理組合では以前から大規模修繕の検討がされていましたが、資材高騰などにより予算が合わず延期されていた背景があります。「融資は避けたい」「必要な部分に絞って実施したい」といった要望の中、数社に見積り依頼をされていた中で弊社にご相談をいただきました。

担当者:お問い合わせありがとうございます。ご予算に合わせて施工範囲を調整することも可能です。弊社は子会社で材料問屋を持っているため、同じ工事でも他社様より価格を抑えるご提案が可能です。
お客様:なるべく費用を抑えたいので、ぜひ現地調査をお願いします。図面などもご用意します。
担当者:ありがとうございます。図面と、屋上に鍵があるようであればご用意をお願いします。

工事の概要|工事金額と期間

大規模修繕 施工前
大規模修繕 施工後
https://shintoakogyo.co.jp/case/posts/69525/
項目 内容
建物種別 分譲マンション(8階建て)
所在地 東京都内(詳細非公開)
工事内容 大規模修繕工事(外壁補修・塗装・防水・シーリング・長尺シート他)
工法 足場設置のうえ全面修繕/ウレタン塗膜防水(密着工法)他
その他特記事項 理事会へのプレゼンあり、工事中の騒音・近隣対策対応あり

工事金額:2,430万円 期間:約2カ月間

現地調査で判明した劣化症状

現地調査では、屋上の防水層や外壁のシーリング、タイル目地などに劣化が見られました。既存のアスファルトシート防水はまだ機能していたものの、再施工のタイミングとしては適切であり、ウレタン塗膜防水による上塗りを推奨しました。また、タイルの一部には硬化不良が確認され、慎重な撤去作業が必要な状態でした。

担当者:屋上はアスファルトシート防水ですね。状態は悪くないので、ウレタン塗膜防水の密着工法が適しています。
お客様:それでお願いします。あとベランダは見た目を良くしたいので、長尺シートも検討したいです。
担当者:シートは費用が倍近くかかるので、ウレタンの方が予算には優しいですね。
お客様:でも可能ならシートにしたいので、そちらで見積りお願いします。

施工中のやり取りと配慮

工事期間中は、騒音や近隣への影響を最小限に抑える配慮を行いました。作業工程や騒音の案内は掲示板やホワイトボードで事前に周知し、近隣住民や管理人との連携も徹底。足場設置やメッシュシートの風対策も含め、安全対策も万全に対応しました。また、アスベスト調査も事前に実施し、含有なしを確認済みです。

お客様:日曜に音がしたって苦情が来たのですが…。
担当者:調べたところ、隣の工事のものでした。担当者に周知のお願いはしておきました。
お客様:ありがとうございます。トラブルにならなくてよかったです。

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引き渡し時のご感想

工事完了後、お客様からは「タイルもまったく違和感がない」「すごく綺麗になった」と高い評価をいただきました。タイルの保管方法や施工写真・保証書を含めた竣工図書の提出も行い、今後のメンテナンスにも役立てていただける内容でお渡ししました。

お客様:どこを張り替えたかわからないくらい自然ですね。
担当者:窯焼きで色を合わせたので、かなり近く再現できています。必要があればいつでもご連絡ください。
お客様:ありがとうございます。次は廊下の床や照明をまとめて検討したいと思います。

今回の工事では、以下のような成果が得られました。

  • ご予算に合わせた柔軟な工事範囲調整
  • 自社施工・材料問屋からの直接仕入れでコストダウンを実現
  • 理事会での丁寧なプレゼンと近隣配慮で信頼を構築
  • 施工中の進捗報告や打ち合わせで透明性を確保
  • 外観と防水性が向上し、物件価値の維持につながった

新東亜工業では、お客様の状況に合わせた提案と対応を徹底しております。大規模修繕に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

RC造の修繕工事内容と施工・業者選びのポイント

代表的な工事項目と施工内容

RC造マンションの大規模修繕において行われる主な工事項目には、以下のような内容が含まれます。

  • 外壁補修・塗装:タイル面やモルタル面の浮きや剥がれ、クラック(ひび割れ)などの補修を行い、その後に外壁全体の塗り替えを実施します。仕上げ塗装には耐候性や防汚性に優れた塗料が使用され、美観と保護機能の両立が求められます。
  • 屋上・バルコニーの防水改修:防水層が劣化すると、雨漏りや建物内部への浸水につながります。ウレタン防水、塩ビシート防水、アスファルト防水などの工法から、建物に最適なものを選定し、再施工やトップコートの塗布を行います。
  • 共用部の設備更新:エントランスの自動ドアや宅配ボックス、防犯カメラ、照明設備などを最新型に更新し、防犯性や利便性を向上させます。高齢化対策として手すりの設置や段差解消なども検討されます。
  • 給排水管の更新:配管の劣化が進行している場合は、内面更生(ライニング)や外管の取替工法などを採用し、衛生面・耐久性を向上させます。

これらの工事は、居住者の生活を最小限に妨げるよう段階的に進められ、事前説明会や工事中の掲示物などで丁寧な情報提供が行われます。

RC造の修繕業者選びで見るべきポイント

RC造の修繕を安心して任せられる業者を選定するには、以下のチェックポイントを参考にするとよいでしょう。

  • コンクリート構造に精通した専門技術者の在籍:建築士やコンクリート診断士など、構造の特性を把握して適切な修繕方法を提案できる人材がいるかどうかを確認しましょう。
  • 豊富なRC造マンション修繕の実績:施工実績が多い業者ほど、現場対応力やトラブル時のリカバリー力に優れており、信頼性が高いといえます。
  • 設計・施工一括体制の有無、または第三者管理方式の選択肢:業者による設計施工一括管理が行えるか、第三者である設計事務所と協働して進める方式が選べるかも検討材料になります。

また、見積書の内容も精査が必要です。数量や単価、使用材料、施工方法が明記されていない場合は、不透明な費用発生のリスクがあります。さらに、工事後のアフターサポート体制や定期点検の有無も、業者選定時に必ず確認しておくべき重要なポイントです。

大規模修繕の見積もりを取る際の注意点

RC造の大規模修繕を検討するうえで、最終的な費用や業者との契約条件は非常に重要な判断材料です。特に見積もりの内容が曖昧だったり、工事項目の記載に不明瞭な点がある場合、後のトラブルや追加費用発生のリスクにつながりかねません。また、修繕内容や生活への影響についての疑問を持つ方も多いため、よくある質問への回答や、全体のポイントをまとめて理解しておくことが安心して工事を進めるための第一歩となります。ここでは、見積もりを確認する際の注意点、よくある質問とその答え、そしてRC造の大規模修繕における総括的なまとめをご紹介します。

見積もりの注意点|適正価格を見極めるために

RC造の大規模修繕では、事前の見積もり確認が非常に重要です。単に価格の高い・安いで判断するのではなく、各工事項目の内訳や数量、単価、工法、材料の種類などが明確に記載されているかをチェックする必要があります。不明瞭な項目が多い見積書は、後から追加費用を請求されるリスクがあるため注意が必要です。

また、相見積もり(複数社から見積もりを取る)を行うことで、費用相場や内容の妥当性を比較することができます。見積書の比較においては、以下の点を重点的に確認しましょう。

  • 同一の工事項目でも仕様・範囲に違いがないか
  • 材料や工法に差がないか(グレード・施工方法)
  • 工期・人件費・仮設費が合理的か
  • 諸経費(共通仮設費、現場管理費、一般管理費)の割合は適正か

さらに、設計・監理者が第三者である場合は、業者の見積もりを客観的に精査してもらえる利点もあります。見積書は単なる価格表ではなく、施工内容の契約書のベースとなる重要な資料であることを意識し、必ず内容の精査を行いましょう。

RC造の大規模修繕に関するよくある質問(FAQ)

RC造マンションの大規模修繕を検討する中で、管理組合の方や住民、オーナー様から寄せられる疑問は少なくありません。「修繕のタイミングはいつが適切?」「費用はどこまでかかるの?」「生活への影響はあるのか?」といった現実的な不安は、誰もが直面する課題です。このセクションでは、そうした不安を解消するためによくある質問を取り上げ、実際の対応方針や一般的な回答例をわかりやすく解説します。疑問をひとつずつクリアにしていくことで、より安心して修繕計画を進められるようお役立てください。

Q1. RC造の大規模修繕は築何年から必要?

一般的には築12〜15年を目安に第1回目の修繕を実施し、以後12〜15年周期で行われます。ただし、立地や使用状況により前後するため、劣化診断による判断が最も確実です。

Q2. 修繕積立金だけで賄えるの?

修繕積立金だけで賄えるかは、建物の規模と積立金計画次第です。不足が見込まれる場合は、一時金徴収や借入れを検討するケースもあります。

Q3. 修繕中の生活への影響は?

足場の設置、騒音、共用部の一時使用制限などは発生しますが、説明会や掲示などで事前周知され、生活への支障を最小限に抑えるよう調整されます。

Q4. 劣化診断や建物調査は必須?

はい。RC造の劣化は目視で判別しにくいため、赤外線調査やコア抜き検査などを用いた診断は修繕計画の精度を高めるために必要です。

Q5. 修繕内容はどこまで選べるの?

管理組合や所有者の合意により、優先順位や予算に応じてカスタマイズ可能です。ただし、安全性や法令遵守の観点から実施が推奨される工事も多くあります。


RC造の大規模修繕は戦略的な計画と信頼できる業者選びが鍵|まとめ

RC造マンションの大規模修繕は、建物の耐久性を維持し、長期的な資産価値を保つために欠かせない取り組みです。鉄筋コンクリート構造は、耐火性・耐震性などに優れながらも、年月とともに中性化や鉄筋の腐食といった見えにくい劣化が進行します。これらに対応するには、専門的な調査と、適切な工法を選択できる技術力のある施工業者が必要です。

修繕費用は高額になりがちですが、仮設工事や劣化補修、給排水管や設備の更新などの内容に応じた適正な金額を見極めるには、丁寧な見積もり精査と、相見積もりによる比較が不可欠です。また、業者選びではRC造の施工実績や有資格者の在籍状況、工事後の保証やアフターサポート体制にも注目すべきです。

さらに、居住者の理解と協力を得ながらスムーズに進行させるためには、説明会や広報、進捗共有の仕組みを整えることが求められます。建物を長く安全に使い続けるためには、定期的な診断と修繕、そして信頼できるパートナーとの連携が鍵を握ります。未来の資産価値を守るためにも、今のうちから着実な準備を進めていきましょう。