
RC造屋上の防水工事における金額相場とは?工法・業者選びまで解説
2025/07/24
RC(鉄筋コンクリート)造の屋上は、防水性能が建物の耐久性や安全性に重要です。
日本は降雨量が多く、気温差も大きいため、防水層劣化のリスクが高まります。
劣化した防水層から雨水が浸入すると、鉄筋の錆びやひび割れ、構造損傷につながる恐れがあります。
そのため、RC屋上の防水工事は新築時だけでなく、定期的なメンテナンスや再施工が必要です。
本記事では、RC屋上に特化し、費用相場や工法・施工タイミング・劣化症状・業者選びをわかりやすく解説しています。防水工事を検討する際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
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目次
RC屋上防水工事の費用相場と金額の内訳
RC構造の屋上防水工事にかかる費用は、施工面積・選定する防水工法、現場の状況や下地の劣化具合など、さまざまな条件によって大きく変動します。
ここでは、㎡単価を基準とした工法ごとの金額相場と、実際に発生する費用内訳について詳しく解説します。建物の長寿命化を図るためにも、適正価格と費用構成を正しく理解しておきましょう。
RC屋上防水の費用相場(面積別・工法別)
以下は、代表的な防水工法ごとの㎡単価の目安です。それぞれの工法には長所と短所があるため、施工環境や求める耐久性・予算に応じて選定することが重要です。
工法 | ㎡単価の目安 | 特徴 |
---|---|---|
ウレタン塗膜防水 | 4,500〜7,500円 | 複雑な形状の屋上や狭いスペースにも対応可能。軽量で補修が容易。比較的コストも低め。 |
塩ビシート防水 | 5,000〜8,500円 | 高い耐候性と紫外線耐性があり、長寿命。施工速度も速いが下地の平滑性が必要。 |
アスファルト防水 | 6,000〜10,000円 | 優れた耐久性を持ち、公共施設や大型建築物で多く採用。重量があるため構造計算が必要。 |
例として、100㎡のRC屋上にウレタン塗膜防水を施す場合、約45万円〜75万円程度が工事費用の目安となります。
ただし、下地補修の有無や足場の設置条件、使用材料のグレードによって、最終的な金額はさらに上下する可能性があります。
金額を左右する主な要素
防水工事にかかる金額は、単純に㎡単価×面積という計算だけでは済みません。
以下のような要素が費用に大きく影響します。
- 下地処理の必要性:下地が劣化していた場合、ケレン清掃・ひび割れ補修・プライマー塗布などの処理が追加で必要となり、作業工数が増加します。
- 屋上の形状や勾配:屋上の構造が複雑だったり、段差があったりする場合は、施工に手間がかかり、人工(にんく)=人件費が増えます。
- 建物の階数と立地環境:高層階や隣接建物との距離が近い場所では、仮設足場の設置が困難になるため、仮設費用が高騰しやすくなります。
- 施工時期や天候:梅雨時や冬場は工期が長くなる傾向があり、結果的に人件費や管理費に影響する場合があります。
これらの条件をすべて加味した上で見積もりを取得し、内容を比較検討することが、無駄な支出を防ぐ鍵となります。
費用内訳の具体例(100㎡の場合)
防水工事にかかる費用は、以下のような内訳で構成されます。それぞれの項目がどのような意味を持ち、なぜ必要なのかを把握しておくことが重要です。
- 材料費:防水材(主剤・硬化剤)、下地材(プライマー)、トップコートなどの費用。材料のグレードや仕様によって大きく異なる。
- 施工費(人件費):実際に施工を行う職人の人件費。施工時間や人数に応じて変動。
- 仮設費用:足場の設置、養生作業、安全設備の整備など。高所作業や安全対策の必要性がある場合は高くなる。
- 運搬費・廃材処分費:資材の運び込みや、旧防水層の撤去・廃棄費用など。特にアスファルト系は廃棄コストが高い。
- 諸経費:現場管理費、施工管理費、安全管理費などの間接費用。通常は総額の5〜15%程度が目安。
例として、100㎡のウレタン塗膜防水を行った場合のモデルケースは以下の通りです。
項目 | 金額(目安) |
---|---|
材料費 | 約20万円 |
施工費 | 約25万円 |
仮設費用 | 約5万円 |
諸経費 | 約5万円 |
合計 | 約55万円 |
この試算はあくまでも一例ですが、全体の費用感をつかむには有効です。
実際の見積もりでは、使用する塗料のメーカーや保証年数によっても差が生まれるため、事前に条件を整理したうえで見積もりを依頼しましょう。
RC構造に向いている防水工法とその特徴
RC造の屋上には、鉄筋コンクリート特有の性質を考慮した適切な防水工法の選定が欠かせません。
RC造は強度に優れる一方で、熱による膨張や収縮、乾燥収縮、経年による微細なひび割れ(ヘアークラック)などが発生しやすいため、防水層の柔軟性と密着性が重要な要素となります。
また、排水勾配や設備基礎の突起物が多い屋上も少なくないため、施工の自由度や部分補修のしやすさも選定基準として重視されます。
このセクションでは、RC造屋上における主な防水工法3種を取り上げ、それぞれの特徴や長所・短所・施工環境への適合性を比較しながら詳しく解説していきます。
ウレタン塗膜防水|柔軟性と密着性に優れた万能工法
ウレタン塗膜防水は、液状のウレタン樹脂を何層にも重ねて塗布し、防水層を現場で形成する工法です。
RC屋上では最もポピュラーで、特に複雑な形状や狭小スペースが多い現場でも高い施工性を発揮します。塗布型であるため、継ぎ目のない均一な仕上がりが得られる点も大きな魅力です。
- メリット
- 障害物の多い屋上や出隅・入隅にも対応可能
- 改修時には既存層の上に重ね塗りが可能で、撤去費用が抑えられる
- 弾力性が高く、構造の微細な動きにも追従可能
- 工法の汎用性が高く、施工業者が豊富
- 注意点
- 塗膜厚にムラが出やすく、職人の技術力が問われる
- 雨天時の施工不可・梅雨時の長期工事には不向き
- 紫外線に弱く、トップコートの定期更新が必要
ウレタン塗膜防水は、10年程度の耐久性を想定し、計画的なメンテナンスと組み合わせることで、費用対効果の高い防水が実現できます。
塩ビシート防水|高耐久・高反射で省エネ効果も
塩化ビニル系の防水シートを専用接着剤や機械的固定で屋上に貼り付ける工法です。
工場で製造された均一な品質のシートを使用するため、仕上がりが美しく、施工スピードも速いのが特長です。
また、表面が白系の高反射仕上げとなっているため、夏場の熱遮断・空調コスト削減にも貢献します。
- メリット
- 耐候性・耐紫外線性能が高く、15〜20年の耐用が期待できる
- 工期が短く、天候による影響を比較的受けにくい
- 反射率の高い表面がヒートアイランド対策にも有効
- メンテナンス時の点検・補修が容易
- 注意点
- 下地が平滑であることが前提で、凹凸が多いと施工困難
- 端部や突起物部の処理に熟練技術が必要
- 接着不良や風の影響による浮きに注意
商業施設・物流倉庫など、頻繁に人が出入りする屋上にも適した工法であり、省エネや環境配慮の観点からも評価が高まっています。
アスファルト防水|耐久性と信頼性の高い伝統工法
アスファルト防水は、熱したアスファルトを下地に塗布し、ルーフィングシートを何層にも積層していく歴史ある工法です。
トーチ工法や常温工法なども派生しており、適材適所で使い分けが可能です。
20年以上の耐用年数を誇るため、公共施設や病院、大型マンションなどで数多く採用されています。
- メリット
- 長期的に安定した防水性能を維持できる
- 重ね張り改修にも強く、長寿命対応が可能
- 水密性が高く、屋上利用が多い施設にも向いている
- 注意点
- 施工に火気を用いるため、防火管理や近隣対策が必須
- 施工時に騒音・臭気が発生する可能性がある
- 材料が重いため、構造計算による確認が必要
信頼性と実績に裏打ちされた工法であり、特に建物のライフサイクルコストを重視する管理計画において有効な選択肢です。
RC屋上の劣化症状と防水工事のタイミング
RC屋上では、目に見えない部分で劣化が進行していることも少なくありません。
防水層の機能低下を放置すると、最終的にはコンクリート構造の深部にまで水分が浸透し、鉄筋腐食による剥離や爆裂といった深刻な事態に発展するリスクがあります。
そのため、外観の些細な変化も見逃さず、早期対応を心がけることが重要です。
ここでは、RC造屋上に見られる主な劣化症状と、それに応じた適切な工事時期の目安を解説します。
よく見られる劣化症状
- 防水層の膨れ・はがれ:内部に湿気や水蒸気が溜まることで膨張し、防水層が浮き上がってしまう状態。放置すると施工不良部分から雨水が浸入する原因に。
- ひび割れ(クラック):乾燥や収縮、荷重の偏りにより生じる微細なクラック。幅0.3mmを超えると構造クラックの可能性があるため注意。
- 表面の変色・チョーキング:紫外線や酸性雨の影響で表面が劣化し、手で触れると白い粉が付着する現象。防水層の保護機能が低下しているサイン。
- 排水口の詰まりや金物のサビ:排水口の落ち葉詰まり、ドレンカバーの腐食なども雨水滞留の一因となり、防水層の過剰な負担となる。
これらの症状が見られた場合、速やかに専門業者による調査と診断を依頼することが推奨されます。
防水工事のタイミングと目安年数
RC造屋上の防水層には、工法ごとに想定される耐用年数があります。
以下を目安にしつつ、定期点検と実際の劣化状況に応じてタイミングを見極めましょう。
- ウレタン塗膜防水:10〜12年
- 塩ビシート防水:12〜20年
- アスファルト防水:15〜25年
また、以下のタイミングでの再施工や改修が推奨されます。
- 防水層の保証期間終了後(多くは10年)
- 建物の築後10年以上経過し、1度も防水改修を行っていない場合
- 年1回以上の簡易点検で劣化の兆候が確認された場合
- 外壁塗装や大規模修繕工事と連動してスケジューリングする際
定期点検の実施は5年ごとが理想とされており、事前に部分的な補修で済ませることで、緊急工事による費用増加や漏水被害を防ぐことが可能です。
RC屋上防水工事のコストを抑えるための工夫と注意点
RC屋上の防水工事は高額になりやすく、建物の規模によっては数十万円から数百万円規模の予算が必要になります。
だからこそ、費用を抑える工夫を取り入れながらも、品質を犠牲にしないバランスが重要です。
ここでは、費用を最小限に抑えるために実践できる具体的な工夫と、失敗しないための注意点について紹介します。
相見積もりを取って価格と提案を比較する
防水工事では、必ず複数の業者に相見積もりを依頼しましょう。
相見積もりを取ることで、価格だけでなく、使用材料のグレードや保証内容・工期の長さ・アフターサービスなども比較できます。
特に、見積書には材料費・施工費・諸経費がどのように分かれて記載されているかがポイントで、総額だけで判断せず、内訳をしっかりチェックすることが大切です。
他工事と組み合わせて仮設費用を共有する
防水工事を単独で行うよりも、外壁塗装や設備改修といった他の外部工事とタイミングを合わせることで、足場設置などの共通仮設費用を共有でき、コスト削減につながります。
また、外壁の点検や屋上の清掃など定期的に行うメンテナンスと一緒に施工を計画すると、トータルコストが抑えられるケースが多くなります。
長期的視点でのコスト対策を考える
安価な工法を選んだ結果、数年ごとに再施工が必要になるようでは、結果としてトータルコストが高くなる可能性もあります。
初期費用が高くても、耐用年数が長い工法や保証期間の長い材料を選ぶことで、長期的なメンテナンス費用を抑えることができます。
また、保証内容をしっかり確認し、施工後に不具合があった際に無償で対応してもらえるかも重要な視点です。
新東亜工業の施工事例|杉並区・4階建てビルの外壁塗装・防水工事
購入後まもない4階建てのビルにて、外壁の劣化や雨漏りの不安を解消するため、新東亜工業が外壁塗装・防水・下地補修を一括対応。現地調査から完工までの工程を、丁寧な会話とともにご紹介します。
工事概要【工事金額・期間】
工事金額:510万円/工期:約2か月
外壁塗装、防水(屋上・塔屋・階段室)、下地補修、目地・シーリング処理など、長年の使用によって蓄積した傷みを修復し、美観と耐久性を大幅に向上させました。
お問い合わせ〜現地調査
ご購入直後の物件に対するご不安を背景に、スピーディーに現地調査を実施。図面が手元になくても正確に対応できるのが新東亜工業の強みです。
問合せ対応と日程調整
お客様「外壁がボロボロで、雨漏りもしてそうで不安です…」
高井(担当)「明日の10時に現地で寸法を確認し、打診調査を行いましょう」
現地調査と打診調査
高井「屋上は旧塗膜が残っており、防水材が密着しません。機械固定式の塩ビシートをおすすめします」
お客様「希望は400〜500万円ですが、可能でしょうか?」
見積説明と工事内容の精査
現地調査当日中にお見積りを提出。お客様のご予算に合わせ、優先順位や工事内容の調整案をわかりやすくご提案しました。
見積提示・契約
高井「フル工事で510万円のご提案です。階段室を省けば500万円以内にも対応可能です」
お客様「では階段室を外して、税込510万円でお願いできますか?」
仕様決定と工事前の打ち合わせ
着工前に色・防水仕様・鍵・設備使用など詳細を確認。現場と施主との意思疎通を大切にする姿勢が、安心感へとつながります。
仕様の決定と細部の確認
熊倉(現場管理)「屋上扉は塗膜が厚くなるため、少し開けにくくなる可能性があります」
お客様「了解です、汚れが目立たないグレーでお願いします」
工事中の進捗と現場対応
工事期間中は、現場写真とともに報告を徹底。小さなトラブルもその場で調整・報告することで、信頼関係を強化しました。
進捗と対応例
熊倉「屋上扉の動きが悪くなったため、削って調整しました」
お客様「そんなところまで対応してくれるとは。安心です」
工事完了後の評価
見た目が生まれ変わっただけでなく、防水性・実用性にも配慮された仕上がりに、施主様から満足の声をいただきました。
熊倉「完了報告書と保証書を郵送でお届けいたします」
お客様「本当にきれいになりました。ありがとうございました」
新東亜工業では、ビルやマンションの経年劣化に伴う修繕工事を、診断から完了まで一貫対応しています。現地調査・劣化診断・お見積りは無料で、図面の有無にかかわらず正確な確認とご提案が可能です。お客様のご予算やスケジュールに寄り添いながら、最適な工法と工期をご案内。工事中は定期的な進捗報告と写真共有を徹底し、遠方からでも安心して任せていただけます。
お問い合わせや工事のお見積もり無料!まずはメール・お電話からご相談ください!
塗装・防水・外壁補修など、建物のメンテナンスをご検討の方は、まずはお気軽にご相談ください。
RC屋上防水工事業者選びで失敗しないためのポイント
防水工事の成功は、施工を任せる業者の技術と誠実さに大きく左右されます。
価格だけで判断せず、信頼できる業者かどうかを総合的に見極めることが必要です。
ここでは、優良業者を見分けるための具体的なチェックポイントを紹介します。
防水専門の実績と施工事例を確認する
RC構造の屋上防水には、構造に関する専門知識と高度な施工技術が必要です。
ホームページや営業担当者から、過去にRC屋上でどのような工事を行ったかを具体的に確認しましょう。
施工前後の写真や、現地調査に基づいた提案内容の妥当性を確認することも有効です。
保証制度とアフターサービスの充実度
施工後に不具合が生じた場合の保証制度が明記されているかは非常に重要です。
保証期間が明確に設定されているか、保証の範囲(材料・施工・部分補修など)が書面で提示されているかを確認しましょう。
また、定期点検の有無や、トラブル時の対応スピードも業者を選ぶ際の大切なポイントです。
見積書の内容と担当者の説明力をチェック
見積書は、ただの金額表ではなく、その業者の誠実さや技術力を測る一つの指標です。
項目ごとの内訳が明瞭であること、材料名や工法名が具体的に記載されていること、そしてそれらについて丁寧に説明してくれる担当者であるかを確認しましょう。
不明点を曖昧にするような業者は避けるべきです。
RC造の屋上防水工事金額に関するよくある質問(FAQ)
重要な工事だからこそ、さまざまな不安がつきまとうものです。
ここでは、多くに人が疑問に思う点をピックアップして紹介しますので、ぜひご覧ください。
Q1. RC造で防水工事を怠るとどうなる?
A1. 防水工事を怠ると、防水層の劣化により雨水がコンクリート内部に浸入し、鉄筋の錆やコンクリートのひび割れ・剥離を引き起こします。
最悪の場合、構造の強度低下や雨漏りが発生し、修繕費用が大幅に増加するリスクがあります。
Q2. 耐久年数は工法ごとにどれくらい違う?
A2. 工法ごとの耐久年数は異なり、一般的にウレタン塗膜防水は約10〜12年、塩ビシート防水は12〜20年、アスファルト防水は15〜25年が目安です。
使用環境や施工品質によっても変動しますので、定期的な点検が重要です。
Q3. 雨漏りしていないのに防水工事は必要?
A3. 雨漏りがなくても、防水層は紫外線や気温変化で劣化が進みます。
劣化を放置すると将来的に雨漏りや構造被害につながるため、定期的な点検と必要に応じた防水工事を行うことが建物の長寿命化に不可欠です。
RC造の屋上防水工事は金額・工法の見極めがカギ|まとめ
RC造の屋上防水工事は、建物の安全性や資産価値を守る重要なメンテナンスです。一度で終わるものではなく、適切な点検や再施工、劣化の兆候を見逃さない観察が必要です。
費用は工法や施工条件で変動しますが、価格だけでなく将来のメンテナンス性や信頼できる業者選びが、長期的なコスト削減につながります。
見積もりの比較や業者選び、防水層の耐用年数と劣化サインを把握することで、無駄な出費を抑え、安心・安全な屋上環境を維持できます。
強固なRC構造の耐久性を活かすため、防水工事は早めの対応が肝心です。適切な知識と準備を持ち、安心して施工を進めましょう。