マンションの外壁塗装をお考えのかた。
まず気になるのが費用についてですよね。
外壁塗装は大掛かりになるので、費用もかなり高額になるでしょう。
そこで今回は、マンションの外壁塗装の費用相場や、工事の流れなどについて詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
なぜマンションの外壁塗装が必要なのか
マンションは新築の時点から、徐々に劣化していきます。
マンションの外壁塗装をせずにいると、ホコリなどの影響で外観が悪くなるのはもちろん、建物自体の寿命を短くすることにもつながってしまいます。
しかしマンションをすぐに建て替えたり外壁を張り替えたりするのは難しいでしょう。
そこで定期的にマンションの外壁塗装が必要になるのです。
ちなみにマンションの外壁塗装工事には1~3か月ほどの期間がかかりますが、50戸以上の規模になると3か月~5か月、さらに大規模になると半年以上かかる場合もあります。
外壁塗装のメリット
外壁塗装とは、その名の通り外壁に塗料を塗ることです。
外壁塗装をおこなうと、建物に次のような効果を付与できます。
見た目が綺麗になる
先ほども触れましたが、外壁塗装で外壁を塗り替えると、建物の見た目が良くなります。
新築時は外壁が綺麗に見えても、ホコリや排気ガスなどの原因で段々と汚れていきます。
新たに外壁塗装を施すことにより、新築時のような綺麗な外壁にすることもできますよ。
防水できる
外壁塗装には防水効果もあります。
外壁の下地には水に弱い素材が使われているケースが多いです。
外壁のヒビなどから雨水が建物内部に侵入すると、雨漏りするだけでなくマンションの構造自体を劣化させることにもなります。
建物を劣化から防げる
外壁塗装を施すことで、建物が劣化するのを防げます。
塗料で外壁をコーティングして塗膜を作ることで、風雨やホコリ、排気ガス、紫外線など、建物を劣化させる要因から守ってくれます。
新たな機能を付加できる
外壁塗装により、外壁に新たな機能を付加することも可能です。
防カビ効果や断熱効果など、建物の寿命を延ばすためのさまざまな効果が期待できます。
資産価値が維持できる
同じマンションであっても、新たに外壁塗装が施されると資産価値が高まります。
やはり見た目が悪く、防水性能などが低下したマンションの評価は悪くなってしまうでしょう。
定期的に外壁塗装を施すことにより劣化スピードも遅くなるので、長期的なマンションの資産価値の維持・向上が可能になります。
外壁塗装の費用は?
マンションの外壁塗装では、一般的に300~1,000万円ほどの費用がかかると言われています。
1㎡あたりだと865~2,595円ほど。
もちろんこの費用はマンションの規模や劣化度合い、使用する塗料の種類によっても上下します。
一般的な外壁塗装の費用相場は以下のとおりです。
階数 | 費用 |
3階建て | 150~400万円 |
5階建て | 450~700万円 |
7階建て | 650~950万円 |
また1戸あたりだと、次のようになります。
戸数 | 費用 |
5戸 | 65~108万円 |
15戸 | 194~324万円 |
30戸 | 387~648万円 |
塗料の違いによっても費用は異なります。
3階建て | 5階建て | |
ウレタン塗装 | 2,720,000円 | 4,420,000円 |
シリコン塗装 | 3,280,000円 | 5,330,000円 |
フッ素塗装 | 4,080,000円 | 6,630,000円 |
ウレタン塗料はリーズナブルですが、コストパフォーマンスも考えるとシリコン塗料のほうがおすすめです。
基本的には施工費用が高額になる場合のみ、ウレタン塗料も視野に入れて塗料選びを行なってみてください。
外壁塗装をおこなうタイミングは?
外壁塗装は、次のようなタイミングで行うのが良いでしょう。
前回の塗装時期から10~15年経過した
国土交通省が発表する『改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル(2010年7月改訂)』によると、外壁塗装は10~15年周期で行われるのが良いと言われています。
ただし塗り替えの時期は、外壁の劣化状況や塗料の種類の違いなどによっても前後します。
実際には16年以上の周期で行われるのが一般的です。
新築時や前回の大規模修繕時から10年を目処に、外壁の総点検を行うと良いでしょう。
汚れが目立ってきた
外壁の汚れが目立ち、「なんだか外壁の色がくすんできた」という場合も、外壁塗装をする良い機会になります。
塗料が劣化すると外壁の水切れも悪くなってきます。
水切れが悪くなると、さらに汚れが付着しやすくなってしまいますよ。
ひび割れ(クラック)
外壁のひび割れにも注意が必要です。
ひび割れから雨水が入り込み、雨漏りなどを引き起こします。
ひび割れの幅が0.5㎜以上だと内部のコンクリート部分も劣化している可能性があるので、早急の補修が必要になるでしょう。
チョーキング現象が発生している
外壁を触って手に白い粉が付く現象を「チョーキング現象」と呼びます。
チョーキング現象は塗装劣化の初期症状です。
すぐに外壁塗装が必要でない場合もありますが、確実に塗膜が劣化しているので、再塗装をするかどうかの検討が必要です。
金属部が錆びている
金属部のサビが見られる場合も、外壁塗装が必要になるでしょう。
鉄筋コンクリート内部に水が侵入すると、徐々に鉄部とコンクリートが劣化して剥離していきます。
色あせてきた
外壁の色あせは紫外線による日焼けで起こります。
外壁が色あせてきた場合も、塗り替えの検討が必要です。
外壁にコケや藻が生えている
外壁にコケや藻が生えてくる場合も要注意です。
コケや藻を放置すると徐々に外壁内部に根を張っていき、外壁をさらに劣化させてしまいます。
外壁塗装工事の流れ
マンションの外壁塗装工事は、次のような流れで行われます。
- 仮設足場の設置
- シート養生
- 洗浄
- 下地処理
- 養生
- 塗装
- 養生や足場の撤去
仮設足場の設置
まずは外壁の周囲に仮設足場を設置します。
基本的にマンションの外壁塗装では2m以上の高所での作業が必要になるので、足場設置は必須です。
足場の設置は、足場専門の業者が行うこともあります。
シート養生
塗料を塗布する際に外部に塗料が飛び散らないように、足場の周囲をシートで養生(保護)します。
外壁塗装を行う際は、ネットではなくシートで養生することが大切です。
洗浄
次に外壁塗装を施す壁面を高圧洗浄機で綺麗にします。
外壁が汚れた状態だと、上手く塗料が付着してくれません。
洗浄は半日~1日程度で終了しますが、洗浄後1~2日ほどは外壁を乾燥させる必要があります。
下地処理
洗浄後は、塗装を施す前に劣化した部分を補修しておきます。
ひび割れやコーキング※の劣化などを補修することで、劣化部分からダメージが広がっていくのを防げます。
高圧洗浄で落としきれなかった塗膜剥がれも、サンドペーパーやヘラなどを使って綺麗に落としましょう。
コーキング…サイディング同士の継ぎ目などに目地材を充填すること。シーリングとも呼ぶ
養生
塗料を塗る箇所以外を、ビニールシートなどを使って保護します。
これで外壁のみに塗料が塗れますよ。
養生のクオリティにより、塗装の精度も左右されます。
塗装
いよいよ外壁に塗装を施していきます。
塗装は刷毛やローラーを使って行われます。
塗装は「下塗り」「中塗り」「上塗り」といった3つの工程で行われるのが一般的です。
まずは外壁と塗料の密着度を高めるために下塗りを行います。
下塗りには、プライマーやシーラーと呼ばれる下塗り用塗料を使います。
下塗りが乾いた後は中塗りをし、中塗りが乾いたらさらに上塗りを施します。
中塗りと上塗りには同じ塗料が使われます。
養生や足場の撤去
塗装が終わったら、養生や足場を撤去します。
足場を撤去してからでは施工ミスをチェック・修正できないので、足場解体の前に最終チェックを行いましょう。
養生はがしも丁寧に行わないと、塗料が剥がれる恐れがあるので要注意。
足場の撤去が終わったら、周囲のゴミ拾いなど掃除を行い、施工完了です。
外壁塗装の期間が延びるケースもある
次のような場合は、外壁塗装にかかる期間が延びる可能性があります。
悪天候が続いた
悪天候だと外壁塗装が行えず、その分だけ工期に遅れが生じます。
特に雨や雪の状況では塗装が十分に乾燥してくれません。
強風の時も塗料が飛び散る可能性があるので、工事を中断するケースが多いです。
建物の劣化が大きく進んでいる
建物の劣化が大きく進んでいる場合も、工期が長くなりがちです。
築年数が長かったり外壁の劣化度合いが大きかったりする場合は、塗装前の補修に多くの労力が必要です。
外壁塗装の際の注意点
外壁塗装を行う際は、次のことにも注意する必要があります。
ベランダで洗濯物が干せなくなる
外壁の洗浄や塗装を行う際は、ベランダで洗濯物が干せなくなる場合があります。
またホコリや塗料の匂いなども発生するので、窓が開けられない場合もあるでしょう。
住民に理解してもらえるよう、施工内容や施工期間などを事前に告知しておくことが必要です。
近隣住民への告知も必要
外壁塗装を行う際は、マンション住民だけでなく近隣住民への配慮も必要です。
マンション内部だけでなく隣家に臭いが届いたりするケースも多いです。
騒音も発生するでしょう。
事前に告知するだけで近隣住民は心の準備ができるので、クレームが少なくなる傾向があります。
良い塗装業者の見分け方
外壁塗装を行う際に、以下のような基準で塗装業者を選ぶと、失敗が少なくなります。
過去の施工実績をチェックする
良い塗装業者を選ぶには、まずは過去の施工実績をチェックしましょう。
外壁塗装の施工実績が豊富であっても、マンションやビルなど大規模な外壁塗装の実績がない業者もあります。
できるだけ大規模な外壁塗装に慣れていて、さらに過去にトラブルを起こしていない業者を選ぶのが良いでしょう。
さらに「事前の点検を丁寧に行なってくれるか」といったこともチェックして、総合的に施工業者を選ぶことをおすすめします。
相見積もりを取る
業者を選ぶ際は、複数の業者同士を比較するために相見積もりを取ることも大切です。
1社だけが提示した費用に従うのは良くありません。
3社以上で見積もりを出して適正価格を見極めましょう。
また見積書の内容が「工事一式」とだけ、まとめられているのはNGです。
工事の項目や内訳が細かく記載してある見積書だと安心感があるでしょう。
ちなみに価格の安さだけで業者を選ぶと、質の低い塗料を使われたり手抜き工事をされたりする恐れがあります。
適切な価格でクオリティの高い施工をしてくれる業者を選ぶことを心がけましょう。
まとめ
マンションの寿命を延ばすには、外壁に不具合がないかどうか定期的な点検が必要です。
また自身の目で外壁の状態をチェックすることも大切です。
不具合を見つけた場合には、専門家に再点検してもらいましょう。
マンションの外壁塗装には1~数か月の期間を要しますが、きちんと施工できればマンションの資産価値や入居率を上げることも可能です。
業者選びにもこだわって、ぜひ外壁塗装を成功させてみてくださいね。