リフォーム工事やリノベーションを検討する際には、建築確認申請が必要かどうかを事前に確認しておくことが大切です。
建築確認申請は、大規模な改築や増築の場合に求められます。
反対にマンションの住戸内のリフォームには、申請の必要はありません。
建築基準法に基づく確認申請の要否は工事の規模や内容によって異なり、4号特例と呼ばれる小規模建築物の場合は手続きが簡略化されることがあります。
2025年には建築基準法の改正が予定されており、確認申請の手続きに変更が生じる可能性があります。この法改正により、より安全で効率的な建築確認制度が期待されています。
この記事では、建築確認申請の目的や対象・手順・必要書類・費用・審査期間などの基礎知識について詳しく解説します。
また最新の法改正情報についても触れていきますので、リフォーム工事を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
リフォーム工事での建築確認申請とは
建築確認申請とは、建築基準法に基づいて、建物を新築・増築・改築・移転・用途変更する際に必要な手続きです。
建築基準法は、建物の安全性や防災性を確保するために定められた法律です。
建築確認申請は、この建築基準法に適合した建物を建築するために必要な手続きとなります。
建築確認申請は、都道府県や市区町村の建築主事に対して行います。
申請書類には、建築計画概要書や図面など、建築基準法に適合していることを示す書類の添付が必要です。
建築確認申請の審査は、都道府県や市区町村の建築主事が行い、審査の結果、建築基準法に適合していることが確認された場合は、確認済証が発行されます。
確認済証は、工事着工の際に必要となる書類です。
また、確認済証の交付後も、工事内容の変更や工期の延長などがあった場合は、変更届や延長届を提出する必要があります。
リフォーム工事での建築確認申請の目的
建築確認申請の目的は、建物の安全性や防災性を確保することです。
建築確認申請は、この建築基準法に適合した建物を建築するために必要な手続きとなります。
建築基準法では、建物の構造や耐震性、防火性、避難性などについて、さまざまな基準が定められています。
これらの基準に適合していることを建築主事によって確認してもらうことで、建物の安全性や防災性を担保しているという仕組みです。
具体的に建築確認申請で確認される内容は、以下のとおりです。
- 建物の構造や耐震性
- 防火性
- 避難性
- 用途変更の適合性
- 環境への影響
建築確認申請を行わずにリフォームを行った場合、これらの基準に適合していない建物が建築される可能性があります。
また、建築基準法に適合していない建物は、売却や賃貸の際にも不利になる場合があります。
そのため、リフォーム工事を検討する際には、建築確認申請が必要かどうかを事前に確認しておくことが大切です。
リフォーム工事に関する建築確認申請の対象
リフォームの際に建築確認申請が必要かどうかは、構造や工事内容によって異なります。
建築確認申請の対象、または不要となるリフォームは以下のとおりです。
建築確認申請の対象 (大規模なリフォーム) | ・建物の新築、増築、改築、移転、用途変更 ・4号建築物以外の住宅で大規模な修繕・模様替え(リフォーム) |
建築確認申請不要 (小規模なリフォーム) | ・木造2階建て以下の建物で、増築を伴わないマンションの住戸内のリフォーム (ルーフバルコニーや専用庭に増築する場合は対象) ・既存不適格建築物の増築建築基準法の適用除外となる建物 (例:農業用倉庫や神社仏閣など) ・屋根の葺き替え、外壁の改修などの軽微なリフォーム |
木造2階建て以下、かつ床面積500㎡以下の住宅、いわゆる「4号建築物」は、小規模なリフォームであれば確認申請は不要です。
鉄骨2階建てや木造3階建てなどの「4号建築物」以外の住宅では、小規模なリフォームであれば確認申請は不要ですが、「大規模の修繕・模様替え(リフォーム)」を行う場合には確認申請が必要です。
「大規模の修繕・模様替え」とは、「主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上について行う過半の修繕・模様替え」と定義されます。
増築を行う場合、準防火・防火地域内であれば面積に関わらず確認申請が必要になりますが、準防火・防火地域外の住宅であれば10㎡を超える場合にのみ確認申請が必要となります。
リフォーム工事での建築確認申請の判断基準
建築基準法では、建物の構造や耐震性、防火性、避難性、用途変更の適合性、環境への影響などについて、さまざまな基準が定められています。
建築確認申請の審査では、これらの基準に適合していることを建築主事によって確認してもらうことで、建物の安全性や防災性を担保しています。
具体的には、建築確認申請の判断基準は以下のとおりです。
リフォーム工事での建築確認申請の判断基準1.構造や耐震性
建物の構造や耐震性は、建物の安全性や倒壊の防止に大きく関わります。
建築確認申請では、建物の構造や耐震性が建築基準法に適合していることを確認します。
リフォーム工事での建築確認申請の判断基準2.防火性
防火性は、火災による被害の防止に大きく関わります。
建築確認申請では、建物の防火性が建築基準法に適合していることを確認します。
リフォーム工事での建築確認申請の判断基準3.避難性
避難性は、火災や地震などの緊急時に人々の安全を確保するために重要です。
建築確認申請では、建物の避難性が建築基準法に適合していることを確認します。
リフォーム工事での建築確認申請の判断基準4.用途変更の適合性
建物の用途変更を行う場合、建築基準法に適合した用途に変更する必要があります。
建築確認申請では、建物の用途変更が建築基準法に適合していることを確認します。
リフォーム工事での建築確認申請の判断基準5.環境への影響
建物の建築は、周辺環境にさまざまな影響を与える可能性があります。
建築確認申請では、建物の建築が環境に適合していることを確認します。
リフォーム工事での建築確認申請の手順
建築確認申請は、以下のような手順で行います。
リフォーム工事での建築確認申請の手順1.建築確認申請書類の作成
建築確認申請書類には、以下のようなものが必要です。
- 建築計画概要書
- 平面図
- 立面図
- 断面図
- 構造計算書
- 防火関係図書
- 用途変更許可申請書(必要に応じて)
建築確認申請書類の作成は、建築士に依頼するのが一般的です。
建築確認申請書類は、都道府県や市区町村の建築主事宛に提出します。
リフォーム工事での建築確認申請の手順2.建築確認申請の審査
建築主事は、建築確認申請書類の審査を行います。
審査の結果、建築基準法に適合していることが確認された場合は、確認済証が発行されます。
確認済証は、工事着工の際に必要となる書類です。
リフォーム工事での建築確認申請の手順3.工事着工・完了検査
確認済証の交付を受けてから、工事が着工できます。
工事が完了したら、建築主事による完了検査を受け、完了検査に合格すれば、完了検査済証が発行されます。
完了検査済証は、建物の所有権移転や新築住宅ローンの融資を受ける際に必要となる書類です。
なお、建築確認申請の手続きは、都道府県や市区町村によって異なる場合があります。
そのため、リフォーム工事を検討する際には、事前に建築主事やリフォーム会社に確認しておくことが大切です。
また、建築確認申請の審査期間は、都道府県や市区町村によって異なりますが、一般的には1週間~1ヶ月程度かかります。
リフォーム工事での建築確認申請の費用
建築確認申請の費用は、自治体によって異なりますが、一般的には床面積の広さによって決まります。
建築確認、中間検査、完了検査のそれぞれで費用がかかるため注意が必要です。
東京都の場合を例に挙げると、以下のようになります。
床面積:30〜100㎡以内 | 床面積:200〜500㎡以内 | |
申請費用 | 9,400円 | 19,000円 |
中間検査 | 11,000円 | 21,000円 |
完了検査 | 11,000円 | 21,000円 |
合計 | 31,400円 | 61,000円 |
また、エレベーターなどの設備などでは9,600円の手数料がかかり、設備を変更するときにも同様に費用が発生します。
申請を行う前に具体的な費用を知りたい場合には、自治体の窓口に問合せをするとよいでしょう。
建築確認を自治体ではなく、民間の検査機関が行う場合には、費用が少し高くなります。
必要となる費用は定められた期日内に現金で支払わなければならないので、あらかじめ準備しておきましょう。
リフォーム工事における建築確認申請についてまとめ
ここまで、リフォーム工事における建築確認申請について解説してきました。
この記事の要点は、以下のとおりです。
- 建築確認申請とは、建築基準法に基づいて、建物を新築・増築・改築・移転・用途変更する際に必要な手続き
- 建築確認申請の対象は、建物の構造や規模によって異なる
- 建築確認申請の判断基準は、建築基準法に基づいて定められている
- 建築確認申請の手順は、建築確認申請書類の作成、建築確認申請の審査、工事着工・完了検査
- 建築確認申請の費用は、自治体によって異なりますが、一般的には床面積の広さによって決まる。
建築確認申請は、リフォーム工事の安全性や防災性を担保するために必要な手続きです。
リフォーム工事を検討する際には、必ず建築確認申請の対象となるかどうかを事前に確認するようにしましょう。