木造住宅で外壁塗装工事の実施を検討している人
木造に外壁塗装は必要?
木造住宅の外壁塗装を行う際のポイントは?
木造の外壁塗装で使う塗料は?
木造住宅の外壁塗装には、木材の特性を理解し適切な塗料選びが重要です。外壁の劣化を防ぎ、美観を保つため、定期的な塗り替えが欠かせません。フッ素塗料や光触媒塗料など、様々な外壁塗料がありますが、どれがおすすめなのでしょうか?
本記事では、木造外壁の特徴から塗外装方法・費用相場まで詳しく解説します。また価格を抑えるために自分でDIYを考えている方も、専門業者に依頼した場合との比較についてもご紹介しております。
木造住宅の外壁塗装を検討している方から工事は検討していないけど自宅が木造だという方まで、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
木造住宅の外壁塗装を行う前に知っておくべき特徴
木造の外壁には、木造ならではのさまざまな特徴があります。
外壁塗装を行うにあたっても、特徴を知っておくことが大切です。
外壁に使用されるのは、
- 塗装した天然木
- パーチクルボード(木材の小片に接着剤を混ぜて板状に成形したもの)
- MDF(木の繊維を原料に成形したもの)
加工方法によって以上の3種類にわけられます。
木造住宅の外壁に使用される素材としては、スギ・ヒノキ・ヒバなどが主流です。
ここからは、木造外壁の特徴についてさらにメリットとデメリットにわけて詳しく紹介してきます。
外壁塗装の前に知っておくべき木造住宅のメリットとは?
木造外壁のメリットには、以下のようなものがあります。
- 温かい雰囲気を演出できる
- 断熱性が高い
- 調湿性が高い
- 時間の経過とともに風合いの変化が楽しめる
木材とコンクリートの外壁を比べたときに、圧倒的に温かみのある雰囲気になるのが木造外壁の特徴です。
木独特の温かい雰囲気や、時間とともに変化する色合い・風合いなどを楽しめることも、木造外壁の魅力のひとつだと言えるでしょう。
また、木造外壁はデザイン性だけではなく機能面でも優れているポイントがあります。
特に断熱性が高く、コンクリートと比較すると15〜20倍ほども高い断熱効果が期待できます。
調湿性とは、湿気の吸収や放出によって湿度を調節してくれる働きのことです。
この断熱性と調湿性によりエアコンを使う頻度が減らせるため、電気代の節約にもつながります。
外壁塗装の前に知っておくべき木造住宅のデメリットとは?
木造外壁のデメリットには、以下のようなものがあります。
- 防火性が低い
- 定期的なメンテナンスが必須
- 水や多湿に弱い
- 比較的費用が高い
- 腐食・カビ・白アリ被害のリスクがある
木材の特徴として、火や水分に弱いことが挙げられます。
そのため木造外壁でも、防火性の低さや水・多湿の環境に弱いことがデメリットとなるでしょう。
木材のデメリットをカバーするためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
腐食から木材を保護するために必要なコーティングは、定期的な塗り直しが必須です。
特に湿度の高い季節は、木造外壁へのダメージが大きいため注意しましょう。
また、木造外壁の張り替え工事の際は、職人が1枚ずつ木材を張っていく作業を行います。
そのため、外壁工事の中でも比較的費用が高額になりやすいです。
木造外壁には塗装によるメンテナンスが必要
木造外壁は、他の外壁に比べてメンテナンス周期が少し短い傾向があります。
定期的なメンテナンスが結果的に木造外壁を長持ちさせることにつながるため、3〜5年ほどを目安にメンテナンスを行いましょう。
ただし、3〜5年が経過していなくても、劣化症状が出ている場合はメンテナンスや補修が必要となります。
木造外壁を守るための塗料は、木材専用塗料の中からそれぞれの木造外壁の状態に合わせたものを選んで使用します。
外壁の木材に劣化がなければ、定期的なメンテナンスはこの塗料の塗り替えだけで十分です。
メンテナンスを怠って木材が劣化すれば大掛かりな工事が必要になることもあるため、劣化症状が現れていなくても定期的にメンテナンスを行うことが重要になります。
木造住宅で外壁塗装する際のポイント
木造住宅の外壁を塗装する際は、塗料の選び方が重要なポイントになります。
塗料の種類によって、外観の違いはもちろん性能も変わってきます。
それぞれの外壁の状態によって適切な塗料を選ぶため、ここで紹介する2つのポイントを参考にしてみてくださいね。
木造住宅で外壁塗装する際のポイント.1防腐塗料・防虫塗料を選ぶ
防腐塗料には木材が腐ることを予防する効果が、防虫塗料には虫による被害を予防する効果が期待できます。
木材は湿気により腐りやすかったり白アリの被害を受けやすいことがデメリットなので、防腐塗料や防虫塗料を選ぶことでこのようなリスクを軽減することができるでしょう。
木造住宅で外壁塗装する際のポイント.2紫外線吸収剤を含んだ塗料を選ぶ
木材は、紫外線の影響を受けて変色することがあります。
紫外線による木材の変色を防ぎたい場合には、紫外線吸収剤を含んだ塗料を選ぶことがおすすめです。
また、塗料を選ぶ際に重要なのが木材用のものを選ぶことです。
塗料は使用する材質によって種類がわかれているので、木造外壁に使用する場合には木材用を選んでくださいね。
木造住宅への外壁塗装に適した塗料の種類
木造外壁に使用する塗料は、その性質から以下の2種類にわかれます。
- 造膜型塗料
- 浸透型塗料
造膜型塗料は、素材の表面に塗膜を作ります。
一方で浸透型塗料は、素材に浸透していく塗料です。
ここでは、この2種類の塗料についてそれぞれの特徴を紹介していきます。
素材の表面に塗膜を作る塗料(造膜型塗料)
造膜型塗料には、下塗り用と上塗り用があります。
下塗り用塗料には、素材に塗料吸収されることを防ぎ、さらに上塗り塗料との接着性を助ける役割があります。
上塗り塗料には、木材と下塗り用塗料を保護する役割があり、必要に応じて色をつけることも可能です。
造膜型塗料は木材を保護してくれるため、耐久性に優れています。
色を変えられることでデザイン性をアップできることもメリットのひとつです。
ただし、木材の収縮によって塗膜にヒビや剥がれなどの劣化症状が現れたり、塗膜で覆うことによって調湿機能が少し低下してしまったりするなどのデメリットもあります。
素材に浸透する塗料(浸透型塗料)
浸透型塗料は塗料を素材の中に浸透させるため、木材の内部と表面の両方を保護してくれます。
木材の収縮の影響も受けにくく、木材が持つ調湿機能もそのままに発揮できることがメリットです。
木材の性能を最大限生かすことができる一方で、造膜型塗料に比べると耐久性と耐水性が若干劣ります。
そのため、定期的なメンテナンスや劣化症状が現れた際の早急な補修が欠かせません。
木造住宅の外壁塗装におすすめの方法
木造外壁の塗装をどのように行うのか、なかなかイメージが湧かないという方も多いのではないでしょうか。
木造外壁の塗装は、主に以下の2種類の方法で行われます。
- クリアー仕上げ
- 着色仕上げ
クリアー仕上げは、木造外壁の特徴とも言える木目のデザインや自然な色合いを残して塗装することができる方法です。
一般的にコンクリートなどでできた外壁に対しては塗料で着色を行うことがほとんどですが、木造外壁の場合は自然な木目を生かしたいと考える方が多いです。
クリアー仕上げであれば、着色を行わずに外壁の木目や色合いをそのまま残して塗装することができます。
着色は行わないものの、透明の塗料が木材を保護してくれるため、表面の汚れや水分の浸透はしっかりと防いでくれます。
着色仕上げで使用するのは、半透明の塗料です。
木造外壁の特徴である木目は生かしつつ、好みの色をつけて外観を好みのデザインに仕上げることができます。
着色ができることで、好みのデザインへの幅が広がることがメリットです。
木造住宅で外壁塗装の劣化症状
木造外壁は、徐々に劣化していってしまうものです。
劣化症状を放置してしまうと腐食などの重大な損傷につながるため、できるだけ早い段階で補修を行うことが理想です。
木造外壁の劣化症状は見てわかるものがほとんどなので、以下のような症状が木造外壁に現れていないかチェックしてみましょう。
- カビが発生している
- 白アリがいる
- 外壁が腐食している
- 塗装が剥がれている
- 膨らみなど一部に形状の違和感がある
このような症状は、すべて木造外壁の劣化症状に該当します。
劣化症状が現れたからといって、すぐに木造外壁が崩れてしまうわけではありません。
しかし、劣化症状を放置しているとどんどん悪化していき、腐食が進めば崩れてしまう可能性もあります。
早期に対応すれば小さな工事で済むことも多いので、このような劣化症状が現れていたらできるだけ早く補修を依頼するようにしましょう。
木造住宅で外壁塗装の費用相場
木造住宅の外壁塗装工事を行う場合、どのくらい費用がかかるのかが気になるポイントですよね。
ここでは、木造外壁の塗装工事にかかる費用の相場を紹介します。
DIYで行う場合と塗装業者に依頼する場合のどちらも紹介するので、DIYにチャレンジするか業者に依頼するか悩んでいる方も、参考にしてみてください。
費用相場(30坪住宅の場合) | |
DIYで行う場合 | 12〜30万円程度 |
塗装業者に依頼する場合 | 80〜120万円程度 |
表の通り、DIYで行う場合と塗装業者に依頼する場合では、費用相場に大きな差があります。
また業者に依頼する場合でも、業者ごとの値段設定や木造外壁の状態によっても工事費用が変わっていくでしょう。
外壁塗装で防水は可能?
外壁塗装で防水効果を得ることは可能です。防水性のある塗料を使用することで、雨水や湿気の浸入を防ぎ、建物の劣化を抑える効果があります。一般的に使用される防水性のある塗料には、以下のような種類があります
- シリコン系塗料
防水性と耐候性に優れ、雨水や湿気から外壁を守ります。耐用年数は10年ほどで、コストパフォーマンスも良く、住宅の外壁塗装で広く使用されています。 - ウレタン系塗料
柔軟性があり、ひび割れに追従しやすいため、防水性を高める効果があります。5〜8年程度の耐久性があり、ひび割れが生じやすい外壁に適しています。 - フッ素系塗料
高い耐久性と防水性を備え、15年以上の効果が期待できる塗料です。初期費用は高めですが、長期的な防水対策をしたい場合に適しています。 - 無機系塗料
20年以上の耐久性が期待でき、防水性も高く、特に長期間メンテナンスを減らしたい場合に有効です。
ただし、外壁塗装のみでは、防水層を設けるほどの完全な防水とは異なり、あくまで「防水効果を高める」ことが目的となります。塗料による防水効果は、あくまで雨水や湿気の侵入を防ぐ補助的なものであり、木造住宅の防水工事で行うような防水層を設ける屋上やベランダの防水工事とは異なります。
木造住宅の外壁塗装はDIYと業者依頼どちらがおすすめ?
木造外壁の塗装は、塗装業者に依頼する他にもDIYで行うことができます。
塗装をDIYで行うメリットとしては、費用を大きく節約できることが挙げられます。
木造外壁の塗装は3〜5年ごとを目安に行う必要があるため、DIYで行えれば費用面で大きな助けとなるでしょう。
ただし、木造外壁の塗装でおすすめするのは、塗装業者に依頼することです。
質が高く長持ちする塗装を行えるのは、専門知識がある塗装業者です。
専門知識がないままDIYすると、思わぬトラブルの発生や劣化が早いなどのリスクが考えられます。
大事な木造外壁を長く健全に維持することは、結果的に建物全体の寿命を伸ばすことにもつながりますよ。
外壁塗装工事でよくある質問
Q
外壁塗装の費用はどのくらいかかりますか?
A
一般的には、40坪の住宅(塗装面積160㎡、シリコン塗料)で90万円〜120万円程度が相場です。塗装面積や使用する塗料の種類によって異なります。
Q
工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
外壁のみの場合は約10日、外壁と屋根を同時に行う場合は約14日程度かかります。ただ、天候や建物の状態によって日数は変わることがあります。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
騒音や臭気が発生することがあります。また、足場の設置や養生シートのために窓が開けられないことや、洗濯物が干せないこともあります。事前に工事開始のご連絡はいたしますので、ご安心ください。
木造住宅で外壁塗装のまとめ
木造外壁は、温かみがあり自然の木目を楽しめると人気です。
- 木造外壁は断熱性と調湿性に優れている
- 一方で火や水には弱い
- 防腐・防虫の効果がある塗料がおすすめ
- 木造外壁の塗装はDIYで費用が抑えられるが、塗装業者への依頼がおすすめ
木造外壁は維持に手がかかるとも言えますが、木造外壁ならではの良さがたくさんあります。
今回の記事を参考に、適切なメンテナンスを行いながら木造外壁を楽しんでくださいね。