人が多く居住するマンションは、数年から十数年に一度は大きな修繕工事を行います。
それだけではなく、定期的な点検や小さな修繕も中くらいの修繕も行われますよね。建物を長く安全に使うためには、こういった修繕工事は必ず必要なものです。
そんな修繕工事の際に、『オプション工事』を行うと修繕費用の節約に繋げることができます。
『オプション工事』はどういったものなのか?などについて見ていきましょう。
目次
大規模修繕について解説
大規模修繕とは、マンションやビルなどの集合住宅において、外壁のひび割れや塗装の剥がれ、屋上の防水工事や設備の劣化など、建物全体の劣化を防ぎ、修繕するために行われます。建物全体の劣化を防ぎ、長期的な安全性と快適性を維持するために行われる大規模な修繕工事です。通常、10年から20年ごとに計画され、外観の美観を保つだけでなく、建物の構造や設備の性能を向上させることを目的としています。
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マンション大規模修繕のオプション工事はどんなもの?どこを工事?
『オプション工事』は、大規模修繕工事などの際に居住者負担で専有部分を追加工事することを指します。
どんな個所を工事してもらえるのか?などについて詳しく解説していきます。
マンションの専有部分について
マンションの「専有部分」とは、居住者が個別に使用・管理できる部分を指します。一般的に、専有部分には各住戸の内部が含まれ、壁や天井、床、ドア、窓、浴室、トイレ、キッチンなどの住戸内の設備が該当します。住人が日常的に使用する範囲で、所有権が個別に認められたエリアです。
専有部分と共有部分の違いは?
まずは、マンションの専有部分と共有部分の違いから説明していきます。
マンションは主に、『居住者が誰でも利用できる場所』と『各世帯専用の部屋』に分かれています。
基本的に『居住者が誰でも利用できる場所』みんなが利用できるは共有部分、『各世帯専用の部屋』個人のスペースが専有部分というのはなんとなくわかるかと思います。
ただ、専有部分だと思っていたけど実は共有部分とされる箇所もあるので、もっと詳しく見ていきましょう。
共有部分 | 共有の専用使用部分 ※共有部分に分類される | 専有部分 |
---|---|---|
外壁や屋上(屋根) エントランス エレベーター 廊下・階段 駐車場・駐輪場 ゴミ置場 | 玄関ドア・インターフォン ベランダ・専用庭 窓サッシ・窓ガラス パイプスペース(PS) | 各居住スペース |
玄関のドアの外側やインターホン、ベランダや窓のサッシなどは実は共有部分にあたります。
ベランダなどは専有部分というイメージでとらえられがちですが、外から見える個所であるため他の居住者の部屋と大きく違ってしまってはいけないので許可なく手を入れることはできません。
外観に関して、意識の高いマンションだと布団を手すり部分に干すことができない場合があります。
玄関のドアやインターホンも専有スペースの外側という認識なため、共有部分に分類されます。
大規模修繕のオプション工事でできることは?
なぜ大規模修繕工事のタイミングで、『オプション工事』を行うと節約に繋げられるのか?についてはいくつかの理由があります。
- 足場を組み立てているため有効活用しやすい
- 複数の世帯がオプション工事に申し込むことで効率が良い
一番大きな点は、やはり『効率が良い』という点ですね。
大規模修繕工事では、必ず足場を組むことになりますが足場工事は組み立てにも時間とお金がかかります。
何度も足場をかけるとそれだけ費用がかかるのは当然なので、一緒に行ってしまえば余計な費用がかからずにすむからということです。
足場工事は、大きなマンションであればあるほど費用がかなりかかってしまうため1回で済ませることにより節約につながるのです。
そんなオプション工事では、以下のようなものが可能です。
居住者の希望で できるもの | ベランダや窓へのBS・CSアンテナの脱着 エアコン室外機の移動など エアコンスリーブの部品交換 窓サッシの補修 網戸の取り替え・張り替え |
組合への確認が 必要なもの | 玄関ドア取り替え・塗り替え ドアスコープなどの交換 インターフォンの交換(個別) 窓サッシ・ガラスの交換 ユニットバス・洗面化粧台等の交換 専有部分のリフォーム・リノベーション |
足場が必要な工事は、大規模修繕工事の際に行うのが良いですが、タイミングによっては中規模修繕工事や小規模修繕工事の際に行うのが良いものもあるでしょう。
また、組合の考え方や工事を行う業者によっては、できるオプション工事に差があります。
大規模修繕工事がメインなため、工期に大きく影響があるものは難しい場合もあるのでまずは工事タイミングに合わせ、組合に相談するのが良いでしょう。
修繕工事のタイミングに関しては、下記の記事を参考にしてください。
大規模修繕工事でよくある質問
Q
大規模修繕工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
大規模修繕工事の規模や建物の状態によりますが、およそ3ヶ月〜4ヶ月程度かかることが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
足場の設置やメッシュシートで覆うため、室内が少し暗くなることがあります。また、塗装や防水作業時には洗濯物が干せないなどの制限があります。
Q
バルコニーやベランダの利用はどうなりますか?
A
バルコニーやベランダの壁面塗装や床面の防水作業時には、使用が制限されることがあります。
Q
工事期間中、エアコンは使えますか?
A
基本的には通常通り使用できますが、場合によっては一時的に使用が制限されることもあります。
Q
大規模修繕での工事の騒音や臭気はどうなりますか?
A
塗装の臭気やドリルの騒音、粉塵などが発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。
Q
大規模修繕工事に対する費用が不足する場合はどうすればよいでしょうか?
A
できるだけ早い時期に長期修繕計画に基づき積立金を見直し、資金不足にならないようにするのが最善です。実際に資金が足りないことが判明した場合には、時期をずらしたり、工事の範囲を見直したり、一時金の徴収や借入の可能性を探ったりと、様々な方法で計画を調整できます。ご予算に応じて資産価値を損なわないベストなプランをご提案いたします。
Q
修繕工事の前に現地調査が必要なのはなぜですか。どういうことを行うのですか?
A
築年数、周囲の環境や場所によって劣化の度合いは異なりますので、各部の劣化状況を把握し、適切な修繕方法を見極めるためには現地調査が欠かせません。外壁タイルの浮きやコンクリートの中性化、鉄部の錆など、部位ごとに幅広くチェックします。
Q
大規模修繕工事の費用相場は一般的にいくらですか?
A
大規模修繕工事の費用について一般的な相場としては、1戸あたり約100万円前後が目安です。マンション全体の規模が大きい場合には、修繕費用が1億円を超えることもあります。また、マンションの劣化が激しい場合や、質の高い塗装を希望する場合には、さらに費用が高くなることがあります。
大規模修繕や中規模修繕で専有部分のオプション工事をする場合の注意点
大規模修繕や中規模修繕の際に専有部分のオプション工事を行う場合には、いくつかの注意点があります。専有部分の工事は居住者の希望に基づいて行われるため、追加の費用や工事内容の確認、管理組合や施工業者との調整が必要です。
- 工事範囲と費用の確認
専有部分のオプション工事は基本的に個人負担となるため、事前に工事内容や費用を十分に確認することが大切です。内装や設備の変更、バスルームやキッチンのリフォームなどが主なオプションですが、希望する内容によっては施工費用が大幅に増加することがあります。 - 管理組合への申請と承認
オプション工事には、管理組合への申請が必要な場合があります。特に、専有部分であっても共用部分に影響を及ぼす工事内容(窓枠や給排水管の変更など)の場合、管理組合の承認が必須です。事前に許可を取得し、合意のもとで工事を進めることがトラブル回避につながります。 - 工事スケジュールの調整
大規模修繕や中規模修繕の進行に合わせてオプション工事を行うため、施工スケジュールの調整が重要です。修繕工事と並行して行う場合には、工事の重複や居住者の生活への影響を最小限に抑えるよう計画する必要があります。 - 仕上がりや保証内容の確認
オプション工事の仕上がりや保証内容も確認しましょう。専有部分の工事は、建物全体の保証対象とは異なるケースが多く、個別の保証が設定されることがあります。施工後のメンテナンスや保証内容を明確にしておくことで、安心して工事を任せられます。
以上の点を踏まえ、専有部分のオプション工事を適切に進めることで、住居の快適性と利便性を向上させることが可能です。事前準備をしっかりと行い、管理組合や施工業者と連携して計画的に工事を進めましょう。
大規模修繕工事は必ずやってくる|オプション工事もしっかり把握しよう
マンションに住んでいれば、大規模修繕工事は必ずやってくると思っておいてください。
どんなに大切に扱っていても、物は劣化してしまいます。
建物ももちろん、雨や風にさらされることもあり必ず劣化するものです。
近年は、素材の耐久力アップなど技術も進化していますがそれでも劣化は避けられないものですので大規模修繕工事は必ず必要となります。
それに備えて、組合などで行う積み立てだけでなく個人でもオプション工事用に積み立てしておくと良いでしょう。
また、劣化だけでなく災害が起これば急な修繕工事も必要になる場合もあります。
いつでも備えておくこと、建物を大事に扱うこと、が安心安全に長期間マンションで暮らすことにつながります。