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工場の大規模修繕の内容は?費用目安と修繕をするメリット

工場などの施設は、生産性を高める目的の設備投資や労働環境を保つための改修を重視しがちです。

しかし、建物自体のメンテナンスはおろそかにされ、工場建設当時の状態のまま放置している事業主も多いのではないでしょうか。

しかし、どのような建物であっても、存在しているだけで劣化していくことは避けられません。

適切な状態を維持するためには、修繕が欠かせないのです。

そこで今回は、工場などの事業用物件を少しでも長持ちさせるために、なぜ定期的な修繕が必要なのか、どのような修繕を検討すべきなのかを紹介します。

工場の大規模修繕工事時期の見極め方

工場の大規模修繕工事や改修工事を行う際にまず気になることが、工事を行うタイミングです。

工場の改修工事やメンテナンスを行うタイミングは、耐用年数を迎えていないか、劣化の兆候はないかの2点に注意すれば判断できます。

ここでは、改修工事、大規模修繕工事をするタイミングの見極め方を紹介します。

耐用年数で判断する

改修工事のタイミングに明確なルールはありませんが、耐用年数を迎えている場合は、改修工事の実施を検討する必要があります。

工場の屋根や外壁などの耐用年数の目安は次のとおりです。

屋根材:15~20年

外壁塗装:10~15年

鉄部塗装:4~5年

屋外防水:10~15年

ただし、耐用年数は、使用する建材や塗料、環境によって異なります。

あくまでも目安ですが、上記耐用年数を過ぎた場合は改修工事やメンテナンスの実施を検討してみてはいかがでしょうか。

劣化症状の有無で判断する

耐用年数以上に意識しなければならないことは、工場の現状です。

工場の外装や内装、設備に劣化を感じた際には、早急に補修工事やメンテナンスを行う必要があります。

劣化のサインとして、以下のような症状が挙げられます。

  • 雨が降ると雨漏りがする
  • 外壁に触れると白い粉が付く
  • 外壁がひび割れしている

雨漏りが発生すると、工場内の設備や製品が破損する可能性があります。

チョーキングやひび割れは外壁の劣化のサインのため、早急に対処しましょう。

なお、特に劣化はないものの、工場内が暑い場合は外壁に遮熱塗料を塗るなどの熱中症対策が必要といえます。

また、適切に管理されておらず、大規模修繕工事の計画を立てる材料がない、15年以上メンテナンスを行っていない場合は要注意です。

工場を大規模修繕するメリット

工場を大規模修繕すると、安全性や省エネ効果、企業イメージがよくなるなどのメリットがあります。

費用対効果は高いため、適切なタイミングで大規模修繕工事をすることが大切です。

ここでは、工場を大規模修繕すると得られる主なメリットを紹介します。

作業環境の改善と省エネ対策

工場の屋根は、夏場の日射熱で表面温度が60~70度に達することもあります。

断熱性が低い屋根材の場合、屋根から屋内に熱が伝わり、屋内温度が上昇し、高温になりやすくなるでしょう。

高温の屋内では、従業員の熱中症リスクが高まるほか、保管している商品の品質も低下するリスクがあります。

加えて、屋内の温度を下げるための空調費用も大きくなりがちです。

遮熱塗料や断熱塗料を採用することで、屋根の温度が上昇し屋内への熱の浸透を防ぎ、快適な室内温度を保つことにつながります。

作業効率や生産性の向上、空調コストの削減、省エネ効果も期待できることがメリットです。

企業イメージを高める

汚れや傷がない美しい外観は、取引先や従業員に好印象を与えます。

大規模修繕に伴う外壁改修は、企業イメージの向上やブランド訴求になることがメリットです。

耐久性を高める

工場には、重量物や大量の荷物に耐えられる構造体です。

定期的な大規模修繕により、工場の耐久性を向上させ、建物自体を長期間安全に使用できます。

修繕による安全性の向上

工場は多くの作業員や貨物が行き交う場所であり、安全性を高めること極めて重要です。

大規模修繕工事を行うことで、工場の安全性を確保でき、荷物や作業員の安全も守れます。

特に地震や台風などの自然災害が非常に多い日本では、わずかな劣化を放置しておくと強風で屋根が飛ばされ、甚大な被害をもたらす危険性もあります。

修繕による物流業務の効率化

工場内の設備や備品の劣化は、物流業務に大きな影響を与えます。

定期的な修繕を行うことで、工場内の作業効率を向上させ、スムーズな物流オペレーションにつながります。

企業の資産を守る

工場には、多くの資産が設置・保管されています。

例えば、工場であれば数百万円~数千万円もする機械が業務に使用されていることがあります。

工場であれば、自社の製品やクライアントの製品が保管されているかもしれません。

万が一、修理やメンテナンスが後回しになり資産に損害が発生した場合、修理やメンテナンスの費用以上の損害が発生する可能性があります。

大きなトラブルを未然に防ぐためにも、工場の大規模修繕工事やメンテナンスを適切に行う必要があるでしょう。

工場の大規模修繕工事の内容

工場では、どのような大規模修繕をすべきなのでしょうか。

工場の劣化状況によりますが、実施を検討すべき主な工事を紹介します。

外装補修

外装材は、屋内環境を守る大切な役割を担っています。

しかし、常に日光や風雨にさらされ、外的要因の影響を最も受け続ける部分であるため、他の部分よりも劣化のスピードが速く、最も修繕が必要な部分です。

外装の補修は様々な部分に分けられますが、主なものは「屋根の補修」と「外壁の補修」が挙げられます。

2つの修理について、簡単に確認しておきましょう。

屋根補修

屋根の補修には、屋根の塗り替え、葺き替え、カバー工法、防水工事などの大規模な修理と、小さな部品の交換や修理があります。

補修が必要かどうかの判断は、使用されている屋根材の種類によって異りますが、基本的なルールは以下のとおりです。

  • 屋根材にひび割れはないか
  • 表面にカビやコケが生えていないか
  • 水漏れの兆候はないか

上記がチェックポイントとなり、該当する劣化が見つかれば補修する必要があります。

外壁の補修

外壁の補修には、外壁材によっていくつかの方法がありますが、主なものとして以下が挙げられます。

  • 塗り替え
  • 防水工事
  • ひび割れ補修
  • コーキング打ち替え

補修が必要かどうかのチェックポイントは、塗装のひび割れや剥がれがあるかどうか、外壁がどの程度汚れているか、コーキングの状態など様々です。

知識や経験がない方では判断できないケースも多いため、専門業者に定期点検の依頼をしましょう。

内装の補修

工場では、内部環境の機能を維持するために内装修繕が必要です。

内装修繕では、建具や内壁の劣化だけでなく、施設の目的や機能にも注目しましょう。

工場の内部で作業を行うため、内装材は当然汚れたり劣化したりします。

そのため、定期的に内装材を適切に補修し、劣化した部分を補修しなければなりません。

また、食品工場などでは床面の防水が重要なので、常に劣化状況をチェックする必要があります。

修繕のタイミングを見極めるためには、内壁や建具の汚れ具合、塗膜のひび割れや剥がれなどをチェックするとよいでしょう。

構造補修

工場を長く使うためには、適切な時期に構造補修を行うことが大切です。

建物の構造には、柱、梁、床、土台や階段があり、構造部の補修を総称して「構造補修」と呼びます。

構造の修繕は、建物の耐久性や耐震強度に影響するため、屋内で作業する方の安全を確保するためにも重要です。

構造体の修繕に関しては、基礎や柱、床などにひび割れがないか、曲がりはないかなどをチェックします。

梁については、曲がりはないか、サビは進行していないかを確認することが一般的です。

ただし、構造物の劣化は表面ではなく内部で進行していることが多いため、目視だけで判断するのではなく、専門家による定期的な点検が必要です。

補強や交換で済む場合が多いですが、劣化の度合いによっては建て替えが必要になる場合もあります。

設備修理

設備修理は、主に電気設備や給排水設備などの設備に問題がある場合に行う工事です。

電気設備の場合は、サビがないか、必要な設備が確実に設置されているかを確認します。

給排水設備の場合は、排水がスムーズに流れているか、水漏れはないかなどをチェックします。

また、水道水が濁っていたり、水の出が悪かったりする場合は、給排水設備に問題がある可能性があるため注意しましょう。

工場の大規模修繕にかかる費用と相場の目安

工場の大規模修繕にかかる費用は、工事内容、工場の規模、施工条件によって異なるため一概にはいえません。

しかし、おおよその費用相場を把握し、適切な価格で対応を依頼することは大切です。

ここでは、工事をするケースが多い、屋根工事と外壁塗装にかかる費用相場を紹介します。

屋根工事の費用

工場の屋根の大規模修繕は、塗装や交換などが挙げられます。

塗装の費用目安は、使用する材料によって異なります。

主な相場は次のとおりです。

ウレタン塗料:80万円~

シリコン塗料:170万円~

遮熱塗料:500万円~

工場の屋根材を交換、修繕する際の費用相場は次のとおりです。

カバー工法:5,000~15,000円(1平米)

葺き替え:10,000~50,000円(1平米)

外壁塗装の費用

工場の外壁塗装も、使用する材料によって異なります。

ウレタン塗料:70万円~

シリコン塗料:140万円~

遮熱塗料:420万円~

工場の広さによっても異なるため、見積もりを取って詳細の金額を確認しましょう。

工場の大規模修繕の流れを解説

大規模修繕をするにあたって、「工場の運用に影響が出るのでは」と不安を抱く方も多いのではないでしょうか。

ここでは、大規模修繕工事の主な流れを紹介します。

大規模修繕工事の内容や依頼する業者によって流れが異なるため、見積もりを取る際や契約時に確認しましょう。

修繕計画を立てる

工場の大規模修繕は、計画が重要です。

修繕が必要な部分、作業工程、工事期間を設定し、スケジュールを決めて進める必要があります。

修繕工程と期間

大規模修繕は、複数の工程を経て行われます。

建物診断や修復、仕上げなど複数の作業が必要なため、修繕に要する期間も重要です。

工事期間中の延長や制限を避けるためにも、工程と期間を把握しましょう。

修繕にかかる費用と見積もり

大規模修繕の場合、費用を把握し、予算を確保しなければなりません。

工場の大規模修繕費用は、工場の規模や工事内容で異なります。

信頼できる業者に見積もりを依頼し、予算を正確に確認しましょう。

修繕工事の危険性と安全対策

大規模修繕工事は、作業に危険が伴います。

トラブルや予期せぬ事故など、工場運営に影響を及ぼさないよう、適切なリスク管理と対策が必要です。

例えば、機材を工場内に運ぶ際の車両の往来の際に誘導員を配置する、足場の組み立てや解体の際に落下防止の養生を設置するなどの対策を行います。

工場大規模修繕工事の業者の選び方

業者によって技術力やコストが異なるため、工場の大規模修繕工事やメンテナンスを行う際の業者選びは重要です。

コストを抑えることも大切ですが、適切に修繕やメンテナンスを行わなければなりません。

ここでは、工場の大規模修繕工事を依頼する際の業者の選び方について解説します。

工場の改修実績が豊富

工場の改修工事やメンテナンスを依頼する業者を選ぶ際、特に注目したいのが実績です。

「実績が豊富な会社=その分野の改修工事やメンテナンスに精通している業者」だといえます。

過去の実績は、基本的にホームページで確認可能なため、依頼する前にホームページを確認しましょう。

ホームページがない業者、実績や施工例が掲載されていない業者は悪質な業者の可能性があります。

また、写真が掲載されていない業者も注意が必要です。

ホームページが用意されている、実績や施工例が写真付きで紹介されている業者を選ぶようにしましょう。

詳細な見積もりを出してくれる

業者に修理やメンテナンスを依頼する場合、見積書を作成してもらう必要があります。

見積書も、業者選びの重要なポイントのひとつです。

見積書の形式は業者によって異なりますが、大雑把に記載されていると、いくらの費用がかかるのかわかりません、

また、費用や作業内容の詳細がわからないと、金額が適切かどうかの確認が難しいこともあります。

そのため、詳細な見積もりを出してくれる業者を選びましょう。

作成した見積書の内容を確認する、複数社の見積書を比較するなどで、詳細な内容を提示してくれる業者を選びましょう。

担当者の対応の良し悪し

工場の大規模修繕工事やメンテナンスを行う場合、業者と話し合いを続けます。

話し合いや相談の際の、担当者の対応も業者選びの基準のひとつになります。

工場の建設工事は、あまり頻繁に行われるものではないため、不明な点や疑問点も多いのではないでしょうか。

不明な点や疑問点を質問した際、嫌な顔をすることなく丁寧に答えてくれる、事業者の立場で様々なアドバイスをしてくれるなど、誠実で親切な対応の担当者がいるところを選びましょう。

営業中に大規模修繕ができるかどうか

大規模修繕が必要でも、すぐに営業を停止できない工場も多いでしょう。

大規模修繕工事であったり、工場内で作業が必要だったりする場合、営業しながらの対応は難しいといえます。

しかし、屋根塗装や外壁塗装、屋根材の葺き替えなどであれば、営業中でも対応可能です。

高所作業では足場の設置が必要な場合がありますが、出入り口となる場所は避けて足場を組むことも可能です。

営業時間中の対応は業者の判断によるため、見積もりの際に確認しましょう。

安全性向上のためにも工場の大規模修繕を検討しよう

工場などの事業用物件のオーナーのなかには、建物のわずかな劣化には気づいているものの、事業を進める上で特に問題はないと考えて後回しにしている方もいます。

しかし、必要な時期に適切な修繕を行わないと、劣化がどんどん進行し、気がついたときには工場全体の建て替えが必要になることもあります。

修繕のタイミングは、各部位が出す劣化のサインをこまめにチェックすることでも判断可能です。

ただし、目視だけでは判断できない劣化もあるため、定期的に専門業者に点検してもらうことをおすすめします。

まずは大規模修繕を請け負う業者に相談し、修繕が必要かどうかを判断しましょう。

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