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不動産投資の大規模修繕とは?費用や内容・マンションの修繕積立金目安を解説

不動産投資において、大規模修繕は重要なテーマです。

建物の老朽化や設備の劣化は、資産価値に直結する要素となります。

そこで、この記事では大規模修繕の必要性や費用相場、効果的に計画を立てるポイントについて探っていきます。

不動産投資家として、大規模修繕に対する理解を深め、資産価値の向上につなげましょう。

大規模修繕とは

マンションの大規模修繕とは、経年に伴う劣化を定期的に修繕することです。

建物の主要構造部において一種類以上を修繕することは、建築基準法の定義にも当てはまります。

参考:建築基準法第2条14項

大規模修繕はマンション所有者に負担をかけますが、建物の安全と資産価値の維持には欠かせないものです。

大規模修繕工事には塗装・防水や給排水管工事などが含まれます。

不動産投資における大規模修繕の必要性

マンションの大規模修繕は、建物の資産価値を維持するために非常に重要であり、定期的な修繕が必要です。

大規模修繕を行わないと、生活に支障をきたす故障や不具合が発生するだけでなく、将来の売却や賃貸時に価格や家賃を下げざるを得なくなることがあります。

また、中古マンションの売買時には、修繕の有無や内容、修繕計画などを告知することが義務付けられています。

大規模修繕には高額な費用がかかりますが、入居者確保や物件の資産価値に影響し、不動産投資においても重要です。

大規模修繕の周期と修繕計画

​​大規模修繕は、通常10〜15年ごとに行われますが、耐用年数が到来してもすぐに不具合が発生するわけではありません。

大規模修繕の範囲やタイミングは、オーナーやマンション管理組合の方針によって決定され、長期修繕計画に基づいて大規模修繕のペースを決めます。

一般的には、12〜18年程度を目安に大規模修繕を行い、長期修繕計画や建物の状況に応じて調整することが理想的です。

国土交通省によると、長期修繕計画の期間は30年以上で、大規模修繕工事が2回含まれることが推奨されています。

参照URL:国土交通省-長期修繕計画様式(令和3年9月改訂)

大規模修繕は、長期修繕計画の策定、定期的な検査、専門的な検査、修繕・補修の実行、修繕記録の策定の流れで行われます。

大規模修繕の工事内容と工事金額

国土交通省が発表した「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕工事の工事内容および工事金額は、以下のように設定されています。

表:大規模修繕工事の工事内容

建築系工事屋根防水、床防水、外壁塗装、外壁タイル、シーリング工事、鉄部等塗装、建具・金物等、共用内部
設備系工事給水設備、排水設備、ガス設備、空調・換気設備、電灯設備等、情報・通信設備、消防用設備、昇降機設備、駐車場設備
その他工事外構・付属施設、仮設工事など
参照URL:国土交通省-令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査

工事金額は、 上記工事の直接工事、現場管理費、一般管理費、法定福利費など、さらに大規模修繕瑕疵保険の保険料の合計値です。

工事金額は、マンションの規模や劣化状況によって異なります。

なお、工事金額に共通仮設費は含まれていません。

大規模修繕の費用相場

国土交通省の調査によると、1棟あたりで工事回数別の工事金額とその割合は、以下のようになっています。

工事回数工事金額割合平均値
1回目4,000万円〜6,000万円17.3%1億5,237万4,000円
2回目6,000万円〜8,000万円18.1%1億1,702万7,000円
3回目以上6,000万円〜8,000万円
1億円〜1億5,000万円
16.9%1億4,758万6,000円
参照URL:国土交通省-令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査

上の表によると、1回目の大規模修繕工事では、工事金額4,000万円〜6,000万円の割合が最も高く、2回目は6,000万円〜8,000万円、3回目では6,000万円〜8,000万円、1億円〜1億5,000万円の割合が高いようです。

また、1戸あたりで工事回数別の工事金額とその割合は以下のようになっています。

工事回数工事金額割合平均値
1回目100万円〜125万円31.4%151万6,000円
2回目75万円〜100万円
100万円〜125万円
27.6%112万4,000円
3回目以上75万円〜100万円28.4%106万1,000円
参照URL:国土交通省-令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査

上の表によると、1回目から3回目の大規模修繕工事において、1回あたり75万円〜125万円で行う割合が最も高いようです。

上の2つの表を見ることによって、大規模修繕の費用相場の目安になるでしょう。

修繕積立金の相場

修繕積立金とは、マンションの共用部分の修繕工事に必要な費用を長期間にわたり積み立てるための資金です。

修繕積立金は、修繕工事に必要な費用を区分所有者(マンションにおける各部屋の所有者)が予め積み立てておくことで、修繕時に一括で負担することなく工事を行うことが可能です。

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に修繕積立金の額の目安となる算出方法が示されています。

(算出式) 計画期間全体における修繕積立金の平均額(円/㎡・月)

 Z=(A+B+C)÷X÷Y 

A:計画期間当初における修繕積立金の残高(円)

B:計画期間全体で集める修繕積立金の総額(円)

C:計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額(円)

X:マンションの総専有床面積(㎡)

Y:長期修繕計画の計画期間(ヶ月)

Z:計画期間全体における修繕積立金の平均額(円/㎡・月)

また、修繕積立金の平均額の目安は以下のようになっています。

ただし、機械式立体駐車場分は除いています。

地上階数/建築延床面積月額の占有面積あたりの修繕積立金額
事例※の2/3が包含される金額幅平均値
20階未満5,000㎡未満235円〜430円/㎡335円/㎡
5,000㎡以上10,000㎡未満170円〜320円/㎡252円/㎡
10,000㎡以上20,000㎡未満200円〜330円/㎡271円/㎡
20,000㎡以上190円〜325円/㎡255円/㎡
20階以上240円〜410円/㎡338円/㎡
参照URL:国土交通省-マンションの修繕積立金に関するガイドライン

※事例とは、長期修繕計画作成ガイドラインに概ね沿って作成された長期修繕計画の事例(366 事例)のことです。

修繕積立金の額の目安は、委託管理方式と自主管理方式の双方から収集した長期修繕計画の事例(366 事例)を分析して算出しています。

不動産投資で大規模修繕をする際のポイント

不動産投資において大規模修繕をする際のポイントは以下の通りです。

修繕計画を立てる

大規模修繕を行う前に、修繕計画を立てることが必要です。

修繕計画には、修繕箇所や費用、工期などが含まれます。計画を立てることで、修繕の範囲や費用を把握し、予算やスケジュールを確保することができます。

専門業者に依頼する

大規模修繕は、専門的な知識や技術が必要なため、専門業者に依頼することが重要です。

業者選びは慎重に行い、実績や評判、費用などを比較し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

積立金を確保する

大規模修繕費用は高額なため、積立金を確保することが必要です。

積立金は、入居者からの管理費や修繕積立金などから充当します。

積立金の不足は、修繕工事の遅延や資金調達の問題を引き起こす可能性があるため、定期的な点検と積立金の適切な管理が必要です。

入居者への説明と配慮

大規模修繕工事は、入居者にとっても影響があるため、事前に説明を行い、配慮をすることが必要です。

工事期間中は騒音や振動などが発生するため、入居者に対しては工事のスケジュールや影響範囲などを十分に説明することが大切です。

大規模修繕工事でよくある質問

Q

大規模修繕工事の期間はどのくらいかかりますか?

A

大規模修繕工事の規模や建物の状態によりますが、およそ3ヶ月〜4ヶ月程度かかることが多いです。

Q

工事中の生活にどんな影響がありますか?

A

足場の設置やメッシュシートで覆うため、室内が少し暗くなることがあります。また、塗装や防水作業時には洗濯物が干せないなどの制限があります。

Q

バルコニーやベランダの利用はどうなりますか?

A

バルコニーやベランダの壁面塗装や床面の防水作業時には、使用が制限されることがあります。

Q

工事期間中、エアコンは使えますか?

A

基本的には通常通り使用できますが、場合によっては一時的に使用が制限されることもあります。

Q

大規模修繕での工事の騒音や臭気はどうなりますか?

A

塗装の臭気やドリルの騒音、粉塵などが発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。

Q

大規模修繕工事に対する費用が不足する場合はどうすればよいでしょうか?

A

できるだけ早い時期に長期修繕計画に基づき積立金を見直し、資金不足にならないようにするのが最善です。実際に資金が足りないことが判明した場合には、時期をずらしたり、工事の範囲を見直したり、一時金の徴収や借入の可能性を探ったりと、様々な方法で計画を調整できます。ご予算に応じて資産価値を損なわないベストなプランをご提案いたします。

Q

修繕工事の前に現地調査が必要なのはなぜですか。どういうことを行うのですか?

A

築年数、周囲の環境や場所によって劣化の度合いは異なりますので、各部の劣化状況を把握し、適切な修繕方法を見極めるためには現地調査が欠かせません。外壁タイルの浮きやコンクリートの中性化、鉄部の錆など、部位ごとに幅広くチェックします。

Q

大規模修繕工事の費用相場は一般的にいくらですか?

A

大規模修繕工事の費用について一般的な相場としては、1戸あたり約100万円前後が目安です。マンション全体の規模が大きい場合には、修繕費用が1億円を超えることもあります。また、マンションの劣化が激しい場合や、質の高い塗装を希望する場合には、さらに費用が高くなることがあります。

まとめ

ここまで、不動産投資における大規模修繕の以下の内容について解説してきました。

  • 不動産投資における大規模修繕の必要性
  • 大規模修繕の周期と修繕計画
  • 大規模修繕の工事内容と工事金額
  • 大規模修繕の費用と修繕積立金の相場

また、不動産投資で大規模修繕をするポイントは、修繕計画をしっかり立てて、信頼できる業者を選び、積立金の確保と適切な管理、そして入居者への説明と配慮が必要です。

以上の内容をふまえて、マンションの資産価値を維持し、大規模修繕に備えましょう。

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