分譲マンションの大規模修繕を考えている人
分譲マンションの大規模修繕は何年ごとに行う?
分譲住宅に行う大規模修繕の費用はいくら?目安は?
分譲賃貸のメンテナンス時期はいつ?
近年東京をはじめとした関東地域や、都市部での分譲マンションの人気が高まっています。
分譲マンションは住宅設備や共有部分のグレードが高く、セキュリティー対策も万全なため、安心して快適な生活が実現します。
中には投資を目的として、分譲マンションを購入したいと考えている方もいるのではないでしょうか。
魅力的な分譲マンションですが、快適な住空間を維持するために定期的な修繕が必要となります。
今回は分譲マンション購入後に必要な大規模修繕、中規模修繕、小規模修繕の内容と、その費用や時期についてまとめています。
目次
分譲マンション修繕の種類と内容と違い
分譲マンションの修繕とはいったいどんなものがあるのでしょうか。
大規模修繕という単語を耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
工事の種類や内容によって、大規模修繕・中規模修繕・小規模修繕に分類することができます。
それぞれの修繕の目的や具体的な工事内容をまとめています。
分譲マンションの大規模修繕の内容
大規模修繕という言葉は、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
建物は月日の経過に伴い、劣化がすすんだり設備に不具合が見つかったりすることは避けられません。
それは頑丈なコンクリート造りの分譲マンションであったとしても同様です。
分譲マンションの場合、占有部分と共有部分があります。
その共有部分に行われるのが大規模修繕です。
下記の2つが主な目的となります。
- 景観や機能の回復し、安全で快適な住環境を維持すること
- マンションの資産価値を維持・向上させること
住環境を整えるのはもちろんのこと、定期的に大規模修繕をすることで20年後、30年後の資産価値に大きく関わってきます。
具体的にどのような工事をするかというと、
- 外壁の補修・修繕
- タイル補修
- 屋上・バルコニーなどの防水工事
- エントランスや廊下など共有部分の修繕や塗装
- シーリング工事
- 自動ドアやエレベーターなど大型設備の部品交換や入替
などが代表的です。
外壁の修繕などはマンション全体に足場を組む必要があるため、大掛かりな修繕工事となります。
分譲マンション全体にメッシュシートが貼られ、洗濯物が干せなかったりバルコニーの荷物を移動させる必要があったり、住民の生活にも影響を及ぼします。
マンションの状態や予算、長期修繕計画などにより、実際に行われる工事内容は変わってきます。
分譲マンションの中規模修繕の内容
大規模修繕に対して、中規模修繕とはどういったものでしょうか。
中規模修繕の工事内容は、大規模修繕とあまり変わりません。
大規模修繕で一度に行う工事を分割して、複数回に分けて行うのが中規模修繕です。
これにより余裕をもって修繕費用が準備できたり、不要な工事は先延ばしにすることができ、修繕費を抑えることも可能になります。
分譲マンションの小規模修繕の内容
分譲マンションにおける小規模修繕とよばれるものは、マンションの共有部分における軽微な修繕を指します。
例えば、
- 共有部分の電気設備や防災設備の交換・修理
- エントランスや廊下など共有部の軽微な修繕
- 雨漏りや水漏れの対応
- 自然災害等による破損等の修繕
などがあります。
しかし、小規模修繕には決まった定義があるわけではありません。
大規模修繕で行わない細かな修繕はすべて小規模修繕と呼ばれることになります。
分譲マンション修繕工事の時期と費用目安
修繕費用の目安
分譲マンションの修繕工事には実際どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
下記に示したのは、主に大規模修繕・中規模修繕の費用に充てられる修繕積立金の目安金額です。
年 | 1㎡あたりの修繕積立金 | 70平米の場合 |
---|---|---|
1年目〜5年目 | 130円 | 9,100円 |
6年目〜10年目 | 180円 | 12,600円 |
11年目〜15年目 | 240円 | 16,800円 |
大規模修繕を1回行うのに、1戸あたり100万円が相場と言われています。
修繕積立金は同じ分譲マンション内でも占有面積によって変わってきます。
注目したいのは修繕積立金は年月の経過に伴い徐々に値上げされることです。
新築時に販売しやすくするために、修繕積立金は安く設定されていることが多く、当初の金額のままでは修繕費が不足してしまうからです。
値上げしても不足してしまう場合には、大規模・中規模修繕前に一時金として修繕費を請求されることも少なくありません。
各マンションの建物の状況や戸数、求めるグレードによっても大きく数字が変わる可能性がありますので、長期修繕計画を十分理解しておくことが大切です。
これ以外にも小規模修繕が必要に応じて行われることになります。
小規模修繕の費用については、月々の管理費から支払われることが多いようです。
また占有部分のリフォームや室内設備の修繕については、別途個人で行うことになりますので、そのための費用も準備しておく必要があります。
分譲マンション大規模修繕工事で外壁塗装の単価相場は戸当たりいくらかかるのか
分譲マンションでも頻繁に行われる外壁塗装の費用は、建物の規模や工法、足場の設置条件などによって大きく変わります。一般的な費用相場は、規模別で以下の通りです。
規模 | 総工事費用目安 | 1戸あたりの費用 |
---|---|---|
小規模(20戸程度) | 2,000~2,500万円 | 100~125万円 |
中規模(50戸程度) | 4,000~5,000万円 | 80~100万円 |
大規模(100戸以上) | 8,000万~1億円 | 80~90万円 |
工事の規模によって、材料や人材などかかる金額は大きくなります。大規模修繕工事を行う場合は、8,000万以上かかるケースもあるため、事前に計画的な費用の準備が必要です。
分譲マンション大規模修繕工事の外壁塗装における費用割合の目安
外壁塗装といっても多くの作業工程があり、それに合わせて発生する費用も異なります。一般的な外壁塗装のおおまかな工事費用は、以下の項目で構成されています。
項目 | 費用割合 |
---|---|
仮設費(足場代) | 25~30% |
材料費 | 20~25% |
人件費 | 35~40% |
諸経費 | 10~15% |
ただし、これらの費用は建物の立地条件や工事の難易度、同時に行う補修工事の有無などによって変動します。特に以下の場合は、追加費用が発生する可能性があります。
- クラック(ひび割れ)補修が必要な場合
- 高層マンションで特殊な足場が必要な場合
- シーリング打ち替えが必要な場合
- 外壁タイルの補修が必要な場合
そのため、正確な費用は専門業者による現地調査をもとに、詳細な見積りを取得することが重要です。
分譲マンション修繕工事の適した時期について
大規模修繕は12年周期というのが一般的な考え方です。
近年では耐久性に優れた塗料や、さまざま高い機能を持った資材も開発され、建築技術も向上しています。
そのため12年周期という考え方を見直す動きもありますが、現在のところはまだ12〜15年程度を目安に行っているマンションが多いようです。
大規模・中規模修繕は基本的に長期修繕計画に基づいて行われますが、小規模修繕に関しては管理組合での話し合いのもと、必要に応じて行われています。
大規模修繕工事でよくある質問
Q
大規模修繕工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
大規模修繕工事の規模や建物の状態によりますが、およそ3ヶ月〜4ヶ月程度かかることが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
足場の設置やメッシュシートで覆うため、室内が少し暗くなることがあります。また、塗装や防水作業時には洗濯物が干せないなどの制限があります。
Q
バルコニーやベランダの利用はどうなりますか?
A
バルコニーやベランダの壁面塗装や床面の防水作業時には、使用が制限されることがあります。
Q
工事期間中、エアコンは使えますか?
A
基本的には通常通り使用できますが、場合によっては一時的に使用が制限されることもあります。
Q
大規模修繕での工事の騒音や臭気はどうなりますか?
A
塗装の臭気やドリルの騒音、粉塵などが発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。
Q
大規模修繕工事に対する費用が不足する場合はどうすればよいでしょうか?
A
できるだけ早い時期に長期修繕計画に基づき積立金を見直し、資金不足にならないようにするのが最善です。実際に資金が足りないことが判明した場合には、時期をずらしたり、工事の範囲を見直したり、一時金の徴収や借入の可能性を探ったりと、様々な方法で計画を調整できます。ご予算に応じて資産価値を損なわないベストなプランをご提案いたします。
Q
修繕工事の前に現地調査が必要なのはなぜですか。どういうことを行うのですか?
A
築年数、周囲の環境や場所によって劣化の度合いは異なりますので、各部の劣化状況を把握し、適切な修繕方法を見極めるためには現地調査が欠かせません。外壁タイルの浮きやコンクリートの中性化、鉄部の錆など、部位ごとに幅広くチェックします。
Q
大規模修繕工事の費用相場は一般的にいくらですか?
A
大規模修繕工事の費用について一般的な相場としては、1戸あたり約100万円前後が目安です。マンション全体の規模が大きい場合には、修繕費用が1億円を超えることもあります。また、マンションの劣化が激しい場合や、質の高い塗装を希望する場合には、さらに費用が高くなることがあります。
まとめ
都心を中心に人気の高い分譲マンションの修繕についてまとめました。
- 大規模修繕・中規模修繕・小規模修繕がある
- 大規模修繕は12〜15年に一度を目安に行われる大掛かりな工事で、外壁や屋上などの共有部分に対して行われる
- 中規模修繕は5年程度を目安に、大規模修繕を分割して行うという考え方
- 小規模修繕は、大規模修繕に該当しない細かな修繕や設備の修理や交換を指し、必要に応じて行われる
- 大規模修繕は修繕積立金から、小規模修繕は管理費から支払われることが多い
分譲マンションにお住まい、購入された方であれば、修繕について自分ごととして十分に理解しておきましょう。