6 min

防水工事とはどんな目的でやるの?種類ごとの費用や修繕のメリットなどを紹介

建物の長寿命化や快適な生活環境の維持には、適切な防水工事が不可欠です。しかし、防水工事には多様な種類があり、建物の屋上、屋根、その他の箇所によって最適な工法が異なるため、選択に迷う方も少なくありません。

防水工事の目的は、雨水や湿気から建物を守り、構造体の劣化を防ぐことです。アスファルト防水をはじめとする様々な工法があり、それぞれに特徴やメリット、耐用年数が異なります。また、新築時の施工だけでなく、リフォームや修繕の一環としても重要な役割を果たします。

本記事では、防水工事の代表的な種類と特徴を解説するとともに、施工場所別の最適な防水工法を紹介します。さらに、防水工事後のメンテナンスの重要性や、定期的な点検が必要な理由についても触れ、建物オーナーや管理者の方々に役立つ情報をお届けします。

防水工事とは

防水工事と聞くと、「水周りの工事」というイメージを持つ方も多いかもしれません。

防水工事とは、建物内への雨水の侵入を防ぐ工事のことをいいます。防水工事の必要性、工事をしなかった場合のリスクから見ていきましょう。

防水工事とは?工事の必要性

防水工事とは、建物を雨水や湿気から守るために行われる重要な工事です。屋上や外壁、バルコニー、地下部分など、水が浸入しやすい箇所を対象に施工され、建物内部への水分侵入を防ぐ役割を果たします。防水性能が低下すると、雨漏りや天井・壁のシミ、内部構造の腐食などが発生する可能性が高まり、放置すると建物全体の劣化が進む原因になります。また、湿気によるカビの発生や空気の質の悪化は、住む人の健康にも悪影響を及ぼします。

防水工事の必要性は、建物の長寿命化や資産価値の維持に直結します。定期的な防水工事を行うことで、劣化の進行を防ぎ、修繕コストの増大を抑えることが可能です。また、快適で安全な生活環境を保つためにも、建物の防水状態を定期的に点検し、必要に応じて工事を行うことが推奨されます。防水工事は単なるメンテナンスではなく、建物の未来を守るための投資とも言える重要な取り組みです。

雨漏り・水漏れによる二次被害とは|防水工事で対策

雨漏りや水漏れが発生した場合、すでに建物の内部まで水害が及んでいる可能性があり、これが二次被害の原因となります。

例えば、建物を支える梁や柱の腐食、シロアリの発生、カビの発生、漏電などです。

建物の腐食やシロアリは、耐久性を著しく低下させます。

耐久性が低下した状態で大きな地震が起きれば、ドアが開かなくなったり床が抜けたり、最悪の場合は建物が倒壊する危険性もあるでしょう。

また、室内にカビが生えれば、アレルギーやアトピー性皮膚炎の原因にもなります。

小さな子どもや年配の方がいる家庭は、特に注意が必要です。

さらに、水は電気を通すため、漏電が原因の家電製品の破損や、最悪の場合は火災につながる危険性もあります。

シロアリの発生、カビの発生などの被害は建物だけではなく、建物に住む人間にも影響を及ぼすことを理解しておきましょう。

防水工事は建物の寿命を守るだけではなく、建物に住むすべての人の健康を守るものでもあります。

防水工事の種類

防水工事といっても、目的や構造の種類によって様々な工法や材料があります。

防水工事の種類と、それぞれの特徴を紹介します。

防水工事の種類1.シート防水

シート防水とは、塩化ビニールやゴムなどの防水シートを工事現場に固定する防水工事の一種です。

シートを上から貼るため下地の影響を受けずに施工でき、耐久性に優れ、耐用年数は10~15年と他の防水工事に比べて比較的長いことも特徴です。

また、1度に広い面積をムラなく均一に施工できるため、工期が短縮できるというメリットもあります。

新築や改築だけではなく、ビルやマンションなどの建築物にもよく使われている防水工事の種類です。

防水工事の種類2.アスファルト防水

アスファルト防水は、アスファルトルーフィングシートと呼ばれる防水シートを貼り合わせます。

防水工事の特徴として大正時代から施工されており、最も歴史が長い防水工事の種類です。

防水性・耐水性が高いことから、現在でも広く使用されています。

なお、アスファルト防水の工法のなかでも、熱工法は施工の際にアスファルトを溶融するため、臭いの発生に注意が必要です。

また、状況によっては火が燃え移るリスクもあり、施工時に周辺の状況を十分に確認しなければなりません。

防水工事の種類3.塗膜防水

塗膜防水とは、近年主流となりつつある防水工事の一種で、施工箇所に液状の材料を何層にも塗り重ねます。

密着性が非常に高いためひび割れしにくく、改修時の塗り替えも可能です。

塗膜防水工事は、主にウレタン防水とFRP防水が挙げられます。

ウレタン防水

マンションに雨水が浸入しないように施す防水工事であり、液体のウレタン樹脂を重ね塗りします。液体状の素材を重ね塗りすることから、継ぎ目がなく滑らかな仕上がりになることが特徴です。

FRP防水

コンクリートや木材の上にFRPシートを敷き、上から樹脂を塗り硬化させる方法です。

樹脂が硬化した後は、プラスチックと同等の硬い状態になります。

ただし、紫外線の影響を受けやすいため、上に防水トップコートを重ね塗りしなければなりません。

FRP防水は、マンションのバルコニー、屋上などで使用されています。

防水工事の種類4.透湿防水

透湿防水とは、コンクリートの表面に透水性の高い材料を塗布する防水工法のことです。

材料は毎回決められた配合で混合され、ケイ酸系、無機系などがあります。

混合した材料をコンクリートに塗布することで、微細な隙間に浸透し、コンクリート自体の防水機能を高める方法です。

また、コンクリートの劣化やひび割れを防ぎ、建物の耐久性を高める効果もあります。

さらに、溶剤を使用しないため、良好な作業環境で施工が可能です。

主にコンクリート構造物に適用され、地下や内外壁、屋上、エレベーターピット、貯水槽などに多く使用されています。

防水工事における防水工法の種類

防水工法にもいくつかの種類があり、マンションやアパート、建物の状況に合わせて選ぶ必要があります。

適した工法を選ぶためにも、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

下地の影響を受けにくい防水工事|通気緩衝工法

通気緩衝工法は、防水層と下地の間に通気層を設けることで、コンクリート下地から発生する湿気や水分の影響を防ぐ防水工法です。

  • 特徴:下地の湿気が防水層に悪影響を与えるのを防ぐため、雨漏りや膨れのリスクを軽減できます。特に、湿気がこもりやすいコンクリート下地に最適な工法です。
  • 耐久性:下地からのダメージが少ないため、他の工法よりも防水層が長持ちします。
  • 用途:湿度の高い環境や、大規模修繕時に耐久性を重視する建物に多く採用されています。

通気緩衝工法より安価な防水工事|密着工法

密着工法は、コンクリートの下地にウレタン樹脂を直接密着させる防水工法です。

  • 特徴:材料が直接密着するため、施工が比較的簡単で、コストを抑えやすいのがポイントです。
  • 注意点:一方で、下地の湿気や膨張収縮の影響を受けやすく、耐久性においては通気緩衝工法が優れています。短期的なコスト重視の場合に適した選択肢です。

金具を使った防水工事|機械的固定工法

機械的固定工法は、固定ディスクと呼ばれる金具を使用してシートを下地に固定する防水工法です。

  • 特徴:コンクリート下地の湿気や膨張収縮の影響を受けにくい点が大きなメリットです。ウレタン防水の通気緩衝工法と同様に、下地の状態に左右されにくい設計が可能です。
  • 注意点:耐風圧強度がそれほど高くないため、風が強い地域や高層建築では注意が必要です。

熱したアスファルトを使う防水工事|熱工法

熱工法は、アスファルトを高温で溶かして流し込む伝統的な防水工法です。

  • 特徴:信頼性が高く、防水効果の持続性に優れています。特に、大規模施設で採用されることが多い工法です。
  • 注意点:施工時に発生する臭気や煙が近隣住民に影響を及ぼす場合があり、近年ではトーチ工法冷工法が主流となっています。

においの問題をクリアした防水工事|冷工法

冷工法は、アスファルトルーフィングに接着剤を用いて接着する常温接着工法です。

  • 特徴:熱を使用しないため、臭気や煙が発生せず、環境や職人に優しい工法です。施工時の負担が少なく、マンションや住宅密集地などでも利用しやすいのが魅力です。
  • 環境性:施工時の環境負荷が低く、エコ意識が高まる現在では注目されています。

トーチ工法は、アスファルトルーフィングの裏面をバーナーで加熱して接着する工法です。

  • 特徴熱工法に代わる新しい選択肢として広まり、臭いや煙がほとんど発生しないため、多くのマンションやビルの修繕工事で採用されています。
  • 安全性:バーナーを使用するため施工技術が求められますが、施工後の仕上がりは安定して高品質です。

防水工事の選び方|場所別

建物の立地条件や状態によって、適した防水工事は異なります。

ここでは、防水工事を行う場所別の適した方法を紹介します。

大規模マンションの陸屋根の防水工事

RC造の大規模マンションでは、アスファルト防水を選ぶケースが多いです。

しかし、アスファルト防水は、既存の防水層がアスファルト防水の場合にのみ選択できます。

例えば、ウレタン防水の層にアスファルト防水工事を行うと、アスファルトの重さでマンションの躯体に負荷がかかり、耐久性が低下するため注意が必要です。

ただし、以下のようなケースではアスファルト防水を選べることがあります。

最初に造られた防水層がアスファルト防水→2回目の防水工事でウレタン防水を選択→3回目でアスファルト防水

上記のような工事の流れであれば、アスファルト防水を選択できることがあります。

そのため、既存の防水層の確認、施工業者と相談のうえ、工事の種類を選びましょう。

ベランダの防水工事

ベランダは屋根に比べて面積が小さく、形状も複雑な場合が多いため、ウレタン防水かFRP防水をおすすめします。

基本的にはウレタン防水で問題ありませんが、ベランダでBBQやガーデニングをする場合は耐久性の高いFRP防水を選択した方が良いでしょう。

陸屋根の防水工事

水平な陸屋根には、塩ビ樹脂シート防水が有効です。

塩ビ樹脂系は安価で、紫外線や熱に対する耐久性に優れています。

さらに、基本的にメンテナンスが不要で耐用年数も長いため、コストパフォーマンスに優れているといえるでしょう。

信頼できる防水工事業者の選び方

防水工事はプロに依頼し、適した工事・工法を選択することが大切です。

しかし、防水工事や外壁塗装を依頼したくても、どのような専門業者に頼めば良いのか迷ってしまうでしょう。

そこで、信頼できる防水工事業者の選び方、チェックポイントを紹介します。

防水工事後のアフターフォローの内容

防水工事の仕上がりだけではなく、アフターフォローが充実しているかどうかも非常に重要です。

1度建てた建物の耐用年数は約50年ですが、防水は10~20年ごとに更新しなければなりません。

定期的なメンテナンスの有無、建設後にどのようなサービスが受けられるかを事前に話し合い、より包括的なサービスを提供する業者を選びましょう。

防水工事業者のレビュー

価格やサービスが魅力的な業者でも、施工品質が低い会社には防水工事を任せられません。

防水工事業者を選ぶ際の参考にしたいのが、施工実績や口コミです。

レビューや口コミを見れば、業者が実際にどのような建物の防水工事を行ったのかを確認できます。

虚偽の口コミがないとは言い切れませんが、良い口コミも悪い口コミも確認し、総合的に判断することが大切です。

防水工事業者の実績

過去に、どのような建物を手掛けたことがあるのか確認しましょう。

特に、マンションの防水工事を依頼する場合は、同様の大規模工事の実績があるか確認することが重要です。

見積もり金額の妥当な防水工事であるか

見積を依頼した際に、詳細が明記されているかを必ず確認します。

見積書に「一式」の文字と、金額しか記載されていない業者も珍しくありません。

防水工事は、建物や使用する材料によって工事内容が異なります。

見積もりの記載が「一式」ではなく、使用する材料や工事工程を詳しく説明してくれる業者を選びましょう。

防水工事でよくある質問

Q

防水工事の種類にはどんなものがありますか?

A

主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。

Q

防水工事の費用はどのくらいかかりますか?

A

工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。

Q

工事の期間はどのくらいかかりますか?

A

工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。

Q

工事中の生活にどんな影響がありますか?

A

騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。

Q

防水工事のタイミングはいつが良いですか?

A

一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。

施工部位に適した防水工事の種類や工法を選ぼう

防水工事には、ウレタン防水、アスファルト防水など、工事と工法にいくつかの種類があります。

施工したい場所の面積や形状、用途に応じて最適なタイプを選ばなければなりません。

また、金額の目安はありますが、実際の金額は状況によって変わります。

優良業者や実績がある業者に依頼し、適正価格で質が高い防水工事をしてもらいましょう。

関連記事
公式サイト
施工実績344件突破!WEB割キャンペーン実施中!