ベランダの防水塗装は、長期間にわたってベランダを保護するために必要な工事ですが、費用が気になるところですよね。
そこで、この記事ではベランダの防水塗装にかかる費用相場と、費用を抑える方法を紹介します。
ベランダの床面積や塗装の種類によって費用が異なるため、事前に把握しておくことが大切です。
また、費用を抑える方法もあわせてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ベランダにおける塗装工事は2種類
ベランダの塗装工事には、外壁塗装と防水塗装の2種類があります。
外壁塗装と防水塗装は、それぞれ役割が異なります。
外壁塗装は住宅の外壁材を紫外線や雨水から保護し、美しさを維持するための塗装です。
外壁材に塗料を塗ることで、新品同様の美しい外観を維持することができます。
一方、防水塗装はベランダや屋上の床を保護するための塗装です。
雨水から床を守るため、防水塗料を塗ることで劣化や腐食を防止し、長期間効果が続きます。
ちなみに、外壁塗装と防水塗装はそれぞれ担当業者が違うのでご注意ください。
ベランダの防水塗装の種類と費用相場
ベランダの一般的な床面積の広さを4平方メートルから10平方メートルとした場合、防水塗装の費用相場は5万円から30万円とされています。
ベランダの防水塗装は、一般的に以下の3種類が挙げられます。
- ウレタン防水
- FRP防水
- トップコート
それぞれの費用相場について、以下の表にまとめて解説していきます。
防水塗装の種類 | 単価相場 | 費用相場 | |
ウレタン防水 | 密着工法 | 約4,000円〜6,000円 | 約8万円〜12万円 |
通気緩衝工法 | 約5,500円〜8,000円 | 約12万円〜18万円 | |
FRP防水 | 約5,000円〜8,000円 | 約10万円〜15万円 | |
トップコート | 約1,000円〜2,500円 | 約2万円〜5万円 |
ウレタン防水
ウレタン防水は、塗膜防水の一種で、下地部分に防水材を2〜3回重ねて塗装する工法です。
ウレタン防水の工法は、密着工法と通気緩衝工法の2種類に分類され、施工箇所に雨漏りがない場合は密着工法、雨漏りがある場合は通気緩衝工法が使われています。
通気緩衝工法は、ウレタン防水材の塗布と通気緩衝シートや脱気筒を設置して、防水層内部に溜まる湿気を外に逃しています。
メリットとしては、施工がシンプルで継ぎ目や剥がれの心配がなく、費用も比較的安いです。
デメリットとしては、施工が専門的な技術を要し、乾燥時間がかかるため天候に左右されやすいです。
FRP防水
FRP防水工事は、新規で防水層を形成する場合や、下地がモルタルなどの場合に行う防水方法です。
FRPとは樹脂やガラスを混ぜた繊維強化プラスチックのことで、耐久性が強化されています。
メリットとしては、施工期間が短く、軽量で劣化の目立つ住宅でも施工できることが挙げられます。
デメリットとしては、費用が高く、伸縮性が低く、紫外線に弱いことです。
長時間紫外線を浴び続けると、ひび割れてしまうこともあります。
トップコート
トップコートは、ベランダの床に施工された防水層を保護するための塗料です。
トップコートによって防水層は紫外線や摩耗から守られます。
ただし、トップコートは保護材であり、防水機能はないので注意が必要です。
劣化が少ない場合はトップコートの塗り替えだけで十分な場合もあります。
トップコートの種類は、ウレタン防水、FRP防水、ゴムシート防水で施され、防水材の種類によってトップコートを塗装する費用も変わります。
ベランダ防水塗装の費用内訳
防水塗装に必要な作業と費用内訳は、以下の通りです。
具体的な作業内容は、現場の状況や施工業者の方針によって異なります。
詳細については、業者に確認しましょう。
作業内容 | 単価相場 |
高圧洗浄 | 約200円〜300円/㎡ |
下地処理 | 約200円/㎡ |
下地補修(必要な場合のみ) | 約200円〜300円/㎡ |
改修用ドレンの設置 | 約15,000円/箇所 |
防水材の塗装(トップコート除く) | 約4,000円〜8,000円/㎡ |
脱気筒の設置(通気緩衝工法の場合) | 約10,000円〜12,000円/箇所 |
発生材処分費 | 約10,000円〜30,000円/式 |
管理費 | 約10,000円〜30,000円/式 |
諸経費(荷下ろしなど) | 約10,000円〜30,000円/式 |
足場の設置・撤去 | 約700円〜900円/㎡ |
ベランダの防水塗装が必要な劣化症状
ベランダに以下のような劣化症状が見られたら、防水塗装が必要です。
以下の表は、ベランダで一般的に起こる症状とその対処法についてまとめています。
劣化症状 | 対処法 |
チョーキング現象 | トップコートの塗り直し |
防水層の摩耗 | |
カビやコケの発生 | |
防水層のひび割れ | 防水層の塗り直し |
防水層の浮き・膨れ | |
防水層の剥がれ | |
水たまりができる | |
雨漏りの発生 | 早急な修理が必要 |
チョーキング現象とは、防水層の表面に白い粉がふいている劣化症状です。
ベランダで起こりうる劣化症状を挙げてきましたが、トップコートの塗り直しで対処できる場合も結構あります。
ちなみに、トップコートは5年ごとに塗り替えることが推奨されています。
また、防水層の塗り直しは、下地の状態をしっかり確認することが重要です。
下地は防水層の下部にあるので、見落としやすい箇所でもあります。
下地部分がひび割れているなど、劣化してしたら補修して防水層の塗り直しという流れになります。
ベランダの防水塗装はDIYできるか
ベランダの防水塗装は専門的な技術が必要なため、DIYで行うことはおすすめしません。
施工方法や塗料の選定、下地処理などが正確に行われないと、十分な防水効果が得られない場合や施工不良によるトラブルが発生する可能性があるからです。
ただし、トップコートの塗り替え程度であれば素人でも可能かもしれません。
トップコート以外の防水工事は専門業者に依頼することをお勧めします。
ベランダ防水塗装の流れ
ここでは、トップコートとウレタン防水、FRP防水の流れについて解説します。
一般的な作業の流れは以下の通りです。
トップコート塗装
トップコートの流れは、以下の通りです。
- 防水層の洗浄
- 下塗り(プライマー)
- 上塗り(トップコート)
高圧洗浄で防水層の汚れを洗い流した後、下塗り、上塗りの順で塗装します。
既存のトップコートに新しく塗装する場合でも、下塗りすることでトップコート密着性が高まります。
ウレタン防水塗装
ウレタン防水塗装の流れは、以下の通りです。
- 防水層の洗浄
- 下地処理
- 下塗り(プライマー)
- 中塗り(ウレタン防水)
- 上塗り(トップコート)
ウレタン防水塗装では、下地処理がとても重要です。
下地処理をしっかり行うことで、仕上がり具合が全然違います。
基本的に3回に分けて塗っていきますが、防水層の厚みを出したい場合は、中塗りを2回行う場合もあります。
FRP防水塗装
FRP防水塗装の流れは、以下の通りです。
- 防水層の洗浄
- 下地処理
- ガラスマット貼り付け(一層目)
- ガラスマット貼り付け(二層目)
- 上塗り(トップコート)
FRP塗装の場合は、下地がモルタルの場合によく使われます。
下地にガラスマットを貼り付け、防水層を形成していく方法です。
ベランダ防水塗装の費用を抑える方法
ベランダ防水塗装の費用を抑える方法をご紹介します。
複数の見積もりを取って比較する
複数の業者から見積もりを取ることを相見積もりと言います。
複数の業者から相見積もりを取り、価格やサービス内容を比較しましょう。
競争力のある価格を提供している業者を選ぶことで費用を抑えることができます。
自分でできる範囲のみDIYで行う
自分でできる範囲をDIYで行うことによって施工費用を節約することが可能。
ただし、下地処理などは正確な処理が必要なため、自信がない場合は専門業者に依頼することをおすすめします。
部分的な塗装を選ぶ
ベランダ全体ではなく、特定の範囲や問題箇所のみを塗装することで費用を抑えることができます。
防水効果が必要な部分を重点的に施工することで、防水効果も高まり施工費用も安く抑えられるでしょう。
長持ちする塗料を選ぶ
耐久性の高い塗料を選ぶことで、塗り替えの頻度を減らすことが可能です。
ウレタン防水の耐用年数は8年から10年、FRP防水の耐用年数は10年から13年とされています。
長持ちする塗料を選ぶ分、初期費用は高くなるかもしれませんが、長期的に見れば経済的です。
定期的なメンテナンスを行う
定期的なメンテナンスを行うことで、劣化や損傷を早期に発見し修復することができます。
定期的なメンテナンスの予防的なケアによって、大規模な修繕費用を避けることができるのです。
将来的なことを考えれば、メンテナンスを怠らないことが賢明な判断であると言えるでしょう。
防水工事でよくある質問
Q
防水工事の種類にはどんなものがありますか?
A
主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。
Q
防水工事の費用はどのくらいかかりますか?
A
工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。
Q
工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。
Q
防水工事のタイミングはいつが良いですか?
A
一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。
まとめ
ここまで、ベランダ防水塗装の費用相場について解説してきました。
ベランダの防水塗装には、ウレタン防水、FRP防水、トップコートの3種類があります。
床面積の広さによって費用相場は異なりますが、一般的に5万円から30万円とされています。
防水塗装に必要な作業と費用内訳は、高圧洗浄、下地処理、下地補修、防水材の塗装、脱気筒の設置、足場の設置・撤去などがあります。
また、ベランダの防水層にひび割れなどの劣化症状が見られた場合は早めの対処が必要です。
適切な処置をすることで、最終的には施工費用を安く抑えることも可能になるでしょう。