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アスファルトシングル葺き屋根の防水・改修工事を解説|耐久性はどれくらい?

アスファルトシングル葺き屋根の防水工事を知りたい人

アスファルトシングル葺き屋根の防水工事を知りたい人

アスファルトシングル葺き屋根に防水工事は必要?
アスファルトシングルと不熱シングルとは?
アスファルトシングル葺き屋根の改修方法は?
アスファルトシングル屋根材の耐久性はどれくらい?

建物の屋根は、定期的な防水改修工事が欠かせません。特にマンションなどの大型建築物では、適切な修繕計画が重要です。人気の高いアスファルトシングル葺きも例外ではなく、適切なメンテナンスが寿命を左右します。

屋根の劣化は雨漏りの原因となるため、早めの対策が必要になるだけでなく、シート防水やウレタン防水などの様々な防水工法から、最適な工事を選ぶことが重要です。

本記事では、アスファルトシングルの特徴と、その改修方法や費用について詳しく解説します。建物の大切な屋根を長持ちさせるために、効果的な防水改修工事の知識を身につけましょう。

目次

防水改修工事の基礎|アスファルトシングル葺き屋根とは

アスファルトシングル葺き屋根とは、アスファルトシングルという厚さ4〜6㎜のシート状屋根材でできた屋根で、デザイン性が高く、防水性が高いことが特徴です。

カナダやアメリカでは一般的な屋根として普及しており、普及率は80%、もしくはそれ以上、といわれているようです。

一方の日本では2007年の建築基準法の改正で使用することが認められ、現在の普及率は3〜5%といわれています。

アスファルトシングル葺き屋根についてさらに詳しく知るためにも、アスファルトシングルそのものについて紹介します。

アスファルトシングルとは

アスファルトシングルは、ガラス基材にアスファルトを浸み込ませ、石粒をコーティングした素材です。

カナダで100年以上前に開発され、北米ではシェア率が高いものの、現段階では日本で普及しているとはいえません。

しかし、耐久性に優れており、防水効果があること、軽量なことから、近年注目を集めています。

塗り替えの際も防水性のあるアクリルゴム系防水塗料(アロンSQ工法)でリフォームすれば、長期の防水性が得られるでしょう。

防水改修工事の基礎|アスファルトシングル葺き屋根のメリット

アスファルトシングル葺き屋根のメリットにはどのようなものがあるのか、みていきましょう。

防水性・防音性に優れている

アスファルトシングル葺き屋根のメリットは、防水性・防音性に優れているところが大きいでしょう。

アスファルトシングルは、仕上げ材に防水シートが使われている屋根材です。そのため、防水保証が10年から30年の商品が多数販売されています。

アスファルトシングル葺き屋根はアスファルトシングルを専用の接着剤を使用して貼り付けるので、極力穴を空けずに施工が可能なことも防水性が高く評価されている理由の一つだといえます。

ただ、前述でも述べたように、アスファルトシングルを扱える業者はそう多くはなく、屋根の形状によっては釘を多く打たなければいけない場合もあるので、扱い慣れた業者に施工を依頼することは大切です。

また、アスファルトシングルの表面にはほとんどの場合、表面に天然石が施されています。

表面の天然石が緩衝材となり、雨音を吸収してくれ、防音効果を得られます。

軽量で耐震性がある

アスファルトシングルは、1㎡あたりの重量が9㎏~12㎏と、軽量です。

例えば、一般的な屋根瓦は1㎡あたり45㎏~60㎏、スレート屋根は18㎏~21㎏と、他の屋根と比べるとかなり軽量なことが分かります。

屋根に重量が掛かると地震の揺れの負担が家全体に大きく掛かり、耐震性に不安がありますが、アスファルトシングルは軽量なのでその点は安心です。

また、落下による被害も軽量なので少ないことが考えられます。

防水改修工事の基礎|アスファルトシングル葺き屋根のデメリット

アスファルトシングル葺き屋根は地震の多い日本において、安全面で大きなメリットがありましたね。

また、屋根の大きな役割である防水性に優れている点は大きなポイントでした。

ではアスファルトシングル葺き屋根にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

表面の石が剥がれる

アスファルトシングルは4~6㎜の薄いシートのガラス基材にアスファルトを浸み込ませ、石粒をコーティングした素材です。

コーティングされた石粒が、強風や経年劣化で剥がれる場合があります。

石粒が落ち、剥がれたままにしておくと見た目も悪くなり、劣化の進行も早くなります。

また、石粒が樋に溜まってしまうことも頭に入れておかなくてはいけません。

カビ・コケが発生しやすい

アスファルトシングル葺き屋根は、湿気がこもりやすい地域で、北側にあるとカビやコケが発生しやすいので、環境によっては避けた方がいい屋根材だといえます。

カビやコケは高圧洗浄で除去することも可能ですが、その後、塗装、カバー工法などのメンテナンスが必要です。

使用する地域、環境によっては、メンテナンス費用がかさばることが考えられます。

強風で破損する

アスファルトシングルは接着剤や釘で屋根に固定されていますが、施工の際の接着が甘かったり、その薄く、軽い特徴のため、強風により、剥がれやめくれなどを起こし、破損してしまう場合があります。

また、柔らかい特性を持つため、反り・破れが起こる場合も考えられます。

破損を放置したままにしておくと劣化が進むことは容易に想像できますね。

台風が去ったあとは、破損がないか工事業者に点検してもらう必要があります。

豪雪地帯には不向き

アスファルトシングル葺き屋根は豪雪地帯には不向きな屋根だとされています。

なぜなら、アスファルトシングル葺き屋根には、ざらざらとした天然石が貼り付けられているため、屋根に積もった雪が滑り落ちず、雪が溶けた際に屋根材の少しの隙間から水が侵入することによって雨漏りしたり、溶けた雪が凍った際に屋根材の剝がれを起こす可能性があるためです。

アスファルトシングル葺き屋根は、雪が降ってもすぐに溶ける地域であれば、積雪30cm程の地域なら問題なく設置が可能です。

アスファルトシングルを施工するかどうかを迷っている方は、お住まいの地域の気候も判断材料にしてくださいね。

施工業者が少ない

アスファルトシングル葺き屋根は定期的なメンテナンスをすることで経年劣化の進行を緩やかにし、トラブルへの対応も早く行うことができます。

ただ、前述の通り、アスファルトシングル葺き屋根の普及はまだまだで、アスファルトシングルを扱う業者が少ないため、メンテナンスができる業者が少ないのが現状です。

アスファルトシングル葺き屋根のメンテナンスには葺き替え、張り替えなどがあり、メンテナンスをしたい場合に、扱える業者を探すのが困難なことが考えられます。

新たにアスファルトシングル葺き屋根を新築で採用する場合は、今後のメンテナンスが可能な業者に施工をお願いするのがいいでしょう。

防水改修工事の基礎|アスファルトシングルの耐用年数

アスファルトシングルそのものの耐用年数は、約10~30年です。

従来、アスファルトシングルの寿命は10年~20年程度で、耐久性の低い外壁材とされていました。

新しい製品が開発されるにつれ、現在では20年~30年は持つとされています。

ただし、環境や使用する製品によっては、10~20年ごとの防水工事が必要です。

なお、アスファルトシングルだけではなく、あらゆる屋根材のルーフィング耐用年数は約20年です。

ルーフィングとは、屋根材の下に敷く防水シートのことで、雨水から建物を保護する役割があります。

つまり、20年を過ぎるとルーフィングが劣化するため、葺き替えや葺き直しなど防水工事が必要になるでしょう。

どのような外壁材を使っても、いずれ塗装工事が必要にため、屋根のメンテナンスや改修が必要かどうか点検を依頼するのがおすすめです。

屋根材と住まいの寿命を延ばすために、定期的な点検とメンテナンスを実施しましょう。

アスファルトシングル葺き屋根の防水・改修工事

アスファルトシングル葺き屋根の防水・改修工事にはどのようなものがあるのでしょうか。

アスファルトシングル葺き屋根の防水・改修工事1.塗装工事

アスファルトシングル葺き屋根は、表面に表面に天然石が施されていて、強風により剥がれる場合があります。

天然石が剥がれたアスファルトシングルを放置すると、見た目が悪くなるだけではなく、劣化の進行が早くなるため、塗装工事を施すことで美観の維持や天然石の剥がれを防ぐことができます。

新築から10年ほどの、屋根自体の色褪せの症状が出てくるタイミングで、塗装工事を考える方は多いのではないでしょうか。

アスファルトシングル葺き屋根に塗装工事を施す際の注意点をみておきましょう。

塗装工事の注意点

アスファルトシングルに塗装工事をすることで見た目がきれいになったり、表面の天然石が剥がれるのを防げます。

アスファルトシングル葺き屋根に塗装工事を施す際の注意点をみておきましょう。

水性塗料を使用する

アスファルトシングル屋根の塗装には、水性塗料を使用します。

油性塗料を使用するとアスファルト成分が溶け出し、屋根材としての機能を果たさなくなるためです。

アスファルト成分が溶け出すと、雨漏りや木材の腐朽などの不具合につながる可能性があるため注意しましょう。

ツヤ消し塗料で塗る

アスファルトシングル葺き屋根の塗装には、ツヤ消し塗料を使用します。

通常の屋根塗装にはツヤのある塗料を使用しますが、アスファルトシングルにツヤのある塗料を塗ってしまうと、屋根が塗料を吸い込んでムラのある仕上がりになってしまいます。

アスファルトシングルへの塗装は、ツヤ消し塗料を使用しましょう。

縁切りを行う

アスファルトシングル屋根を塗装した後は、縁切りが必須です。

アスファルトシングルは重なり合うように施工されており、雨水を排水するための隙間ができます。

万が一隙間を塗料でふさぐと、雨水が排水されず、屋根材や下地材が劣化して腐るため、縁切りが必要です。

アスファルトシングル葺き屋根の防水・改修工事2.部分修理

​​アスファルトシングルの屋根は、接着剤や釘・タッカーで固定するため、剥がれている箇所のみを補修することが可能です。

特に屋根は強風の影響を受けやすいため、大きな台風が過ぎたら屋根の点検を受けるとよいでしょう。

屋根の剥がれを補修しなければ、雨水が屋根の内側に侵入し、建物の中に雨漏りを引き起こす可能性があります。

雨漏りを修理したり、腐った木材や板を取り替えたりすると、高額な出費が負担になるでしょう。

アスファルトシングル屋根の防水工事だけで済むうちに、早めの対策をすることが重要です。

アスファルトシングル葺き屋根の防水・改修工事3.かぶせ工法

アスファルトシングル葺き屋根が傷んでも、屋根の下地に問題がなければかぶせ工法が可能です。

かぶせ工法とは、カバー工法とも呼ばれ、既存のアスファルトシングルを撤去することなく、上から新しいアスファルトシングルを重ねる工法です。

古いアスファルトシングルを撤去するには手間と費用が掛かりますが、かぶせ工法の場合はこの部分を抑えることができます。

かぶせ工法は、工期と費用を抑えることができますが、屋根の重量が重くなるデメリットがあります。

アスファルトシングル葺き屋根の防水・改修工事4.屋根葺き替え工事

築20年、または前回の施工から20年を経過した屋根は、葺き替えをおすすめします。

下地材や防水シートの寿命は約20年であり、屋根材のほか下地材や防水シートの交換により雨漏りを防ぐことが可能です。

アスファルトシングルの屋根のメンテナンス方法としては最も価格がかかりますが、次回のメンテナンスまでの期間が延びるというメリットがあります。

アスファルトシングル葺き屋根の防水・改修工事の価格

アスファルトシングル葺き屋根の防水工事・改修工事でかかる費用は以下のとおりです。

工事内容費用相場
塗装工事40〜60万円
※屋根80㎡の場合
部分補修1枚あたり4,000〜10,000円
カバー工法100〜150万円
屋根葺き替え150〜200万円

施工価格は使用する資材・施工面積などによって変わります。

また、大手企業やメーカーに塗装工事を依頼すると中間マージンがかかり、相場より割高になるケースがあります。

上記の価格はあくまで相場なので、参考程度にご覧ください。

防水改修工事が必要!アスファルトシングル劣化のサイン

アスファルトシングルが劣化すると、目に見える症状が表れます。

気になる箇所がある場合は、早めのメンテナンスが必要です。

そこで、アスファルトシングルの主な劣化のサインを紹介します。

防水改修工事が必要!アスファルトシングル劣化のサイン|塗膜の剥離・膨れ

経年劣化により塗膜の剥がれや膨れが発生し、塗料が持っていた機能が失われます。

放置するとアスファルトシングルそのものが劣化し、雨漏りの原因となるため、防水工事が必要です。

防水改修工事が必要!アスファルトシングル劣化のサイン|変色・色あせ

変色や色あせは主に紫外線の影響によるものであり、劣化の初期症状のひとつです。

すぐに施工をする必要はありません。

しかし、放置しておくと劣化が進行し、アスファルトシングルそのものに悪影響を及ぼします。

防水改修工事が必要!アスファルトシングル劣化のサイン|チョーキング

チョーキングとは触ると白い粉がつく現象で、経年劣化により発生します。

そのため、塗り替えを検討し始めるサインのひとつです。

チョーキングは塗料の保護機能が低下している状況であり、施工をしないと塗膜が剥がれたり、アスファルトシングル自体が劣化する恐れがあります。

防水改修工事が必要!アスファルトシングル劣化のサイン|コケ・藻・カビの発生

アスファルトシングルは、経年劣化によりホコリなどが付着して水分が蓄積され、コケや藻が生えます。

特に、日光が当たらない北側や、湿気の多い地域では注意が必要です。

高圧洗浄も可能ですが、状況によってはかぶせ工法や葺き替えが必要なこともあります。

防藻・防カビ機能がある塗料を使うなどの対策が重要です。

防水改修工事が必要!アスファルトシングル劣化のサイン|剥がれ

アスファルトシングルは、施工時に特殊な接着剤を使用しており、接着剤が劣化すると剥がれたり浮いたりします。

外壁が剥がれたり浮いたりすると、建物内部に雨水が浸透し、建物の劣化につながるため注意しましょう。

なお、施工時の接着が不十分な場合、強風により剥がれたり浮いたりすることがあります。

アスファルトシングルを依頼する防水改修業者の選び方

アスファルトシングルのメンテナンスを依頼する場合、多くの業者のなかからどこに相談すべきか迷う方もいるでしょう。

最後に、業者選びの大切な2つのポイントを紹介します。

アスファルトシングルの対応種類

アスファルトシングルのメーカーは、シングル、ロフティなど複数あります。

商品によって仕上げや耐用年数が異なり、ランクも様々です。

業者に問い合わせをして、予算に応じて決めましょう。

アスファルトシングルの実績を確認する

アスファルトシングルの業者選びは、他の外壁材の施工と比較して難しいといえます。

日本で普及しているアスファルトシングルが少ないため、施工経験が豊富な業者も少ないということです。

施工経験豊富な業者、親切・丁寧な業者を見つけることは難しいかもしれません。

しかし、施工技術が仕上がりに大きく影響し、技術の低い業者に依頼すると劣化が早まり、すぐにメンテナンスが必要になることもあります。

実績を確認し、即決せずに複数の業者を十分に比較・検討することが重要です。

防水工事でよくある質問

Q

防水工事の種類にはどんなものがありますか?

A

主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。

Q

防水工事の費用はどのくらいかかりますか?

A

工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。

Q

工事の期間はどのくらいかかりますか?

A

工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。

Q

工事中の生活にどんな影響がありますか?

A

騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。

Q

防水工事のタイミングはいつが良いですか?

A

一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。

アスファルトシングルの防水改修工事で屋根と建物を守ろう

アスファルトシングル葺き屋根ついて解説してきましたが、あまり普及していない屋根だけど、意外に優秀な屋根材だと感じる方も多かったのではないでしょうか。

アスファルトシングル葺き屋根の日本の普及率は3~5%といわれ、まだまだその特徴などを知らない方も多いでしょう。

まだまだこれから普及するであろうアスファルトシングルには多くの特徴があり、利用するメリットは大きなものでした。

これまでの解説の要点をまとめました。

  • アスファルトシングルは防水性・防音性に優れている
  • アスファルトシングルは軽量で耐震性がある
  • アスファルトシングルの部分補修は比較的安価ですむ

アスファルトシングルは強風の影響を受けやすく、台風などで剥がれや破れなど、破損しやすいことが考えられます。

しかし、専門業者に定期的にメンテナンスを依頼することで、補修が簡単に済み、補修費用が安く抑えられる場合もあります。

アスファルトシングルの扱いができる業者は少ないため、アスファルトシングル葺き屋根を採用する時に、メンテナンスまでお願いできる業者に依頼するといいでしょう。

ハウスメーカーなどに依頼すると中間マージンが掛かる場合が多いので、長期の付き合いができる地元の施工業者を見つけるのが一番、安心で安価な施工が期待できるのではないでしょうか。

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