
ALC外壁の外壁塗装工事について知りたい人
ALC外壁に塗装工事は必要?
ALC外壁に使う塗料とは?
ALCパネルの塗装工事の費用はいくら?
ALC外壁に仕上げ塗装はする?
ALC外壁に使う防水塗料の種類は?
ALC外壁の補修・改修には技術が必要?
ALC外壁の防水塗装とは?
ALCパネルとは、外壁材として使用される軽量気泡コンクリートの一種です。ALCは建物の屋上防水でも使用され、その他特徴や種類・外壁材としてのメリットやデメリット・適切な塗装方法について知ることは、住宅の外観や耐久性を考えるうえで重要です。
また、サイディングやクリオンなど他の外壁材との違いや注意点を理解することで、最適な選択ができます。
そこで本記事では、ALCパネルの基本的な特徴か・外壁材としての施工方法、価格帯、そして長期的なメンテナンスに至るまで、包括的な情報を提供します。建材選びや外壁工事を検討している方々にとって必要な情報を掲載していますので、最適な外壁材の選択にお役立てください。
目次
ALCパネルの外壁とは
ALCは、スウェーデンで誕生した素材です。
主な材料はセメント、生石灰、珪石、アルミニウム粉末で、高温・高圧の蒸気養生で生成された軽量気泡コンクリートを指します。
軽量気泡コンクリートは英語表記した場合「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」であり、頭文字を取ってALCと呼ばれることが一般的です。
高い強度で軽く外壁材として使用すれば、建物への負担を減らせるため、広く取り入れられています。
また、パネル状に造られたALCパネルは、建物でも防水性の必要な屋上や屋根・間仕切壁・床などの様々な部位に使用されています。
ALCパネルを使った外壁の寿命
ALCパネルは、適切なメンテナンスを施せば60年以上の耐用年数があるとされています。しかし、これは定期的な塗装や防水処理を行った場合の寿命であり、適切なメンテナンスを怠ると、劣化が早まり、耐久性が大幅に低下する可能性があります。
ALCパネルの寿命を維持するためには、10~15年ごとに外壁塗装を実施することが推奨されます。塗装は、防水性を保つために重要であり、紫外線や雨風からALCパネルを保護する役割を果たします。もし、塗膜が劣化してしまうと、ALCパネルが水を吸収しやすくなり、内部の鉄筋が錆びて膨張する「爆裂現象」が発生するリスクが高まります。
また、ALCパネルの継ぎ目に充填されているシーリング材も、経年劣化によって硬化し、ひび割れが生じるため、シーリングの打ち替えを適切なタイミングで行うことが重要です。
つまり、ALCパネル自体は60年以上の耐久性を持つものの、外壁を長期間美しく保ち、建物の性能を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠となります。
ALCパネルのメリット・デメリット|注意すべきポイントとは?
ALC(軽量気泡コンクリート)パネルは、軽量でありながら耐火性・断熱性・遮音性に優れた外壁材として、多くのマンションやビルで使用されています。しかし、その一方で、吸水性が高いため、定期的なメンテナンスが必要という注意点もあります。
ここでは、ALCパネルのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
ALCパネルのメリット
軽量性|建物の負担を軽減し、施工しやすい
ALCパネルは、内部に気泡を含んだ構造になっており、一般的なコンクリートに比べて約1/4の重量です。そのため、建物への荷重負担を軽減し、耐震性の向上にもつながります。
また、軽量なため、施工がしやすく、工期を短縮できるメリットもあります。
耐火性|火災時の安全性が高い
ALCパネルは無機質な素材で構成されており、非常に高い耐火性を持っています。火にさらされても燃え広がることがなく、国土交通省の認定する不燃材料に分類されるほどの防火性能があります。
万が一の火災時にも、延焼を防ぐ役割を果たし、安全性を高めるため、高層マンションや商業施設にも多く採用されています。
断熱性|省エネ効果があり、快適な室内環境を維持
ALCパネルは内部に無数の気泡を含んでいるため、空気の層が熱を伝えにくく、高い断熱性能を発揮します。そのため、外気の影響を受けにくく、夏は涼しく、冬は暖かい快適な室内環境を維持できるというメリットがあります。
冷暖房の効率が向上し、省エネ効果や光熱費の削減にも貢献します。
遮音性|騒音を軽減し、静かな空間を実現
ALCパネルは、遮音性にも優れているため、外部の騒音を効果的に軽減します。
特に交通量の多い道路沿いや、住宅密集地に建てられた建物では、ALCパネルを採用することで、静かな生活環境を確保することが可能です。そのため、マンションやオフィスビルなど、快適な居住空間を求める建物に適した外壁材といえます。
ALCパネルのデメリット
吸水性が高く、防水処理が必須
ALCパネルの最大のデメリットは、吸水性が高いことです。無数の気泡を含む構造のため、適切な防水処理をしないと雨水を吸収しやすく、建物の劣化につながる可能性があります。
そのため、ALCパネルを使用する場合は、防水塗装やシーリング処理を適切に行い、雨水の浸入を防ぐことが不可欠です。
ひび割れが発生しやすい
ALCパネルは軽量な一方で、強度が一般的なコンクリートに比べて低く、ひび割れが発生しやすいという性質があります。
特に、地震や温度変化による伸縮の影響を受けると、パネルの継ぎ目や表面に細かなクラック(ひび割れ)が生じることがあります。そのため、定期的な点検と補修を行い、劣化を防ぐことが重要です。
定期的なメンテナンスが必要
ALCパネルを長期間使用するためには、5~10年ごとに外壁塗装のメンテナンスを行う必要があります。
特に、防水塗装やシーリング材の劣化が進むと、雨水が浸入し、内部の鉄筋が腐食するリスクが高まるため、こまめなチェックが求められます。定期的なメンテナンスを行うことで、建物の耐久性を維持し、補修コストを抑えることができます。
ALCパネルの耐久性を最大限に引き出すためには、適切な防水対策と定期的なメンテナンスが必須です。導入を検討する際は、これらの特徴を理解し、適切な管理を行いましょう!
ALCパネルの劣化症状とメンテナンスの重要性|適した塗料も紹介
ALCパネルは耐火性や断熱性に優れた外壁材ですが、適切なメンテナンスを行わないと、劣化が進み、雨漏りや強度の低下につながる可能性があります。特に、吸水性が高いという特性があるため、防水性能を維持するための定期的な点検と適切な塗装メンテナンスが必要です。
ここでは、ALCパネルの劣化症状や定期点検・メンテナンスの重要性と、塗料選びのポイントについて詳しく解説します。
ALCパネルの定期点検の重要性|劣化症状を早期に発見するポイント
ALCパネルの寿命を延ばし、建物の耐久性を維持するためには、定期的な点検を行い、劣化の兆候を早期に発見することが重要です。劣化の進行を放置すると、修繕費用が高額になるだけでなく、建物自体の安全性も低下してしまうため、5年に1回程度の点検が推奨されます。
外壁のひび割れ
ALCパネルは乾燥や湿度の変化によって伸縮し、継ぎ目部分やパネル表面に細かいひび割れ(クラック)が発生することがあります。このひび割れを放置すると、そこから水が浸入し、内部の鉄筋が腐食してしまう恐れがあります。
塗膜の剥がれやチョーキング現象
塗装表面を触ったときに白い粉が付着する「チョーキング現象」は、塗膜が劣化して防水性能が低下しているサインです。塗膜が剥がれている場合、防水機能が損なわれ、ALCパネルが直接雨水を吸収しやすくなります。
シーリング(コーキング)の劣化
ALCパネルの継ぎ目には、シーリング材が充填されており、防水性を確保しています。しかし、シーリングは経年劣化すると硬化し、ひび割れや隙間が発生します。シーリングが劣化すると、そこから水が浸入し、雨漏りの原因となるため、定期的な補修が必要です。
カビ・苔の発生
外壁にカビや苔が付着している場合、湿気がこもりやすくなっている証拠です。特に、北側の外壁や日当たりの悪い場所は、湿気が溜まりやすいため、カビや苔が発生しやすくなります。放置すると美観が損なわれるだけでなく、塗膜の劣化を早める原因にもなるため、定期的な洗浄や防カビ処理が必要です。
ALCパネルの外壁は、5年に1回の定期点検を行い、上記の劣化症状が見られた場合には、適切な補修・塗装を行うことが推奨されます。
正しい塗料選びのポイント|ALCパネルに適した塗料の種類と特徴
ALCパネルの防水性を維持するためには、適切な塗料を選び、定期的な再塗装を行うことが重要です。ALCパネルは吸水性が高いため、防水性能を強化できる塗料を選ぶ必要があります。
ALCパネルに適した塗料の種類
塗料の種類 | 特徴 | メリット | 耐用年数 |
---|---|---|---|
シリコン塗料 | 耐候性・防汚性に優れ、コストパフォーマンスが高い | 汚れが付きにくく、防水性も高い | 約10~15年 |
フッ素塗料 | 高耐久で、長期間にわたって外壁を保護 | 再塗装の頻度が少なく済む | 約15~20年 |
無機塗料 | 無機成分を含み、紫外線や雨風に強い | 高耐久で色あせしにくい | 約20年以上 |
遮熱塗料 | 熱を反射し、室内の温度上昇を抑える | 夏の冷房費を削減できる | 約10~15年 |
耐候性・耐水性の高い塗料を選ぶ
ALCパネルは吸水しやすいため、防水性に優れた塗料(シリコン塗料・フッ素塗料・無機塗料)を選ぶのが理想です。特に、高耐久なフッ素塗料や無機塗料を使用すれば、塗り替えの頻度を減らせるため、長期的にコストを抑えることが可能です。
通気性と防水性を兼ね備えた塗料を選ぶ
ALCパネルは湿気を含みやすいため、防水性と同時に通気性のある塗料を選ぶことが重要です。適切な塗料を使用することで、湿気が内部にこもるのを防ぎ、塗膜の剥がれやひび割れを抑えることができます。
遮熱塗料を選ぶと快適性が向上
夏場の屋根や外壁の温度上昇を抑えたい場合は、遮熱塗料を選ぶことで室内温度の上昇を軽減し、省エネ効果を期待できます。
ALCパネルのメンテナンスを適切に行うことで、建物を長期間にわたり安全に保つことができます。劣化が進む前に、定期点検と塗装メンテナンスを計画的に実施しましょう!
ALCパネル外壁塗装工事の費用相場
外壁に使用されるALCパネルの平均的な費用は、 1㎡あたり5,500円~7,500円程度です。
1㎡あたりの価格には、業者経費は含まれていないため、実際はさらに価格が上がります。
30坪の住宅の外壁をALCに張り替える場合、 工事費は150~250万円程度が相場です。
ALCパネル外壁塗装にかかる費用を抑えるコツ
ALC外壁塗装の平均価格は高額なため、少しでも出費を抑えたいと考える方も多いでしょう。
ここでは、外壁塗装の価格を安く抑える方法を紹介します。
初めての塗装ではALCパネルに使うコーキングの増し打ちを選ぶ
ALC外壁を塗装する場合、モルタル外壁やサイディング外壁よりもコーキングに費用がかかります。
築10~15年で、初めて外壁塗装をするのであれば、 「増し打ち」と呼ばれる修理を選択するとよいでしょう。
増し打ちとは、古いシーリングの上から充填する工法で、古いシーリングを撤去する「打ち替え」よりも安価です。
ALC外壁の住宅は新築時に厚いコーキング材が塗られ、表面を保護するために吹き付け塗装が施されているため、外壁の劣化は進行していないといえます。
そのため、 1回目は増し打ち、2回目は打ち替えを行う方法が有効です。
ただし、コーキング補修の方法はALC外壁の劣化状況によって異なるため、業者と相談しながら決めましょう。
屋根もALCパネルと一緒に塗装する
ALC外壁だけではなく、屋根も同時に塗装することで出費を抑えることが可能です。
外壁と屋根を塗装するためには足場を組みますが、外壁と屋根を一緒に塗装することで足場代を抑えられます。
例えば、30坪の住宅の場合、足場代は約15万円です。
そのため、 タイミングが合えば外壁と屋根を同時に塗り替えることをおすすめします。
ALCパネルに対応できる地域密着型の外壁塗装会社へ依頼する
ALCの外壁塗装で最も費用対効果が高いのは、地元の外壁塗装会社に依頼する方法です。
ハウスメーカーや大手リフォーム会社などに依頼する方法もあります。
しかし、最終的に下請けの外壁塗装業者に頼るため、中間マージンが発生し、コストが割高です。
地元密着型の外壁塗装会社では、自社の職人が修理を行うため中間マージンがかからず、万が一のトラブルにも迅速に対応してくれます。
ALCパネルでも費用対効果の高い塗料を使う
適切な塗料を選択すると、出費を抑えられます。
どの塗料を選べばよいか迷ってしまう場合は、耐用年数とコストのバランスがよいシリコンがおすすめです。
ウレタンは安価ですが、耐用年数が短い点に注意しましょう。
また、単価は高いものの、フッ素塗料や無機塗料など耐用年数の長い塗料を選ぶと メンテナンスの頻度が少なくなるため、長い目で見るとお得です。
ALCパネル外壁塗装を業者へ依頼する際の選び方
ALCパネルを使用した外壁塗装、メンテナンスや点検を依頼する際には、悪徳業者に注意しなければなりません。
そこで、外壁塗装を依頼する業者を選ぶ際のポイントについて、注意点とあわせて解説します。
飛び込みでの点検や営業に注意
急に自宅を訪ね、「無料で外壁を診断する」と言い、契約を迫る場合は悪徳業者の可能性が高いです。
外壁の劣化のリスクを誇張し、不必要な工事を勧める業者とは契約しない方がよいでしょう。
また、飛び込み営業をする業者は工事の質も低く、外壁にダメージを与えることもあります。
契約日から 8日間であればクーリングオフができるため、すでに契約してしまった方はクーリングオフをしましょう。
保証内容が充実している
塗装工事の場合、ほとんどの会社が保証期間を設けています。
工事完了後に何か不具合が発生することもあるため、保証内容が充実している業者がおすすめです。
事前に「万が一の場合アフターフォローはしてくれるのか」を確認しておくとよいでしょう。
アフターフォローがある
ALCパネルを外壁に使用した場合、 耐用年数は60年以上です。
一方、10~15年ごとに塗装メンテナンスを行わないと、耐久性は徐々に低下します。
ALCパネルは軽量で耐久性の高い素材ですが、目地が目立つため意匠性が低い点がデメリットです。
外壁に使用する場合は、着工前に定期的なメンテナンスができるかどうかを検討しましょう。
見積もりの内訳が書かれている
外壁の修理や修繕を依頼すると、業者は見積もりを出します。
単価を含めた詳細な見積書を作成してくれる、優良業者も少なくありません。
一方、内容を「外壁工事一式」としか書いていない業者もあるため、詳細がわからない場合は、業者に相談しましょう。
複数の業者に見積もりを依頼することで、修理・修繕の相場がわかるため、適正な価格で工事を依頼できます。
外壁塗装工事でよくある質問
Q
外壁塗装の費用はどのくらいかかりますか?
A
一般的には、40坪の住宅(塗装面積160㎡、シリコン塗料)で90万円〜120万円程度が相場です。塗装面積や使用する塗料の種類によって異なります。
Q
工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
外壁のみの場合は約10日、外壁と屋根を同時に行う場合は約14日程度かかります。ただ、天候や建物の状態によって日数は変わることがあります。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
騒音や臭気が発生することがあります。また、足場の設置や養生シートのために窓が開けられないことや、洗濯物が干せないこともあります。事前に工事開始のご連絡はいたしますので、ご安心ください。
ALCパネルの寿命を延ばすためにも外壁塗装メンテナンスをしよう
ALCパネルは寿命が長いことが特徴ですが、環境によっては劣化し、劣化を放置すれば建物の強度に影響を及ぼします。
定期的な点検により不具合を見逃さず、適切にメンテナンスをしなければなりません。複数の業者から見積もりを取って、詳細が書かれているか、保証期間、アフターフォローの有無などを比較しましょう。