外階段は、アパートや住宅において特に劣化しやすい部分であり、定期的な修繕や補修工事が必要です。特に鉄骨階段は、塗装の剥がれ・錆び・腐食が進行することで、階段の強度が低下し、重大な事故につながる恐れがあります。アパート外階段の修理には塗装工事だけでなく、防水加工やコンクリート部分の補修、さらには部品の交換が必要な場合もあります。
そこで本記事では、外階段リフォームにかかる補修費用や、設置時の価格などについて詳しく解説します。外階段の修理を検討している方や今後必要になる工事や費用について心配な方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
外階段修繕工事の内容
外階段の修繕工事は、主に以下の2種類で行われます。
- 塗装工事
- 防水加工
ここでは、それぞれの修繕工事の内容を詳しく紹介していきます。
既存の外階段の状態によっても必要な工事が異なるので、確認しておきましょう。
塗装工事による外階段修繕
塗装工事は、その名の通り外階段の塗装を行う工事です。
既存の外階段の劣化症状が軽く、塗装が剥がれているだけの状態であれば、塗装工事のみで対応することができます。
外階段の塗装工事を行う際は、塗料選びが重要なポイントです。
塗料の種類によって耐久性が異なるため、費用を抑えたいからといって安価な耐久性が劣る塗料を選んでしまうと、またすぐに塗り直しが必要となってしまうでしょう。
外階段は建物の外部にあり、雨や気温の変化などの影響を受けやすいです。
そのため、外階段の塗料にはできるだけ耐久性に優れたものを選ぶことをおすすめします。
外階段にサビが発生している場合は、塗装に加えてサビ落としの作業が必要となる場合もあります。
外階段の防水加工修繕
建物の外部にある階段は雨や雪、湿気など、厳しい環境にさらされます。
外階段の劣化は、このような水分の影響を大きく受けて進んできます。
外階段の設置時には防水加工がされているはずですが、防水加工の効果も徐々に弱まってしまうため、防水効果が弱まってきた場合には再度防水加工が必要です。
外階段の防水加工は、主に以下の2つの工法によって行われます。
- シート防水
- 防水塗装
シート防水では、塩ビシートなどの防水性能を持つシートを外階段に貼り付けます。
防水塗装では、防水性能の高い塗料を使用して外階段を塗装します。
それぞれの工法や使用する材料などによって、費用や防水効果が大きく異なるでしょう。
長尺シート工事
長尺シートとは「防滑性ビニル床シート」のことで、マンションの廊下や階段によく施工されます。
長尺シートには、以下のようなメリットがあります。
- 表面が凸凹の防滑エンボス状になっていて、クッション性がある
- 通行時の足音を軽減してくれる
- 雨に濡れても滑りにくい
- 耐久性に優れていて、摩耗や傷にも強い
- 傷が目立ちにくく美観を保てる
長尺シートは安価な素材ではないのですが、このようなメリットから人気が高まっています。
機能性の高さはもちろん、建物の美観を保つことにもつながるため、資産価値維持のためにも役立つでしょう。
防水塗装工事
外階段は、歩行による劣化に加えて雨や紫外線などの影響も受けて劣化していきます。
雨の影響を大きく受ける外階段には、劣化を最小限に抑えるためにも防水加工を行うことが必須です。
外階段に施工する防水塗装工事には、ウレタン塗膜防水を採用することが主流です。
ウレタン塗膜防水は耐久性に優れた防水塗料で、階段のような複雑な形状の場所に対しても施工できます。
ウレタン塗膜防水に加えて、長尺シートを組み合わせて施工することもあります。
ウレタン塗膜防水と長尺シートを組み合わせることで耐久性が増し、より長期にわたって防水性能を維持することができるでしょう。
外階段の架け替え修繕
既存の外階段の状態によっては、塗装工事や防水加工だけでは対応できない場合もあります。
外階段の劣化が激しく部品の腐食などが発生している場合、安全面を考慮して架け替えが必要になります。
架け替えとは、既存の外階段の劣化が激しい部分を撤去し、新しく交換する工事のことです。
一般的な鉄骨製の外階段の場合は、まず既存の階段の補強工事と激しく劣化している部分の撤去を行います。
そして撤去した部分には新しい部品を用意して、既存階段と接着する溶接工事を行います。
既存外階段の劣化が激しい場合以外にも、階段の幅や数を変更してバリアフリー対策を行いたい場合などで架け替え工事を行うこともあるでしょう。
外階段の修繕工事にかかる費用|リフォームによる補修項目
外階段の修繕工事にかかる費用は、既存外階段の状態や行う工事の内容、使用する材料などのさまざまな要因によって変わってきます。
階段の架け替えや新設など大規模な工事になればなるほど高額な費用が必要となるため、余裕を持って準備するためにも、下記の費用相場を確認しておきましょう。
工事内容 | 費用相場 | |
塗装 | 10〜20万円 | |
防水加工 | 長尺シート工事 | 1㎡あたり3,800円~5,500円 |
防水加工 | 20〜50万円 | |
階段の架け替え | 50〜150万円 | |
階段の新設 | 100〜250万円 |
表を見てわかる通り、同じ工事内容の費用相場にもかなり幅があります。
既存の外階段の状態や使用する材料によって費用が変わってくるため、工事前に正確な費用が知りたい方は見積もりをとるといいでしょう。
外階段の修繕工事にかかる費用は節約した方がいい?
外階段の修繕にかかる費用は、業者と相談したうえで節約することが可能です。提示された見積もりをチェックし、節約できる分の費用について話をしてみると良いでしょう。
しかし、安易に節約すればいいというものではありません。耐久性の低い安価な材料を使用したり費用だけを理由に工事内容を決めたりすると、すぐに劣化して短い期間で工事が必要になることも少なくありません。既存の外階段の状態や先を見据えた計画に合わせて適切な工事を選択し、必要な費用をしっかり賄えるよう事前に積み立てなどで準備しておくことも大切です。
外階段の修繕が必要な劣化症状
外階段は、丁寧にお手入れしていてもどうしても経年劣化していってしまいます。
外階段の劣化症状が進むと破損して大きな事故につながる可能性もあるため、劣化症状を見逃さず補修工事を行うことが重要です。
外階段の補修工事はできるだけ劣化症状が軽いうちに行うことで、安全性を保てることはもちろん、小規模の工事で済むため費用も抑えることができるでしょう。
ここでは、補修工事の目安となる外階段の劣化症状を4つ紹介します。
ぜひ事前に確認して、外階段の点検に役立ててください。
外階段の修繕が必要な劣化症状1.塗装の剥がれ
外階段の塗装は、防水や表面の保護、美観の維持などのさまざまな役割を担っています。
塗装が剥がれてしまっていると、防水性能が下がったりサビ止めの効果が弱まってしまったりして、外階段の劣化スピードを早めてしまうことにつながります。
塗装が剥がれた部分からどんどん雨水が侵入して鉄骨部分がサビてしまうため、塗装の剥がれを見つけたらできるだけ早く再塗装するといいでしょう。
塗装が完全に剥がれた部分だけではなくヒビ程度の部分でも十分に雨水の侵入経路となってしまうため、塗装の軽いヒビであっても放置しないことをおすすめします。
また、塗装の剥がれはさらなる劣化を早めるだけではなく、見た目にも影響します。
アパートの場合は古い・汚いなどのイメージを与えて入居率が下がってしまうこともあるため、サビが進行して大きな工事が必要となる前に、再塗装するといいでしょう。
外階段の修繕が必要な劣化症状2.サビ
少しのサビの発生であっても、放置しているとどんどん全体に広がっていってしまうため注意が必要です。
サビは見た目への影響はもちろん、外階段の強度を下げてしまう危険性があります。
サビによる腐食が進むと、通行中に階段が破損して事故が起きる可能性もあり非常に危険です。
そのため、少量のサビが発生した時点でメンテナンスを行うことが重要です。
外階段の修繕が必要な劣化症状3.穴あき・腐食
サビが付着している部分をそのまま放置していると、徐々に階段に穴が空いて腐食が始まります。
外階段に穴があいていれば強度はかなり下がっているため、早急に補修や交換を行いたい危険な劣化症状です。
サビが原因で起こる腐食は、見た目にはわからない内部で広がっている場合もあります。
不慮の事故を予防するためにも定期的な点検やメンテナンスを行い、階段に穴や腐食などの重大な劣化症状を発見した場合は、すぐに補修を行ってください。
外階段の修繕が必要な劣化症状4.防水シートの黒ずみ・剥がれ
外階段に施工した防水シートの黒ずみや剥がれは、防水機能の低下を表す劣化症状です。
雨の影響を大きく受ける外階段は、施工した防水機能が低下してしまうと劣化スピードが早まってしまいます。
シートの黒ずみは美観を損なったり、防滑性が低下して滑りやすくなったりと、デメリットが多いです。
また防水シートの剥がれは、シートが剥がれた部分から雨水が侵入するため、サビや腐食が発生しやすくなります。
発生したサビや腐食が進行すると、階段の架け替えや交換などの大きな工事が必要となることも少なくありません。
そのような大規模な補修工事は、費用も高額となります。
できるだけ早い段階で補修を行うことが、結果的に補修費用の節約にもつながるでしょう。
このような理由から、防水シートの劣化症状である黒ずみや剥がれを見つけたら、できるだけ早く防水工事を検討することをおすすめします。
【オーナー様向け】大規模修繕における外階段修繕工事の確認申請
大規模修繕を行う際、階段工事には確認申請が必要かどうかを悩むオーナー様も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、一般的な大規模修繕における共用部分の階段の修繕工事には、確認申請は必要ありません。
「共用階段の半分以上について、建物の構造に影響を及ぼすような修繕やリフォームが必要な場合」というのが、確認申請が必要となる条件です。
共用階段の劣化を補修する工事は該当しないため、確認申請については心配いりません。
上記の条件に当てはまる工事を行う際のみ、確認申請書類を提出してくださいね。
外階段修繕工事における優良業者の選び方
外階段の補修や修繕工事を成功させるためには、業者選びが重要なポイントです。
手抜き工事や相場以上の料金を取る悪徳業者も中には存在するため、優良業者を見抜いて依頼しましょう。
ここでは、そんな優良業者の選び方を3つのポイントから紹介します。
外階段修繕工事の施工実績が豊富
業者を選ぶ際にまず確認したいのが、施工実績です。
依頼する工事と同様の工事の施工実績がどのくらいあるのかを確認しましょう。
工事の完成度は業者や職人の腕による影響が大きいため、施工実績が豊富な業者に依頼すると知識と経験があり安心です。
特に大規模修繕工事の場合は、住人や近隣の方からのクレームやトラブルが起こりやすいです。
大規模修繕の経験が豊富であれば、クレームやトラブルの予防と対処法を知っていることが期待できます。
外階段の修繕を依頼するときももちろんですが、大規模修繕を依頼する際はとくに施工実績を重視するといいでしょう。
外階段修繕工事前の調査結果に基づいて良心的な提案をしてくれる
外階段の状態の判断や、それぞれのケースに合った工事内容は、素人では判断することができませんよね。
既存の外階段の状態をしっかりと調査して、その結果に基づいて「こんな工事が必要です」「この工事は今しなければいけないわけではないけど、より耐久性を高められます」など、専門家にしかできない良心的な提案をしてくれる業者は信頼できます。
外階段の劣化は見た目ではわかりにくい部分もあるため、状態の調査や工事内容の提案は業者にお任せする必要があります。
調査や工事内容の提案を手を抜かずに行ってくれる業者に依頼することで、安心して長く外階段を維持していくことができるでしょう。
外階段修繕工事の見積書の内容が丁寧で明確
工事の見積書の内容は、業者によって異なります。
施工内容や価格について、詳しく記載されている業者は優良企業といえるでしょう。
工事内容の詳細や価格が細かく分けられていない場合は、余分な費用を取られていたり不要な工事が追加されていたりする可能性も考えられます。
見積書について不明点や疑問に感じたことがあれば、業者に問い合わせてみてください。
しっかりと回答してくれる業者であれば問題ありませんが、はっきりした回答が返ってこない場合は注意が必要です。
外階段の補修・修繕方法まとめ
外階段は、雨や紫外線の影響を受けて劣化しやすい部分です。
破損による事故を避けるためにも、必要に応じて補修や修繕を行いましょう。
- 外階段の主な修繕工事は、塗装工事と防水加工の2種類
- 費用は工事内容によって10〜250万円と幅広い
- 外階段の経年劣化は避けられないため、できるだけ早く劣化に気付き補修することが重要
- 業者選びは慎重に行う
今回は、外階段の補修工事の工事内容や費用、業者選びまでを徹底解説しました。
今回の記事が、外階段の劣化に悩んでいる方や業者選びに困っている方の参考となれば幸いです。