修繕積立金と管理費は、毎月マンション住人から徴収するのが一般的です。
しかし「修繕積立金と管理費の違いが良く分からない」というかたも多いようです。
確かに似ている部分もありますが、明確な違いがあります。
そこで今回は、修繕積立金と管理費の違いについて解説していきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
修繕積立金と管理費の違い
修繕積立金は、主に大規模修繕工事に使われます。
建物の外壁のひび割れや手すりの塗装剥がれなど、補修工事が必要になった際に活用されます。
修繕積立金は、長期修繕計画に基づいて徴収するのが一般的です。
管理費は、日常的なマンション管理のために使われます。
共有部分の電気代や水道代、常駐管理員の人件費、備品購入費、清掃代などに使われます。
また火災保険や損害保険など、共有部分の保険料としても管理費が使われます。
管理費の相場
平成30年の国土交通省の発表によると、管理費の相場は1戸あたり月15,956円。
ただし北海道は15,190円、近畿地方は16,240円というように、地域によって多少の差があります。
修繕積立金の相場
修繕積立金の相場は、1戸あたり月11,124円です。
駐車場利用料などを含むと12,268円。
1㎡あたりだと月149円ほどです。
ただし国土交通省のガイドラインには、「15階未満のマンションは1㎡あたり178~218円、20階以上のマンションでは1㎡あたり206円ほどは望ましい」と書かれてあります。
台風や地震、給排水管や電気系統のトラブルへの備えも考慮すると、このくらいの金額を徴収しても良いのかも知れません。
修繕積立金や管理費の値上げが必要なケースもある
修繕積立金や管理費の値上げが必要な場合もあります。
例えば2回目以降の大規模修繕工事では工事費用が不足することがあります。
こんな場合は修繕積立金を値上げしたり、臨時で一時金を徴収しなければならないでしょう。
またメンテナンス費用の相場が高くなってしまった場合や、初期の計画にはなかった耐震補強工事やバリアフリー工事が必要になった場合なども、値上げが必要です。
ただし修繕積立金や管理費を変更するには、総会で過半数の賛成が必要です。
安易な値上げはNG
どうしても値上げが必要な時以外は、修繕積立金や管理費を安易に値上げしないように注意しましょう。
値上げしようとするとマンション住人からの抵抗があるのはもちろん、マンション自体の資産価値が下がります。
例えばマンション住人の毎月の負担が1万円増えたとすると、1年で12万円、20年で240万円分は資産価値が下がります。
資産価値が低くなった物件は購入を検討する人が減るので、マンション経営のデメリットになる可能性があります。
管理費を節約する方法
管理費の多くは、管理会社への業務委託費に使われています。
この業務委託費の金額が妥当かどうかを見直すことで、管理費を節約できる場合があります。
例えば常駐管理員が住み込みの場合は日勤にする、といったことも検討してみましょう。
もちろんマンション住人の意見や利用状況も考慮しながら検討する必要がありますね。
さらに管理会社を変更することで管理費が安くなるケースもあります。
3社以上の管理会社で相見積もりを取り、見積もり結果を比較してみます。
もちろん見積もりを取ったからといって、その管理会社と契約しなければいけないわけではありません。
見積もり結果を現在の管理会社に提示し、値下げの交渉材料としても使えるでしょう。
修繕積立金が不足した際の対処法
修繕積立金が不足した際は、以下のような対処法をとると良いでしょう。
工事内容を見直す
修繕積立金が不足した場合は、まずは大規模修繕工事の内容を見直すことが必要でしょう。
必要最低限の工事だけを行ない、後回しにできそうな工事は次回の大規模修繕工事で行ないます。
住人から一時金を徴収する
先ほども少し触れましたが、マンション住人から一時金を徴収する方法もあります。
もちろん住人の負担が増えるので、むやみに行なうことはできません。
なるべく一時金を徴収しなくても良いように、長期修繕計画の見直しを行なうことが大切です。
金融機関から借り入れを行なう
修繕積立金の不足分を金融機関から借り入れる管理組合もあります。
もちろん返済が必要になるので、大規模修繕工事後に修繕積立金の額を見直す必要が出てくるでしょう。
ただし金融機関からの借り入れは資産価値の低下にも繋がるので、むやみに借り入れるのは避けた方がよさそうです。
修繕積立金の額を見直す
修繕積立金の額の見直しは、大規模修繕工事を実施した年に行なうと良いでしょう。
工事後、今後の長期修繕計画に無理がないかチェックし、修繕積立金が不足しそうであれば、値上げを検討する必要があります。
大規模修繕工事後に値上げに踏み切るマンションは多いです。
まとめ
最後に、今回の記事の内容をまとめていきます。
- 修繕積立金は補修工事のために徴収する
- 管理費は日常的なマンション管理で使われる
- 管理費の相場は1戸あたり月15,956円
- 修繕積立金の相場は1戸あたり月11,124円
- 修繕積立金や管理費の値上げが必要な場合もあるが、安易に上げようとしない
- 複数の管理会社で相見積もりを取ることで、管理費を節約できる場合がある
- 修繕積立金が不足した場合は、工事内容の見直しや一時金の徴収などが必要
修繕積立金や管理費は、マンション管理のするために欠かせません。
長期的なマンション管理を視野に入れながら、徴収額を設定することが必要です。
ぜひ今回の記事を参考に、修繕積立金や管理費の見直しを行なってみてくださいね。