ガレージに防水工事を行うか検討している人
ガレージに防水工事は必要?
ガレージの屋根には防水工事が必須?
堀車庫で雨漏りが起こる原因は?
掘り込み車庫の雨漏り対策は?
ガレージを所有されている方のなかには、雨漏りに悩む方、心配している方もいるのではないでしょうか。
車庫やガレージは住宅よりも少し簡素な作りになっているため、雨漏りしやすい場所です。
ガレージは住宅と異なり、雨漏りしてもすぐに大きな問題になるわけではないため、放っておいてしまいがちです。
しかし、雨漏りの影響は思っている以上に大きいので注意しましょう。
そこで今回は、車庫やガレージの雨漏りのメカニズム、雨漏りしたときに最適な対処法を解説します。
目次
ガレージや車庫の種類
ガレージや車庫はカーポートと違い、三方を壁で囲まれ屋根があるものを指します。
木造、鉄骨造、コンクリート造など種類は様々ですが、ここでは主に3つの形式について紹介します。
独立タイプのガレージ
住宅とは別に建てられたガレージです。
家を建てた後に建てられる比較的安価なことが特徴だといえます。
しかし、家からガレージまで屋外を歩くため雨が降っていると濡れてしまう可能性があることがデメリットです。
ビルトインガレージ
ビルトインガレージは、住宅とガレージを組み合わせたものです。
家の1階がガレージになっており、ガレージに行くために外に出る必要がなくなりますが、その分居住スペースが狭くなるというデメリットがあります。
リフォームにより、ガレージがなかった住宅に設置することも可能です。
また、住宅の建築と同時にガレージが設計されているタイプの住宅をガレージハウスと呼びます。
掘り込み式ガレージ
家が道路より高い位置にある場合の高低差を利用したタイプのガレージです。
構造に問題がなければ、その上に家を建てたり、庭として利用できます。
車の所有数が増えても、ガレージスペースを増やすことは難しいことが特徴です。
また、地下にあるため雨水が入りやすく、湿気がこもることがデメリットです。
ガレージの防水工事のタイミング
車庫・ガレージの耐用年数車庫の耐用年数が近づくにつれ、車庫の各所に不具合が生じ、雨漏りのリスクも高まります。
住宅と違い、ガレージのメンテナンスにあまり気を配らない方も多いですが、メンテナンスフリーというわけではありません。
木造や金属製の車庫の耐用年数は20~30年、鉄筋コンクリート造のガレージの耐用年数は約30~50年程度といわれています。
ただし、防水性能を維持するためには10年に1度は防水工事をする必要があります。
コンクリート造は木造に比べ耐久性に優れていますが、年月が経つとコンクリート内部の鉄筋にサビが発生してコンクリートを支えきれなくなり、ひび割れが発生します。
コンクリート造の場合、不具合が生じると大規模な補修工事が必要になる可能性が高いため、異常の早期発見が重要です。
ガレージ・車庫に多い雨漏りの原因
独立タイプのガレージ・車庫は、住宅と同じような構造をしているため、屋根や外壁から雨漏りしやすいことが特徴です。
また、掘り込み式のガレージ・車庫では、天井からの雨漏れも起こります。
ここでは、ガレージで起こる雨漏りの原因を紹介します。
屋根劣化
独立タイプのガレージや車庫の屋根は、耐久性の高いポリカーボネート製や金属製、ガラスネット製の波板屋根であることが多いです。
ポリカーボネート製の屋根は比較的丈夫ですが、雪・ひょうなどの刺激によって穴が開きやすいという欠点があります。
金属屋根の場合、ボルトが緩んでいると雨水が流れ落ち、雨漏りの原因になります。
最近の金属屋根は、ガルバリウム鋼板のようなサビはしにくい素材でできていますが、経年劣化でサビが発生したり腐食したりすることも珍しくありません。
腐食が進むと、いずれ屋根に穴が開いてしまいます。
金属屋根の塗装は10年程度で剥げてくるため、ガレージ屋根の防水工事によるメンテナンスで雨漏りを予防できるでしょう。
フレームが鉄製でも塗装が剥がれるとサビが発生するため、同様に塗り替える方法がおすすめです。
雨水で木部が腐る
ガレージや車庫が木造の場合、外壁や屋根の経年劣化で雨漏りが発生します。
外壁や屋根は水から守るために塗装でコーティングされていますが、紫外線の影響で徐々にその塗装は剥がれていきます。
塗装の劣化を無視して放置しておくと、木部が露出してカビが生えたり腐ったりします。雨漏りの原因になるため注意が必要です。
木材を腐らせないためには、防水工事による定期的な修繕が欠かせません。
結露
ガレージや車庫の屋根面は外気にさらされているため、室内外の温度差により結露が発生しやすい場所です。
結露がひどくなると、木材にカビが生えたり、金属にサビが発生したりします。
放置すると屋根に穴が開き、雨漏りすることもあるため、屋根に防水塗装をしたり、屋根の内側に結露防止材を貼るなどの対策をとると良いでしょう。
屋根の水はけが悪い
家の屋根に降った雨が車庫の屋根に流れ込むような構造だと、車庫の排水能力をオーバーしてしまう可能性があります。
排水能力を超えて屋根に水が溜まると、雨漏りのリスクが高まります。
しかし、車庫を移動させるのは難しい場合が多いため、車庫側の屋根は完全防水にしておいた方が良いでしょう。
屋根には落ち葉などのゴミがたまりやすく、排水溝を詰まらせて思わぬところから水があふれてくることがあります。
また、雪で屋根が傷んで雨漏りするパターンも少なくありません。
ガレージは、雨が自然に流れ落ちるように傾斜がついています。
傾斜が緩すぎると思わぬところから雨水が入り込み、雨漏りの原因になることがあるため注意が必要です。
施工不良
プレハブ車庫の場合、施工不良で雨漏りすることがあります。
販売元の指示通りに基礎工事が行われていなかったり、ビスがしっかりと固定されていなかったりすると、ビス穴から雨が漏れることが多いです。
また、台風や強風などの自然災害時には、壊れたり部品が外れたりすることがあるため注意しましょう。
コンクリート防水劣化
コンクリートガレージの天井には、防水加工が施されています。
しかし、防水が徐々に劣化していき、防水効果がなくなってしまいます。
さらに、コンクリート屋根に防水加工をしていなかったために、ひび割れから漏水するケースも多いです。
ひび割れがなくても、屋根の土から水が漏れ、天井が少し湿った状態になることがあります。
コンクリートを流れ落ちる雨水が白濁していたり、白い粉状になっていたりするため判断しやすいでしょう。
上記の症状が見られる場合は、コンクリートの防水を検討してください。
住居の防水機能の劣化
車庫の上に住居を立てていたり、庭になっていたりするビルトインガレージの場合、住居部分の防水機能が劣化して下の車庫に雨漏りするがあります。
ガレージの上に庭がある場合、木の根がコンクリートを突き破って雨漏りすることもあるでしょう。
車庫の上に何もなければ比較的簡単に修理できますが、庭や家の中にあると修理が難しくなります。
内側から修理しても、別の場所から雨漏りするケースも珍しくありません。
修理ができない場合は、住居や庭を移動させる大規模な防水工事が必要になります。
車庫がたわんでいる
車庫が地面をくり抜いた掘り込み式で、上に家などの重量物が乗っている場合、重みで車庫の天井がたわむことがあります。
コンクリートは耐久性に優れていますが、大きな力には耐えられません。
そのため、車庫の真上でなくても、近くで工事をしていて土圧がかかり、車庫内部に亀裂が入るケースも多いです。
ガレージの雨漏りを放置するリスク
車庫やガレージの雨漏りをしている場合、構造や状況によって対処法は異なりますが、修理にはある程度の費用がかかります。
また、場合によっては緊急性がないと感じ、雨漏りを放置してしまう方もいるかもしれません。
しかし、雨漏りを放置しておくのは大変危険です。
例えば、ガレージや車庫の中で雨漏りが続くと、ガレージや車庫の基礎となる鉄筋が錆びてしまうことがあります。
サビが進行すると、基礎が弱くなり、倒壊の危険性が高くなります。
さらに、コンクリートでできたガレージや車庫の場合は、コンクリートが鉄筋から剥がれてしまうこともあります。
また、木造建築の場合は、雨漏りによって木材がカビたり腐ったりすることが多く、胞子による健康問題を引き起こしたり、倒壊につながることもあります。
このようにガレージや車庫の雨漏りを放置しておくと様々なリスクが高まるため、早めの対処が大切です。
防水工事の種類を解説
防水工事には、さまざまな種類があり、それぞれの工法が異なる特性と適用範囲を持っています。建物の構造や使用環境に応じて、最適な防水工法を選択することが重要です。以下に、代表的な防水工事の種類を解説します。
1. ウレタン防水
ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する工法です。液状のため、複雑な形状の場所でも塗布が可能で、継ぎ目のない一体化した防水層を作ることができます。軽量で柔軟性があり、ひび割れに追従する能力が高いため、屋上やバルコニーなどで広く使用されています。施工が比較的簡単で、コストパフォーマンスに優れていますが、定期的なメンテナンスが必要です。
2. シート防水
シート防水は、防水シートを貼り付けて防水層を作る工法です。主に塩ビシートやゴムシートが使用され、シートを接着剤や熱で固定します。シート防水の特徴は、施工が迅速で、耐久性が高いことです。特に、広い面積の防水が必要な場合や、平坦な屋根での使用に適しています。シートの種類によって、耐候性や耐薬品性が異なるため、使用環境に応じて適切なシートを選ぶことが重要です。
3. FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維と合成樹脂を組み合わせた防水層を形成する工法です。FRPは「Fiber Reinforced Plastics」の略で、非常に高い耐久性と強度を持ちます。耐衝撃性や耐薬品性が求められる場所に適しており、特にバルコニーや屋上で使用されることが多いです。硬化後は非常に堅固な防水層ができ、メンテナンスの頻度も少なくて済むため、長期間にわたる防水性能が期待できます。
4. アスファルト防水
アスファルト防水は、アスファルトを主成分とする材料を用いて行う工法で、歴史のある伝統的な防水方法です。アスファルトを加熱して溶かし、シートや基材に塗り重ねることで防水層を作ります。非常に高い耐久性と防水性能を誇り、大規模な建築物や工場の屋根で使用されることが多いです。ただし、施工には専門的な技術と安全対策が必要で、他の防水工法に比べて施工の手間がかかることがあります。
5. セメント系防水
セメント系防水は、セメントベースの材料を使用して防水層を作る工法です。主に地下室や地下駐車場、浴室などの内部防水に使用されます。セメント系防水は、施工が簡単でコストが比較的低いのが特徴ですが、外部環境にさらされる部分には適していません。耐久性や柔軟性においては、他の防水工法に比べて劣る部分があるため、使用場所を選ぶ必要があります。
6. 塗膜防水
塗膜防水は、液状の防水材料を塗り重ねて防水層を形成する工法です。ウレタン防水もこの一種ですが、他にもアクリル系やシリコン系の材料があります。塗膜防水は、施工が簡単で複雑な形状にも対応しやすい反面、塗布する厚みや乾燥時間に注意が必要です。薄い膜では防水性能が十分に発揮されないため、施工の品質が求められます。
各種防水工事には、それぞれの特徴やメリットがあるため、建物の特性や使用環境に応じて適切な工法を選択することが重要です。防水工事を適切に行うことで、建物の耐久性を保ち、快適な住環境を維持することができます。
ガレージ・車庫の雨漏り防水工事の種類
実際に雨漏りしてしまったら、どうすれば良いのでしょうか?
数日で終わる簡単な防水工事から、大規模な防水工事まで様々です。
ここでは、防水工事別の特徴を紹介します。
部分修理
雨漏りの程度が軽ければ、コーキングで補修できるかもしれません。
金属製の場合、小さな穴であれば防水テープで補修することも可能ですが、あくまで応急処置と考えた方が良いでしょう。
ガレージが木や金属でできている場合は、修理後にガレージ全体を塗装する方法がおすすめです。
コンクリート製のガレージにひび割れがある場合は、コーキングやモルタルを塗って補修します。
また、防水材を塗って補修する方法もあります。
DIYで補修できる場合もありますが、見えないところで雨漏りが発生している場合も高いです。
そのため、プロに見てもらうのがベストだといえるでしょう。
屋根・外壁塗装
ガレージの屋根が金属製の場合は、10年に1度、錆を落として塗装することで長持ちさせられます。
プレハブガレージの場合でも、きちんと錆を処理して塗装するのが良いでしょう。
塗装工事は、入念なサビ処理をしたうえ、高圧洗浄後に塗装となります。
外壁や骨組みに塗装材が使われている場合は、外壁や骨組みも塗り替える方法がおすすめです。
屋根カバー工法・葺き替え
ガレージの屋根が金属屋根で、雨漏りがしている場合や、全体的に傷みが激しい場合は、カバー工法や葺き替えによるメンテナンスが可能です。
カバー工法には、屋根の上にシート防水材を敷く工法と、屋根の上に新たに屋根を葺く工法があります。
- 屋根の上にシート防水材を敷く工法
シート防水と屋根の間に断熱材を挟み込みます。
シート防水は安価ですが、耐久性が低く、15年程度ごとに交換が必要です。 - 屋根の上に新たに屋根を葺く工法
既存の屋根材に新しい屋根材をかぶせる方法です。
ガルバリウム鋼板の屋根材が主流です。
断熱材は入れても入れなくても施工でき、耐用年数は約20年~30年です。
屋根自体の重量が増えるため、ガレージの躯体が耐えられるかどうか、業者に相談して決める必要があります。
葺き替えは既存の屋根を撤去し、新しい屋根を設置する方法です。屋根を一新するので、長く使えることがメリットですが、既存屋根の撤去に費用と時間がかかるため、カバー工法に比べると若干割高で、工期も長くなります。
コンクリート周りの防水工事
車庫がコンクリート製で、内側からの補修が難しい場合は、外側からの防水工事を行います。
周辺環境によって施工方法が異なるため、どのような防水工事が適しているのか一概には言えません。
しかし、一般的にはシート防水や塗膜防水などの防水対策を施し、コンクリート内部への水の浸入を防ぎます。
コンクリート表面が露出している場合は、すぐに防水工事を行うことが可能です。
ただし、上に建物や庭があったり、車庫が隣地と接していたりする場合は、大規模な工事が予想されます。
ガレージの防水工事にかかる費用目安
ガレージの防水工事の種類によって、費用目安が異なります。
防水工事ごとの費用目安は次のとおりです。
防水工事の種類 | 費用目安 |
部分補修(コーキング処理) | 10,000円~ |
部分補修(コンクリート補修) | 30,000円~ |
外壁・屋根塗装 | 10~30万円程度 |
屋根葺き替え | 20万円程度 |
コンクリート防水工事 | 20万円~ |
車庫やガレージでの雨漏りの場合、一般住宅とは異なる知識が必要となります。
そのため、車庫・ガレージの修理経験が豊富な業者を利用するのが望ましいでしょう。
修理方法も様々であり、複数の業者から見積もりを取り、比較・検討するのがおすすめです。
雨漏りの原因は複雑な場合があり、1回だけの修理では完全に直らない場合もあります。
また、工事完了後、アフターメンテナンス保証がついている業者であればより安心です。
火災保険は、気象災害による損害にも適用される場合がある
雨漏りなどのトラブルは、定期的なメンテナンスで防げますが、気象災害による雨漏りは避けることが難しい場合があります。
気象災害による雨漏りについては、被害状況によって「火災保険」が適用されるかどうか確認しましょう。
一般的に火災保険は、火災などによる建物の損害を補償するものですが、防風・落雷・雪・ひょうなどの気象現象による損害も補償される場合があります。
火災保険に加入していて、気象災害による雨漏りが心配な場合は、加入している保険の補償内容を確認しておくことが大切です。
被害の状況や契約内容で異なるため、現在加入している保険会社に相談しましょう。
ガレージ・車庫の防水工事|施工実例
東京都大田区C様邸|個人様
タイプ:ビルトインガレージ
工事内容:防水塗装工事
ガレージの雨漏りは深刻!定期的な防水工事が重要
車庫やガレージの雨漏りは、経年劣化や結露、排水不良などが原因となることが多いです。
耐用年数は、建物の構造や環境によっても異なります。
一般的な耐用年数は20年以上と長めですが、メンテナンスフリーではなく、10年に1度は屋根や外壁の塗装などの定期的なメンテナンスが必要です。
車庫やガレージのメンテナンス、雨漏り修理などは、目に見えない部分の不具合を発見しにくいため、慎重な作業が求められます。
雨漏りをしている場合や、メンテナンス時期が近い場合には、正確な診断と的確な修理ができる専門業者に依頼しましょう。
防水工事でよくある質問
Q
防水工事の種類にはどんなものがありますか?
A
主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。
Q
防水工事の費用はどのくらいかかりますか?
A
工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。
Q
工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。
Q
防水工事のタイミングはいつが良いですか?
A
一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。