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大規模修繕工事に伴う建物の躯体の補修・修繕工事の内容を解説

マンションの大規模修繕は、建物の安全性と快適さを維持するために欠かせない重要な作業です。特に、躯体と呼ばれる建物の構造を支える部分の補修は、外壁コンクリートの改修などを含む大規模な工事となります。また、防水工事や塗装などの補修も行われます。

しかし管理会社に任せきりにすると、気づかないうちに工事費用が高額になることもあるため、注意が必要です。この記事では、建物の躯体とは何か、大規模修繕工事で行う補修の種類やポイントについて解説します。
ぜひ、最後までお読みください。

目次

大規模修繕について解説

大規模修繕とは、マンションやビルなどの集合住宅において、外壁のひび割れや塗装の剥がれ、屋上の防水工事や設備の劣化など、建物全体の劣化を防ぎ、修繕するために行われます。建物全体の劣化を防ぎ、長期的な安全性と快適性を維持するために行われる大規模な修繕工事です。通常、10年から20年ごとに計画され、外観の美観を保つだけでなく、建物の構造や設備の性能を向上させることを目的としています。

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建物の躯体とは?大規模修繕との関係

建物は、主に躯体と外装・内装に分けられます。

建物の躯体とは、人や物の重さ、地震などの災害に耐えられるように建物を支える骨組みのことです。

「スケルトン」とも呼ばれ、主に基礎(基礎杭)、梁、床、屋根、柱、壁などを指します。

また、内外装の仕上げや設備以外の部分が、躯体を構成します。

大規模修繕と関わりの深い建物の構造を支える骨組み

建築基準法では、大規模修繕を次のように定義しています。

十四 大規模の修繕 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。

十五 大規模の模様替 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。

出典:建築基準法「第一章 総則」

定義における主要構造部とは、建築基準法によれば壁、柱、床、梁、屋根または階段をいいます。

例えば、柱が20本ある建物であれば、11本以上の過半数(半分以上)を修繕・リフォームすることが「大規模修繕・リフォーム」です。

つまり、建物の躯体とは「建物の構造を支える骨組み」のことだと理解できるでしょう。

大規模修繕で加味するべき建物の躯体構造

建物の躯体とは、大きく分けて

  • 木造(W造)
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)
  • 鉄骨造(S造)

の3種類があります。

日本で建設される建物のほとんどは、3種類のいずれかの骨組み構造です。

躯体構造に木材を使った建物のことを、木造建築といいます。

木造建築は日本で古くからたくさん建築されていて、令和2年に新しく建築された低層の一般住宅においても、8割以上が木造建築物です。

木材には調湿効果があるため、木造建築物は通気性に優れており、日本の梅雨の時期でも比較的快適に過ごせることが特徴です。

木造建築全体のメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • 建築コストが他の工法よりも安い
  • デザインや設計の自由度が高い
  • 通気性に優れていて、日本の気候に最適
  • 実は耐火性が高い

木造建築で使用する木材が軽量であることから、基礎工事にかかる期間や費用、人件費などが少なく済むため、鉄筋コンクリート造の建物に比べると約4割も建築コストをカットすることができます。

木造建築では建築時の間取りの自由度が高く理想の家が作れるほか、リフォームの際にも壁の移動など大規模な間取りの変更が可能な場合も多いです。

日本の梅雨は湿気がたまりやすいので、「通気性に優れている」という特徴を持つ木造建築は、日本で快適に過ごすために最適です。

また、夏は建物に熱がこもりにくく、冬は木材の中の水分が空気中に少しずつ放出されて乾燥を防いでくれます。

木材建築は火災に弱いというイメージを持っている方が多いのですが、実は耐火性能が高いです。

木は鉄と比べて熱伝導率が低いため、建築に使用されるような太い木材の芯まで燃えて建物が倒壊するまでにはかなりの時間がかかります。

その間に救助活動を待ったり、延焼防止の時間を確保したりすることができるでしょう。

「木造だから鉄筋・鉄骨造よりも火事に弱い」というイメージがありますが、むしろ鉄骨・鉄筋造の建物は高温にさらされると強度を失うため、木造よりも早い段階で建物は倒壊することも少なくありません。

反対に、木造建築のデメリットには以下のようなものがあります。

  • 耐用年数が短い
  • シロアリなどの害虫に弱い

木造建築は、他の構造と比べると耐用年数が短いです。

国税庁発表の減価償却資産の耐用年数によると、木造建築の耐用年数はおよそ22年で、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の47年と比べると半分以下となってしまいます。

ただ、木造建築は木材という天然素材を使用しているため、素材そのものの品質や強度にも多少の個体差があり、建物の耐用年数にも影響が出る場合があるので注意が必要です。

木造建築で被害の多いシロアリは、木を主食としています。

そのほかにも気を食べる虫の被害を受ける可能性が高く、被害が進行すると建物の耐久性が失われていってしまうでしょう。

木造建築における害虫被被害を予防するためには、定期的な床下点検や薬剤の使用が必要です。

鉄筋コンクリート造(RC造)の建築物は、躯体構造に鉄筋とコンクリートを使用しています。

躯体構造や基礎部分において鉄筋を組み立てて形状を作り、鉄筋の周りにコンクリートを流し込んで組み立ていきます。

鉄筋コンクリート造(RC造)は、マンションやビルなどの建物で多く採用されている骨組み構造です。

鉄筋コンクリート造(RC造)は、耐久性・耐火性・耐震性に優れていることが特徴です。

引張力に強く圧縮力に弱い鉄筋と、引張力に弱く圧縮力に強いコンクリートを組み合わせて使用するため、それぞれのデメリットを補い合うことができます。

鉄筋コンクリート造(RC造)のメリットには、以下のようなものがあります。

  • 耐火性が高い
  • 防音性が高い
  • 耐震性が高い

鉄筋コンクリート造(RC造)で使用される鉄筋とコンクリート自体は、燃えることがありません。

しかし鉄筋は熱に弱く、火事が発生して熱のダメージを受けると強度が著しく低下してしまいます。

一方でコンクリートは熱に強く、鉄筋を覆っているコンクリートが鉄筋を火や熱によるダメージから守ってくれるため、耐火性が高いのです。

鉄筋コンクリート造(RC造)では、コンクリートを流し込むことで隙間ができない造りになっているため、防音性が高いこともメリットになります。

密度の高いコンクリートの効果で遮音性が特に優れているため、マンションのような集合住宅であっても周囲の生活音が気になりにくいです。

鉄筋コンクリート造(RC造)は引張力に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートの両方の特徴を併せ持っているため、地震が発生した際も高い耐震性を発揮します。

引っ張る力に強い鉄筋が地震の横揺れに、圧縮に強いコンクリートが地震の縦揺れに対して耐性を持つため、双方のメリットをいかすことで建物の総合的な耐震性を高めることにつながるのです。

一方で、鉄筋コンクリート造(RC造)には以下のようなデメリットがあります。

  • 夏は暑く冬は寒い場合が多い
  • 結露やカビの発生
  • コストが高い

鉄筋コンクリート造(RC造)に使用されているコンクリートは、温まりにくく冷めにくいという特徴を持っています。

夏の時期は熱がこもってしまい夜間まで室温が低下しないため暑く、冬の時期は建物全体が温まりにくいため寒いと感じることが多いようです。

またこの特徴により、夏は冷房が、冬は暖房がそれぞれ効きにくいということも、デメリットとして挙げられます。

気密性が高いコンクリートは防音性に優れているというメリットがありますが、一方で湿気が抜けにくいため結露やカビが発生しやすいことがデメリットになるでしょう。

鉄筋コンクリート造(RC造)では、コンクリートを流し込んだあとの養生の期間が必要となるため、工事期間が長いことが特徴です。

それに伴って人件費や設備にかかる費用などの経費がかかってくるため、建築コストが高くなってしまいます。

鉄骨造(S造)の建築物は、躯体構造に鉄製や鋼性の材料を使用しています。

この材料の厚みによって2種類に分類され、材料の厚みが6㎜以上の場合は「重量鉄骨造」、6㎜未満の場合は「軽量鉄骨造」と呼ばれます。

3階建て以上の建物には重量鉄骨造、一般的な注文住宅には軽量鉄骨造が採用される場合が多いです。

重量鉄骨造は柱や梁の強度が高く少ない本数でも建設できるため、その分間取りやデザインの自由度が高いことが特徴です。

軽量鉄骨造は、重量鉄骨造に比べて工期が短くコストも抑えられることが特徴で、同じ鉄骨造(S造)でもそれぞれの良さを持っています。

鉄骨造(S造)には、以下のようなメリットがあります。

  • 品質が安定している
  • 耐震性・耐久性に優れている

天然素材で材料の品質に個体差がある木材と違って、鉄骨造(S造)に使用する工場で生産された材料は品質が安定しています。

また、組み立ての際も熟練の腕を必要とせず、安定した完成度を保てることも大きなメリットのひとつです。

重量鉄骨造はかなり耐久性が高く、大きな地震にも耐える耐震性も持っています。

また重量鉄骨造は、耐火被覆という処理を行えば火災保険の保険料を抑えられるほどの高い耐火性があります。

軽量鉄骨造は、重量鉄骨造に比べて工期が短く、材料の大量生産も可能であるため、建設コストが削減できるでしょう。

軽量鉄骨造であっても十分な耐久性があり、材料が軽量なので耐震性も高いです。

しかし重量鉄骨造とは違い、軽量鉄骨造の薄い鉄骨は熱に弱いため耐火性はそれほど高くありません。

火災の際は熱によるダメージを受けて強度が弱まり、建物倒壊のリスクがあるといわれているため注意が必要です。

一方で、鉄骨造(S造)には以下のようなデメリットもあります。

  • 結露が発生しやすい
  • 夏は暑く冬は寒い
  • 重量鉄骨造はコストがかかる
  • 軽量鉄骨造は耐火性に不安がある

気密性が高い構造の鉄骨造(S造)は、湿度をコントロールできないため内部に湿気が溜まり、結露が発生しやすいです。

結露を放置すると鉄骨が錆びてしまうため、防錆処理が必須です。

木材が持つ通気性やコンクリートが持つ断熱性を持たない鉄骨造(S造)では、外気温の影響を強く受けます。

夏は暑く冬は寒いと感じる方が多く、冷暖房効率もあまり良くありません。

重量鉄骨造においては、重さがあるため強固で安定した地盤が必要です。

基礎工事や地盤改良に高額なコストがかかる場合があり、そしてそもそも大量生産できない材料がそれぞれ高価であるため、建築コストが高くなるでしょう。

軽量鉄骨造においては、先ほども紹介したように薄い鉄骨は熱に弱いため、耐火性に不安が残ります。

火事の際に建物が倒壊してしまうリスクを防ぐため、耐火被覆の処理を行うことが一般的です。

マンション大規模修繕における建物の躯体補修の作業範囲と内容

マンション大規模修繕では、建物の劣化部分や欠損部分の補修・修繕を行いますが、建物の躯体も工事範囲に含まれます。

マンションをはじめとした建物は、年数の経過とともに雨風、紫外線などの影響で欠損や劣化します。

そのため、一般的なマンションでは、長期修繕計画を策定し、およそ12年ごとに大規模修繕工事が行われることが一般的です。

一般的な大規模修繕の工事範囲は、次のとおりです。

工事箇所工事内容
外壁下地補修工事
タイル補修
張替工事
塗装工事
屋上防水工事
共用廊下/階段/バルコニー防水工事
塗装工事
長尺シート工事
鉄部サビ、塗装剥がれ部塗装工事
設備機器電気設備や給排水設備の交換・補修工事

上記の範囲のなかで、マンションの大規模修繕となると、躯体に関する工事は 「下地補修」に該当します。き躯体補修工事とは

タイル浮きの診断と対策|大規模修繕計画の重要ポイント

タイル浮きはマンションの外壁における大きな問題の一つで、大規模修繕計画の段階から考慮すべき重要な課題です。放置すれば剥落による安全性の問題や修繕費用の増加を引き起こすため、適切な診断と対策が必要です。

タイル浮きは、外壁のタイルが下地から剥離して浮いている状態を指します。この問題を見過ごすと、剥落による人身事故や建物の劣化が進む可能性があり、早期発見と対策が必要です。以下に診断方法と効果的な対策を解説します。

大規模修繕でのタイル浮きの診断方法

  1. 打診調査
    専用のハンマーや棒でタイル表面を軽く叩き、音の違いで浮き箇所を確認する方法です。
    • 健全なタイル:硬い高音が鳴る。
    • 浮きのあるタイル:鈍い低音がする。
      シンプルでコストが低い方法ですが、作業者の経験に依存する部分もあります。
  2. 赤外線調査
    赤外線カメラを使い、タイルと下地の間にある温度差を測定する方法です。浮きがある部分では空気層が温度変化を生じさせるため、正確に特定できます。大規模な建物で効率的に診断できるため、多くの現場で活用されています。
  3. 目視検査
    外壁の剥落やひび割れなど、浮きの兆候を直接確認する方法です。特にひび割れや剥がれが見られる部分は注意が必要です。

タイル浮きの効果的な対策

  1. 部分補修
    浮きが軽微であれば、該当部分のみを補修する方法が適しています。既存のタイルを再利用することでコストを抑えられる場合もあります。
  2. 全面張り替え
    浮きが広範囲に及ぶ場合や接着材の劣化が進んでいる場合は、全面的な張り替えが必要です。新しいタイルと高品質な接着材を使用することで、建物全体の安全性と美観を向上させます。
  3. 防水処理の強化
    浮きの原因が湿気や水分の侵入である場合、防水工事を同時に行うことで再発を防ぐ効果が期待できます。
  4. 補修材の選定
    耐久性が高く劣化しにくい接着材やモルタルを使用することで、長期的な安全性を確保します。

大規模修繕で確認必須!外壁クラックの種類と原因を解説

外壁に発生するクラック(ひび割れ)は、建物の劣化や構造上の問題を示す重要なサインです。大規模修繕を行う際には、クラックの種類や原因を正確に把握し、適切な修繕計画を立てることが必要です。ここでは、外壁クラックの代表的な種類と原因を詳しく解説します。

外壁クラックの種類

  1. ヘアークラック
    • 特徴:幅0.3mm以下の細いひび割れ。
    • 原因:塗装やモルタルの表面が乾燥や経年劣化でひび割れる。
    • 影響:構造に影響は少ないが、美観を損ね、放置すると雨水が浸入する可能性あり。
  2. 構造クラック
    • 特徴:幅0.3mm以上で深く、コンクリートや鉄筋部分にまで達するひび割れ。
    • 原因:建物の沈下や地震、荷重の増加による構造的な負荷。
    • 影響:建物の強度に影響を与える重大な問題で、早急な修繕が必要。
  3. 乾燥収縮クラック
    • 特徴:モルタルやコンクリートが乾燥する際に発生する不規則なひび割れ。
    • 原因:施工後の乾燥過程で材料が収縮することによる。
    • 影響:通常は構造への影響は少ないが、劣化が進むと修繕が必要。
  4. 温度変化クラック
    • 特徴:季節や時間帯による温度差で発生するひび割れ。
    • 原因:建材の膨張や収縮によるストレス。
    • 影響:長期間放置すると、雨水が侵入し、内部劣化のリスクが高まる。

外壁クラックの主な原因

  1. 経年劣化
    長期間の使用による建材の劣化や、防水性能の低下が原因となる。
  2. 施工不良
    モルタルやコンクリートの適切な配合や乾燥処理が行われていない場合に発生。
  3. 地震や沈下
    地震や地盤沈下により建物全体にストレスがかかり、クラックが発生。
  4. 温度や湿度の影響
    日射や雨などの環境変化によって建材が収縮・膨張を繰り返すことが原因。

大規模修繕での外壁クラック対応のポイント

建物の外壁に発生するクラックは、建物の耐久性や安全性に直結する重要な問題です。大規模修繕を行う際には、クラックの種類や状況を適切に判断し、修繕と再発防止のための早期診断と適切な修繕で再発を防ぐ対応を行うことが求められます。

  1. 早期診断
    外壁クラックは、種類や深さによって建物への影響が異なります。軽微なヘアークラックは肉眼で確認可能ですが、構造クラックのように深刻なものは打診調査や赤外線カメラを使用して、内部の劣化状況を調査する必要があります。これにより、修繕方法の選定がスムーズになります。
  2. 適切な修繕
    ひび割れの種類に応じた修繕を行います。
  • ヘアークラックは、塗料やシーリング材で補修し、美観を整えつつ防水性を向上させます。
  • 構造クラックにはエポキシ樹脂の注入や補強材の設置を行い、建物の安全性と耐久性を回復させます。
  1. 防水強化
    修繕箇所には防水塗装を施し、再発を防ぎます。雨水や湿気が内部に侵入するのを防ぐことで、劣化の進行を抑えられます。特に防水シートやコーティング材の活用が効果的です。

適切な診断、修繕、防水処理を行うことで、建物の資産価値を維持し、耐久性を高めることが可能です。クラックが発見された場合は、迅速な対応を心がけましょう。

大規模修繕における建物の躯体補修工事とは?

躯体補修工事とは、躯体や下地の劣化や破損に対して補修を行う、下地補修工事の一種です。

躯体補修工事では、コンクリート内部の鉄筋に発生する、サビやひび割れなどの劣化の補修を行います。

建物の安全性と耐久性を維持するためには、躯体補修工事の実施が非常に重要です。

躯体補修工事が必要となる主な劣化症状には、以下のようなものがあります。

  • ヘアークラック
  • 構造クラック
  • コンクリート爆裂

ヘアークラックとは、幅0.2㎜以下のひび割れのことです。

ヘアークラックであれば表面のみのひび割れで建物に大きな影響はありませんが、放置すると劣化が進んで大きく深いクラックになってしまう場合があります。

ヘアークラックよりも大きいひび割れは、構造クラックと呼ばれる劣化症状です。

構造クラックは、クラック部分からの雨水の侵入やそれによる内部鉄骨のサビなど、建物全体への悪影響が心配されます。

コンクリート爆裂とは、コンクリート内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを押し出している状態のことで、早急に補修が必要な劣化症状です。

大規模修繕における建物の躯体補修工事の流れ

建物の躯体補修工事は、大規模修繕の中でも特に重要な工程です。躯体は建物の基盤となる部分であり、その劣化を適切に補修することで、安全性や耐久性を維持し、建物の寿命を延ばすことができます。ここでは、躯体補修工事の具体的な流れを解説します。

1. 事前調査と診断

躯体補修工事を始める前に、建物全体の状態を調査します。

  • 目視点検:ひび割れ、剥離、コンクリートの欠損などを確認。
  • 非破壊検査:赤外線調査や打診調査で、内部の劣化状況を確認。
  • 強度試験:コンクリートの圧縮強度や中性化の進行度を測定。

これにより、補修が必要な箇所や適切な工法が特定されます。事前調査の段階でマーキングをしておくことで、補修作業をスムーズに進めることができます。

2. 補修計画の立案

調査結果をもとに、補修範囲や工法、使用材料を計画します。

  • 劣化の進行度や原因を考慮し、優先度を設定。
  • 修繕費用やスケジュールを管理組合と調整し、合意を得ます。

3. 施工準備

施工をスムーズに進めるための準備作業を行います。

  • 足場の設置:作業の安全性と効率を確保。
  • 周囲の養生:塵や粉塵が周辺に飛散しないよう保護。
  • 住民への説明:工事中の注意点やスケジュールを共有します。

4. 劣化部分の除去

劣化したコンクリートや鉄筋を取り除きます。

  • コンクリートの剥がれを削り落とし、内部の鉄筋を露出。
  • 腐食した鉄筋を除去・清掃し、新しい鉄筋を補充する場合もあります。

5. 補修作業

劣化箇所を補修し、躯体の強度を回復させます。

  • ひび割れ補修:エポキシ樹脂を注入し、強度を回復。
  • 欠損補修:モルタルや特殊な補修材で欠損部分を埋める。
  • 鉄筋防錆処理:露出した鉄筋に防錆材を塗布し、再発を防止。

6. 仕上げと防水処理

補修作業の完了後、表面を仕上げます。

  • 補修箇所を平滑に整え、外壁の一体感を確保。
  • 防水塗装を施し、雨水の侵入や再劣化を防ぎます。

7. 工事後の検査と引き渡し

補修が計画通りに完了したかを確認します。

  • 工事の品質や耐久性をチェック。
  • 不備があれば修正し、管理組合に工事内容を報告します。

適切な補修工事を行うことで、建物の安全性や美観を維持し、資産価値を向上させることができます。管理組合や住民との協力を密にしながら進めることが、大規模修繕を成功させる鍵となります。

大規模修繕工事にかかる費用相場について|建物の躯体補修の費用は?

ここでは、大規模修繕工事における建物の躯体補修の費用相場について解説していきます。工事の種類ごとにまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

大規模修繕工事における建物の躯体補修の費用相場

工事の種類補修内容の例費用相場 (円/平方メートル)
壁面のひび割れ修補コンクリートのひび割れ修補、塗装の補修約2万円〜5万円
基礎部分の補修基礎のひび割れ修補、漏水対策約5万円〜10万円
外壁補修外壁タイルの剥がれ補修、再塗装約3万円〜8万円
鉄骨補強鉄骨の錆び取り、再塗装、防錆処理約10万円〜20万円
床面補修コンクリート床の補修、耐久性向上対策約5万円〜15万円
屋根補修屋根の防水処理、断熱材の追加約8万円〜25万円
柱や梁の補強柱や梁の補強、耐震補強工事約12万円〜30万円
外壁タイル補修外壁タイルの剥がれ補修、目地の修復約6万円〜15万円

1回目の大規模修繕工事にかかる費用相場

以下は、1回目のマンション大規模修繕工事にかかる費用相場を工事内容ごとに表にまとめたものです。

工事内容主な内容費用相場(目安)
仮設工事足場の設置・撤去、養生シート、仮設トイレ設置など約1,000~3,000円/㎡
外壁補修工事ひび割れ補修、浮きや剥がれ部分の補修、モルタル修復約1,500~3,500円/㎡
シーリング工事窓枠やタイル目地のシーリング材撤去・再充填約800~2,000円/㎡
外壁塗装工事下塗り・中塗り・上塗りの塗装作業約1,500~3,000円/㎡
屋上防水工事防水シート貼り付け、ウレタン防水、アスファルト防水約3,000~6,000円/㎡
共用部分改修工事廊下・階段の床補修、エントランスの改修約300万~800万円(規模による)
配管工事給水管・排水管の交換または清掃約200万~500万円(建物全体の場合)
鉄部塗装工事手すり、階段、扉の錆取りと塗装作業約1,000~2,500円/㎡
防水工事(ベランダ・バルコニー)防水塗装、シート防水、補修約2,500~5,000円/㎡

総費用相場(目安)

  • 小規模マンション(10~30戸): 1,000万~2,500万円
  • 中規模マンション(30~50戸): 2,000万~4,000万円
  • 大規模マンション(50~100戸): 4,000万~8,000万円

費用に影響する要因

  1. 建物の規模: 総面積や階数が大きいほど費用が高くなります。
  2. 劣化の程度: 劣化が進行している場合、補修箇所が増え費用が上がります。
  3. 施工業者の選定: 地域や業者による価格差があるため、複数の見積もりを比較することが重要です。
  4. 使用する材料の種類: 塗料や防水材のグレードによって費用が変動します。

1回目の大規模修繕工事は、建物全体の初めてのメンテナンスとなるため、計画的な予算管理が重要です。修繕積立金を活用し、長期的な視点で適切に工事を進めましょう。

紹介した表は一般的な費用相場を示しており、具体的な費用は修繕箇所の状態、使用する材料、地域の労働コストなどによって異なることがあります。詳細な見積もりを得るためには、専門の修繕業者に相談することが重要です。

大規模修繕の対象となる建物の躯体に起きる劣化と修繕方法

建物は、経年変化や様々な外的要因によって劣化します。

例えば、どのような不具合やトラブルが考えられるのでしょうか。

建物の躯体が劣化しているときや、そのほか補修・修繕が必要な症状を紹介します。

大規模修繕の対象となる建物の劣化と修繕方法|コンクリート外壁のひび割れ

コンクリート外壁の劣化としてひび割れなどの症状があります。

建物に隙間がある状態であり、放っておくと雨漏りなどの危険につながります。

また、ひび割れ放置しておくと内部構造にも影響を及ぼすため、大規模修繕の時期だけではなく、ひび割れを発見したら都度補修・修繕することが大切です。

ひび割れは大きさによって大別され、それぞれ呼び方があります。

  • 幅0.2mm以下の軽微なひび割れ:ヘアークラック
  • 幅0.3mm以上、深さ5mm以上のひび割れ:構造クラック

ヘアークラックの場合はセメント材を充填して補修します。

構造クラックの場合はUカットシーリングと呼ばれる工法でひび割れ部分を直していきます。

構造クラックはコンクリート外壁がかなり劣化していることを示す症状です。構造クラックを発見した際は、できるだけ早く修繕工事を行いましょう。

大規模修繕の対象となる建物の劣化と修繕方法|欠損・爆裂

コンクリートの劣化が深刻化すると、欠損が生じます。

欠損の原因は内部鉄筋の腐食や凍害などさまざまで、原因を見極めた適切な補修を行うことが重要です。

コンクリートの爆裂とは、上記のようなクラックから雨水が侵入し、コンクリート内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを押し出している状態のことをいいます。

放置すると鉄筋が露出したりコンクリート片が落下したりと、大きな劣化や事故につながる可能性のある危険な症状で、早急な補修が必要です。

コンクリート爆裂の補修は、以下のような流れで行われます。

  1. コンクリート内部から出ている赤い錆汁や鉄筋の露出などを目印に、爆裂部分の打診調査を行う
  2. 修繕する部分のコンクリートをハンマーなどを使って落とし、鉄筋を露出させる
  3. 鉄筋を露出させた部分のサビを落としながら、丁寧に清掃する
  4. 清掃した鉄筋部分に錆止め塗料を塗布し、防錆処理を施す
  5. 欠損部にエポキシ樹脂モルタルを充填し、埋める
  6. 下地調整を行い塗装処理を施す

大規模修繕の対象となる建物の劣化と修繕方法|外壁モルタル・タイルの浮き

タイルは、コンクリートの下地にモルタル(砂、セメント、水を混ぜて作る建材)で貼り付けることが一般的です。

しかし、時間の経過とともに乾燥や地震などの振動で剥がれやすくなります。

タイルの「浮き」の状態を放置しておくと、剥がれや落下につながり、雨水が浸透することで建物の躯体に影響を及ぼすでしょう。

また、躯体まで影響を及ぼさなくても、カビの発生、美観を損ねるなどの問題になるため、早めに対処する必要があります。

タイルの浮きは「アンカーピンニング注入工法」という工法を用いて修繕します。

タイルが浮いている部分にドリルで穴を開け、エポキシ樹脂を注入し、ステンレス製のアンカーピン(ステンレスピン)で固定して、最後にモルタルで穴を埋める方法です。

大規模修繕の対象となる建物の劣化と修繕方法|タイルのひび割れ・欠損

乾燥や地震などの振動、あるいはタイルの浮きを放置すると、ひび割れ・剥がれ・落下が発生します。

ひび割れたり、欠けたりしたタイルは貼り替えるのがおすすめです。

ただ、小さな傷・欠損はパテなどで補修できる場合があります。

新東亜工業とは?大規模修繕工事の施工実績は?

新東亜工業は、東京都を中心にマンションやビルの大規模修繕工事を手掛ける専門業者です。50年以上の歴史を持つ建物修繕の専門業者として、東京都を中心に数多くの大規模修繕工事を手掛けてきました。同社の最大の特徴は、ほぼ全ての工事を自社で完結させる体制にあり、これにより中間マージンを削減し、コストパフォーマンスの高いサービスを提供しています。

具体的な施工実績として、東京都S様邸では、大規模修繕による足場設置、外壁塗装、防水工事を実施し、顧客満足度98%を達成しています。また、同社は大規模修繕工事以外にも、防水工事、外壁塗装、屋根工事、シーリング工事など、多岐にわたるサービスを提供しています。

さらに、施工後のアフターフォローも充実しており、定期点検や長期的なメンテナンスプランの提案を通じて、建物の資産価値を維持する取り組みが高く評価されています。これらの実績とサービスにより、顧客満足度98%という高い評価を得ています。詳細な施工事例は公式サイトで公開されていますので、興味のある方はぜひご確認ください。

新東亜工業の強みは、内製化によるきめ細やかな施工と対応力にあり、これが選ばれる理由となっています。さらに、外国語対応のスタッフも在籍しており、外国人オーナー様にも安心して依頼できる体制を整えています。

同社は、マンションの資産価値向上を目指し、長期的な視野で最適な修繕工事をプランニングしています。「とりあえず見てほしい」という要望にも迅速に対応し、一時対策から大規模修繕まで、ニーズに応じた提案を行っています。

施工価格と見積りには絶対的な自信を持ち、他社との相見積りも歓迎しています。ご予算と現場調査の結果を踏まえ、長期的な資産価値向上をバランスよく考慮し、最適な修繕プランを提供しています。

新東亜工業は、これまでに手掛けてきたマンションの大規模修繕工事の一部を公式サイトで紹介しています。詳細な施工事例やお客様の声を知りたい方は、公式サイトをご覧ください。

大規模修繕について解説

大規模修繕とは、マンションやビルなどの集合住宅において、外壁のひび割れや塗装の剥がれ、屋上の防水工事や設備の劣化など、建物全体の劣化を防ぎ、修繕するために行われます。建物全体の劣化を防ぎ、長期的な安全性と快適性を維持するために行われる大規模な修繕工事です。通常、10年から20年ごとに計画され、外観の美観を保つだけでなく、建物の構造や設備の性能を向上させることを目的としています。

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大規模修繕における建物の実例|大規模修繕工事なら新東亜工業へ

新東亜工業は、これまで数多くの大規模修繕工事の実績があります。マンションやビルなど、さまざまな建物で外壁塗装や防水工事なども行っています。

ここでは、大規模修繕工事の施工事例を紹介します。

【個人オーナー様】東京都台東区Oビル 修繕工事

【管理組合様】千葉県市川市Dマンション 修繕工事

新東亜工業は、お客様に満足いただける大規模修繕工事を行っています。

大規模修繕工事でお困りの方は、ぜひ新東亜工業にご相談ください。

大規模修繕工事でよくある質問

ここでは大規模修繕工事に関する質問について回答します

Q

大規模修繕工事の期間はどのくらいかかりますか?

A

大規模修繕工事の規模や建物の状態によりますが、およそ3ヶ月〜4ヶ月程度かかることが多いです。

Q

工事中の生活にどんな影響がありますか?

A

足場の設置やメッシュシートで覆うため、室内が少し暗くなることがあります。また、塗装や防水作業時には洗濯物が干せないなどの制限があります。

Q

バルコニーやベランダの利用はどうなりますか?

A

バルコニーやベランダの壁面塗装や床面の防水作業時には、使用が制限されることがあります。

Q

工事期間中、エアコンは使えますか?

A

基本的には通常通り使用できますが、場合によっては一時的に使用が制限されることもあります。

Q

大規模修繕での工事の騒音や臭気はどうなりますか?

A

塗装の臭気やドリルの騒音、粉塵などが発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。

Q

大規模修繕工事に対する費用が不足する場合はどうすればよいでしょうか?

A

できるだけ早い時期に長期修繕計画に基づき積立金を見直し、資金不足にならないようにするのが最善です。実際に資金が足りないことが判明した場合には、時期をずらしたり、工事の範囲を見直したり、一時金の徴収や借入の可能性を探ったりと、様々な方法で計画を調整できます。ご予算に応じて資産価値を損なわないベストなプランをご提案いたします。

Q

修繕工事の前に現地調査が必要なのはなぜですか。どういうことを行うのですか?

A

築年数、周囲の環境や場所によって劣化の度合いは異なりますので、各部の劣化状況を把握し、適切な修繕方法を見極めるためには現地調査が欠かせません。外壁タイルの浮きやコンクリートの中性化、鉄部の錆など、部位ごとに幅広くチェックします。

Q

大規模修繕工事の費用相場は一般的にいくらですか?

A

大規模修繕工事の費用について一般的な相場としては、1戸あたり約100万円前後が目安です。マンション全体の規模が大きい場合には、修繕費用が1億円を超えることもあります。また、マンションの劣化が激しい場合や、質の高い塗装を希望する場合には、さらに費用が高くなることがあります。

建物の大規模修繕について|まとめ

建物の躯体とは、建物の構造を支える骨組みのことで、建物において非常に重要な部分です。

  • 建物の躯体構造は大きく分けて「木造」「鉄筋コンクリート造」「鉄骨造」の3種類
  • 躯体補修工事は下地補修工事の一種で、躯体や下地の劣化の補修を行う
  • 躯体の劣化を放置すると、建物全体の耐久性が低下してしまう

建物の躯体構造の3種類は、それぞれが異なるメリット・デメリットを持っています。

それぞれの特徴を理解した上で、最適な躯体構造を選びましょう。

また、躯体の劣化は建物全体に影響を与えるため、躯体補修工事は必須です。

とくに今回紹介した危険な劣化症状を見つけたら、放置せずに補修工事を行ってくださいね。

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